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  • 人魚と忍者と二人の歌姫

児童文庫ロワ

人魚と忍者と二人の歌姫

最終更新:2022年10月21日 07:23

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だれでも歓迎! 編集
 赤い空に黒い雲。しかもその下に広がるのは赤い海ときて、全くうんざりするような景色だと、しずくは改めて思った。
 この殺し合いに巻き込まれる前にいた港町とは大違いだ。空を飛ぶカモメも、人々の賑わいも何もない、ただ建物だけがそこにあるつまらない街。きっと地獄というのはこういう光景なんだろうなと、そう見るものに思わせるようなパノラマに、もうため息も出ない。

「本当に、地獄かもしれないわね……」

 しずくは、ここに来る直前は死にかけていた。
 しずくは妖界に暮らす人魚だ。今から少し前に人間界で起こった地震で二つの世界が行き来できるようになり、先祖が人間に奪われた宝を探しに出てきた。
 だが宝は何日探しても見つからず、できたのは自分を好きでいてくれる男性と、パフォーマーとして人気を得ていく自分だった。
 そんな生活を、悪くないなと思ってしまっていたときのことだ。自分の変化が解けて死にそうになったのは。
 人魚は炎に触れれば、妖力を失ってしまう。変化を維持できないばかりか、寿命すら底の割れた壺から染みだすように流れていき、死に至る。回避するには宝を手に入れるしかない。そしてしずくは宝を手に入れて……使わなかった。
 宝の対価は、自らを愛した者の命。気がつけば、生きようという気力がいつの間にか消えていた。
 一人を生かすために一人を死なせる。わかりやすいトレードオフだ。何かを得るためには何かを失わなければならない。しずくは愛した者の命ときらきらと輝いてた人間としての生活を、妖怪としての自分と妖界での妖怪としての生活を、天秤にかけて、後者を捨てた。
 その決断は、今でも正しかったと思いたい。結局はその後、妖界へと帰ることになり、そして気がつけばここにいたわけなのもあって、そう信じたい。
 希望も絶望も裏表で一つだ。希望が大きければ大きいほど、絶望もまた深くなる。そんなこと、人間に恋した祖先のために人間界に来たしずくなら、わかっていたはずなのに。

「……って、ほんとバカ。」

 しずくは目に浮かんだ涙を指で払うと、海を眺めた。この殺し合いに巻き込まれてから、気づけば何度も考え込んでしまっていた。どうしても、自分の死の直前の記憶を、そこからの絶望と、希望を思い出してしまう。正確には死んだわけではないのかもしれないが、どのみち今の自分は死んだものだろうと自嘲する。
 ならあの時炎に触れなければ、愛した者の妹を助けようとしなければと考えると、それも違うとなる。正義の味方というわけではないが、あの場でそうするのは正しかったし、そうするべきだろうし、そうしたかったし、ただ、少しだけ巡り合わせが悪くて、でもいつか似たようなことは、きっと起きていたのだろう。

「……はぁ、また同じことばっかり考えて……あら?」

 また自嘲するしずくは、足元の感触が変わっていることに気づいた。いつの間にか舗装した道から砂浜へと移っていた。さっきは遠くに見えたと思ったのに、考え込む間に長く歩いていたようだ。後ろを振り返ると、何百歩もの足跡が伸びていた。そこでしずくは、自分以外にももう一つ足跡が有る事に気づいた。行き先はしずくの前にある岩場の方かと前に向き直ると、人間の外見なら同じくらいの女性を見つけた。

 遠目に見ても、同業者、というのがしずくの第一印象だ。妖怪にもパフォーマーにも見える。髪を赤と白に染め分けて、ハーフアップのように後ろで輪っかにしている。耳にあるは黄色いヘッドホンだろうか。
 そして美人だ。美しい人間に変化しているしずくからしても、綺麗だと思う。
 でもその顔は、ひどくやつれているように見えた。近づいていくにつれて段々と顔の正面が見えてくると、美しさよりも陰気な雰囲気が気になった。

「人のことを言えた身じゃないわね……」

 自分も似たりよったりだと、しずくは皮肉げに笑った。こんな場所で途方に暮れているのは自分の方だ。

「ねえ! あなたも巻き込まれた人ー! それともこの街の人ー?」

 大きな声で叫ぶと、美女は海からこちらへと振り向いた。髪に隠れていた首輪が見える。同時に見えた目を見て、しずくは死んだ魚のような目とはああいうのを言うんだろうなと思った。

