ツノウサギと名乗った鬼の手により殺し合いの幕が開いて30分。
藪の多い木立でうずくまる小さな影があった。
冷静に周囲に気を配りながら、静かに深呼吸を続ける少女。
彼女の名前は君野明莉。
光明台小学校に通う六年生の小学生だ。
勉強もできて運動もできて顔もかわいい、その上明るい性格と周りへの気遣いができるという天に二物どころか三物も四物も五物も与えられた女の子である。
もちろん本人はそのことを鼻にかけたりしない。性格がいいから。そして性格がいいから自然と周りから人気が集まるので、四年生の時から三年連続で生徒会長をやっている。
ダメ押しに、ふつうの人間には一生あってもできないような経験もしていた。
迷宮教室。
行先マヨイと名乗る怪人物による、生徒を苦しませることだけを目的とした死の授業だ。
カゲアクマという化け物に襲われ、触れられれば苦痛と共にカゲアクマになり、理性を無くしてマヨイに操られる。
明莉は幼なじみのヒカルや遊と共に封鎖された学校に六年一組の生徒全員と拉致され、カゲアクマをけしかけられ、何度も何度も仲間を犠牲にする選択を強いられた。
そして奇跡的に元の日常に帰れたと思ったら、今度もまた変なやつに命がけのゲームを強制される。そうなったならこの殺し合いを前回の迷宮教室と同じようなものと思うのは当然だろう。
ただ明莉は、今回は前回よりももっと危険だろうと感じていた。
前はやさしくて頼りになるヒカルや、おだやかでプロEスポーツプレイヤーの遊、他にも様々な特技を持ったクラスメイトが一緒だった。しかし、今回は明莉一人。場所も六年間通った小学校ではなくどこかもわからない森の中。さらに、首には人を殺すことのできる首輪。前にはなかった、さびしさが怖さを強くする。
藪の多い木立でうずくまる小さな影があった。
冷静に周囲に気を配りながら、静かに深呼吸を続ける少女。
彼女の名前は君野明莉。
光明台小学校に通う六年生の小学生だ。
勉強もできて運動もできて顔もかわいい、その上明るい性格と周りへの気遣いができるという天に二物どころか三物も四物も五物も与えられた女の子である。
もちろん本人はそのことを鼻にかけたりしない。性格がいいから。そして性格がいいから自然と周りから人気が集まるので、四年生の時から三年連続で生徒会長をやっている。
ダメ押しに、ふつうの人間には一生あってもできないような経験もしていた。
迷宮教室。
行先マヨイと名乗る怪人物による、生徒を苦しませることだけを目的とした死の授業だ。
カゲアクマという化け物に襲われ、触れられれば苦痛と共にカゲアクマになり、理性を無くしてマヨイに操られる。
明莉は幼なじみのヒカルや遊と共に封鎖された学校に六年一組の生徒全員と拉致され、カゲアクマをけしかけられ、何度も何度も仲間を犠牲にする選択を強いられた。
そして奇跡的に元の日常に帰れたと思ったら、今度もまた変なやつに命がけのゲームを強制される。そうなったならこの殺し合いを前回の迷宮教室と同じようなものと思うのは当然だろう。
ただ明莉は、今回は前回よりももっと危険だろうと感じていた。
前はやさしくて頼りになるヒカルや、おだやかでプロEスポーツプレイヤーの遊、他にも様々な特技を持ったクラスメイトが一緒だった。しかし、今回は明莉一人。場所も六年間通った小学校ではなくどこかもわからない森の中。さらに、首には人を殺すことのできる首輪。前にはなかった、さびしさが怖さを強くする。
(もう30分ぐらいしたかな。何も動きがない。)
