833 名前:始末記[sage] 投稿日:2016/08/31(水) 08:10:35.43 ID:71+C3rop
サミット三日目
百済港
百済港
戦いを終えた護衛艦『くらま』は、百済の港に錨を降ろし補給や整備を行っていた。
『くらま』と同じ桟橋に艦を横付けさせて、潜水艦『みちしお』の艦長佐々木二等海佐が乗艦して来た。
『くらま』艦長の佐野二等海佐は飛行甲板で、高麗国国防警備隊からの補給を監督しながら出迎えた。
二人は同期であり階級が同じなので、気安い会話が出来るのはありがたいことだった。
『くらま』と同じ桟橋に艦を横付けさせて、潜水艦『みちしお』の艦長佐々木二等海佐が乗艦して来た。
『くらま』艦長の佐野二等海佐は飛行甲板で、高麗国国防警備隊からの補給を監督しながら出迎えた。
二人は同期であり階級が同じなので、気安い会話が出来るのはありがたいことだった。
「うちは後三時間くらいはかかりそうだ。
そっちはどうだ?」
そっちはどうだ?」
『みちしお』の補給は燃料だけだった。
消耗した魚雷はさすがに調達は出来ない。
消耗した魚雷はさすがに調達は出来ない。
「砲弾や魚雷を結構使ったからな、半日は動けん。」
『くらま』は機銃弾や砲弾、燃料などを高麗国に請求して補充させていた。
新京から補給を届けさせるのは時間が掛かるし、総督の帰路にも支障が出るからだ。
規格の問題もあるが、燃料くらいは問題はないので、他の都市の艦船も補給を高麗国に要求して実施している。
新京から補給を届けさせるのは時間が掛かるし、総督の帰路にも支障が出るからだ。
規格の問題もあるが、燃料くらいは問題はないので、他の都市の艦船も補給を高麗国に要求して実施している。
「北サハリンの原潜、やはりいたのか?」
「ああ、我々が戦っている間に高見の見物を気取っていたようだ、忌々しい。
アクラ級のK-391『ブラーツク』だな。」
「ああ、我々が戦っている間に高見の見物を気取っていたようだ、忌々しい。
アクラ級のK-391『ブラーツク』だな。」
転移当時、ロシア太平洋艦隊に所属していた艦艇のほとんどが転移に巻き込まれていた。
活動範囲が日本海やオホーツク海だったから仕方がない。
しかし、その数は自衛隊側が把握していたよりも多かった。
自衛隊側の記録では、母港に停泊していた艦艇や別の海域で活動していた筈の艦艇が見受けられた。
乗員達はいずれの艦でも日本海やオホーツク海で航行中だったと主張したのだ。
さらに船舶に限らず、航空機や観光客、在日米軍を含む各国の軍人や兵器等、転移時に日本にいたはずがない存在が転移していた。
そこで判明したのが彼等の主張する転移の日時がバラバラだったことだ。
これには海外にいた筈の日本人も含まれる。
ほとんどの日本人や高麗三島、樺太や千島列島の住民の認識は共通だった。
年が明けたと同時の転移という認識である。
その時に転移の範囲にいるはずが無かった人間の認識は、転移の範囲に到着して5日後という認識なのだ。
現に佐々木二佐も当時は、ジプチの駐屯地に赴任していた筈だが、気がついたら他の隊員や大使館職員とともに尖閣諸島で突っ立っていた。
休暇などで7日は日本に帰国していた為に転移出来たのだろう。
転移した人間に共通するのは、転移の範囲に5日以上いたという記憶と、その時期が2015年の後半ということまでに絞りこまれている。
この件は現在も調査は続けられている。
北サハリンの行為は忌々しいが、佐々木二佐も佐野二佐も明日には秋月総督御一行を『くらま』に乗せて、百済を出港し新京に帰投しなければならない。
その準備で今日は徹夜になりそうだった。
活動範囲が日本海やオホーツク海だったから仕方がない。
しかし、その数は自衛隊側が把握していたよりも多かった。
自衛隊側の記録では、母港に停泊していた艦艇や別の海域で活動していた筈の艦艇が見受けられた。
乗員達はいずれの艦でも日本海やオホーツク海で航行中だったと主張したのだ。
さらに船舶に限らず、航空機や観光客、在日米軍を含む各国の軍人や兵器等、転移時に日本にいたはずがない存在が転移していた。
そこで判明したのが彼等の主張する転移の日時がバラバラだったことだ。
これには海外にいた筈の日本人も含まれる。
ほとんどの日本人や高麗三島、樺太や千島列島の住民の認識は共通だった。
