自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

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西暦2019年。
その年の北朝鮮は、国家成立以来初めてといってよいほどの豊作だった。
闇市には商品が所狭しと並べられた。
国民たちへは、国家から事前の計画の“半分に近い量”という空前の量が配給された。
そして軍隊へは、定数に限りなく近い量が配給され、おまけに酒や煙草といった嗜好品までもが数多く支給された。
西暦2019年12月8日現在、近隣諸国を含めてその事を喜んでいる者は皆無だった。

事の発端は実に下らない事だった。
支給された酒で酔ったある兵士が、実弾を装填し、安全装置を掛けていない状態で韓国兵に向けて引き金を引いてしまったのだ。
恐るべき陰謀もこれといった目的もなしに偶発的に始まった戦闘は、加速度的に停戦ライン全域に広がった。
遂に審判のときが来たと覚悟した北朝鮮軍は、どうせ殺されるならばせめて一太刀でもと、一斉に韓国軍に向けてありとあらゆる物を投げつけたのである。
『共に手を携えて日本を叩こう』という政府の国内向けリップサービスで骨抜きにされていた韓国軍に、これを抑える力はなかった。
そして本来ならば全てを管制するべき在韓米軍は、なんの下準備もなしに始まった大攻勢に対応し切れていなかった。
当たり前である、何処の世界に酔っ払いの誤射で戦争が始まる危険性を事前に察知できる人間がいるというのか。
とにかく、そんなこんなで米韓連合軍は初戦を敗退した。

ありとあらゆる国際法を無視して突き進む北朝鮮軍。
彼らは奪い、犯し、殺しながら韓国の主要都市を突き進んだ。
食料状態が昔に比べて改善されたとはいえ、それでも彼らにとって韓国は宝の山である。
止めようにも、むしろ指揮官や憲兵が眼の色を変えて商店や銀行に押し入っている状態で、下士官兵たちがそれを我慢できるわけがない。
それに対して律儀にも避難民の保護を最優先に行動した韓国軍は、虎の子戦車部隊もご自慢の空軍も活躍させられぬまま、惨めに敗退した。
米軍からの警報も、前線部隊の遅滞作戦もなく、とどめに政府首脳がサミットのために外国にいるという致命的な状態で、彼らの初動は遅れに遅れた。
意味のない反米活動で、在韓米軍は有事に備えた司令部とその護衛を残して撤退していた。
敵の侵攻が早すぎ、おまけに大量の難民が発生して国中が混乱していたために予備役の招集はまだ始まっていなかった。
中国は彼らを助けに来るはずがなく、お隣日本は彼らの不断の努力により、早々と『専守防衛』を宣言して戦争への加入を拒否していた。
もちろん頼みの綱の米軍主力は遥か太平洋の彼方である。

とまあ、これが第二次朝鮮戦争の『火の七日間』と呼ばれた初戦である。
もちろん貧乏で知られる北朝鮮軍が、事前の準備もなしに戦い続けられるわけがない。
むしろ、一週間も暴れられたのが奇跡である。
その後沖縄から出撃した合衆国海兵隊(彼らは未だに沖縄に根拠地を置いていた)は、在日米軍の総力を結集して上陸作戦を展開。
一ヵ月後に到着する本国からの増援のため、安全な橋頭堡を確保し続けた。
でまあ、その後は米軍によるコロネット作戦、別名、在庫一層セールと呼ばれる、鉄の暴風in朝鮮になるわけだ。

しかし戦争は金がかかるのと自国民の血が流れる事が問題である。
選挙が気になるミスタープレジデントは、極東アジア最大の友好国に最大限の平和維持貢献を求めてくる。
『常任理事国になりたくないかい?』『もっと世界での発言力が欲しいだろ?』『とうとう完成しちゃったあの油田、なんとかしたいよね?』
餌に大喜びで飛びついた国民の代表たる国会議員たちは、いつものようにあれやこれやと世界を呆れさせる激論を展開した。
本当にその餌を食べられるかどうかを気にする者はいなかったらしい。
そして決定されたのが、現地に駐屯地や空軍基地までを建設する『PKO活動』の承認である。
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