「やられた……! また出し抜かれるなんて。」
弱井トト子が引き金を引き、十名以上の人間が銃撃戦を繰り広げた住宅地の一画から、徒歩数分のところにあるやや大きめの雑居ビル。
その一階部分は、地下への階段となっている。
まさかそこが地下鉄への入り口などとはこの街を往く参加者も気づかないだろう。一応、付近には駅への案内があるし、当のビルには小さいが地下鉄の看板もあるのだが、土地勘のない街でいつ撃たれるかわからない中ろくに地下鉄に乗ったこともない人間も多々いるという事情を考えれば、そこに気づける参加者というのは僅かだ。
そして地下へと降りると、広がっているのは地下街である。
地下一階は一つの都市区画と言えるほどの広さで、モノレールや電車の駅ビルとそれぞれ繋がっている。それぞれに乗り換えるには端から端まで歩かねばならずその距離は都市部の路線の一駅分ほどもあるが、一応これで一つのターミナル駅だ。この街に住人がいればさぞ面倒な通勤通学だろう。
地下二階は地下鉄の改札とホームがある。こちらは上階とは打って変わって没個性的な地下鉄だ。面白みのない作りに、後付されたようなバリアフリー、天井の一部からは雨漏りもしている。
そのホームにあるベンチに気がつけばいた桃花・ブロッサムは、慌ててトイレに行くと鏡で自分の姿を確認して頭を抱えた。
小学校低学年の容姿には似合わない首輪が存在を主張している。それを指先でつつきつつ、意識を集中させること数秒して冒頭に戻る。
その一階部分は、地下への階段となっている。
まさかそこが地下鉄への入り口などとはこの街を往く参加者も気づかないだろう。一応、付近には駅への案内があるし、当のビルには小さいが地下鉄の看板もあるのだが、土地勘のない街でいつ撃たれるかわからない中ろくに地下鉄に乗ったこともない人間も多々いるという事情を考えれば、そこに気づける参加者というのは僅かだ。
そして地下へと降りると、広がっているのは地下街である。
地下一階は一つの都市区画と言えるほどの広さで、モノレールや電車の駅ビルとそれぞれ繋がっている。それぞれに乗り換えるには端から端まで歩かねばならずその距離は都市部の路線の一駅分ほどもあるが、一応これで一つのターミナル駅だ。この街に住人がいればさぞ面倒な通勤通学だろう。
地下二階は地下鉄の改札とホームがある。こちらは上階とは打って変わって没個性的な地下鉄だ。面白みのない作りに、後付されたようなバリアフリー、天井の一部からは雨漏りもしている。
そのホームにあるベンチに気がつけばいた桃花・ブロッサムは、慌ててトイレに行くと鏡で自分の姿を確認して頭を抱えた。
小学校低学年の容姿には似合わない首輪が存在を主張している。それを指先でつつきつつ、意識を集中させること数秒して冒頭に戻る。
(この姿のまま連れて来られたってことは、黒魔女だってバレてない、っていうのは期待しすぎですかね。たぶん大形京の仕業ですし。とにかく早く打つ手を考えなきゃ。)
桃花は黒魔女だ。年齢は非公表だが、国によっては結婚できるぐらいには大人である。そんな彼女が、元が美少女とはいえ女児服を着て8歳児の真似をするという狂気の沙汰を現在進行系でやっているのは、それが仕事だからだ。
大形京。この殺し合いの主催者の監視こそ、彼女の役目であった。
彼は極めて強力な黒魔法の使い手であり、そして黒魔女への復讐心を持っている。ゆえに彼に知能や感覚を鈍麻させるとしか思えないぬいぐるみを常に手を付けさせ、家庭に存在しないはずの妹として潜入して暴走を抑えているのだ。
元はと言えばどっかの黒魔女がおかしな教育をしたせいなのだが、さりとて放置しておけば世界を破滅に導きかねないし、かと言って殺すわけにもいかないのでこのような沙汰となっている。その役目の重大さは、今まさに起こっていることを考えればハッキリしているだろう。
足早にトイレを出るとホームに戻り五感で分析する。その顔は険しいまま。
桃花には確信があった。この殺し合いには大形が関わっていると。満ちる空気には闇の気配を感じ、なにより前科がある。たとえ関係ないとしても大形レベルの相手だと警戒したほうが良いだろう。それほどに危険性のある相手だ。