年が明けたと同時の転移という認識である。
その時に転移の範囲にいるはずが無かった人間の認識は、転移の範囲に到着して5日後という認識なのだ。
現に佐々木二佐も当時は、ジプチの駐屯地に赴任していた筈だが、気がついたら他の隊員や大使館職員とともに尖閣諸島で突っ立っていた。
休暇などで7日は日本に帰国していた為に転移出来たのだろう。
転移した人間に共通するのは、転移の範囲に5日以上いたという記憶と、その時期が2015年の後半ということまでに絞りこまれている。
この件は現在も調査は続けられている。
北サハリンの行為は忌々しいが、佐々木二佐も佐野二佐も明日には秋月総督御一行を『くらま』に乗せて、百済を出港し新京に帰投しなければならない。
その準備で今日は徹夜になりそうだった。
「そういえばお前、カミさんへの土産買ったのか?」
奥さんの尻に敷かれている佐々木二佐は冷や汗を垂らす。
そんな暇はなかったからだ。
付近に転がっている亀人の遺体を見て呟く。
そんな暇はなかったからだ。
付近に転がっている亀人の遺体を見て呟く。
「鼈甲とかどうだろう?」
「今となっては悪趣味と怒られるだけだろう。
だいいち明日までは間に合わないぞ。」
「今となっては悪趣味と怒られるだけだろう。
だいいち明日までは間に合わないぞ。」
一連の戦いのせいで商店も開いていない。
土産探しは困難を極めることとなった。
土産探しは困難を極めることとなった。
さて、前述した通り、ロシア海軍の艦艇の多数が転移していた。
大半が太平洋艦隊所属の艦艇である。
その中には原子力潜水艦13隻、キロ型潜水艦3隻も含まれている。
大半が太平洋艦隊所属の艦艇である。
その中には原子力潜水艦13隻、キロ型潜水艦3隻も含まれている。
北サハリンにオスカー級原子力潜水艦4隻。
西方大陸アガリアレプトにアクラ級潜水艦5隻。
ヴェルフネウディンスク市にはキロ型潜水艦3隻とアクラ級1隻が配備されている。
デルタⅢ型原子力潜水艦は各々の港に1隻ずつ配備されている。
西方大陸アガリアレプトにアクラ級潜水艦5隻。
ヴェルフネウディンスク市にはキロ型潜水艦3隻とアクラ級1隻が配備されている。
デルタⅢ型原子力潜水艦は各々の港に1隻ずつ配備されている。
現在逃走中の巨大海亀を追跡しているのは、ヴェルフネウディンスク市に配備されていたアクラ級原子力潜水艦『ブラーツク』しかないのだ。
その『ブラーツク』の艦内では乗員一同が困り果てていた。
敵を追跡し、の本拠地を探る任務を拝命したのはいいが、いつまで追跡すればいいのか不明なのだ。
いつ終わるか不明な任務は通常の任務より乗員に負担を強いる。
幸い大型海亀の速度は遅い。
最大でも15ノット程度なら振りきられることはない。
遠距離からソナーで捕捉しているので、こちらに気がついていない。
その『ブラーツク』の艦内では乗員一同が困り果てていた。
敵を追跡し、の本拠地を探る任務を拝命したのはいいが、いつまで追跡すればいいのか不明なのだ。
いつ終わるか不明な任務は通常の任務より乗員に負担を強いる。
幸い大型海亀の速度は遅い。
最大でも15ノット程度なら振りきられることはない。
遠距離からソナーで捕捉しているので、こちらに気がついていない。
「食料の備蓄ですが、往復で35日分が限度です。」
燃料や水、空気は心配ないが、食料だけはどうにもならない。
サミットに対応して、バレないように先月から百済沖の海底に潜伏していたのが祟ったのだ。
出港前に艦の食糧庫を満載に出来るほど、北サハリンの食糧事情は豊かではないのだ。
サミットに対応して、バレないように先月から百済沖の海底に潜伏していたのが祟ったのだ。
出港前に艦の食糧庫を満載に出来るほど、北サハリンの食糧事情は豊かではないのだ。
「早く目的地にたどり着いてくれといいのだが・・・」
乗員達は半年でも一年でも海底に潜伏しても士気は落ちないが、それも十分な食料があればこそだ。
この際、本拠地でなく中継地でもよかった。
いざとなれば同盟国や都市に補給や交代の艦を要請する必要がありそうだった。
この際、本拠地でなく中継地でもよかった。
いざとなれば同盟国や都市に補給や交代の艦を要請する必要がありそうだった。
「通信ブイを揚げて、本国に本艦の位置と十分な食料を積んだ艦を準備しろと伝えておけ。」
「日本に傍受される恐れがありますが?
