「なんてことだ……なんてことだ……」
温泉旅館で浴衣姿の少女、天照和子は怯えていた。
高級そうな内装にはそれにふさわしい家具があり、材質はわからないがなんか高そうな小机の上には、これまた高そうな籠に入れられたおかしがいくつかある。
その空き袋を震える手でつまむと中を呆然と見る。
当然だが、空き袋なのだから中身は無い。
ではそれがどこに行ったかと言えば、和子の体内。
つまり、おかしを食べたのは他ならぬ彼女であり──
高級そうな内装にはそれにふさわしい家具があり、材質はわからないがなんか高そうな小机の上には、これまた高そうな籠に入れられたおかしがいくつかある。
その空き袋を震える手でつまむと中を呆然と見る。
当然だが、空き袋なのだから中身は無い。
ではそれがどこに行ったかと言えば、和子の体内。
つまり、おかしを食べたのは他ならぬ彼女であり──
「ヨ、ヨモツへグイだーっ!?」
絶望的な叫び声を上げると、ガックリと机にうつ伏せになった。
天照和子は歴女である。
家には大河ドラマのBOXが並び、口を開けば歴史のことか最低限の事務的なこと、無論友だちはおらずそもそも歴友以外を求めていない。
そう、歴史だ。悠久の歴史ロマンのみが彼女の心を踊らせるものだ。専門は戦国だが、幕末もイける口だ。もちろんそれ以外の日本史も囓っている。この分野なら大学の授業でだってこなせるぐらいだ。
そしてそれほどの知識があれば、当然日本神話も理解している。というかもはや常識レベルだと思っている。
というわけで、『死後の国で食べ物を口にすると帰ってこれなくなる』という、日本はもちろん世界中の神話に見られる伝承も理解しているわけで。
家には大河ドラマのBOXが並び、口を開けば歴史のことか最低限の事務的なこと、無論友だちはおらずそもそも歴友以外を求めていない。
そう、歴史だ。悠久の歴史ロマンのみが彼女の心を踊らせるものだ。専門は戦国だが、幕末もイける口だ。もちろんそれ以外の日本史も囓っている。この分野なら大学の授業でだってこなせるぐらいだ。
そしてそれほどの知識があれば、当然日本神話も理解している。というかもはや常識レベルだと思っている。
というわけで、『死後の国で食べ物を口にすると帰ってこれなくなる』という、日本はもちろん世界中の神話に見られる伝承も理解しているわけで。
で、その手にあるのはおかし。おかし。おーかーしー。あとついでにコーヒー牛乳。
「もう終わりだぁ……帰れない……」
旅館でくつろいでしまったことで禁忌をおかしたと知り、和子はさめざめと泣いていた。
「そんな気にしてもしかたないですよ。ほら、ボクも食べてますし、ヘーキヘーキ、ヘーキだから。」
「鬼と人間を一緒にしないでください! 故郷から出られなくなるのと日本に帰れなくなるのじゃ全然違います! もう終わりだぁ!」
「鬼と人間を一緒にしないでください! 故郷から出られなくなるのと日本に帰れなくなるのじゃ全然違います! もう終わりだぁ!」
いつの間にかあずきバーを囓りつつ部屋にいた鈴鬼に反論すると、またおいおいと泣き始めた。
「まあまあ落ち着いてください。まだここが地獄とかそういうのとは決まったわけじゃありませんよ。どっちかっていうと生地獄です。」
「結局地獄じゃないですか!」
「どのみち飲まず食わずで殺し合いなんてできませんよ。3日も経てば戦わなくても死んじゃいます。覚悟決めて食べて飲んだ方が気が楽ですよ。」
「うぅ……なんのなぐさめにもなってません……」
「結局地獄じゃないですか!」
「どのみち飲まず食わずで殺し合いなんてできませんよ。3日も経てば戦わなくても死んじゃいます。覚悟決めて食べて飲んだ方が気が楽ですよ。」
「うぅ……なんのなぐさめにもなってません……」
早くも心が折れそうな和子。
を、放っといて鈴鬼は神経をとがらせる。
彼には人を招く力がある。
彼が居候している春の屋旅館にやたら濃いお客さんが来るのは、だいたい彼のせいである。
