日本の自衛隊がどうして他国、それも聞いたことも見たこともない
国へ派遣されることになったのか。
事の発端は2週間前に遡る。
国へ派遣されることになったのか。
事の発端は2週間前に遡る。
西暦20XX年7月某日、首相官邸。
「首相!起きてください!首相!」
「首相!起きてください!首相!」
深夜3時、武原首相は秘書の原に叩き起こされていた。
「な、何が起こったんだね?そんなにあわてて」
「北からミサイルでも飛んできたのかね?それともまた中国の領海侵犯かね?」
「何がって知らないんですか!?」
「な、何が起こったんだね?そんなにあわてて」
「北からミサイルでも飛んできたのかね?それともまた中国の領海侵犯かね?」
「何がって知らないんですか!?」
錯乱した原が武原の肩を強引に揺する。
余りにも勢いよく声を張り上げるので唾が頬に掛かる。
駄目だこいつ何とかしないと。
私は原を落ち着かせることが第一だと考えました。
余りにも勢いよく声を張り上げるので唾が頬に掛かる。
駄目だこいつ何とかしないと。
私は原を落ち着かせることが第一だと考えました。
「まず大きく深呼吸して。次に実際にあったことを時系列順に話したまえ」
原は大きく息を吸い、盛大にむせると話し始めた。
原は大きく息を吸い、盛大にむせると話し始めた。
「深夜12時を境に日本以外の外国と全ての通信が途絶えました」
日本以外と外国の意味が重複している。相当に混乱しているようだ。
彼が酷く錯乱しているせいでかえって武原は冷静になれた。
日本以外と外国の意味が重複している。相当に混乱しているようだ。
彼が酷く錯乱しているせいでかえって武原は冷静になれた。
「被害の程度は?機器の故障や、サイバーテロの可能性は考えられんのかね?」
原は手元の走り書きしたメモを読む。
「物理配線無線共に海外からの全ての通信が途絶、送信は出来ますが受信は出来ません」
「テロにしては規模が大き過ぎます。民間の通信だけでなく独立した通信のある軍のネットワークや
気象庁の衛星、日経の株価表示すら12時を境に沈黙しています」
「物理配線無線共に海外からの全ての通信が途絶、送信は出来ますが受信は出来ません」
「テロにしては規模が大き過ぎます。民間の通信だけでなく独立した通信のある軍のネットワークや
気象庁の衛星、日経の株価表示すら12時を境に沈黙しています」
「ぬう」
武原が呻いた。
「どうしました?」
「数年前、アメリカかロシアだったかが日本のサイバーテロの脆弱性を指摘していただろう?」
「サイバー攻撃で北海道が停電の可能性があるといった専門家ですね」
「真面目に予算を割いた方が良かったかもしれんと思ってな」
武原が呻いた。
「どうしました?」
「数年前、アメリカかロシアだったかが日本のサイバーテロの脆弱性を指摘していただろう?」
「サイバー攻撃で北海道が停電の可能性があるといった専門家ですね」
「真面目に予算を割いた方が良かったかもしれんと思ってな」
「各省庁の対応は?」
原は質問を予想していたのだろう。立て板に水のごとくすらすら答えた。
「法務省、総務省、外務省などはまだ数は少ないですが、クレームの対応に追われています。
明日の昼には民間からの電話対応に忙殺されるでしょう」
「防衛庁は指示せずとも米軍の応援名目で哨戒機を盛んに飛ばして戦闘待機を取っています。
陸自も上へ下への大騒ぎです。出動要請の準備を始めています。
海自はパトロール範囲を縮小し日本海を中心に配置についています」
原は質問を予想していたのだろう。立て板に水のごとくすらすら答えた。
「法務省、総務省、外務省などはまだ数は少ないですが、クレームの対応に追われています。
明日の昼には民間からの電話対応に忙殺されるでしょう」
「防衛庁は指示せずとも米軍の応援名目で哨戒機を盛んに飛ばして戦闘待機を取っています。
陸自も上へ下への大騒ぎです。出動要請の準備を始めています。
海自はパトロール範囲を縮小し日本海を中心に配置についています」
「復旧の見込みはあるかね」
武原は半ば答えを予想しつつも、あえて聞いた。
「既にやっている、だそうです。見込みは何時になるか判りません」
武原は半ば答えを予想しつつも、あえて聞いた。
「既にやっている、だそうです。見込みは何時になるか判りません」
クローゼットから外行きの服を取り出し赤いネクタイを締める。
「…そうか」
「アメリカへホットラインを繋ぐ。韓国のも回線があったはずだ」
髪を整え襟を但して机に座る。
「…そうか」
「アメリカへホットラインを繋ぐ。韓国のも回線があったはずだ」
髪を整え襟を但して机に座る。
…1分…2分…3分
「クソッ!ダイヤル音だけで呼び出し音すらないじゃないか!」
武原は電話を叩き付けた。
「まさかな」
「韓国も同じか」
これは一体誰の攻撃だ。目的は?どんな利点が?