本国はこの任務を高麗との取引に繋げたいから、日本に関わらせたくないのでは?」
「政治のことは政治家に任せておけ。
それに・・・原潜の無い日本に長期の追跡は出来ない。
結局、我々かアメリカを頼らざるを得ないさ。」
「日本に傍受される恐れがありますが?
本国はこの任務を高麗との取引に繋げたいから、日本に関わらせたくないのでは?」
「政治のことは政治家に任せておけ。
それに・・・原潜の無い日本に長期の追跡は出来ない。
結局、我々かアメリカを頼らざるを得ないさ。」
食料自給が低くかった為に日本には大幅な譲歩を強いられた。
これだけの大戦力があるにも関わらずに、南サハリンやクリル諸島を明け渡さなければなかったのはロシア人達には屈辱であった。
日本に頼らない、或いは日本が頼ってくる国を造るのは北サハリンの悲願である。
今回は北サハリンが地球系国家・都市の中で優位に立った行動をしている。
それだけでも彼等の矜持を満足させた。
日本に主導権を奪われるのは御免であった。
これだけの大戦力があるにも関わらずに、南サハリンやクリル諸島を明け渡さなければなかったのはロシア人達には屈辱であった。
日本に頼らない、或いは日本が頼ってくる国を造るのは北サハリンの悲願である。
今回は北サハリンが地球系国家・都市の中で優位に立った行動をしている。
それだけでも彼等の矜持を満足させた。
日本に主導権を奪われるのは御免であった。
百済港
国防警備隊の中隊長の柳基宗大尉は、あの乱戦の中を生き抜いていていた。
空を乱舞するハンマーや岩球を転がりながらも避けまくり、多くの同僚、部下、民間人達が死傷する中生き抜いたのだ。
だが彼には休む暇は与えられなかった。
彼の目前には今回の戦いでも無傷か、軽傷の隊員を集めた二百名が整列している。
国防警備隊の百済市での死傷者は四百名に及ぶ。
柳基宗大尉は用意した木箱の上に乗って語り始める。
空を乱舞するハンマーや岩球を転がりながらも避けまくり、多くの同僚、部下、民間人達が死傷する中生き抜いたのだ。
だが彼には休む暇は与えられなかった。
彼の目前には今回の戦いでも無傷か、軽傷の隊員を集めた二百名が整列している。
国防警備隊の百済市での死傷者は四百名に及ぶ。
柳基宗大尉は用意した木箱の上に乗って語り始める。
「諸君、昨日の戦いは御苦労だった。
すぐにでも諸君に休暇を与えたいところだが、本国も海の化け物相手に攻撃を受けてひどいことになっている。
幸いにも撃退には成功したが、残党がまだ残っている。
負傷者は第二連隊で預かり治療に当たるが、諸君には本国での掃討作戦に参加してもらう。」
すぐにでも諸君に休暇を与えたいところだが、本国も海の化け物相手に攻撃を受けてひどいことになっている。
幸いにも撃退には成功したが、残党がまだ残っている。
負傷者は第二連隊で預かり治療に当たるが、諸君には本国での掃討作戦に参加してもらう。」
隊員達の士気は低い。
この百済の市民でもある彼等は、転移当時、日本に旅行や仕事で訪れて巻き込まれた者達が主流だ。
高麗本国を故郷に持つ者は皆無に近い。
本国の三島はもうほとんど敵の姿が無いらしいが、周辺の小島にはまだ敵が陣取っているらしい。
日本が撤収を決定した以上、国民を鎮撫する為に彼等の力がまだ必要なのだ。
この百済の市民でもある彼等は、転移当時、日本に旅行や仕事で訪れて巻き込まれた者達が主流だ。
高麗本国を故郷に持つ者は皆無に近い。
本国の三島はもうほとんど敵の姿が無いらしいが、周辺の小島にはまだ敵が陣取っているらしい。
日本が撤収を決定した以上、国民を鎮撫する為に彼等の力がまだ必要なのだ。
補給中の李舜臣級駆逐艦『大祚栄』に柳基宗大尉は先発隊と乗り込み先行する。
主力は客船をチャーターしてから出港となる。
彼等の戦いはまだ終わらなかった。
主力は客船をチャーターしてから出港となる。
彼等の戦いはまだ終わらなかった。
巨済島
巨済島の鎮圧を終えた日本からの派遣部隊は撤収の準備を整えていた。
輸送艦『くにさき』に特別警備隊の水陸両用車や哨戒ヘリの収用が始まっている。
中川海将補も荒廃した巨済市を眺めながら、些か中途半端差を感じていた。
日本から見れば市街や市民がどうなろうと、玉浦造船所とそこの技術者達さえ無事なら任務は成功なのだ。
だが特別警備隊隊長の長沼一佐が上機嫌な様子に首を傾げる。
輸送艦『くにさき』に特別警備隊の水陸両用車や哨戒ヘリの収用が始まっている。
