「これ、100式戦車ですね。」
「まさか本当に戦車があるなんてなあ。」
「まさか本当に戦車があるなんてなあ。」
殺し合いの会場にある自衛隊駐屯地の一角で、高校生ほどの男女が無骨な戦車の前に立ちその砲塔を見上げている。
少女の方は百人が百人とも振り返るような美少女だ。艷やかな黒髪は赤い髪留めで整えられており、きっちりと着こなした制服は彼女の品行方正な雰囲気と合わせて、一分の隙もない優等生という印象を周囲に与える。
一方少年の方は、整った顔立ちで愛嬌はあるが、二枚目というよりかは三枚目な面構えだ。ガッチリした体格は脂肪よりも筋肉によるものだろう。ティピカルな柔道体型とまではいかないがそれに準ずるものだ。
少女四宮かぐやが少年磯崎凛と出会ったのは、今から三十分ほど前のことであった。
初期位置が同じ敷地であった二人だったが、何分その広さのためになかなか出会わなかった。会ってしまえばコミュニケーション力の高い二人なので互いに殺し合いに乗る気はなく、首輪を外せる人材を探そうというところまではトントン拍子で話が進んだが、場所が場所なのでここで籠城することにしたのだ。
この殺し合いの会場にはそんじょそこらにライフルが親の仇のように落ちているのだが、敷地から出ていないかぐや達がそれを知ることはない。異様にどの部屋にも銃や手榴弾などが放置されていることに違和感を抱いてはいるものの、まさかそれが会場中で同様だとまでは思わず、とりあえずそれぞれライフルを一つずつ背負って建物を調べる。そうして見つけた鍵と資料から何かあった時の足にしようと目をつけたのが、戦車だった。
少女の方は百人が百人とも振り返るような美少女だ。艷やかな黒髪は赤い髪留めで整えられており、きっちりと着こなした制服は彼女の品行方正な雰囲気と合わせて、一分の隙もない優等生という印象を周囲に与える。
一方少年の方は、整った顔立ちで愛嬌はあるが、二枚目というよりかは三枚目な面構えだ。ガッチリした体格は脂肪よりも筋肉によるものだろう。ティピカルな柔道体型とまではいかないがそれに準ずるものだ。
少女四宮かぐやが少年磯崎凛と出会ったのは、今から三十分ほど前のことであった。
初期位置が同じ敷地であった二人だったが、何分その広さのためになかなか出会わなかった。会ってしまえばコミュニケーション力の高い二人なので互いに殺し合いに乗る気はなく、首輪を外せる人材を探そうというところまではトントン拍子で話が進んだが、場所が場所なのでここで籠城することにしたのだ。
この殺し合いの会場にはそんじょそこらにライフルが親の仇のように落ちているのだが、敷地から出ていないかぐや達がそれを知ることはない。異様にどの部屋にも銃や手榴弾などが放置されていることに違和感を抱いてはいるものの、まさかそれが会場中で同様だとまでは思わず、とりあえずそれぞれライフルを一つずつ背負って建物を調べる。そうして見つけた鍵と資料から何かあった時の足にしようと目をつけたのが、戦車だった。
「四宮さん、免許って、持ってる?」
「大型なんで21歳以上じゃないと無理ですよ。」
「うーん、てことは、あの人じゃないと駄目かぁ……」
「大型なんで21歳以上じゃないと無理ですよ。」
「うーん、てことは、あの人じゃないと駄目かぁ……」
そう言って凛の視線は、彼らが出てきた建物とは別の方へと向く。実は彼が出会った人物はかぐや一人では無い。他に三人いる。それが。
「お茶買ってきました。」
銀髪で赤い瞳の少女、竜堂ルナと。
「ダメです。電話はどこにも通じませんでした……」
金髪の中性的な容姿の少年、チャロと。
「自衛隊の基地なんて久々に来たなっしなあ。」
なんか薄汚れた外皮とどこ向いているのかわからない目をしたバカでかい梨、ふなっしーである。
「なあ、これってやっぱりドッキリじゃないかな?」
違うと思います、と言おうとして体?をバインバインさせているふなっしーを前に、かぐやは押し黙る。
腹部の輪っか状の出っ張りに合わせて巨大な首輪が付けられたふなっしーは、心なしかいつもより動きにくそうだ。もしくは加齢か。
腹部の輪っか状の出っ張りに合わせて巨大な首輪が付けられたふなっしーは、心なしかいつもより動きにくそうだ。もしくは加齢か。
「ふなっしーさんって大特持ってます?」
一応聞いてみる。
「中型免許は持ってるなっしな。」
だめみたいですね。
「それじゃあ凛くんと一緒に見回ってくるなっしな!」