なんならそれ以外のトラブルとかも彼に依るところが大きい。
若おかみであるおっこが巻き込まれた事故のように、当然例外はあるのだが、鈴鬼はトラブルメーカーでありトリックスターであった。
さて、そんな嵐を呼ぶ男である彼は今現在、力を使っていない。
当たり前だ。こんな場所でふだんのように人を集めたら、寄ってくるのは殺し合いに乗った人間か、あるいはそれよりもヤバイ人外だろう。
なのに、なんとなくだが、嫌な予感がする。
そういう感覚があるわけではない。だが、経験と直観ともよぶべきものがとんでもないことが起きそうな気がしてきた。
さてこれを今の和子にどう話したものかと頭をひねる鈴鬼の耳に、物音が聞こえてきた。
を、放っといて鈴鬼は神経をとがらせる。
彼には人を招く力がある。
彼が居候している春の屋旅館にやたら濃いお客さんが来るのは、だいたい彼のせいである。
なんならそれ以外のトラブルとかも彼に依るところが大きい。
若おかみであるおっこが巻き込まれた事故のように、当然例外はあるのだが、鈴鬼はトラブルメーカーでありトリックスターであった。
さて、そんな嵐を呼ぶ男である彼は今現在、力を使っていない。
当たり前だ。こんな場所でふだんのように人を集めたら、寄ってくるのは殺し合いに乗った人間か、あるいはそれよりもヤバイ人外だろう。
なのに、なんとなくだが、嫌な予感がする。
そういう感覚があるわけではない。だが、経験と直観ともよぶべきものがとんでもないことが起きそうな気がしてきた。
さてこれを今の和子にどう話したものかと頭をひねる鈴鬼の耳に、物音が聞こえてきた。
(早すぎますね。ボクの勘じゃそんなもんでしょうけど、これはもう旅館に入られている……)
「今の音は?」
「今の音は?」
和子には見えないように──眼鏡を外している彼女にはどのみち見えないのだが──鈴鬼は渋い顔をする。
和子も立ち直ったわけではないが気づいたようだ。
冷や汗が出るのを感じながら、鈴鬼は言葉を選ぶ。パニックにさせてはいけないが、危険な人物かもしれないのだ、逃げるように言わなければならない。
和子も立ち直ったわけではないが気づいたようだ。
冷や汗が出るのを感じながら、鈴鬼は言葉を選ぶ。パニックにさせてはいけないが、危険な人物かもしれないのだ、逃げるように言わなければならない。
(下手に話しても和子さんは賢そうだからバレますね。ここは、素直に。)
「誰か来たんでしょうか。それとも野生動物ですか。見てきますね。」
「ま、待った。危なくないか。」
「ボクの姿はふつうの人には見えないのでご安心を。ただ、そうですね、何かあると怖いので、ボクの鈴を持って裏口に向かってもらえませんか。わっこさんに運んでもらわないと素早く動けないんです。」
「わかった……よし、やるぞぉ、行くぞぉ……」
「まずは逃げ道を確保しておきましょう。ボクが先に行って調べますんで、着いてきてください。裏口まで行ったら旅館の中を調べます。さあ、行きましょう。」
「ま、待った。危なくないか。」
「ボクの姿はふつうの人には見えないのでご安心を。ただ、そうですね、何かあると怖いので、ボクの鈴を持って裏口に向かってもらえませんか。わっこさんに運んでもらわないと素早く動けないんです。」
「わかった……よし、やるぞぉ、行くぞぉ……」
「まずは逃げ道を確保しておきましょう。ボクが先に行って調べますんで、着いてきてください。裏口まで行ったら旅館の中を調べます。さあ、行きましょう。」
逃げ足の早さには定評のある鈴鬼だ。旅館内の逃走経路も頭に入っている。
小鬼であることを活かして密やかに和子の前を進むと、聞き耳を立てたりふすまを微かに開けたりして確かめていく。
結果は、ビンゴ。
小鬼であることを活かして密やかに和子の前を進むと、聞き耳を立てたりふすまを微かに開けたりして確かめていく。
結果は、ビンゴ。
(この音は、まさか、鎧?)
