ポーン。
ポーン。
ザ、ポーン。
パアン。
ポーン。ザザッ。
ポーン。
ザ、ポーン。
パアン。
ポーン。ザザッ。
「あ。またした。」
転がってきたボールをインサイドで止めて、耳を澄ませる。少ししてまたボールを蹴る。五分ほどそうして、またどこかで音がする。
「今度のは低く響くな。」
「マシンガンみたいな、連射できるやつだな。」
「マシンガンみたいな、連射できるやつだな。」
ボールと共に返ってきた言葉に、パスで答える。地面スレスレを這うように飛んでいったボールは、ワントラップで菊地英治の手に収まった。
小林疾風が気がついた時、どことも知れぬ公園のベンチに寝そべっていた。
わけもわからずに周囲を見渡す。
砂場に空気の少し抜けたサッカーボールが転がっていた。
疾風はサッカーが好きだ。
自分なら将来プロにだってなれる、と本気で信じているぐらいに。
だがそれもただの夢で終わるはずだった。
あの時あの場所で、今している首輪によって殺されたときのように。
わけもわからずに周囲を見渡す。
砂場に空気の少し抜けたサッカーボールが転がっていた。
疾風はサッカーが好きだ。
自分なら将来プロにだってなれる、と本気で信じているぐらいに。
だがそれもただの夢で終わるはずだった。
あの時あの場所で、今している首輪によって殺されたときのように。
「ハッ……ハッ……!」
ああ、そうだ、たぶんそれを考えないようにしていたんだ。だから頭がボーっとしていたんだ。またあんなゲームに巻き込まれたなんて、一度殺されて生き返らされて、また殺されるなんて。
……いや、本当に殺されたんだろうか? リアリティがない。死んだことがないのでなんとも言えない。でもあの感じは、それに前の時に見せしめで死んだ女の子を見た感じも、たぶん死んでいた……と思う。
……いや、本当に殺されたんだろうか? リアリティがない。死んだことがないのでなんとも言えない。でもあの感じは、それに前の時に見せしめで死んだ女の子を見た感じも、たぶん死んでいた……と思う。
「わけわかんねえよもう……」
自分でも情けないな、と思う。
でもそんな声を出さずにはいられない。
いつの間にか始めていたドリブルと共に、どんどん考えるスピードが上がっていく。
あの後旋風達はどうなっただろう。ギロンパの刑務所から脱出できただろうか。ギロンパは逮捕できたのか。ていうか、アレ人間か?
でもそんな声を出さずにはいられない。
いつの間にか始めていたドリブルと共に、どんどん考えるスピードが上がっていく。
あの後旋風達はどうなっただろう。ギロンパの刑務所から脱出できただろうか。ギロンパは逮捕できたのか。ていうか、アレ人間か?
「上手いな。」
突然かけられた声に、旋風はつんのめった。
見られていた、そうだよな、公園だもんな、じゃなくて。
見られていた、そうだよな、公園だもんな、じゃなくて。
「こ、殺さないで、もう殺さないでくれ!」
ダッセェと思う。自分でわかるくらいにビビりまくった、情けない声だ。声だけじゃない、体もふるえてる。そうか、それが嫌でドリブルしてたのか?