「今度はあっちの建物を見てくるよ。三十分ぐらいしたら戻ってくるから。」
「時計は合っていますね。」
「もちろん。」
「今度はあっちの建物を見てくるよ。三十分ぐらいしたら戻ってくるから。」
「時計は合っていますね。」
「もちろん。」
五人全員が、腕(ふなっしーは付けれないので手に持っている)につけた時計を確認する。駐屯地の中の売店から借りてきたそれは流石というべきか、秒針一つまで同じ動きをしている。空模様から時間の経過がわからないこの会場では、時計は重要なアイテムだ。そして同じぐらいに、水や食料なども。
凛とふなっしーの男手二人は更なる敷地の調査の為に、戦車の動かし方を調べるかぐや達とは別行動を取ることになった。「ボクも男なのに……」とチャロは不満顔だったが、凛としては女の子や妹よりも小さそうな子どもに危ない橋を渡らせるよりは、安全そうな戦車の中にいてほしいというところだ。
遠ざかる一人と一梨を見送ると、かぐやは軽々と戦車の上部へと上がる。既にマニュアルは建物内のものを一読しておおよそ把握している。ハッチを開けると、中へと乗り込んだ。
凛とふなっしーの男手二人は更なる敷地の調査の為に、戦車の動かし方を調べるかぐや達とは別行動を取ることになった。「ボクも男なのに……」とチャロは不満顔だったが、凛としては女の子や妹よりも小さそうな子どもに危ない橋を渡らせるよりは、安全そうな戦車の中にいてほしいというところだ。
遠ざかる一人と一梨を見送ると、かぐやは軽々と戦車の上部へと上がる。既にマニュアルは建物内のものを一読しておおよそ把握している。ハッチを開けると、中へと乗り込んだ。
「うわぁ、こんなふうになってるんですね。」
「戦車って初めて。」
「戦車って初めて。」
そりゃそうでしょうね、とは言わずにかぐやは前面の計器類を検めていく。後から入ってきた二人はもの珍しそうに内装を見ているがそれを無視して大仰なレバーを撫でる。
『もう結構前になるけれど一回戦車乗せてもらったことあるなっし。お腹つかえて入れなかったら動かなかったっけど。企画段階上のミスなっしな。』
(内装について聞いておくべきだったかしら……ムダそうね。)
(内装について聞いておくべきだったかしら……ムダそうね。)
なぜか一番戦車を動かす上で頼りになりそうなのはふなっしーだが、言動を思い出して頭から追い出す。ピンと音がした。後方からだ。「え、ルナさん?」とチャロの声。何か動かしたのだろうか。振り返る。ルナが手に手榴弾を持っていた。ピンは抜かれていた。「お前たちに恨みはないが死んでもらう」という声と共に、戦車の中で手榴弾が起爆する。かぐやとチャロの全身に鉄の破片が突き刺さった。
「ヒャッハーーーーー!!??」
「な、なんだあっ!?」
「な、なんだあっ!?」
建物に入った途端に聞こえてきた爆発音に、凛とふなっしーは慌てて外に出た。
今来た方向を見る。特に変わった様子は無い。一体何が?と二人顔を見合わせる。
今来た方向を見る。特に変わった様子は無い。一体何が?と二人顔を見合わせる。
「うん? このニオイは?」
先に気づいたのは凛だった。
視覚ではなく嗅覚でそれを捉えた。
何か焦げ臭い。やはりどこかで爆発があったのは間違いないようだ。となると、かぐや達は爆発に驚いて戦車の中にいるのだろう、と納得仕掛けて、近づいたこともあってか時間が経ったのもあってか、更なる異変に気づく。
戦車の上部、入り口の辺りから薄っすらと煙が上がっている。なぜ? そういえばあの爆発音はそこまで大きくなかったような……
視覚ではなく嗅覚でそれを捉えた。
何か焦げ臭い。やはりどこかで爆発があったのは間違いないようだ。となると、かぐや達は爆発に驚いて戦車の中にいるのだろう、と納得仕掛けて、近づいたこともあってか時間が経ったのもあってか、更なる異変に気づく。
戦車の上部、入り口の辺りから薄っすらと煙が上がっている。なぜ? そういえばあの爆発音はそこまで大きくなかったような……
「イヤな予感がするなっしな……」
ふなっしーのつぶやきに凛は頷く。二人は慎重に、しかし素早く戦車へと駆け寄る。そしてふなっしーは戦車によじ登ろうとする凛を押しとどめて自分が登ると、手を伸ばして蓋を開けた。
「ぐっ!? これって血のニオイか?」
「……」
「ふなっしーさん?」
「……」
「ふなっしーさん?」
開けた途端に溢れだした、火薬と血と糞のニオイに、凛は顔をしかめた。