計算が頭の中でぐるぐる巡る。
「少しでも情報が欲しい!一体何が起こっているんだ!」
「クソッ!ダイヤル音だけで呼び出し音すらないじゃないか!」
武原は電話を叩き付けた。
「まさかな」
「韓国も同じか」
これは一体誰の攻撃だ。目的は?どんな利点が?
計算が頭の中でぐるぐる巡る。
「少しでも情報が欲しい!一体何が起こっているんだ!」
プルルルッ、カチャッ
先ほどから点滅しっぱなしの電話の切り替えボタンを押した。
「そちらの件については現在調査中です。状況確認が出来次第連絡いたします」
プルルルッ、カチャッ
「そちらの件については現在調査中です。状況確認が出来次第連絡いたします」
プルルルッ、カチャッ
「そちらの件については現在調査中です。状況確認が出来次第連絡いたします」
鈴木は同じ言葉を繰り返す。壊れたレコードのごとく。
先ほどから点滅しっぱなしの電話の切り替えボタンを押した。
「そちらの件については現在調査中です。状況確認が出来次第連絡いたします」
プルルルッ、カチャッ
「そちらの件については現在調査中です。状況確認が出来次第連絡いたします」
プルルルッ、カチャッ
「そちらの件については現在調査中です。状況確認が出来次第連絡いたします」
鈴木は同じ言葉を繰り返す。壊れたレコードのごとく。
帳簿付けもひと段落終わり、一息つこうかと思っていたら一斉に電話が鳴り出した。
夜遅くに商品確認の電話や、機械が壊れた交換部品をなんとかしろと電話が鳴りっぱなし。
面倒になって他の課からたらい回しにされたのだろう
保険の電話や事故の連絡まで廻って来る始末。
夜遅くに商品確認の電話や、機械が壊れた交換部品をなんとかしろと電話が鳴りっぱなし。
面倒になって他の課からたらい回しにされたのだろう
保険の電話や事故の連絡まで廻って来る始末。
電話の対応に追われていると、何と基地指令本部から
通信途絶についての案件は現在調査中だから状況確認ができるまで
下手な事は言わないように、それとマスコミには気をつけろと直接連絡が来た。
以来、「そちらの件については現在調査中です。状況確認が出来次第連絡いたします」
の言葉を電話で繰り返している。
通信途絶についての案件は現在調査中だから状況確認ができるまで
下手な事は言わないように、それとマスコミには気をつけろと直接連絡が来た。
以来、「そちらの件については現在調査中です。状況確認が出来次第連絡いたします」
の言葉を電話で繰り返している。
どうやら原因は急に海外との通信が途絶したものによるらしい。
12時などという中途半端な時間に事件が起こったせいで
夜勤のシフトから朝のシフトに変われず鈴木はそのまま仕事を続けさせられていた。
12時などという中途半端な時間に事件が起こったせいで
夜勤のシフトから朝のシフトに変われず鈴木はそのまま仕事を続けさせられていた。
連隊本部では深夜に対策会議が開かれピリピリした雰囲気が漂い
陸自では急な待機命令が出ている。
空自の虎の子である早期警戒機のE2Cにスクランブルが掛かり空を飛び立ち
窓の外では寮の電気が一斉に付き外が騒がしくなっていた。
薄明かりの街灯の下、分隊単位で集合した隊員が列を組んで倉庫や格納庫に走る。
陸自が広場に集合して隊列を組み点呼を始め、82式指揮通信車が動く。
何台もの台車やカートが荷物を運び出し、トラックが行き交い始める。
陸自では急な待機命令が出ている。
空自の虎の子である早期警戒機のE2Cにスクランブルが掛かり空を飛び立ち
窓の外では寮の電気が一斉に付き外が騒がしくなっていた。
薄明かりの街灯の下、分隊単位で集合した隊員が列を組んで倉庫や格納庫に走る。