「……違う、サッカーが、好きだからだ。」
そこは譲れない。譲ったら負けだ。
絶対認めてやるもんか。
疾風は精一杯の気合を入れて、目を開ける、顔を上げる。
少し離れたところでリフティングしていたのは、中学生ぐらいの男だった。
絶対認めてやるもんか。
疾風は精一杯の気合を入れて、目を開ける、顔を上げる。
少し離れたところでリフティングしていたのは、中学生ぐらいの男だった。
「俺もだ。」
言葉が返ってきた。
ボールも返ってきた。
ボールも返ってきた。
またどこかで銃声がする。
二人の間で交わされたパスは有に百を超えた。
二人の間で交わされたパスは有に百を超えた。
「前のゲームじゃ銃って配られたのか?」
「いや、そういうのは無かったな。」
「あのツノウサギって変なのは?」
「いなかった。前のはギロンパっていう、なんか遊園地とかにいそうなマスコットみたいなんで、あんな動物っぽくなかった。」
「いや、そういうのは無かったな。」
「あのツノウサギって変なのは?」
「いなかった。前のはギロンパっていう、なんか遊園地とかにいそうなマスコットみたいなんで、あんな動物っぽくなかった。」
ボールと共に情報が行き交う。
頭を動かすなら体を動かしながらの二人は、ボールの速度が思考速度のバロメーターとなる。
はじめはポツポツと、自分の身に起こったことを信じてもらえないだろうと前のゲームについて語り始めた疾風であったが、あっという間に自分が巻き込まれたゲームとその結果至った死まで話す。
頭を動かすなら体を動かしながらの二人は、ボールの速度が思考速度のバロメーターとなる。
はじめはポツポツと、自分の身に起こったことを信じてもらえないだろうと前のゲームについて語り始めた疾風であったが、あっという間に自分が巻き込まれたゲームとその結果至った死まで話す。
「なんでそんな簡単に信じるんだ?」
そう問うた疾風に返ってきたのは。
「だってその方が面白そうじゃん。」
というのだから、思わず吹き出してしまう。
そしてお返しにと話された英治の武勇伝にも驚かされた。
廃工場に立て籠るはカルト教団やヤクザとやり合うは、ギロンパとは別の意味で非現実的で、それでいてワクワクするような話。
どうせならそんな冒険でハラハラしたかった、と言うと、なら脱出してから一緒にやろうとボールが来た。
胸でトラップして蹴り返す。どうやって、と。
英治も胸で受け止めて蹴り返す。このゲームをブッ壊して、と。
そしてお返しにと話された英治の武勇伝にも驚かされた。
廃工場に立て籠るはカルト教団やヤクザとやり合うは、ギロンパとは別の意味で非現実的で、それでいてワクワクするような話。
どうせならそんな冒険でハラハラしたかった、と言うと、なら脱出してから一緒にやろうとボールが来た。
胸でトラップして蹴り返す。どうやって、と。
英治も胸で受け止めて蹴り返す。このゲームをブッ壊して、と。
「でもどうやって?」
「まず必要なのは仲間だ。知り合いが巻き込まれてないならいいけど、前も兄弟とか同級生一緒に巻き込まれたんだろ。たぶんこのゲームの主催者も同じじゃないか。」
「どうしてそう思うんだ?」
「わざわざ死んだヤツ生き返らせる理由ってそんなんじゃね? だから――よっ!」
「おっとっと……だから?」
「だから、お前の弟は生きている。」
「……………………」
「生きてたってことは、前のゲームをブッ壊した。生きてたから、また巻き込まれた。」
「……そんな相手どうすりゃいいんだよ。」
「そうか? 死んだ人間を生き返らせるようなヤツに一回勝ったんだぜ? なら――」
「まず必要なのは仲間だ。知り合いが巻き込まれてないならいいけど、前も兄弟とか同級生一緒に巻き込まれたんだろ。たぶんこのゲームの主催者も同じじゃないか。」
「どうしてそう思うんだ?」
「わざわざ死んだヤツ生き返らせる理由ってそんなんじゃね? だから――よっ!」
「おっとっと……だから?」
「だから、お前の弟は生きている。」
「……………………」
「生きてたってことは、前のゲームをブッ壊した。生きてたから、また巻き込まれた。」
「……そんな相手どうすりゃいいんだよ。」
「そうか? 死んだ人間を生き返らせるようなヤツに一回勝ったんだぜ? なら――」
一際強くボールが来た。
「また勝とうぜ。今度はみんな一緒で、だ。」
【0045頃 公園】
【菊地英治@ぼくらのデスゲーム(ぼくらシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
このクソッタレなゲームをブッ壊す
●小目標
疾風と話す
【目標】
●大目標
このクソッタレなゲームをブッ壊す
●小目標
疾風と話す