この間も、魔界でクーデターを起こし危うく国が乗っ取られるところだった。彼女の先輩であるギュービッドや『お姉ちゃん』であるチョコと3人だけでは手に余る程の実力を持つ。そして高い実力はカリスマとなる。大形と組んで、あるいは従って、あるいは利用してのし上がろうとする野心のある連中と結びつくことで、国を2つに分断することすらやってのけるだろう。
大形京。この殺し合いの主催者の監視こそ、彼女の役目であった。
彼は極めて強力な黒魔法の使い手であり、そして黒魔女への復讐心を持っている。ゆえに彼に知能や感覚を鈍麻させるとしか思えないぬいぐるみを常に手を付けさせ、家庭に存在しないはずの妹として潜入して暴走を抑えているのだ。
元はと言えばどっかの黒魔女がおかしな教育をしたせいなのだが、さりとて放置しておけば世界を破滅に導きかねないし、かと言って殺すわけにもいかないのでこのような沙汰となっている。その役目の重大さは、今まさに起こっていることを考えればハッキリしているだろう。
足早にトイレを出るとホームに戻り五感で分析する。その顔は険しいまま。
桃花には確信があった。この殺し合いには大形が関わっていると。満ちる空気には闇の気配を感じ、なにより前科がある。たとえ関係ないとしても大形レベルの相手だと警戒したほうが良いだろう。それほどに危険性のある相手だ。
この間も、魔界でクーデターを起こし危うく国が乗っ取られるところだった。彼女の先輩であるギュービッドや『お姉ちゃん』であるチョコと3人だけでは手に余る程の実力を持つ。そして高い実力はカリスマとなる。大形と組んで、あるいは従って、あるいは利用してのし上がろうとする野心のある連中と結びつくことで、国を2つに分断することすらやってのけるだろう。
(たとえ大形がいないとしても、今のこの状況がまずい。相手が黒魔女じゃないなら時間を巻き戻せばなんとかなるんだけどなあ。)
考えれば考えるほど障害は多くなる。首輪をトントンとつつき続けながら桃花は思考を続ける。煩わしい頭痛を感じながら、一番の問題はこの首輪だと結論を出した。
(この首輪、わずかですが魔力を感じます。隠されてこれなのか、それとも元々このくらいの魔力なのか。)
(でも、問題は『魔力が使われていない機械』。たぶんこういうのってカメラとかマイク付いてますよね。それだけでもめんどくさいけど、本当にマズいのは『時計』だよ……)
(でも、問題は『魔力が使われていない機械』。たぶんこういうのってカメラとかマイク付いてますよね。それだけでもめんどくさいけど、本当にマズいのは『時計』だよ……)
桃花だけでなく、魔女学校を卒業した黒魔女ならば、この状況はなんとかできる。
時間を巻き戻せたり様々な幻術を使える黒魔女からすれば、いくらでもやりようはあるのだ。
そのやりようを封じられたのがこの首輪だ。
黒魔女の使う黒魔法は、呪文や身振りを必要とする。強力なものほど準備は煩雑なものになり、常に監視されているなかでそれをやるのは困難だ。
そして一番の問題は内部と外部の時計だ。これがなければ今すぐにでもなんとかできるかもしれない。
時間巻き戻し魔法で殺し合いが始まる前に戻る。そして準備段階の主催者をシメるこれで終わりだ。
しかしそれは、とても簡単な仕掛けで無効化されてしまえる。
首輪に時計を仕掛けておいて、会場にも電波時計を仕掛けておく。
首輪ごと巻き戻れば2つの時計は狂うので、時間を操作したとすぐにわかるのだ。
これが家なら単に首輪の時計の時間が正しいものへと変えられるだけだろうが、バトルロワイアルの場なら待っているのは首輪作動だろう。
時間を巻き戻せたり様々な幻術を使える黒魔女からすれば、いくらでもやりようはあるのだ。
そのやりようを封じられたのがこの首輪だ。
黒魔女の使う黒魔法は、呪文や身振りを必要とする。強力なものほど準備は煩雑なものになり、常に監視されているなかでそれをやるのは困難だ。
そして一番の問題は内部と外部の時計だ。これがなければ今すぐにでもなんとかできるかもしれない。
時間巻き戻し魔法で殺し合いが始まる前に戻る。そして準備段階の主催者をシメるこれで終わりだ。
しかしそれは、とても簡単な仕掛けで無効化されてしまえる。
首輪に時計を仕掛けておいて、会場にも電波時計を仕掛けておく。
首輪ごと巻き戻れば2つの時計は狂うので、時間を操作したとすぐにわかるのだ。