押し寄せてくる不安に体が潰されるような気がするが、それでも動こうとはしない。実はこれまでに何度も行動を起こすべきかは考えてはいた。しかし一度のミスが死を招く状況だという理解が軽挙をとらせない。それが迷宮教室での経験だった。動くのであれば、頭を使い続けなければならない。
困難な状況に自然と想像するのは親友のことだ。
ちょっと天然で、でも時々すごいひらめきをして、どんなピンチの時も絶対にあきらめない、そんな自慢の幼なじみがヒカルだ。
四年生で生徒会長になる時も、ヒカルの言葉があったから明莉はやろうと思えた。
この前の迷宮教室でも、ヒカルの諦めない言葉とひらめきで脱出することができた。
そんなヒカルが、この殺し合いに巻き込まれているかもしれない。そう思うと胸が張り裂けそうで、でもヒカルがいるならなんとかなると思えて安心できて、明莉は複雑な気持ちになる。
ヒカルだけではない。幼なじみの悠は素晴らしいゲーマーであり、大切な友人だ。彼もまた巻き込まれていてほしくないが、しかし、いてくれたら心強いだろう。
困難な状況に自然と想像するのは親友のことだ。
ちょっと天然で、でも時々すごいひらめきをして、どんなピンチの時も絶対にあきらめない、そんな自慢の幼なじみがヒカルだ。
四年生で生徒会長になる時も、ヒカルの言葉があったから明莉はやろうと思えた。
この前の迷宮教室でも、ヒカルの諦めない言葉とひらめきで脱出することができた。
そんなヒカルが、この殺し合いに巻き込まれているかもしれない。そう思うと胸が張り裂けそうで、でもヒカルがいるならなんとかなると思えて安心できて、明莉は複雑な気持ちになる。
ヒカルだけではない。幼なじみの悠は素晴らしいゲーマーであり、大切な友人だ。彼もまた巻き込まれていてほしくないが、しかし、いてくれたら心強いだろう。
(迷宮教室と同じなら、きっと2人も巻き込まれてる。違うなら……むずかしいかな。ん?)
仲間に思いをはせながらも周囲への警戒に気を抜かない。だからだろう、その声に素早く耳を傾けられたのは。
カゲアクマを警戒してここまで静かに動かないようにしていたが、功を奏したようだ。明莉より少し年上らしい少女だろうか、聞こえてきたのは「おーい!」と呼びかける声だった。
明莉は一瞬逡巡した。この殺し合いの場で大声を出す人間のリスクとその心情、どちらも理解できる。あの声に答えることは、単に殺し合いに乗った人間と遭遇しかねないこと以上の危険性をもつ。しかし同時に、今の手詰まりな状況を変えて信頼できる仲間を手に入れるチャンスだ。
カゲアクマを警戒してここまで静かに動かないようにしていたが、功を奏したようだ。明莉より少し年上らしい少女だろうか、聞こえてきたのは「おーい!」と呼びかける声だった。
明莉は一瞬逡巡した。この殺し合いの場で大声を出す人間のリスクとその心情、どちらも理解できる。あの声に答えることは、単に殺し合いに乗った人間と遭遇しかねないこと以上の危険性をもつ。しかし同時に、今の手詰まりな状況を変えて信頼できる仲間を手に入れるチャンスだ。
「静かにさせないとあの子危ないかも。」
迷っていたのはほんの僅かな間だった。こういう時に明莉が取るべき行動など一つだった。
「えっ、ええっ!」
「あっ! いたよ、小狼くん!」
「あっ! いたよ、小狼くん!」
そう思って立ち上がり木々の間に目をやった明莉は、思わず驚きの声を上げてしまった。慌てて口を閉じるももう遅い。そのほうきに乗った少女と目があった。
ほうきに乗った少女と目があった。
ほうきに、乗った、少女と。
ほうきに乗った少女と目があった。
ほうきに、乗った、少女と。
(と、飛んでる!? 空を飛んでる!?)