陸自が広場に集合して隊列を組み点呼を始め、82式指揮通信車が動く。
何台もの台車やカートが荷物を運び出し、トラックが行き交い始める。
トントン
肩を叩かれた。次のシフトの大西さんだった。
「次の仕事だ。機材と机を入れる。お互い大変だな」
「次の仕事だ。機材と机を入れる。お互い大変だな」
眠気覚ましの玄米茶を片手に後ろを指差すと他の隊員達が椅子や電話を搬入していた。
「ああ、まったくだ」
鈴木は段ボールを開封しながら今夜は長くなりそうだなと思った。
「ああ、まったくだ」
鈴木は段ボールを開封しながら今夜は長くなりそうだなと思った。
総理官邸の大会議室。
部屋にはヘッドフォンとハンディフォンを持ち手元のモニターを睨む各界の長官や委員長、
大臣がずらりと並び緊張した面持ちで武原総理を見つめている。
会議室には交通の混乱などで出席できない者を除きほぼ全ての名立たる官僚が揃っている。
一部の官僚は専用回線を用いたモニターを通した出席となっている。
部屋にはヘッドフォンとハンディフォンを持ち手元のモニターを睨む各界の長官や委員長、
大臣がずらりと並び緊張した面持ちで武原総理を見つめている。
会議室には交通の混乱などで出席できない者を除きほぼ全ての名立たる官僚が揃っている。
一部の官僚は専用回線を用いたモニターを通した出席となっている。
「今日集まってもらったのは他でもない。通信途絶の件についてだ」
「責任は誰が取るん「黙れ。事態を更に混乱させるか」」
「責任は誰が取るん「黙れ。事態を更に混乱させるか」」
エネルギー庁長官が一喝される。彼は民心党の議員だった。
「中谷君を外で待機しているマスコミの前へ引き摺り出してもいいのだが」
「・・・・・」
中谷は押し黙った。
「中谷君を外で待機しているマスコミの前へ引き摺り出してもいいのだが」
「・・・・・」
中谷は押し黙った。
机には各省庁の代表と武原のシンパを中心とした議員が集まっている。
ちなみに野党議員は省庁代表以外呼ばれていない。
彼らが居ると決まるものも決まらない。
ちなみに野党議員は省庁代表以外呼ばれていない。
彼らが居ると決まるものも決まらない。
「全国規模で発生している海外への通信途絶について情報を交換する場を設けた」
「各自把握していることを出して欲しい」
各省庁の手元には悪い報告しかない。
誰が第一報をするか、議場を沈黙が支配する。
「各自把握していることを出して欲しい」
各省庁の手元には悪い報告しかない。
誰が第一報をするか、議場を沈黙が支配する。
「報告はないのかね。では防衛大臣から頼む」
「12時からの海外からの全般的な通信途絶を受けて自衛隊は行動を開始しました。
駐留米軍からの要請を受け空自は警戒行動を開始。索敵機の他、4機の早期警戒機が出撃。
海自と連携して日本海を中心に展開。その際GPSが一部不調。現在韓中露の領空侵犯はありません。
陸自は戦闘待機、いつでも災害出動できます。出撃後、海空自によると」
「12時からの海外からの全般的な通信途絶を受けて自衛隊は行動を開始しました。
駐留米軍からの要請を受け空自は警戒行動を開始。索敵機の他、4機の早期警戒機が出撃。
海自と連携して日本海を中心に展開。その際GPSが一部不調。現在韓中露の領空侵犯はありません。
陸自は戦闘待機、いつでも災害出動できます。出撃後、海空自によると」
「連絡なしの展開は中露を必要以上に刺激してしまうのではないかね?」
発言したのは文部科学省の大臣だ。彼は広大党の議員で与党である自心党と連立関係にある。
自己では満足に政権を取れない割りに不思議と態度が大きい。