これが家なら単に首輪の時計の時間が正しいものへと変えられるだけだろうが、バトルロワイアルの場なら待っているのは首輪作動だろう。
(ちょっと思いつくレベルでもこれ。しかも、別に時計とか仕掛けてなくても、首輪に付いてるだろう発信機が動かなくなったらズガン!っていうのもあり。さすがにそれだと抜け穴がなさ過ぎるからやめてほしいなあ。)
なまじ自分が人に似たようなものを付けているからわかる。こういったものは絶対に外させないと思えば絶対に外れないように作れる。万が一外れてもどうにかなるように作る。
大形の場合は諸般の事情でぬいぐるみにしなければならなかった上に、大形本人の潜在能力が高過ぎて隙が産まれてしまったが、それをこの首輪に期待するのは甘い見通しだ。
そしてもう一つの課題。
大形の場合は諸般の事情でぬいぐるみにしなければならなかった上に、大形本人の潜在能力が高過ぎて隙が産まれてしまったが、それをこの首輪に期待するのは甘い見通しだ。
そしてもう一つの課題。
(先輩、あんまり機械に詳しくないからなあ……)
黒魔女は、人間界の機械に疎いのだ。
桃花の火の国の黒魔女は新しい物好きも多いので機械を扱うものもいるのだが、それは魔界のものだ。そして魔界のものは、黒魔法を前提としている。そのため科学を前提としている機械を同じように扱ってしまえば、どんなミスをするかわからない。
桃花は人間界のものはそこそこ広く浅く見識を深めているので首輪について考察できたが、これがギュービッドとなると嫌な予感がする。
ギュービッドは優秀な黒魔女だが、人間界のものへの興味は女児向けのマンガやゲームに向いている。人間の機械は黒魔女には想像できないようなものもあるとはわかっているだろうが、なにぶん勝ち気な性格なので無茶なことをしないとは限らない。というかする。絶対する。あの人から無茶をとったら無謀が残ってやっぱりする。
桃花の火の国の黒魔女は新しい物好きも多いので機械を扱うものもいるのだが、それは魔界のものだ。そして魔界のものは、黒魔法を前提としている。そのため科学を前提としている機械を同じように扱ってしまえば、どんなミスをするかわからない。
桃花は人間界のものはそこそこ広く浅く見識を深めているので首輪について考察できたが、これがギュービッドとなると嫌な予感がする。
ギュービッドは優秀な黒魔女だが、人間界のものへの興味は女児向けのマンガやゲームに向いている。人間の機械は黒魔女には想像できないようなものもあるとはわかっているだろうが、なにぶん勝ち気な性格なので無茶なことをしないとは限らない。というかする。絶対する。あの人から無茶をとったら無謀が残ってやっぱりする。
(本当に、首輪さえ外せればなんとかなるのに。それが一番むずかしい。)
現在、桃花が持ち込めてたのは杖とダイナマイトが一つずつ。これでもマシな方だが、欲を言えば黒魔女のゴスロリが欲しかった。黒魔女の服には、黒魔法を使うほどに魔力を帯びて使いやすくなるという特性がある。経験豊富で実力もある黒魔女のドレスは、相性はあるだろうが基本的にはお手軽な強化アイテムである。ゆえに黒魔女は同じ服を着続ける。
しかし今の桃花は、桃花・ブロッサムの姿ではなく大形桃としての姿。人間では毎日同じ服を着ているわけにはいかないので着替えなくではならず、ほとんど黒魔法の助けにならない。
しかし今の桃花は、桃花・ブロッサムの姿ではなく大形桃としての姿。人間では毎日同じ服を着ているわけにはいかないので着替えなくではならず、ほとんど黒魔法の助けにならない。
(……来た。)
悩ましいことは多いが、桃花はかすかに聞こえてきた足音に考えることを一旦やめた。
聞き耳魔法で捉えた足音は上階からだ。考えをまとめるためにこのホームからほとんど動いていないので様子はわからない。そろそろ動くべきだろう。
桃花は髪を整えると女子小学生らしさをイメージして歩き出す。
聞き耳魔法で捉えた足音は上階からだ。考えをまとめるためにこのホームからほとんど動いていないので様子はわからない。そろそろ動くべきだろう。
桃花は髪を整えると女子小学生らしさをイメージして歩き出す。
(この姿で良かったことは人から警戒されないことぐらいかな。)
(文字が読めねえ……識字障害を引き起こす薬物でも使われたか?)