思わず明莉はまじまじと見てしまう。
霧でよく見えないが、たぶん、明莉より何歳か上の少女が、どう見てもほうきに乗って、2メートルから3メートルほどの低空を飛んでいる。そしてよく見たら、後ろには同じぐらいの年の男子がいた。
いまいち説明がしにくい独特な服装をした、明るくはつらつとした少女。その後ろの真っ白なカッターシャツと紺のスラックスに泥で汚れた革靴の制服の少年。2人とも中学生ぐらいか。
2人からは緊張してる感じが伝わってくる。でもマヨイから感じたような、ドロっとした悪意みたいなものはない。それどころじゃないっちゃないが。
霧でよく見えないが、たぶん、明莉より何歳か上の少女が、どう見てもほうきに乗って、2メートルから3メートルほどの低空を飛んでいる。そしてよく見たら、後ろには同じぐらいの年の男子がいた。
いまいち説明がしにくい独特な服装をした、明るくはつらつとした少女。その後ろの真っ白なカッターシャツと紺のスラックスに泥で汚れた革靴の制服の少年。2人とも中学生ぐらいか。
2人からは緊張してる感じが伝わってくる。でもマヨイから感じたような、ドロっとした悪意みたいなものはない。それどころじゃないっちゃないが。
「一応聞いておく、殺し合いには乗ってないよな?」
「は、はい。あの、私、君野明莉。あなたたちは?」
「は、はい。あの、私、君野明莉。あなたたちは?」
少年の問いに素直に答えてしまう。人と出会ったらやろうと思っていた対応はほとんど飛んでしまったが、なんとか言葉を絞り出した。
「李小狼、こっちは星乃美紅さん。俺たちも乗ってない。君野、これまでに誰か会わなかったか?」
「ううん、あなたたちが初めてで、その、なんで空中浮遊してるの?」
「えーっと、イリュージョン?」
「イリュージョン……」
「ううん、あなたたちが初めてで、その、なんで空中浮遊してるの?」
「えーっと、イリュージョン?」
「イリュージョン……」
星乃さんと紹介された少女が適当に言ったことをオウム返ししてしまう。1人だと思ったら2人だったり空飛んでたりまだ頭が混乱しているが、それでもなんとか理性的な対応を心がける。
「あんまり驚かないんだね?」
「まあ、その、そういうものかなって。」
「いやいや! 納得しちゃだめだよ!」
「えでも、イリュージョンって。」
「言ったけど! 説明しにくいからそれで納得してほしいけど!」
「なんかあの、家庭のご事情があったりするのかなって。」
「ごめんねなんか気を使わせて……」
「まあ、初めてじゃないんで。」
「まあ、その、そういうものかなって。」
「いやいや! 納得しちゃだめだよ!」
「えでも、イリュージョンって。」
「言ったけど! 説明しにくいからそれで納得してほしいけど!」
「なんかあの、家庭のご事情があったりするのかなって。」
「ごめんねなんか気を使わせて……」
「まあ、初めてじゃないんで。」
迷宮教室での経験が生きた。明莉は空飛ぶほうきを「そういうものカテゴリー」として頭の中のタンスにしまうことにした。
「それよりも、この殺し合いをなんとかしたいんです。聞きたいことはたくさんあるけど、そのために協力したくれませんか?」
「いいけど、見ての通りけっこう怪しいよ、空飛んでるし?」
「その事情はもちろん聞きたいです。でも一番聞きたいのは、この殺し合いを止めることです。」
「俺も星乃さんも、こんな殺し合いを止めたいと思っている。そこにお前と違いはない。それより君野、さっき『初めてじゃない』って言っていたが、どういう意味だ?」