聞こえてきた物音の正体がわかった。鎧だ。ガチャガチャ感が鎧っぽい。
ウソだろと思いつつ廊下の角から覗く。目に入ったのは、どう見ても落ち武者だった。
ウソだろと思いつつ廊下の角から覗く。目に入ったのは、どう見ても落ち武者だった。
(落ち武者? なんで落ち武者? え、この殺し合いって『和』がテーマだったりします?)
「誰だ! そこかあっ!」
(ゲェッ! 勘が鋭い!)
「誰だ! そこかあっ!」
(ゲェッ! 勘が鋭い!)
突然落ち武者は叫ぶと、鈴鬼目掛けて走り出した。
落ち武者の名は、明智光秀。三日天下状態でいっぱいいっぱいの彼は、視線や気配に敏感になっている。ふだんなら単なる思い込みなのだが、今回は鈴鬼という明確な存在がいたためにたまたま勘が当たっていた。
落ち武者の名は、明智光秀。三日天下状態でいっぱいいっぱいの彼は、視線や気配に敏感になっている。ふだんなら単なる思い込みなのだが、今回は鈴鬼という明確な存在がいたためにたまたま勘が当たっていた。
(これはヤバい! 見えているのか、なら戻れない、声も出せない、和子さん逃げてっ!)
走る鈴鬼の後ろから迫る光秀。自分に気づいている、という想定で動くしかない。和子の方に向かわせないように、わざと足音を立て、ふすまを開け放って逃げる。が、それは失策。光秀は鈴鬼に勘づいてはいるが、姿は見えていない。そもそも判断能力が正常ではない。
(なにっ。そっちは和子さんの方──)
結果、光秀が向かったのは、和子の隠れる方。
一気に鈴鬼からの血の気が引く。
光秀の腰には武者らしく当然刀。そして手には拳銃。対する和子は丸腰の上にメンタルも落ち込んでいる。
一気に鈴鬼からの血の気が引く。
光秀の腰には武者らしく当然刀。そして手には拳銃。対する和子は丸腰の上にメンタルも落ち込んでいる。
「くっ、かかってこい! 落ち武者!」
「刺客かあっ!」
「刺客かあっ!」
声を上げて誘導しようとするが、光秀は止まらない。
歯を噛み締める。頭に浮かぶのは最悪の展開。
やむを得ず鈴鬼は光秀を追う。こうなったら力づくで止めるしかない。小鬼の鈴鬼にできることはないだろうがやるしかない。
しかし、それは不可能。そもそも小鬼の彼では、光秀に追いつくことすらできない。
歯を噛み締める。頭に浮かぶのは最悪の展開。
やむを得ず鈴鬼は光秀を追う。こうなったら力づくで止めるしかない。小鬼の鈴鬼にできることはないだろうがやるしかない。
しかし、それは不可能。そもそも小鬼の彼では、光秀に追いつくことすらできない。
「お前は──!」
「あ、貴方は──!」
「あ、貴方は──!」
遅かった。目の前が暗くなる。しかし、鈴鬼に聞こえてきたのは、弾むような和子の声だった。
「明智光秀殿!」
「なんとかなるもんですね。」
数分後、先ほど鈴鬼達がいた一室に、3人はいた。
目に見えて機嫌が良くなっている和子と、目に見えて警戒している明智光秀と、どうしたものかと見比べている鈴鬼である。
経験が生きた、と言うべきか、和子は光秀に剣を納めさせることに成功していた。この殺し合いに巻き込まれる前も、記憶を失い自らが何者かを忘れていた織田信長の亡霊を鎮めることができた彼女だからできたことである。
とはいえ、できたのは和子が問答無用で殺されるのを防ぐところまで。いつでも斬りかかれるように柄に手をかけたままの光秀に対して、和子は正座のまま語りかけた。
目に見えて機嫌が良くなっている和子と、目に見えて警戒している明智光秀と、どうしたものかと見比べている鈴鬼である。
経験が生きた、と言うべきか、和子は光秀に剣を納めさせることに成功していた。この殺し合いに巻き込まれる前も、記憶を失い自らが何者かを忘れていた織田信長の亡霊を鎮めることができた彼女だからできたことである。