中川海将補も荒廃した巨済市を眺めながら、些か中途半端差を感じていた。
日本から見れば市街や市民がどうなろうと、玉浦造船所とそこの技術者達さえ無事なら任務は成功なのだ。
だが特別警備隊隊長の長沼一佐が上機嫌な様子に首を傾げる。
「帰国したら今回の作戦の実績を評価されて、三菱重工が開発したまま凍結していた試作水陸両用車を一両だけですが配備してもらえることになりました。
もう冷飯食らいなどとは呼ばせませんよ。」
もう冷飯食らいなどとは呼ばせませんよ。」
三菱試作水陸両用車は、尖閣諸島有事等の離島奪還や対ゲリラ戦や市街戦を考慮して開発されたものだ。
現行のAAV7の3倍以上の高速航行が可能である。
米国は新型の水陸両用車を開発し配備寸前まで行ったが、余りに高額で計画は破棄されていた。
AAV7は試作1号車の開発から50年以上経過し、さすがに古臭さが目立っていた。
歩くより遅い水上速度と防弾性能の不足が現場から不満をもたらしていた。
米海兵隊は1300両のAAV7を運用していたが、実際の運用では「水陸両用車」としては使わず、もっぱら市街戦での輸送車やバリケードとして使用された。
それだけに三菱との共同開発を期待していた矢先での転移である。
水陸両用団の創設と同様、水陸両用車の開発も凍結され、試作車両は保管処置とされた。
しかし、特別警備隊は相手が銃火器こそ使用しなかったが、水陸両用車の実用性を実戦で証明したのだ。
水陸両用団創設や水陸両用車の開発計画が再び議論されるのは間違いなかった。
いや、長沼を始めとする自衛官や官僚、財界が議論を煽るのだ。
すでに国会議員の北村代議士からも接触を受けており、意気揚々となるのも当然だった。
現行のAAV7の3倍以上の高速航行が可能である。
米国は新型の水陸両用車を開発し配備寸前まで行ったが、余りに高額で計画は破棄されていた。
AAV7は試作1号車の開発から50年以上経過し、さすがに古臭さが目立っていた。
歩くより遅い水上速度と防弾性能の不足が現場から不満をもたらしていた。
米海兵隊は1300両のAAV7を運用していたが、実際の運用では「水陸両用車」としては使わず、もっぱら市街戦での輸送車やバリケードとして使用された。
それだけに三菱との共同開発を期待していた矢先での転移である。
水陸両用団の創設と同様、水陸両用車の開発も凍結され、試作車両は保管処置とされた。
しかし、特別警備隊は相手が銃火器こそ使用しなかったが、水陸両用車の実用性を実戦で証明したのだ。
水陸両用団創設や水陸両用車の開発計画が再び議論されるのは間違いなかった。
いや、長沼を始めとする自衛官や官僚、財界が議論を煽るのだ。
すでに国会議員の北村代議士からも接触を受けており、意気揚々となるのも当然だった。
「まあ、程々にな。」
中川海将補はどうせ自分が現役の間には関わることはないだろうと醒めている。
浮かれている長沼一佐を放置して、国防警備隊第一連隊隊長伊太鉉大佐が訪問に来たと伝えられてその場を後にした。
浮かれている長沼一佐を放置して、国防警備隊第一連隊隊長伊太鉉大佐が訪問に来たと伝えられてその場を後にした。
伊太鉉大佐は首都である巨済島防衛の責任者である。
当然、今回の事件による損害の責任を問われる立場であり、気分は憂鬱だった。
さりとて任務を放棄するわけにもいかず、残党の掃討や民間人の救助を指揮していた。
当然、今回の事件による損害の責任を問われる立場であり、気分は憂鬱だった。
さりとて任務を放棄するわけにもいかず、残党の掃討や民間人の救助を指揮していた。
「日本にはもう少し御協力頂きたかったのですが、百済の連中が貴国を怒らせたようですな。
まったくあいつらは何もわかっていない。」
まったくあいつらは何もわかっていない。」
挨拶に訪れた輸送艦『くにさき』で、中川海将補に愚痴をぶちまけている。
聞かされている中川海将補は早く帰って欲しい気分になっていた。
「現在、こちらから逃亡したイカ人は約6千程度。
第6飛行隊のF-2が空中から追跡しています。
さすがにあれだけの数が泳いでいると空中からでも確認出来るようですな。
ですが燃料の問題からいつまでも追跡を続けることは出来ません。
まもなく、水産庁の漁業調査船『開洋丸』が引き継ぎます。」
「水産庁ですか?」
「海自では魚介類の追跡は本業では無いので、あまり向いてないのですよ。
舞鶴から出港した護衛艦や巡視船の護衛のもと、追跡を続けます。
あなた方も知りたいでしょう?