「話し合わなきゃなんないことが多いね。とりあえず、歩きながら話そ?」
(あ、降りた。)
「いいけど、見ての通りけっこう怪しいよ、空飛んでるし?」
「その事情はもちろん聞きたいです。でも一番聞きたいのは、この殺し合いを止めることです。」
「俺も星乃さんも、こんな殺し合いを止めたいと思っている。そこにお前と違いはない。それより君野、さっき『初めてじゃない』って言っていたが、どういう意味だ?」
「話し合わなきゃなんないことが多いね。とりあえず、歩きながら話そ?」
(あ、降りた。)
ふーっと息をついて地に足つけた星乃と小狼に、明莉は迷宮教室についてどう語るべきかを考え始めた。
星乃美紅。李小狼。
2人の登場は明莉の脳細胞を猛スピードで動かし始めた。
彼らが脅威になるのか、それともゲームをぶっ壊すための信頼できるパートナーとなるのか、明莉の判断で変わる。
星乃美紅。李小狼。
2人の登場は明莉の脳細胞を猛スピードで動かし始めた。
彼らが脅威になるのか、それともゲームをぶっ壊すための信頼できるパートナーとなるのか、明莉の判断で変わる。
「迷宮教室って、知ってますか?」
たぶん信じてもらえない。そうわかっていても話し始めた明莉に、2人は興味深げな視線を送ってくる。話す内容を頭の中で組み上げながら、明莉は2人を味方にするための説得を考えた。
「これ、100式戦車ですね。」
「まさか本当に戦車があるなんてなあ。」
「まさか本当に戦車があるなんてなあ。」
一方その頃、殺し合いの会場にある自衛隊駐屯地の一角で、高校生ほどの男女が無骨な戦車の前に立ちその砲塔を見上げている。
少女の方は百人が百人とも振り返るような美少女だ。艷やかな黒髪は赤い髪留めで整えられており、きっちりと着こなした制服は彼女の品行方正な雰囲気と合わせて、一分の隙もない優等生という印象を周囲に与える。
一方少年の方は、整った顔立ちで愛嬌はあるが、二枚目というよりかは三枚目な面構えだ。ガッチリした体格は脂肪よりも筋肉によるものだろう。ティピカルな柔道体型とまではいかないがそれに準ずるものだ。
少女四宮かぐやが少年磯崎凛と出会ったのは、今から三十分ほど前のことであった。
初期位置が同じ敷地であった2人だったが、何分その広さのためになかなか出会わなかった。会ってしまえばコミュニケーション力の高い2人なので互いに殺し合いに乗る気はなく、首輪を外せる人材を探そうというところまではトントン拍子で話が進んだが、場所が場所なのでここで籠城することにしたのだ。
この殺し合いの会場にはそんじょそこらにライフルが親の仇のように落ちているのだが、敷地から出ていないかぐや達がそれを知ることはない。異様にどの部屋にも銃や手榴弾などが放置されていることに違和感を抱いてはいるものの、まさかそれが会場中で同様だとまでは思わず、とりあえずそれぞれライフルを1つずつ背負って建物を調べる。そうして見つけた鍵と資料から何かあった時の足にしようと目をつけたのが、戦車だった。
少女の方は百人が百人とも振り返るような美少女だ。艷やかな黒髪は赤い髪留めで整えられており、きっちりと着こなした制服は彼女の品行方正な雰囲気と合わせて、一分の隙もない優等生という印象を周囲に与える。
一方少年の方は、整った顔立ちで愛嬌はあるが、二枚目というよりかは三枚目な面構えだ。ガッチリした体格は脂肪よりも筋肉によるものだろう。ティピカルな柔道体型とまではいかないがそれに準ずるものだ。