「……」
「ちょっと、無視?」
「……なに? なんの用?」
「なにって、話を聞かせてほしいのだけれど。」
「話すことなんて……ああ。そういうこと……」
「そう、この殺し合い「ライブのことか……」え。」
「アンタも文句を言いたいんでしょ、アタシに……」

 なんか話を勝手に変な方向に持っていき始めたとしずくは思った。

「みんなのために新世界を作りたかった……それは本当なんだ。」
「アタシの夢は、みんなの願いを叶えることだもん。そうしたいと思ったから、だから……!」
「ねえ……どうすれば、良かったのかな……」

「そうね……事情がわからないから、ふつうの人ならって話だけれど……誰かに相談した方がいい、わね。私はそういう人がいても、やることは変わらなかったと思うけれど。」

「相談……できるわけが……」

「ええ、人に話せる悩みなんて悩みじゃないもの。だからあなたもここにいるんでしょう?」
「……アンタ! その首輪……」
「今さら気づいたの? そう、同じ参加者よ。で、殺し合う?」
「ふざけるな! そんなこと絶対──あ。」
「あ。」

 ようやく話ができそうだと思ったら、予想外にひどく怒らせたのか、美女はやおら立ち上がった。コイツけっこう足場の悪い岩場にいるな、としずくが思ったのと、美女がバランスを崩して後ろに倒れ込んだのは同時だった。

「ウソ。ヤバっ……」
「ちょっと、なんでそうなるのよ!」

 静かな波の音に混じって、バシャンという音が聞こえた。落ちたな。いちおうようやく見つけた自分以外の参加者だ、見捨てるわけにも行かないのでとりあえず近づく。

「こんなに歩きにくいところでたそがれてないでよ。しかも上がってこないし。」

 変化で足を作っている人間の体では、妖怪のような俊敏な動きなどできず、人間と同じように苦労して岩場を進む。予想よりもけっこう険しい。なんでこんなところに登ったんだ、ていうかよく登れたなと思いながら、ほとんど崖上りのように進む。
 落ちた美女はあれから溺れてもがくような音も聞こえなければ、うめき声も聞こえない。
 しずくはようやく美女がいたところまで辿り着くと下を覗き込んだ。波で岩肌がえぐれてちょっとした崖のようになっている。たぶん子供でも足がつく。一体なぜこれで溺れられるのかしずくにはとんとわからないが、とにかく助けようと飛び込んだ。

「痛っ。浅っ。いた。」

 飛び込むと、柔らかいものを踏みつけた。股下までしか水深はない。そして踏みつけたものを持ち上げると、脱力しきった美女がいた。さっきまでの生気の無さとは別の感じの生気の無さに、なにか尋常じゃないものをしずくは感じた。

「大丈夫? しっかりして! あなたに死なれちゃ困るのよ。」
「ゲホッ、ゴボッ、ご、ごめん……」
「ほら、立って。」
「ムリ……海水に濡れちゃってるから……」
「どういうこと?」
「だって悪魔の実の能力者だもん……知ってるでしょ。」
「だから、私はあなたのこと知らないんだってば。」
「ふふふ……優しいんだね。ごめんね。みんな幸せになれると思って……」
「だから! 本当に知らないのよ! あなたの誰なのよ!」
「えっ……ウタだよ?」
「だ・か・ら! 誰! ちょっと、ちゃんと立って!」
「え、歌姫で、『新時代』の……」
「知らない。」
「あのエレジアの……シャ、シャンクスの娘の!」
「知らないからちゃんと立って……もういいわ、一回妖怪に戻るから一度手を離すわよ。」

 しずくはウタの返事を待たずに変化を解いた。とたんにその体からは鱗が生え、異形の顔つきになる。
 これがしずくの本当の姿だ。一見ただの人間にしか見えなくとも、その正体は人間界では化物と忌み嫌われる姿だ。しずくという人間はどこにもいないし、人間界の知識も上っ面のものだし、ウタが映画公開前に日本武道館でライブしたとか、そういう事情も全く知らない。
 またも脱力しきったウタを抱えて、海中を一気に泳ぐ。暴れられると思ったが異様に無抵抗で、十秒とかからず砂浜に上がれた。悪魔の実というのがなにかはわからないが、なにかろくでもないものだろうとしずくは思った。

「はぁ……はぁ……この海、なんて泳ぎにくいの……環境汚染ってこういうのかしら……ねぇ、えっと、ウタ? 大丈夫。」
「……」
「ウタ?」

 返事がない。しずくは血の気が引く思いをした。こんなに苦労して助けたのに、死なれたか? あの変な海に落ちたから? そう思い慌ててウタの顔を覗くと。

「生きてはいるみたいね。どこか悪い?」
「うぅ……胸……」
「もしかしてさっき踏んだときに……!」
「違う……アンタは悪くない……こっちの問題……」

 優しく話しかけるしずくからウタは顔をそらす。未だに脱力して顔から血の気は引いているが、耳だけは赤くなっている。

(有名人だと思ってたのに……恥ずかしすぎっ!)