防衛長官は溜息を一つ吐き言葉を続ける。
自己では満足に政権を取れない割りに不思議と態度が大きい。
防衛長官は溜息を一つ吐き言葉を続ける。
「出撃後、海空自によると」
彼は一旦言葉を区切る。
彼は一旦言葉を区切る。
「海の向こうには見たこともない大陸が広がっているとの報告が入っています」
「邪神でも見て狂ったのかね?」
文部大臣が嘲笑した。
「邪神でも見て狂ったのかね?」
文部大臣が嘲笑した。
「つまり中露韓は消滅したのでお伺いを立てる必要はないということです」
「それについては私から報告しましょう」
間髪入れず気象庁長官が立ち上がった。
間髪入れず気象庁長官が立ち上がった。
「通信障害により日本上空以外にあった衛星は消滅しました。
現在稼動しているのは日本領海内に飛んでいた
日本国籍の観測衛星、高町、昴、疾風、月村、中島、桃子、士郎と中国国籍の楼蘭、
アメリカ国籍のヴィヴィオ、ノエル、ウーノです。
実質的に観測衛星として使えるのは日本製の7機だけで、あとの4機は通信中継ぐらいにしか使えません」
現在稼動しているのは日本領海内に飛んでいた
日本国籍の観測衛星、高町、昴、疾風、月村、中島、桃子、士郎と中国国籍の楼蘭、
アメリカ国籍のヴィヴィオ、ノエル、ウーノです。
実質的に観測衛星として使えるのは日本製の7機だけで、あとの4機は通信中継ぐらいにしか使えません」
「日本上空が衛星密集地域で幸いでした。使える衛星はまだ多く残っています」
「これが日本上空の衛星写真です」
「これが日本上空の衛星写真です」
出された画像に議場がざわめく。
「大陸の海岸線がおかしい」
「朝鮮半島がないぞ」
「朝鮮半島がないぞ」
議員や官僚達は食い入るようにモニターを見つめた。
「これが衛星に捉えられた不自然な物の写真です」
「これはガレー船か?映画で見たぞ」
「馬鹿な!蜥蜴がこんな小さな翼で空を飛べるはずが無い」
「甲冑を着た兵士?」
「これはガレー船か?映画で見たぞ」
「馬鹿な!蜥蜴がこんな小さな翼で空を飛べるはずが無い」
「甲冑を着た兵士?」
議場のざわめきは大きくなる。
カッ!カッ!
総理が叩いたハンマーの音が鳴り響く。
カッ!カッ!
総理が叩いたハンマーの音が鳴り響く。
「続けたまえ」
「そしてこれが世界の衛星写真です」
「そしてこれが世界の衛星写真です」
「日本の衛星は静止衛星じゃないのかね?これはスパイ行為になるぞ!」
文部大臣が噛み付く。
見当外れの質問に気象長官は苦笑い。
「赤道以外の衛星はみんなそうですよ。静止軌道にある衛星は日本の真上にはありません」
文部大臣が噛み付く。
見当外れの質問に気象長官は苦笑い。
「赤道以外の衛星はみんなそうですよ。静止軌道にある衛星は日本の真上にはありません」
衛星写真にはおよそ人類史上誰も見たこともないような島や大陸が映っていた。
「信じたくありませんが、どうやら我々は違う世界へと来てしまったようです」
誰かが呟いた。
「信じたくありませんが、どうやら我々は違う世界へと来てしまったようです」
誰かが呟いた。
「大変だ!この事態を国民に知らせないと!」
大声で叫んだ外務大臣が出口へと歩き出した。
外務省である彼には海外からの通信がことに対する不満の矛先が特に集中し
対応に追われノイローゼ気味だった。
彼には電話の向こうの相手を説得する言葉が必要だったのである。
たとえそれが現実離れしていても。
大声で叫んだ外務大臣が出口へと歩き出した。
外務省である彼には海外からの通信がことに対する不満の矛先が特に集中し
対応に追われノイローゼ気味だった。
彼には電話の向こうの相手を説得する言葉が必要だったのである。