少女四宮かぐやが少年磯崎凛と出会ったのは、今から三十分ほど前のことであった。
初期位置が同じ敷地であった2人だったが、何分その広さのためになかなか出会わなかった。会ってしまえばコミュニケーション力の高い2人なので互いに殺し合いに乗る気はなく、首輪を外せる人材を探そうというところまではトントン拍子で話が進んだが、場所が場所なのでここで籠城することにしたのだ。
この殺し合いの会場にはそんじょそこらにライフルが親の仇のように落ちているのだが、敷地から出ていないかぐや達がそれを知ることはない。異様にどの部屋にも銃や手榴弾などが放置されていることに違和感を抱いてはいるものの、まさかそれが会場中で同様だとまでは思わず、とりあえずそれぞれライフルを1つずつ背負って建物を調べる。そうして見つけた鍵と資料から何かあった時の足にしようと目をつけたのが、戦車だった。
「四宮さん、免許って、持ってる?」
「大型なんで21歳以上じゃないと無理ですよ。」
「うーん、てことは、あの人じゃないと駄目かぁ……」
「大型なんで21歳以上じゃないと無理ですよ。」
「うーん、てことは、あの人じゃないと駄目かぁ……」
そう言って凛の視線は、彼らが出てきた建物とは別の方へと向く。実は彼が出会った人物はかぐやだけでは無い。他に4人いる。それが。
「お茶買ってきました。」
銀髪で赤い瞳の少女、竜堂ルナと。
「いっぱい電話かけたのに、みんな留守電だったよ……」
ドレス風のロリータ服の少女、春野百合と。
「■■■■?」
二足歩行する爬虫類、キ・キーマと。
「自衛隊の基地なんて久々に来たなっしなあ。」
なんか薄汚れた外皮とどこ向いているのかわからない目をしたバカでかい梨、ふなっしーである。
「なあ、これってやっぱりドッキリじゃないかな?」
違うと思います、と言おうとして大泉洋っぽい声のキ・キーマと体?をバインバインさせているふなっしーを前に、かぐやは押し黙る。
どう見てもリアリティのある鱗をしたレプリカントのキ・キーマは、言葉が通じないからというだけではない大振りなジェスチャーでなにかをアピールしている。
その現実感のある非現実的な姿の横では、自称梨の妖精は思いっきり単なるきぐるみにしか見えない。
腹部の輪っか状の出っ張りに合わせて巨大な首輪が付けられたふなっしーは、心なしかいつもより動きにくそうだ。もしくは加齢か。
どう見てもリアリティのある鱗をしたレプリカントのキ・キーマは、言葉が通じないからというだけではない大振りなジェスチャーでなにかをアピールしている。
その現実感のある非現実的な姿の横では、自称梨の妖精は思いっきり単なるきぐるみにしか見えない。
腹部の輪っか状の出っ張りに合わせて巨大な首輪が付けられたふなっしーは、心なしかいつもより動きにくそうだ。もしくは加齢か。
「ふなっしーさんって大特持ってます?」
一応聞いてみる。
「中型免許は持ってるなっしな。」
だめみたいですね。
「それじゃあ凛くんとキ・キーマと一緒に見回ってくるなっしな!」
「今度はあっちの建物を見てくるよ。30分ぐらいしたら戻ってくるから。」
「■■■■?」
「そうそう、見回りです。み・ま・わ・り。」
「時計は合っていますね。」
「もちろん。」
「今度はあっちの建物を見てくるよ。30分ぐらいしたら戻ってくるから。」
「■■■■?」
「そうそう、見回りです。み・ま・わ・り。」
「時計は合っていますね。」
「もちろん。」