戦車の内部からは黒煙が上がっている。それに燻されてふなっしーは顔を黒くしながら、戦車から滑り降りた。備え付けられている消化器を取ると再び戦車によじ登り、内部に向かって噴射する。だが煙は収まるどころか勢いを増していく。
戦車の内部からは黒煙が上がっている。それに燻されてふなっしーは顔を黒くしながら、戦車から滑り降りた。備え付けられている消化器を取ると再び戦車によじ登り、内部に向かって噴射する。だが煙は収まるどころか勢いを増していく。
「凛くん。」
ふなっしーは凛を呼んだ。
「さっきの爆発はこの中からなっし。」
「……それって。」
「うん。」
「……それって。」
「うん。」
ふなっしーは炎上を始めた戦車から凛の手を引いて離れる。そしてドアを開けて建物の中、戦車が見えない位置まで来て言った。
「かぐやさん達は被害にあったなっし。」
「まあ、急ごしらえにしては上出来か。」
自分が隠れ潜む建物内に凛達が戻って来たのを陰陽術により感じ取ると、透門沙李は薄い笑みを浮かべた。
彼女こそ竜堂ルナによる自爆の糸を引いた黒幕だ。より正確に言うのなら、竜堂ルナを模した式神による殺人の犯人、というべきか。
透門沙李は類稀なる力を持つ陰陽師だ。憎き竜堂家の末裔であるルナに破れ命を落としたが、なんの因果か五体満足での蘇りに成功した。ならやることは一つ。ルナへの復讐である。
そのために彼女はルナをマーダーと誤認させる戦術に出た。ただ殺すだけでは飽き足らず、お人よしの偽善者である怨敵に何人もの人間から恨みを向けられるという生き地獄を味あわせた後で殺す。それが彼女の方針だ。
それができるのならば殺し合いなどという蠱毒も彼女にとってはどうでも良い。仮にルナがいなくとも、彼女への悪評を抱かせた上で殺し優勝するだけだ。
彼女こそ竜堂ルナによる自爆の糸を引いた黒幕だ。より正確に言うのなら、竜堂ルナを模した式神による殺人の犯人、というべきか。
透門沙李は類稀なる力を持つ陰陽師だ。憎き竜堂家の末裔であるルナに破れ命を落としたが、なんの因果か五体満足での蘇りに成功した。ならやることは一つ。ルナへの復讐である。
そのために彼女はルナをマーダーと誤認させる戦術に出た。ただ殺すだけでは飽き足らず、お人よしの偽善者である怨敵に何人もの人間から恨みを向けられるという生き地獄を味あわせた後で殺す。それが彼女の方針だ。
それができるのならば殺し合いなどという蠱毒も彼女にとってはどうでも良い。仮にルナがいなくとも、彼女への悪評を抱かせた上で殺し優勝するだけだ。
「フフフ……冥府から呼び戻したのは、こうさせるためだろう? ツノウサギとやら。」
沙李は口の端を上げると式神に一つ余分に取らせていた時計を弄ぶ。
怨念により蠢く妖怪はこうしてバトルロワイヤルの会場を蝕みはじめた。
怨念により蠢く妖怪はこうしてバトルロワイヤルの会場を蝕みはじめた。
【0115ぐらい 自衛隊駐屯地】
【磯崎凛@宇宙からの訪問者 テレパシー少女「蘭」事件ノート9(テレパシー少女「蘭」事件ノートシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
何が起こっているか調べて、みんながいたら一緒に家に帰る
【目標】
●大目標
何が起こっているか調べて、みんながいたら一緒に家に帰る
【ふなっしー@ふなっしーの大冒険@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
これドッキリじゃないなっし?
【目標】
●大目標
これドッキリじゃないなっし?
【透門沙李@妖界ナビ・ルナ(10) 黄金に輝く月(妖界ナビ・ルナシリーズ)@フォア文庫】
【目標】
●大目標
竜堂ルナに復讐する
●中目標
優勝する
●小目標
竜堂ルナに悪評を向けさせるためになんでもする
【目標】
●大目標
竜堂ルナに復讐する
●中目標
優勝する
●小目標
竜堂ルナに悪評を向けさせるためになんでもする
【脱落】
【四宮かぐや@かぐや様は告らせたい―天才たちの恋愛頭脳戦― 映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
【チェロ@双葉社ジュニア文庫 パズドラクロス@双葉社ジュニア文庫】
【チェロ@双葉社ジュニア文庫 パズドラクロス@双葉社ジュニア文庫】
【残り参加者 279/300】