とはいえ、できたのは和子が問答無用で殺されるのを防ぐところまで。いつでも斬りかかれるように柄に手をかけたままの光秀に対して、和子は正座のまま語りかけた。
「つまり、光秀様。私は貴方からみて四百年ほど後の時代から来たのです。おそらく、あの奇っ怪なウサギは時間を越えて私たちをこの地獄のような場所に集めたのではないでしょうか。」
「……ここが地獄やもしれぬのは認めよう。」
「……ここが地獄やもしれぬのは認めよう。」
緊張はしつつもどこか興奮した様子でそう言う和子に、光秀は苦々しげに認める。正気を失っているとはいえ、赤い空に赤い霧となれば自分が地獄にいるという話は受け入れられないものではない。未来についてはともかく、自分たちが元いた場所からさらわれ殺し合わされているということを、光秀は納得した。
だがそれで和子を殺さない理由ができたわけではない。むしろ逆、落武者狩り以上に状況が危険であると理解したことで、光秀の殺意が研ぎ澄まされる。そう、今のこの会話は話し合いではなく、光秀から和子への尋問である。
だがそれで和子を殺さない理由ができたわけではない。むしろ逆、落武者狩り以上に状況が危険であると理解したことで、光秀の殺意が研ぎ澄まされる。そう、今のこの会話は話し合いではなく、光秀から和子への尋問である。
「光秀様、私は死にたくもありませんし殺し殺されもしたくありません。貴方様にも。私とこのたわけた企みを止めていただけませんか? 信用できないのなら縄で縛って頂いても構いません。光秀様のお側で働かせてください。」
その上で和子は自分を売り込む。その言葉に嘘は無い。光秀に殺し合いの参加者になってほしくない。だって戦国武将が殺し合いとかもったいなさすぎる。ご本人登場ならどこかお寺とかそういうところで茶会でも開いて根掘り葉掘り生の戦国トークを聞きたい。
その熱意を感じ、和子の利用価値を考え、そしてなにより和子の脅威を考え光秀は逡巡する。今の光秀にとって全ては自分の脅威となるか否かが最大の問題だ。これまで散々に秀吉の手の者どころか報奨金目当ての農民(と光秀が思ってる)たちに襲われ、戦国時代の平均的な女性と同じ程度の体格の和子へも警戒を緩めることはない。
畳に頭を擦りつけ懇願する和子相手にも全く気を緩めず、むしろ罠ではないかと気を配る。故にその鋭敏になった聴覚は、その場の誰よりも真っ先に足音を捉えた。
その熱意を感じ、和子の利用価値を考え、そしてなにより和子の脅威を考え光秀は逡巡する。今の光秀にとって全ては自分の脅威となるか否かが最大の問題だ。これまで散々に秀吉の手の者どころか報奨金目当ての農民(と光秀が思ってる)たちに襲われ、戦国時代の平均的な女性と同じ程度の体格の和子へも警戒を緩めることはない。
畳に頭を擦りつけ懇願する和子相手にも全く気を緩めず、むしろ罠ではないかと気を配る。故にその鋭敏になった聴覚は、その場の誰よりも真っ先に足音を捉えた。
「何者だっ!」
「み、光秀サヴァ!?」
「み、光秀サヴァ!?」
光秀が突如として駆け出し、和子は慌てて追おうとしてすっ転んだ。足が正座で痺れている。ふだんならこんな無様なことはないのだが、緊張があったのだろう、ものの見事に力が入らない。やむを得ず這っていくと、光秀は縁側から庭園に飛び出していた。その先には、中学生ほどの女子。
まずい、このままでは殺されてしまう。そう思い叫ぼうとして、「ぷむっ!?」と奇声が出た。口が寸前で閉じた。誰に?と思う間もなく、視界に現れたのは褐色の小さな手。それが鈴鬼のものだとわかるのと声が聞こえたのは同時であった。