6人全員が、腕(ふなっしーは付けれないので手に持っている)につけた時計を確認する。駐屯地の中の売店から借りてきたそれは流石というべきか、秒針一つまで同じ動きをしている。空模様から時間の経過がわからないこの会場では、時計は重要なアイテムだ。そして同じぐらいに、水や食料なども。
凛とふなっしーとキ・キーマの男?3人は更なる敷地の調査の為に、戦車の動かし方を調べるかぐや達とは別行動を取ることになった。
凛とふなっしーとキ・キーマの男?3人は更なる敷地の調査の為に、戦車の動かし方を調べるかぐや達とは別行動を取ることになった。
「なんであの3人コミュニケーションできてんの?」
「どこででも生きていけそうな方たちですね……」
「どこででも生きていけそうな方たちですね……」
遠ざかる一人と一竜人と一梨を見送ると、かぐや達も外に出た。
正直、頭はパンクしそうだ。考えなくてはならないことは多いのに、ゆるキャラを主張する不審者に、ゲームから抜け出してきたとしか思えないリザードマン。殺し合いとは無関係なところで悩ましい存在だ。
正直、頭はパンクしそうだ。考えなくてはならないことは多いのに、ゆるキャラを主張する不審者に、ゲームから抜け出してきたとしか思えないリザードマン。殺し合いとは無関係なところで悩ましい存在だ。
「もしかしたら、彼らのような人物を巻き込んだことに、意味があるのかもしれませんが……」
「かぐやさん?」
「すみません、今行きます。」
「かぐやさん?」
「すみません、今行きます。」
ルナにせかさせ、かぐやは軽々と戦車の上部へと上がる。既にマニュアルは建物内のものを一読しておおよそ把握している。ハッチを開けると、中へと乗り込んだ。
「うわぁ、こんなふうになってるんですね。こんなに計器があるとは思わなかった。」
「こっちが大砲で、こっちが無線かしら。あとで動かしてみよっと。」
「いいですよ。」
「こっちが大砲で、こっちが無線かしら。あとで動かしてみよっと。」
「いいですよ。」
ルナと百合の小学生2人は、さっそく戦車の中をもの珍しそうに弄っていた。
それをぬってかぐやは前面の計器類を検めていく。ほとんどわからないが、とにかく車として動かす分にはなんとかなりそうだ。
それをぬってかぐやは前面の計器類を検めていく。ほとんどわからないが、とにかく車として動かす分にはなんとかなりそうだ。
『もう結構前になるけれど一回戦車乗せてもらったことあるなっし。お腹つかえて入れなかったら動かなかったっけど。企画段階上のミスなっしな。』
(内装について聞いておくべきだったかしら……ムダそうね。)
(内装について聞いておくべきだったかしら……ムダそうね。)
なぜか一番戦車を動かす上で頼りになりそうなのはふなっしーだが、言動を思い出して頭から追い出す。ピンと音がした。後方からだ。「ルナちゃん、それ手榴弾?」と百合の声。かぐやの動きが止まった。
(手榴弾? なぜ、ここで? さっきの音は?)
頭の中にははてなマークが、ポケットの中には拳銃が存在感を増す。
かぐやはゆっくり振り返る。ルナが手に手榴弾を持っていた。ピンは抜かれていた。「お前たちに恨みはな」といい終わるより先に、かぐやはその手を自分の手で包み込んだ。手榴弾は爆発、しない。
かぐやとルナの視線が交差した。
かぐやはゆっくり振り返る。ルナが手に手榴弾を持っていた。ピンは抜かれていた。「お前たちに恨みはな」といい終わるより先に、かぐやはその手を自分の手で包み込んだ。手榴弾は爆発、しない。
かぐやとルナの視線が交差した。
(ピンが抜かれてる! あと1秒抑えるのが遅かったら死んでた!)