連中の本拠地。
亀の方は北サハリンに出し抜かれましたが、イカの方は逃がしませんよ。」
聞かされている中川海将補は早く帰って欲しい気分になっていた。
「現在、こちらから逃亡したイカ人は約6千程度。
第6飛行隊のF-2が空中から追跡しています。
さすがにあれだけの数が泳いでいると空中からでも確認出来るようですな。
ですが燃料の問題からいつまでも追跡を続けることは出来ません。
まもなく、水産庁の漁業調査船『開洋丸』が引き継ぎます。」
「水産庁ですか?」
「海自では魚介類の追跡は本業では無いので、あまり向いてないのですよ。
舞鶴から出港した護衛艦や巡視船の護衛のもと、追跡を続けます。
あなた方も知りたいでしょう?
連中の本拠地。
亀の方は北サハリンに出し抜かれましたが、イカの方は逃がしませんよ。」
水産庁の漁業調査船『開洋丸』は、あらゆる海域での活動を前提とした大型漁業調査船である。
各調査機器と大型表中層トロール網により、水産生物や有用生物の発掘及び資源調査と、その動向に影響を与える海洋環境調査等の基礎的研究を行う事が可能である。
海棲亜人の群れの追跡にこれほど適した船は無い。
『開洋丸』には武装した漁業監督官が六名乗り込んでいる。
転移前には禁止されていた拳銃と小銃を装備することを許可されている。
本来は東京港を母港としている船だが、一連の襲撃に合わせて調査の為に高麗に向かわせていたのが幸いした。
現在は対馬の基地で燃料や食料を補給しているところだ。
舞鶴の部隊と合流するまでは、高麗にいる護衛艦『しまかぜ』や『あまぎり』に護衛をさせる。
各調査機器と大型表中層トロール網により、水産生物や有用生物の発掘及び資源調査と、その動向に影響を与える海洋環境調査等の基礎的研究を行う事が可能である。
海棲亜人の群れの追跡にこれほど適した船は無い。
『開洋丸』には武装した漁業監督官が六名乗り込んでいる。
転移前には禁止されていた拳銃と小銃を装備することを許可されている。
本来は東京港を母港としている船だが、一連の襲撃に合わせて調査の為に高麗に向かわせていたのが幸いした。
現在は対馬の基地で燃料や食料を補給しているところだ。
舞鶴の部隊と合流するまでは、高麗にいる護衛艦『しまかぜ』や『あまぎり』に護衛をさせる。
「さて、我々はそろそろお暇させて頂きます。
後は『シャイロー』がいれば大丈夫でしょう。」
後は『シャイロー』がいれば大丈夫でしょう。」
タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦『シャイロー』は現在も南海島を中心に、掃討作戦の支援を続けている。
自衛隊が軍事的には出来る支援はここまでだった。
あとは政治的決着だろうが、中川海将補には預かり知らぬことだった。
今回の事件は地球系国家・都市間に対立の種を蒔かれてしまった。
せいぜい拗れないよう政治家や官僚達の奮闘を期待するのみだった。
自衛隊が軍事的には出来る支援はここまでだった。
あとは政治的決着だろうが、中川海将補には預かり知らぬことだった。
今回の事件は地球系国家・都市間に対立の種を蒔かれてしまった。
せいぜい拗れないよう政治家や官僚達の奮闘を期待するのみだった。