いやいや悪い冗談でしょ。
そりゃ何度もお世話になった場所だけどさあ。
そりゃ何度もお世話になった場所だけどさあ。
「殺し合えって言われて気づいたら警察署ですか……シャレがきいてるのか何なのか……あっ、いいお茶使ってる。」
デスクや床に銃やら手榴弾やらがでーんと座っている部屋の中で、私、園崎魅音はお茶をすすっていた。
生活安全課の課長さんのらしい椅子に座って、おせんべいと一緒に口に入れる。うん、こっちはいまいちだな。醤油がくどい。
さて、なぜ私がこうしているかって言うと、そりゃもうパニックだからですよ、ええ。
こう見えても私、園崎魅音は園崎家の次期当主でして、その園崎っていうのは、いわゆる「ヤーさん」なわけで、まあ人殺しにも無縁じゃないですよ。言っちゃなんだけどオカルトな噂のある村で本当に人殺しちゃってる一家だし、地元の社会では表も裏も名が知れてるわけですし、殺し合いってことには、まあ、かなりビビってはいますけどわからなくもないんですよ。
だから私は、人は人が殺すって思ってました。本当に怖いのは鬼よりも人だって。
でも違いました。鬼、出てきました。
うちの村ではオヤシロ様っていう鬼みたいなのが人殺すとか攫うとか噂になってて、それはうちの家がやってることなんだけどなあって思ってたんですけど、本物の鬼いました。これどう受け止めるのが正解なの?
生活安全課の課長さんのらしい椅子に座って、おせんべいと一緒に口に入れる。うん、こっちはいまいちだな。醤油がくどい。
さて、なぜ私がこうしているかって言うと、そりゃもうパニックだからですよ、ええ。
こう見えても私、園崎魅音は園崎家の次期当主でして、その園崎っていうのは、いわゆる「ヤーさん」なわけで、まあ人殺しにも無縁じゃないですよ。言っちゃなんだけどオカルトな噂のある村で本当に人殺しちゃってる一家だし、地元の社会では表も裏も名が知れてるわけですし、殺し合いってことには、まあ、かなりビビってはいますけどわからなくもないんですよ。
だから私は、人は人が殺すって思ってました。本当に怖いのは鬼よりも人だって。
でも違いました。鬼、出てきました。
うちの村ではオヤシロ様っていう鬼みたいなのが人殺すとか攫うとか噂になってて、それはうちの家がやってることなんだけどなあって思ってたんですけど、本物の鬼いました。これどう受け止めるのが正解なの?
「鬼って実在するんだねえ。あんなマスコットみたいなのとは思わなかったよ。」
デスクの上に置いてあったタバコから一本咥えて、これもデスクの上に置いてあったライターで火をつけます。うん、マズい。臭い煙が肺の中に入ってきて、すぐ灰皿で消しました。
そのまま酸欠になった頭でぼーっと壁を見ます。掛けてある時計は0時半を指していました。30分ぐらいこんな感じでぼーっとしてたんですね。時間無駄にしすぎだろあたし。
さて……
そのまま酸欠になった頭でぼーっと壁を見ます。掛けてある時計は0時半を指していました。30分ぐらいこんな感じでぼーっとしてたんですね。時間無駄にしすぎだろあたし。
さて……
「夢かなって思ったけどぜんぜん覚めないな……ははっ、どうしよ。これがオヤシロ様かぁ……」
……どこからか聞こえてくる銃声が次第に連射されたものに変わって、音のバリエーションも増えた。叫び声も聞こえてくる。近くで銃撃戦が起こってるな、こりゃ。
いくら現実逃避したところで私のすぐそばで殺し合いは起きてて、そのとばっちりがいつ飛んできてもおかしくない場所に、私はいる。
──そのことに私は、デジャブと違和感を同時に覚えて、すすっていたお茶にむせた。
いくら現実逃避したところで私のすぐそばで殺し合いは起きてて、そのとばっちりがいつ飛んできてもおかしくない場所に、私はいる。
──そのことに私は、デジャブと違和感を同時に覚えて、すすっていたお茶にむせた。
なにかが、おかしい。
なにかが、変だ。
「あれ? なんだっけ、なにか、忘れてるような……」
言いようのない奇妙な感覚に、私は襲われている。
園崎魅音は、こんなわけのわからない状況を知っている気がする、忘れていたのを思い出したような感覚がある。
それはまるでいつも使ってる外開きの扉が内開きだったと思いだしたときみたいな、自分が今まで信じていたものが嘘で、常識を何故か忘れていたときのような、そんな経験したことのないものだ。
いつから変わった? 何が変わった?