「いい動きだ!」
「いい動きだ!」
ルナがニヤリとしながら言うと、かぐやの股間に衝撃が走った。激痛に息が止まる。金的。極めて単純に足を伸ばしたまま上に上げたことで、ルナの脛がかぐやの股間を捉えていた。
衝撃に手が緩む。スルリと手榴弾を手中に残して、ルナは上に飛び上がった。一飛びでハッチから戦車の上に立つ。人間技ではない。信じられないものを見送ったかぐやは、上を向いた視界に黒い丸を見つけた。銃口だ。
衝撃に手が緩む。スルリと手榴弾を手中に残して、ルナは上に飛び上がった。一飛びでハッチから戦車の上に立つ。人間技ではない。信じられないものを見送ったかぐやは、上を向いた視界に黒い丸を見つけた。銃口だ。
「おかげで上手くいった!」
銃声が2回響いた。
「ヒャッハーーーーー!!??」
「■■■■■■!」
「な、なんだあっ!?」
「■■■■■■!」
「な、なんだあっ!?」
「■■■■■?」
先に気づいたのはキ・キーマだった。
視覚ではなく嗅覚でそれを捉えた。
何か焦げ臭い。やはりどこかで爆発があったのは間違いないようだ。となると、かぐや達は爆発に驚いて戦車の中にいるのだろう、と納得しかけて、近づいたこともあってか時間が経ったのもあってか、更なる異変に気づく。
戦車の影になる位置、そこに黒い何かが広がっている。わずかだかクレーターのようにも見える。
視覚ではなく嗅覚でそれを捉えた。
何か焦げ臭い。やはりどこかで爆発があったのは間違いないようだ。となると、かぐや達は爆発に驚いて戦車の中にいるのだろう、と納得しかけて、近づいたこともあってか時間が経ったのもあってか、更なる異変に気づく。
戦車の影になる位置、そこに黒い何かが広がっている。わずかだかクレーターのようにも見える。
「イヤな予感がするなっしな……」
ふなっしーのつぶやきに凛は頷く。3人は慎重に、しかし素早く戦車へと駆け寄る。クレーターは砲撃の跡のようだった。無論3人とも実物を見たことはない。だがそれでもこれが尋常なものではないとはわかる。よじ登ると慌ててハッチを開けようとした。何秒かの抵抗のあと、中からの物音と共に抵抗が無くなり開く。途端に聞こえてきたのは、百合とかぐやの苦しげな声だった。肩や腕を抑える彼女たちは、それでもかぐやはなんとかハッチを抑え込んでいたようだ。
「竜堂ルナに撃たれた……手榴弾を、外に放り投げて、クっ……」
「いたい……いたいよ……」
「う、撃たれた? ルナちゃんに?」
「どういうことどういうこと?」
「■■■、■■!」
「いたい……いたいよ……」
「う、撃たれた? ルナちゃんに?」
「どういうことどういうこと?」
「■■■、■■!」
顔を合わせた途端にかぐやが言った言葉に、凛とふなっしーは困惑した。その横を潜り抜けて、キ・キーマが2人の傷口を抑える。2人にジェスチャーなしで叫ぶと。凛も慌てて中に入った。直ぐに2人の手当に加わる。幸い、それほど重い怪我ではなさそうだ。単に戦車の中に入れずに蚊帳の外だからというだけでなく、かぐやと百合の容態を見て、ふなっしーは周囲を警戒した。かぐやはそれを期待して開口一番言ったのだろうから。
(わけがわかんないなっし。ルナちゃんがかぐやちゃんたちを殺そうとした? なんで、どういうことなっし。)
(さっきまであんな仲良さそうだったっし。ていうか、殺してなんになるっしょ。)
(なんか、変なっし。変なっしよ。)
(さっきまであんな仲良さそうだったっし。ていうか、殺してなんになるっしょ。)
(なんか、変なっし。変なっしよ。)
「急ごしらえだが上出来だ。」
透門沙李は薄い笑みを浮かべてそう言うと、高笑いを続けた。
彼女こそ竜堂ルナによる自爆の糸を引いた黒幕だ。より正確に言うのなら、竜堂ルナを模した式神による殺人の犯人、というべきか。
透門沙李は類稀なる力を持つ陰陽師だ。憎き竜堂家の末裔であるルナに破れ命を落としたが、なんの因果か五体満足での蘇りに成功した。ならやることは一つ。ルナへの復讐である。
そのために彼女はルナをマーダーと誤認させる戦術に出た。ただ殺すだけでは飽き足らず、お人よしの偽善者である怨敵に何人もの人間から恨みを向けられるという生き地獄を味あわせた後で殺す。それが彼女の方針だ。
そしてそれはうまく行った。最初は不可解な殺人によりあのグループをバラけさせようと思ったが、かぐやが止めたことで彼女をスポークスマンにすることにした。目標は十二分に達成したと言える。