まずい、このままでは殺されてしまう。そう思い叫ぼうとして、「ぷむっ!?」と奇声が出た。口が寸前で閉じた。誰に?と思う間もなく、視界に現れたのは褐色の小さな手。それが鈴鬼のものだとわかるのと声が聞こえたのは同時であった。
「わっこさん、逃げましょう。」
逃げるってそんな、そんなことできない。そうモゴモゴと言い、同時に目で訴える和子に、鈴鬼は真剣な表情で続けて言った。
「あの女の子はヤバイです。さあ早く。」
女の子がヤバイ。その言葉の意味を、和子このあとはすぐに理解することとなる。
「あああああっ!」
鈴鬼の剣幕に押され、ズリズリと這って後退る和子の目は、聞こえてきた叫び声でもう一度庭園に向く。灯籠でかすかに明るくなった辺りにいた制服姿の少女は、何事か言いながら「あっちゃー」という感じのリアクションをとる。
次の瞬間、少女が消えた。
次の瞬間、少女が消えた。
「そこかっ!」
叫ぶ光秀。振るわれる刀。倒れる灯籠。
そして、破裂音と共に光秀の首が急にこちらを向いた。
和子と目が合う。
しかしそこには、既に光が無かった。
そして、破裂音と共に光秀の首が急にこちらを向いた。
和子と目が合う。
しかしそこには、既に光が無かった。
「そんなっ……そん……」
倒れた灯籠から火が上がり、にわかに明るくなる。それでもなお薄暗い闇の中で、ゆっくりと膝から崩れ落ちる光秀の姿を見て、和子は言葉を失った。
光秀の首はありえない方向を向いていた。
光秀の首はありえない方向を向いていた。
「和子さん……声を出さず……着いてきてください……」
鈴鬼のその言葉は、直前に聞こえた音で届かなかった。
灯籠の倒れた音に続いて起こったその音は、和子も小学校で聞いたことのあるものだ。
ジャングルジムなどの遊具の高いところから飛び降りた音。
その特に珍しくもない音が異様な大きさで聞こえてきたのだ。
そして和子は見た。
灯籠からの炎で照らされながら少女が着地し、何食わぬ顔で光秀の首を踏み砕くのを。
灯籠の倒れた音に続いて起こったその音は、和子も小学校で聞いたことのあるものだ。
ジャングルジムなどの遊具の高いところから飛び降りた音。
その特に珍しくもない音が異様な大きさで聞こえてきたのだ。
そして和子は見た。
灯籠からの炎で照らされながら少女が着地し、何食わぬ顔で光秀の首を踏み砕くのを。
「明智光秀だっけ。手加減できなくてうっかり殺しちゃったよ。マーダー候補だったのになぁ。」
和子たちには気づかず、少女は光秀の絶命を確認する。その口調に後悔はあれど、人を殺したことへの後ろめたさなど微塵に感じさせないものだった。
それもそうだろう。彼女がデスゲームに参加することは初めてではない。それどころか、彼女は『こういうこと』のプロである。
それもそうだろう。彼女がデスゲームに参加することは初めてではない。それどころか、彼女は『こういうこと』のプロである。
少女の名前はピース・ホワイト。
『トモダチデスゲーム』のジョーカーであり、このバトル・ロワイアルにおけるジョーカーである。
『トモダチデスゲーム』のジョーカーであり、このバトル・ロワイアルにおけるジョーカーである。
灯籠で三角跳びをして光秀の斬撃を躱し、カウンターの飛び回し蹴りで顎を蹴り抜き首をへし折る。
いとも容易くそれをやってのけたピースは、光秀から武器を奪いながら考える。
彼女の役目は当然マーダーだが予定と少し違った。どういうわけか森の中に配置されてしまい、ようやく人の気配を感じて旅館に行けば勘づかれてマーダーに襲われてしまった。