 無言で手で顔を覆うウタを見て、しずくは本当は顔を踏みつけたのかと心配になる。

 人魚のしずくと歌姫のウタの長くて短い付き合いはこうして始まった。



 先客か。
 白は海に近い丘の上のホテルの近くまで行って警戒を強めた。
 ホテルからスピーカーで響き出したのは、女性のものらしき歌声だ。仮面の下からチラリと周囲を伺えば、入り口近くの監視カメラがこちらを向いていた。あれで発見されたのだろう。中にいるかもしれない人間がどの程度のものかを確かめるために正面から偵察して正解だったと、監視カメラの死角に移動して分身を解く。するとフィードバックされた情報から、白はホテルの壁面を駆け上り、屋上から内部へと突入した。

(歌は流れ続けている。おそらく幻術でも忍術でもない。目的がわからない。)

 白は忍者だ。それも水影暗殺を企てた忍刀七忍衆の裏切り者、桃地再不斬の右腕である。15歳という年齢でありながら、その戦力は上忍に匹敵する。
 先程の分身を囮に情報を集め注意を引くというのも、同年代でもできる程度のもの。なんの問題もなく突入すると、音も無く階段を駆け下りる。目的地は、館内の地図で見つけた、建物中部の警備室。監視カメラに見えるように動いた途端に歌を歌い始めたということは、警備室かフロントだろうと当たりをつけ、すぐさま抑えに行くと、勢い良く扉を開けた。

「あ、ええっ。し、下に……」
「良い歌だったので急いできました。もっと聞いておきたかったのですが……すみません。お話を聞いてもよろしいでしょうか?」

 予想通りに下にいたと思われているところに現れて驚かせると、白は有無を言わせず距離を詰めながら話しかけた。
 警備室にいたのは、忍ではなさそうな、どこかの制服らしきものを身に着けた少女だった。年齢は、白より少し上ぐらいか。そばかすの浮いた地味な顔を驚きで歪めている。没個性的な、ふつうの女の子に見える。
 御し易い。白はそう思った。これならまずは情報交換できるだろう。なにより、白は既に死んだ身だ。自分に起きた出来事を知るためにも、情報が喉から手が出るほどほしい。

「わか……りました。あの、お名前は?」
「白と呼んでください。」

 白は違和感を感じた。白が名乗り終えて黙ると、変な間が開いた。自分の名に何か思うところがあったのか、と思うと、おずおずと少女は口を開いた。

「ベル、です……」
「ベルさんですか。」
「あのっ! 白さん、ここってUじゃないんですか?」
「U? すみません、それはどういうものでしょうか。」
「……」
「ベルさん?」
「Uを、知らないんですか?」
「ええ。おそらくあなたの言うUというものについては。僕からも一つよろしいでしょうか。あなたは、この殺し合いに来る直前に、死にそうになってはいませんでしたか?」
「いいえ……」
「そうですか……」

 どうにもお互い話が噛み合わなかった。白はこの殺し合いは、死後の世界で行われているものだと思っていた。なぜなら白は、つい先程まで木の葉隠れの忍と殺し合っていたからだ。再不斬を庇い致命傷を負ったと思ったのだが気がつけば変な空間にいて、しかもその記憶は幻術をかけられたように消えている。しかし少女が言ったのは、Uなる概念。それが場所なのかなんなのかもわからない以上、話をよく聞く必要があった。

 それから白とベルは互いに話し合った。親に捨てられた白が見てきた親の顔より見た情報交換で、二人は驚愕の事実に気づいた。

「パソコンや携帯端末で繋がる仮想世界、ですか……」
「忍者で異世界で、少年漫画みたいですね。」

 互いに異世界としか思えない情報を話したのだ。
 白の世界にもパソコンはあるが、計算機の延長であり、文章や図画を制作閲覧するためのものだ。重要な書類は当然巻物だし、決済はハンコを使う。
 だがベルの世界ではインターネットはあるしクラウドでデータをやり取りするしハンコは電子化されている。
 そしてなにより、国や世界の知識が違った。白は日本という国は知らないし、白が水を操って見せると目を丸くしてベルは驚いた。ちなみにベルはUでのアバターの名前で、本名は内藤鈴なのだが、すっかりそのことを話すタイミングを失っていた。