彼女こそ竜堂ルナによる自爆の糸を引いた黒幕だ。より正確に言うのなら、竜堂ルナを模した式神による殺人の犯人、というべきか。
透門沙李は類稀なる力を持つ陰陽師だ。憎き竜堂家の末裔であるルナに破れ命を落としたが、なんの因果か五体満足での蘇りに成功した。ならやることは一つ。ルナへの復讐である。
そのために彼女はルナをマーダーと誤認させる戦術に出た。ただ殺すだけでは飽き足らず、お人よしの偽善者である怨敵に何人もの人間から恨みを向けられるという生き地獄を味あわせた後で殺す。それが彼女の方針だ。
そしてそれはうまく行った。最初は不可解な殺人によりあのグループをバラけさせようと思ったが、かぐやが止めたことで彼女をスポークスマンにすることにした。目標は十二分に達成したと言える。
「しかし、面倒なものも引き寄せたか。」
一方で、沙李は式神で周囲の森を探る。妖力の反応を感じた。美紅により本来より早く辿り着けた小狼たちだ。
(これもこれ、使い道はあるか。)
近いうちにこのあたりは更なる戦場になる。そう思った。
【0135ぐらい 自衛隊駐屯地】
【君野明莉@迷宮教室 最悪な先生と最高の友達(迷宮教室シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
ヒカルとかが巻き込まれてたら合流して脱出する。
●小目標
みんなで話し合いながら爆発音を調べる。
【目標】
●大目標
ヒカルとかが巻き込まれてたら合流して脱出する。
●小目標
みんなで話し合いながら爆発音を調べる。
【李小狼@小説 アニメ カードキャプターさくら さくらカード編 下(カードキャプターさくらシリーズ)@講談社KK文庫】
【目標】
●大目標
殺し合いを止める。
●中目標
さくらや他の大切な人が巻き込まれていたら守る。
●小目標
みんなで話し合いながら爆発音を調べる。
【目標】
●大目標
殺し合いを止める。
●中目標
さくらや他の大切な人が巻き込まれていたら守る。
●小目標
みんなで話し合いながら爆発音を調べる。
【四宮かぐや@かぐや様は告らせたい―天才たちの恋愛頭脳戦― 映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
何が起こっているか調べて、脱出する。
●小目標
手当てする。
【目標】
●大目標
何が起こっているか調べて、脱出する。
●小目標
手当てする。
【磯崎凛@宇宙からの訪問者 テレパシー少女「蘭」事件ノート9(テレパシー少女「蘭」事件ノートシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
何が起こっているか調べて、みんながいたら一緒に家に帰る。
●小目標
手当てする。
【目標】
●大目標
何が起こっているか調べて、みんながいたら一緒に家に帰る。
●小目標
手当てする。
【春野百合@黒魔女さんが通る!! PART 6 この学校、呪われてません?の巻(黒魔女さんが通る!!シリーズ)@講社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
なにこれ、ドッキリじゃないの?
●小目標
手当てする。
【目標】
●大目標
なにこれ、ドッキリじゃないの?
●小目標
手当てする。
【キ・キーマ@ブレイブ・ストーリー (4)運命の塔(ブレイブ・ストーリーシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
もしかしてこれが『旅人』か? 言葉通じないのは厳しすぎるだろ!?
●小目標
このキズなら手当てすれば助かるぞ! 布持ってきてくれ布! ダメだ言葉通じてない!
【目標】
●大目標
もしかしてこれが『旅人』か? 言葉通じないのは厳しすぎるだろ!?
●小目標
このキズなら手当てすれば助かるぞ! 布持ってきてくれ布! ダメだ言葉通じてない!
【透門沙李@妖界ナビ・ルナ(10) 黄金に輝く月(妖界ナビ・ルナシリーズ)@フォア文庫】
【目標】
●大目標
竜堂ルナに復讐する。
●中目標
優勝する。
●小目標
竜堂ルナに悪評を向けさせるためになんでもする。
【目標】
●大目標
竜堂ルナに復讐する。
●中目標
優勝する。
●小目標
竜堂ルナに悪評を向けさせるためになんでもする。