自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

短編『射撃演習場』

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  『射撃演習場』

    射撃演習場に、乾いた破裂音がこだまする。
    「……命中! ……命中! ……命中! ……命中! ……命中!」

    合計5回、それで破裂音は止んだ。
    臨席しているイルフェス王国の将校は皆一様に真っ青である。

    それはそうだろう。
    200m(1シウス)先の直径30cm(1/4ロシル)の円形の的に、小銃弾が全部命中したのだから。

    イルフェス王国軍の制式銃では、どんなに優秀な狙撃手でも、200mでは2、3発の命中がいいところだろう。
    ライフルではないから弾丸の行き先は神のみぞ知るようなもので、1発も命中しない可能性もある。

    しかも、イルフェス軍の小銃は前装単発式。
    射撃速度は1分間に2発が標準で、どんなに頑張っても1分間に4発が精々だ。

    一度の装填で5発を連続発射できる皇国軍の小銃とは発射速度に雲泥の差がある。
    事実、皇国軍の小銃5発全部撃ち終わるのに20秒とかかっていない。

    今回、この演習に借り出されたのは皇国軍の上等兵であったが、
    特に優秀な狙撃手というわけではない。中の上といった程度の技量だ。

    「いかがですか、我が軍の銃の性能は」
    「全くもってお見事です。このような銃があるとは……」
    「本国では10万丁の小銃を用意しています」
    「10万丁……ですと?」
    「はい」
    「それは凄い」
    イルフェス軍将校が納得したところで、皇国軍将校が話の核心を切り出す。
    「規律があり訓練の行き届いたイルフェス王国の兵士であれば、我が軍の小銃を扱う事も容易いでしょう」
    「……つまり、売却していただけるので?」
    「銃と弾薬100発分、訓練費用等含めて1丁あたり50リルス程度であれば……」
    「50リルス!? それは幾らなんでも……」
    ふっかけすぎでしょう?
    「あなた方のマスケットの本体価格が2.8リルス。弾薬は別です。
     我が軍の小銃と弾薬、それに訓練等のユーザーサポート込みで50リルスなら、適正価格だと思いますが?」
    「うむ……」
    「我が軍の小銃であれば、親衛隊のジリール銃と比べても戦力的に10倍以上の能力を歩兵に与える事が出来ます」
    「そうですな……」
    「同盟国であるからこそ、この価格で提供可能なのですよ。是非、ご検討下さい」
    「わかりました……検討致しましょう」

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