たとえそれが現実離れしていても。
「待ちたまえ!国木田外務大臣!」
武原総理はマイクのボリュームを上げた。
黒板を引っかいたようなノイズ。
武原総理はマイクのボリュームを上げた。
黒板を引っかいたようなノイズ。
「教えてどうなるのかね?国民はかえって混乱するだけだ」
「だが、しかし!」
「だが、しかし!」
「しかしも案山子もない。議場の混乱振りを見たまえ、客観的事実を示された我々さえこうなのだ」
渋々国木田は席へと戻る。
渋々国木田は席へと戻る。
「君も外務省なら理解できるだろう?領土や在日外国人、保障問題、中にも外にも敵は居る」
「では、どうすれば、いいんだ」
国木田は声を絞り出した。
国木田は声を絞り出した。
「これから予想される問題は多い。食料、エネルギー、防衛、内政、外交。
我々は全ての障害に対し立ち向かっていかねばならん。
国民に事態を認識させるのは、せめて諸問題が解決してからでも遅くはなかろう」
「今後しばらく日本に冬の時代が来る。我々は耐えなくてはならんのだ。
その為に私に力を貸して欲しい」
我々は全ての障害に対し立ち向かっていかねばならん。
国民に事態を認識させるのは、せめて諸問題が解決してからでも遅くはなかろう」
「今後しばらく日本に冬の時代が来る。我々は耐えなくてはならんのだ。
その為に私に力を貸して欲しい」
誰かが手を叩いた。
拍手はさざなみのように広がり議場は拍手に包まれた。
万雷の拍手の中でエネルギー庁長官と文部大臣は呆然とその様を見ていた。
拍手はさざなみのように広がり議場は拍手に包まれた。
万雷の拍手の中でエネルギー庁長官と文部大臣は呆然とその様を見ていた。
会議後、産業大臣と防衛大臣は呼び出されていた。
「さて、国民に伝えることだが、海外に行かせない事と消費を抑えさせる事を考えなければいけない」
防衛大臣は頷く。
「さて、国民に伝えることだが、海外に行かせない事と消費を抑えさせる事を考えなければいけない」
防衛大臣は頷く。
「突然だが、君は日本以外全部沈没という映画を見たことがあるかね?」
「小松左京ですね」
「ある日、日本を無視してハルマゲドンが起こり日本以外が核攻撃や細菌兵器で滅んだ、と言うのにしようと思う」
武原は宇宙人が攻めてきたとどちらにしようか迷ったのだがねと付け加えた。
「小松左京ですね」
「ある日、日本を無視してハルマゲドンが起こり日本以外が核攻撃や細菌兵器で滅んだ、と言うのにしようと思う」
武原は宇宙人が攻めてきたとどちらにしようか迷ったのだがねと付け加えた。
「ちょうどこの世界には竜なんてファンタジックな生き物も居るし、他の怪物も居るだろう。
怪物は突然変異のミュータントではどうだろうか。文明崩壊によって周辺国は中世レベルにまで退化したとする」
「突飛な話だ。どうやってリアリティを出せばいい」
それはギャグですかと言葉を堪えつつ経済産業大臣は情けない声を上げた。
怪物は突然変異のミュータントではどうだろうか。文明崩壊によって周辺国は中世レベルにまで退化したとする」
「突飛な話だ。どうやってリアリティを出せばいい」
それはギャグですかと言葉を堪えつつ経済産業大臣は情けない声を上げた。
「それは君らが考えることだ。他庁への情報封鎖の呼びかけも頼むよ」
経済産業大臣と防衛大臣は同時に頭を抱えた。
経済産業大臣と防衛大臣は同時に頭を抱えた。
「アンノウンが竹島の韓国上陸部隊と交戦を開始しました!送れ」
基地は緊迫された空気に包まれていた。
基地は緊迫された空気に包まれていた。
数時間前に現れた90匹のアンノウン、
名称「リュウキシ」と竹島の約300人からなる韓国駐留部隊とが交戦を開始。