「しかし、理解はできます。僕はあの時、戦いの中で死んだはずでした。その僕が生きているというのなら、異世界というのもあるのでしょう。」
「たぶん、異世界転生っていうのだと思います。死んだ人が魔法とかのある世界に行くっていう。白さんはその逆なんじゃないでしょうか。」
「異世界転生ですか。穢土転生のような口寄せの術の一種でしょうか。」

 白はそういうものだと受け入れることにした。元々根がとても素直なので、他にそれらしい理由がないのなら、そういうものかと理解する。その素直さが白が天才である理由の一つだ。真っ白な紙のように、様々なことを学んでいくのが白という忍であった。
 それからも様々なことを話し、ベルからスマホの使い方を教えてもらっている時に、監視カメラに人影が映った。二人組で、一人は特徴的な帽子を被っている。赤と白の輪っかのような、とベルは最初思ったが、すぐにそれが染め分けられた髪だと気づいた。

「アバター? ウイッグ?」
「……来客ですね。ベルさん、行きましょう。」
「はい。」

 この時少しだけ、白の声が下がったことにベルは気づいた。だが出会ったばかりの異世界転移仮面忍者にそんなことを言えるわけもなく、返事をして後ろをついていくしかない。会話がなくなったのも、エレベーターに乗ったからだ、と自分を納得させた。
 でも一つ疑問に思った。忍者なのに、不用心に一階まで一気に降りるんだなと。自分と会ったときにはなにか忍術を使ったらようなのに、今回はそういうの無いんだな、と。
 ベルはわざわざそれを聞いたりしなかった。だがベルの感じた違和感は正しかった。ふだんの白なら初対面の相手にみすみす忍び装束で出ていかない。そうする時は何らかの理由がある時だ。例えば、自分は忍者だとわかりやすく誇示したい時のような。
 では今回は、なぜ白は、何も考えずにエレベーターに乗ったのか。その答えは簡単だ。

「やっぱり先についていたのね、白。」
「さっきぶりですね、しずくさん。」

 二人は初対面では無かった。
 白としずくは殺し合いが始まって直ぐに出会い、それぞれ別行動してこのホテルに集まることになっていた。

「じゃあ、殺し合いましょうか。」
「いいんですか? お疲れのようですが。」
「私は構わないけれど、この子も殺せる?」
「……抵抗できそうになくて忍びないですが、ええ。できます。あなたは?」
「もちろん、そっちの子も殺せるわ。」



 話は、ゲーム開始直後のことだ。
 白もしずくも常人離れした感覚を持つ。互いに気づくのにかかった時間は、混乱から立ち直る時間だけだった。

「その姿、そのチャクラ……あなたも忍のようですね。」
「妖力を感じる……あなた、ただの人間じゃないみたいね。」
「ええ、まあ。それでは、どうしましょうか。言われた通りに殺し合っても構わないのですが……どうせなら、一つお話をしたいのですが?」
「奇遇ね、私も。」
「「ここって地獄ですか?」」

 奇しくも二人とも、ここが死後の世界だと思っていた。
 地獄には堕ちた者を殺し合わせる地獄もあるという。二人は似たようなものを知っているので、自然とそれが頭に浮かんだ。

「ということは、最後の一人なれば生き返れるかもしれないけれど……あなた、乗り気じゃなさそうね。」
「しずくさんのほうがそう見えますよ。」
「否定しないのね?」
「お言葉を返しましょうか?」
「……やめましょう、無駄だわ。お互い、他の人間からも話を聞いたほうがいいと思う。」
「わかりました。あのホテルを合流地点とするのはいかがでしょう。お互い参加者を連れてあそこを目指すということで。」
「かまわない。でも、死体を連れてくるかもしれないわよ?」
「そのときはそのときです。ホテルで死体を増やしましょう。」

 二人はそれきり別れた。
 いつ集まるかも、互いの問も聞かずに。
 聞きたくなかったし、話したくなかった。
 だが、二人は参加者を見つけた。
 そして情報交換をして、同行することになって。
 そうしたらホテルに行かない理由が無かった。



「白さん?」「しずく?」
「ごめんなさい、ベルさん。今からあの人を殺します。その後に、あなたとあちらの女性を殺します。」
「そういうことだから、ウタ。あなたも悪いけれど死んでもらうわ。白と一緒にね。」