(の割には、銃の文字は読める。クソッ、頭がおかしくなりそうだ。)
(の割には、銃の文字は読める。クソッ、頭がおかしくなりそうだ。)
黒尽くめの角張った顔の男は、慎重に地下街を歩く。
黒いスーツに黒いサングラスという出で立ちは、手に持つウージーと合わせてマフィアにしか見えない。実際そのとおりの稼業なので、人に会った時の対応を考えながら、ウォッカはエスカレーターの前で止まった。
ウォッカは黒の組織と呼ばれる謎の犯罪結社に所属する。なんならかなりの高位の幹部の右腕だ。
そんな彼にとってこの殺し合いは己の正気を疑わざるを得ない状況だ。
首輪にあるという人間を固める薬物はいい。おそらく似たようなものは組織にもある。この一つも日本語が使われていない地下街も、薬物の影響と納得できる。問題は、自分がそれに巻き込まれたことだ。
当然だが、ウォッカにこんなものに巻き込まれる覚えは無いし、巻き込まれた覚えも無い。全くわからないうちに拉致される。そのことに戦慄していた。ウォッカは拉致する側であり、自分がそうならないような対策にも当然心得がある。それを全く無力化してのこれ。まるで素人同然な有り様に、動揺を顔に出さないようにするのが精一杯だ。
黒いスーツに黒いサングラスという出で立ちは、手に持つウージーと合わせてマフィアにしか見えない。実際そのとおりの稼業なので、人に会った時の対応を考えながら、ウォッカはエスカレーターの前で止まった。
ウォッカは黒の組織と呼ばれる謎の犯罪結社に所属する。なんならかなりの高位の幹部の右腕だ。
そんな彼にとってこの殺し合いは己の正気を疑わざるを得ない状況だ。
首輪にあるという人間を固める薬物はいい。おそらく似たようなものは組織にもある。この一つも日本語が使われていない地下街も、薬物の影響と納得できる。問題は、自分がそれに巻き込まれたことだ。
当然だが、ウォッカにこんなものに巻き込まれる覚えは無いし、巻き込まれた覚えも無い。全くわからないうちに拉致される。そのことに戦慄していた。ウォッカは拉致する側であり、自分がそうならないような対策にも当然心得がある。それを全く無力化してのこれ。まるで素人同然な有り様に、動揺を顔に出さないようにするのが精一杯だ。
(情けねえ。これじゃあ組織に戻っても消されちまうぜ……)
暗澹たる思いでエスカレーターを降りる。自分でも無警戒な振る舞いで駅の改札まで来た。別にヤケを起こしたわけではない。あまりにプロっぽい動きをしてしまうと交渉にならないからだ。
ウォッカとしては、とりあえず人と会いたい。殺し合いといってもはいそうですかと直ぐに殺人を選ぶ人間は少ないだろう。いたとしても返り討ちできるので、わざと弱そうに歩く。相手がこちらをチンピラとみなして撃ってくるよつならカウンタースナイプするし、誘っているとわかるような相手なら交渉に持ち込み、怯えるほどに弱い相手なら保護を申し出る。本当に強い同業者なら何もできずに殺されるだろうが、その時は自分の不運を笑おう。
ウォッカとしては、とりあえず人と会いたい。殺し合いといってもはいそうですかと直ぐに殺人を選ぶ人間は少ないだろう。いたとしても返り討ちできるので、わざと弱そうに歩く。相手がこちらをチンピラとみなして撃ってくるよつならカウンタースナイプするし、誘っているとわかるような相手なら交渉に持ち込み、怯えるほどに弱い相手なら保護を申し出る。本当に強い同業者なら何もできずに殺されるだろうが、その時は自分の不運を笑おう。
「なんだこの路線図……こんな地下鉄あったか?」
ウォッカは横目で見ながらそう言うと改札脇の駅員窓口前を通り抜けた。
記憶力に優れるとはいえ、さすがに日本の地下鉄全ての路線図が頭に入っているわけではない。だが違和感を感じるには充分だった。一度もこの路線図は見たことがない。それはわかる。
頭に引っかかったが、すぐに他のことに考えを割くことになった。人の気配を感じる。サングラスの下で視線が揺れる。エスカレーターだ。そこから上がってきたのは。