素手での戦闘は得意だが森歩きや隠密行動はそこまででもない彼女では仕方がない面はあるものの、予想とは違う展開だ。光秀が相手というのは都合が悪い。下手に剣の心得がある上に武装していたため手加減もできずに殺す他なかった。これじゃあ自分の仕事が増えちゃうなあと肩をすくめる。このあたりの子供は光秀に襲わせる予定と聞いていたので、その分の穴埋めを考えなくてはならない。
いとも容易くそれをやってのけたピースは、光秀から武器を奪いながら考える。
彼女の役目は当然マーダーだが予定と少し違った。どういうわけか森の中に配置されてしまい、ようやく人の気配を感じて旅館に行けば勘づかれてマーダーに襲われてしまった。
素手での戦闘は得意だが森歩きや隠密行動はそこまででもない彼女では仕方がない面はあるものの、予想とは違う展開だ。光秀が相手というのは都合が悪い。下手に剣の心得がある上に武装していたため手加減もできずに殺す他なかった。これじゃあ自分の仕事が増えちゃうなあと肩をすくめる。このあたりの子供は光秀に襲わせる予定と聞いていたので、その分の穴埋めを考えなくてはならない。
「うわ、血で汚れてるよ。ま、旅館にも武器落ちてるけど持ってっとこ。このあたりは鬼とか剣豪とかいて面倒だしね。首輪に当てれるかはわかんないけど、動きを止めればさっきみたいに倒せるでしょ。」
なんてことのない様子で言うと、ピースは音を立てて駆け出す。ゲーム開始時の配置を考えれば、旅館には光秀以外もいる可能性がある。彼の仲間とは限らないが、どのみち皆殺しにする予定なのだ、どんな相手であれ殺すことに変わりない。
走る勢いのままに旅館に駆け上がり障子を蹴り倒して突入する。速度を落とすことなく室内をクリアリングすると、そのまま土足で襖を倒しながら進んだ。
そして唐突に止まる。畳に顔を近づけたピースの目の前には、彼女のものではない足跡。土足のまま上がったのだろうと直ぐに察する。そしてその前にある座布団にわずかに凹みを認め、手で触ってぬくもりを感じる。
走る勢いのままに旅館に駆け上がり障子を蹴り倒して突入する。速度を落とすことなく室内をクリアリングすると、そのまま土足で襖を倒しながら進んだ。
そして唐突に止まる。畳に顔を近づけたピースの目の前には、彼女のものではない足跡。土足のまま上がったのだろうと直ぐに察する。そしてその前にある座布団にわずかに凹みを認め、手で触ってぬくもりを感じる。
「まだ近いね。」
【0227 温泉旅館】
【天照和子@歴史ゴーストバスターズ 最強×最凶コンビ結成!?(歴史ゴーストバスターズシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
殺し合いから脱出する方法を探す。
●小目標
温泉旅館を脱出する。
【目標】
●大目標
殺し合いから脱出する方法を探す。
●小目標
温泉旅館を脱出する。
【鈴鬼@若おかみは小学生! 映画ノベライズ(若おかみシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
脱出を図る。
●中目標
自分の知る魔界の知識や集めた情報を残す。
●小目標
温泉旅館を脱出する。
【目標】
●大目標
脱出を図る。
●中目標
自分の知る魔界の知識や集めた情報を残す。
●小目標
温泉旅館を脱出する。
【ピース・ホワイト@トモダチデスゲーム 人を呪わば穴二つ(トモダチデスゲームシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
ジョーカーとしてバトル・ロワイアルを優勝する。
●小目標
温泉旅館にいた参加者を脱落させる。
【目標】
●大目標
ジョーカーとしてバトル・ロワイアルを優勝する。
●小目標
温泉旅館にいた参加者を脱落させる。
【脱落】
【明智光秀@映画刀剣乱舞@小学館ジュニア文庫】