その後古代のガレー船型の木製船から現れた上陸部隊と韓国軍は戦闘を開始した。
名称「リュウキシ」と竹島の約300人からなる韓国駐留部隊とが交戦を開始。
その後古代のガレー船型の木製船から現れた上陸部隊と韓国軍は戦闘を開始した。
「交戦許可は下りているか?送れ」
「交戦許可は出ていない。予定通り観測を続けろ。終わり」
「交戦許可は出ていない。予定通り観測を続けろ。終わり」
韓国軍からの日韓同盟に基づいた増援要請に対し、
日本は竹島について国際情勢が微妙だとして回答。増援を断る。
それから12時間、自衛隊は周辺海域に早期警戒機やイージス艦などを派遣し、
異常と思える緻密さと執念深さで一挙手一投足を見逃すまいと監視活動を続けている。
日本は竹島について国際情勢が微妙だとして回答。増援を断る。
それから12時間、自衛隊は周辺海域に早期警戒機やイージス艦などを派遣し、
異常と思える緻密さと執念深さで一挙手一投足を見逃すまいと監視活動を続けている。
「それにしても彼らは図々しいですね。人の土地占拠しておいて増援をくれとは」
空自の山下は同僚の川田に話しかけた。
空自の山下は同僚の川田に話しかけた。
「彼らも国のために戦っているんだろうよ」
「いえ、韓国は既にありませんし」
「おいおい、機密だ。話すなよ。そんなことより見てみろ!また花火があがったぞ!」
「いえ、韓国は既にありませんし」
「おいおい、機密だ。話すなよ。そんなことより見てみろ!また花火があがったぞ!」
彼らが花火と呼んでいるのは「リュウキシ」から時折放たれる炎の矢。
リュウキシは全長5m程の竜のような生き物の背に乗った騎士らしきものの名称である。
騎士が上空から手を突き出すと魔法陣らしき物と共に炎の矢と氷のつららが飛び出る、それが花火だ。
どうやら炎の矢は20~30m程の射程で機銃の代わり、氷のつららは上空から落として爆撃するために
あるらしく、時折思い出したように空から降りてきて炎と氷を降らせている。
リュウキシは全長5m程の竜のような生き物の背に乗った騎士らしきものの名称である。
騎士が上空から手を突き出すと魔法陣らしき物と共に炎の矢と氷のつららが飛び出る、それが花火だ。
どうやら炎の矢は20~30m程の射程で機銃の代わり、氷のつららは上空から落として爆撃するために
あるらしく、時折思い出したように空から降りてきて炎と氷を降らせている。
リュウキシは小回りの利く生き物らしくなかなか小銃が命中しない、
これに対し韓国軍は6台のミニミを使い複数の火線を集中し打ち落としにかかり、2匹3匹と撃ち落している。
これに対し韓国軍は6台のミニミを使い複数の火線を集中し打ち落としにかかり、2匹3匹と撃ち落している。
問題は陸であった。
上空に複数居るリュウキシに火力を使ってしまっているせいで効果的に上陸を阻止できないのだ。
浜に何台も接岸されたガレー船からは、次々と帯刀した弓と鎧を着た兵士が降りて来て
韓国軍に船から出た先から穴開きチーズにされている。
上空に複数居るリュウキシに火力を使ってしまっているせいで効果的に上陸を阻止できないのだ。
浜に何台も接岸されたガレー船からは、次々と帯刀した弓と鎧を着た兵士が降りて来て
韓国軍に船から出た先から穴開きチーズにされている。
いくら倒し続けても肉の壁を造り、死体の山を積み上げつつじりじりと迫る兵士達。
彼らの距離が140mまで近づいたとき事態は動いた。
彼らの距離が140mまで近づいたとき事態は動いた。
隊長の掛け声と共に兵士が長弓を引くと一斉に弓を放った。
無数の風切り音の後、陣地全体に雹雨がトタン屋根を叩いたような音が響く。