記憶力に優れるとはいえ、さすがに日本の地下鉄全ての路線図が頭に入っているわけではない。だが違和感を感じるには充分だった。一度もこの路線図は見たことがない。それはわかる。
頭に引っかかったが、すぐに他のことに考えを割くことになった。人の気配を感じる。サングラスの下で視線が揺れる。エスカレーターだ。そこから上がってきたのは。
(ガキか。あの首輪をしてるってことは。)
「あ、オジサン!」
「あ、オジサン!」
出会ったのは女子小学生だった。年齢は毛利小五郎の娘の側によくいる子供ぐらいか。良く言えばハツラツとした感じの、悪く言えばクソガキである。
「あのね、桃ね、気がついたらね、一人だったの。ケータイ貸してくれない?」
「そうか、そいつぁ大変だ。だが悪いなぁ、オジサンも迷子だし、電話も通じねえのよ。」
「そんなぁ……」
「そうか、そいつぁ大変だ。だが悪いなぁ、オジサンも迷子だし、電話も通じねえのよ。」
「そんなぁ……」
嬉し気な顔が一転して陰り、小さな手でスカートを掴む。その目に涙が溢れてくるのを見て、ウォッカは出目で言えば『4』ぐらいかと思った。
幼女と行動を共にすることにはメリットとデメリットがある。
メリットは他の人間への第一印象を良くできること。自分の強面さはわかっているので、アクセサリーとしての価値は高い。
デメリットは足手まといなこと。隠密行動にも戦闘行動にも多大な障害となるだろう。
幼女と行動を共にすることにはメリットとデメリットがある。
メリットは他の人間への第一印象を良くできること。自分の強面さはわかっているので、アクセサリーとしての価値は高い。
デメリットは足手まといなこと。隠密行動にも戦闘行動にも多大な障害となるだろう。
(サイコロで言うなら『4』ってところですかね。)
ウォッカが値踏みするのと同じように、幼女こと桃花・ブロッサムもウォッカを値踏みする。
一目見てすぐに闇の気配を感じたが、とりあえずは殺る気はないようだ。なら問題は無い。桃花は『子供を保護してくれる大人』という価値を提供し、『矢面に立つ大人』という価値を頂く。
だがその立ち振る舞いには気になるところがあった。男はあまりに堂々と歩いていた。考えられるのは警戒心のない馬鹿か、そう装うタヌキ、気にする必要のない化物か。
一目見てすぐに闇の気配を感じたが、とりあえずは殺る気はないようだ。なら問題は無い。桃花は『子供を保護してくれる大人』という価値を提供し、『矢面に立つ大人』という価値を頂く。
だがその立ち振る舞いには気になるところがあった。男はあまりに堂々と歩いていた。考えられるのは警戒心のない馬鹿か、そう装うタヌキ、気にする必要のない化物か。
(ボロを出さないように気をつけないと。)
(このガキ、何かがおかしい。)
(このガキ、何かがおかしい。)
そして桃花が警戒するように、ウォッカも桃花を警戒する。
それは直感だった。何かがおかしい。何かが違う。
それは直感だった。何かがおかしい。何かが違う。
(おかしいが……そう思うことがおかしいかもしれねえ。チクショウ、自分の正気を疑わなきゃなんねえってのはやりにくすぎるぜ。)
だがその直感を信じきれない。
元々ウォッカはロジックで考えていくタイプだ。そのロジックが前提から揺さぶられると動きがとれない。
元々ウォッカはロジックで考えていくタイプだ。そのロジックが前提から揺さぶられると動きがとれない。
((とにかく、正体がバレないように動く。))
心中でどう相手を騙すかを考えながら黒い2人は自己紹介を始めた。
【0011 『南部』駅ビル】
【ウオッカ@名探偵コナン 純黒の悪夢(名探偵コナンシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
●小目標
桃(桃花)を利用する。
【目標】
●大目標
生き残る。
●小目標
桃(桃花)を利用する。