 そして現在。
 ホテルのエントランスホールで白としずくは睨み合う。
 それぞれ後方に同行者を置いて。

「待ってよ。ねえしずく! アンタ何言ってんの! なんで突然殺し合いとか!」
「勘違いさせたけれど、私殺し合いに乗ってるから。今まで言わなかったけれど、あなたも聞かなかったでしょう?」
「じゃあ、じゃあなんであの時助けたんだよ!」
「……情報交換したかったし、参加者を連れてくることになってたからよ。」
「そういうことです、ベルさん。我々は殺し合いに乗っています。」
「……違う。二人とも嘘をついてる。」
「違わなく──」

 ダッとベルは突然駆け出した。身構えるウタとしずくの前で、ゆっくりと白は振り返る。
 その横を通り過ぎて一気にしずくへと肉薄する。

「な、なにが狙い!?」

 まさか白ではなく自分に来るとは思わず、咄嗟にしずくは手に持っていたミネラルウォーターのペットボトルから水の剣を発生させる。

「待て。」

 その剣先がベルの右頬を掠めた。体の中央を狙った剣が、何かに阻まれ、軌道を逸らされた。
 その事態に、ウタも、しずくも、白も驚愕していた。

 特に、瞬身の術で先回りしてしずくの手を掴んだ白は、自分の行動に言葉を失くしていた。


 ──知るか…よ…体が勝手に…動いち…まったんだよ…バカ…!


 あの時と同じだと白は思った。
 人間は、大切な人を失うと思うと後先考えずに行動してしまう。
 それは忍であっても変わらない。心を持ってしまっている以上、本能によって反射的に動く。道具には無い、感情からの行動。
 白が戦った木の葉の忍にはそれがあった。
 そして気がつけば、自分にも。
 しずくにだってあるのだろう。一瞬だが、水の剣が顔に届く寸前に動きが遅くなった。
 だが白にはわからなかった。
 なぜ出会ったばかりのベルを助けようとしたのか。

(再不斬さん……)

 白にはやるべきことがある。
 白は道具だ。再不斬の生きた忍具だ。生き返れるなら再不斬の元に戻らなければ。それが今までの生き方なのだから。



「ねえ、なんで動けたの?」

 しずくと白の衝突が水入りになり流れて、各自が別行動を取る中でウタはベルに問いかけた。

「あの二人が殺す気なんてないってのはわかってたけどさ、なんで、その……踏み出せたの?」
「……わからない。」

 真剣さは伝わったと思う。そしてベルも真剣に答えたと思う。それでもその答えに納得はできなかった。

「わからないって、自分がやったことでしょ。」
「そうだけれど……体が勝手にうごいてて。」

 そう言うベルの声は、どもっているような小さなものだったが、そこには確かに覇気が込められていた。
 たとえ小さくても、本当のきらめきを感じさせる魅力がある。
 だからウタは、恐怖した、戦慄した。
 ベルの言葉には想いがある、力がある。
 そういうものは人を前に進ませる。だが進んだ先が濁流ではないと誰が保証してくれるのか。
 誰かの言葉が誰かの背中を押して、また誰かが誰かの背中を押す。
 ウタにはそれが怖かった。
 自分が濁流に背中を押されたから。
 きっと誰かの背中を濁流へと押したから。
 だからこれは、責任を持ってウタが言わないといけないと思った。

「ベル、いつかアンタ、死ぬよ。」

 ウタの言葉に、ベルは、すずは、目を逸らさない。しっかりと受け止める。
 ウタの言葉を心で理解している。共感している。納得している。
 濁流に踏み出した人間の影響は、その人間だけが負うものではない。
 必ず周りへと影響を与えて、押した手にも押された背中にも傷として現れる。
 だが濁流に前を向いて向かうことの大切さも、すず《ベル》は知っている。
 だからそれを、願いを込めてすず《ベル》が謳わないといけないと思った。

「それでも、誰かを信じて、一歩前に踏み出したい。」



【0334 海近くのホテル】


【しずく@妖界ナビ・ルナ(10) 人魚のすむ町(妖界ナビ・ルナシリーズ)@フォア文庫】
【目標】
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【ウタ@ONE PIECE FILM RED 映画ノベライズ みらい文庫版(ONE PIECEシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
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【白@NARUTO-ナルト-白の童子、血風の鬼人(NARUTOシリーズ)@集英社みらい文庫】
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【内藤鈴@竜とそばかすの姫(細田守作品シリーズ)@角川つばさ文庫】
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