大量に放たれた弓は榴弾砲と似た軌道を描き似た結果をもたらした。
塹壕の中は地獄絵図と化し、監視塔から見下ろしていた韓国兵達は蒼褪め、装甲車が死傷者を回収して回る。
無数の風切り音の後、陣地全体に雹雨がトタン屋根を叩いたような音が響く。
大量に放たれた弓は榴弾砲と似た軌道を描き似た結果をもたらした。
塹壕の中は地獄絵図と化し、監視塔から見下ろしていた韓国兵達は蒼褪め、装甲車が死傷者を回収して回る。
弓の一斉射が終わった後突撃が開始された。
戦闘集団が地雷原に突っ込み、一斉に足が吹き飛んだ。
第二陣第三陣が吹き飛ばされる。
恐慌を来たした兵士が逃げようとすると、上空から炎の矢が降ってきて兵士をローストチキンにした。
その際数人の兵を巻き込んだ。
火達磨になった兵士が前へ走り出したのをきっかけに、第四陣第伍陣が前進する。
死体の山を踏み越えて鉄条網へ辿り着いた兵は後ろから走ってきた兵に潰され足場となる。
死体を積み上げ絶叫しながら走る姿は悪鬼の群れそのものだった。
戦闘集団が地雷原に突っ込み、一斉に足が吹き飛んだ。
第二陣第三陣が吹き飛ばされる。
恐慌を来たした兵士が逃げようとすると、上空から炎の矢が降ってきて兵士をローストチキンにした。
その際数人の兵を巻き込んだ。
火達磨になった兵士が前へ走り出したのをきっかけに、第四陣第伍陣が前進する。
死体の山を踏み越えて鉄条網へ辿り着いた兵は後ろから走ってきた兵に潰され足場となる。
死体を積み上げ絶叫しながら走る姿は悪鬼の群れそのものだった。
「奴らは狂ってる。人間じゃない」
山下は怒り、双眼鏡を握り締めた。
「誰が支持してるんだ?脳筋指令め」
語尾が震える。
山下は怒り、双眼鏡を握り締めた。
「誰が支持してるんだ?脳筋指令め」
語尾が震える。
此処まで敵兵が近づき姿がはっきりしてくると
韓国兵達にも泣き出す者、吐き出す者、銃を下げる者、血煙を吸って咳き込む者が出てきた。
次第に敵兵内に身なりの良いローブを着たものが混ざり始める。
ローブを着た男女が鉄条網やバリケードに手のひらを見せると
宙に複雑な文様が浮かび上がると共に一部が発熱し障害が吹き飛んだ。
韓国兵達にも泣き出す者、吐き出す者、銃を下げる者、血煙を吸って咳き込む者が出てきた。
次第に敵兵内に身なりの良いローブを着たものが混ざり始める。
ローブを着た男女が鉄条網やバリケードに手のひらを見せると
宙に複雑な文様が浮かび上がると共に一部が発熱し障害が吹き飛んだ。
バリケードを突破されると残るは悲惨な白兵戦となる。
スコップにナイフや銃剣、長剣が激しい音を立てぶつかり合う。
白兵戦に入ってから程なくして組織的抵抗は止み、体勢は決着しつつあった。
高機動車に乗り逃げた兵士はローブの兵士の炎の矢に吹き飛ばされ
監視塔に居た兵士もローブの兵士達に塔ごと破壊された。
スコップにナイフや銃剣、長剣が激しい音を立てぶつかり合う。
白兵戦に入ってから程なくして組織的抵抗は止み、体勢は決着しつつあった。
高機動車に乗り逃げた兵士はローブの兵士の炎の矢に吹き飛ばされ
監視塔に居た兵士もローブの兵士達に塔ごと破壊された。
島内の戦闘行動が終わったのは戦闘に入って5日後の出来事である。
島を埋めた死体の山は海岸線を赤く染めた。
戦闘でのキルレシオは1対30であり、
韓国軍は「一人残らず全滅する」といったファンタジー名世界にふさわしく非現実的な結果となった。
島を埋めた死体の山は海岸線を赤く染めた。
戦闘でのキルレシオは1対30であり、
韓国軍は「一人残らず全滅する」といったファンタジー名世界にふさわしく非現実的な結果となった。