園崎魅音は、こんなわけのわからない状況を知っている気がする、忘れていたのを思い出したような感覚がある。
それはまるでいつも使ってる外開きの扉が内開きだったと思いだしたときみたいな、自分が今まで信じていたものが嘘で、常識を何故か忘れていたときのような、そんな経験したことのないものだ。
いつから変わった? 何が変わった?
「……変だな、変になってる。」
息がいつの間にか荒くなってて、心臓の鼓動早くなる。私は急須からお茶をそそぐと、フーフーするのもそこそこに飲み干した。熱いお茶が喉からお腹へと落ちていく。それでもこの感覚は飲み込めそうになかった。
なんとなく遠くを眺めてしまう。赤い霧に覆われた街は、遠くの方で細く煙が上がっているのが見えた。別の部屋にはバズーカや迫撃砲まであったし、もしかしたらそういうのを使ったのかもしれない。
なんとなく遠くを眺めてしまう。赤い霧に覆われた街は、遠くの方で細く煙が上がっているのが見えた。別の部屋にはバズーカや迫撃砲まであったし、もしかしたらそういうのを使ったのかもしれない。
「これって、私みたいな筋者を参加者にしたってことなのかな? そういえばあの鬼が喋ってるときになんか侍みたいのがいたような……あれ? 私、前にもこのセリフ言わなかったっけ……? あぁもう! 頭重いし喉痒いし、オジサンには手に負えないよ、はぁ……」
おちゃらけてもため息してみても応えてくれる人は誰もいなくて。硬いコンクリの壁とか床に反響してるんじゃないかってぐらいしんとしている。
やってられないなあ。
でも、やらなきゃなぁ。
やってられないなあ。
でも、やらなきゃなぁ。
「……あー、もう、現実逃避はやめやめ。」
と言ってみたけれど、何をすればいいのかがわからない。世の中の人ってさ、殺し合いに巻き込まれた時に何すればいいのか知ってるもんなのかね? これが知ってる人や知ってる場所でもあればそれ目印にしようってなるけど、知らない街で知ってる人いないならどこにも行きようがない。
「誰か来た。」
なんて考えていたのに、気がついたら私は、自分でも引くぐらい冷たい声でつぶやいていた。刑事ドラマみたいにブラインドを指で折って外を見る。見間違えじゃない、二人来た。髪の長い女と、小柄な……っていうかあの背格好って……嘘でしょ……
「圭ちゃん?」
撃鉄を起こす。
ヤバい、泣きたい。こんなことってあるの? 会いたくない人が来た。なんでよりによって、知ってる人が巻き込まれてるかな。圭一がいるってことは、レナも、梨花ちゃまも、沙都子もいるかもしれないってことじゃん。
待て、園崎魅音。それはおかしい。決めつけるな。そうじゃないかも知れない。まずは今やるべきことを考えろ。
へたり込みそうな膝を立たせて、エレベーターまで走って、停めておいたからすぐ開いたドア入って、ボタン押した。ドジったな、これじゃこの階に誰かいますよって言ってるみたいじゃん。気が回ってなかった、最初に来たのが圭ちゃんで良かった、いや良くない。
ヤバい、泣きたい。こんなことってあるの? 会いたくない人が来た。なんでよりによって、知ってる人が巻き込まれてるかな。圭一がいるってことは、レナも、梨花ちゃまも、沙都子もいるかもしれないってことじゃん。
待て、園崎魅音。それはおかしい。決めつけるな。そうじゃないかも知れない。まずは今やるべきことを考えろ。
へたり込みそうな膝を立たせて、エレベーターまで走って、停めておいたからすぐ開いたドア入って、ボタン押した。ドジったな、これじゃこの階に誰かいますよって言ってるみたいじゃん。気が回ってなかった、最初に来たのが圭ちゃんで良かった、いや良くない。
「誰だっ!」
チン、という音と一緒に声が聞こえてきた。聞きたかったけど、聞きたくない声だ。
「圭ちゃん、ビビりすぎだよ。」
「そ、その声、魅音かっ!?」
「よっ、圭ちゃん。」
「そ、その声、魅音かっ!?」
「よっ、圭ちゃん。」
私が返事をしながら柱の影から出ると、圭ちゃんはわかりやすく動揺した。
それに苦笑しかけたけど、すぐに圭ちゃんの横にいる女の様子に気づいてそれどころじゃないってわかる。
それに苦笑しかけたけど、すぐに圭ちゃんの横にいる女の様子に気づいてそれどころじゃないってわかる。
「どうしたのそれ、誰にやられた?」
女は腕から血を流していた。だらんと垂れた指先からはポタポタと血が落ちている。2人の後ろには血痕が続いていた。
そして、2人とも話そうとしなかった。圭ちゃんはどう見ても挙動不審で、女の方も困ったような感じだった。
そして2人から微かに香るのは、硝煙の臭い。
誰かと戦ったってすぐにわかる。
そして、2人とも話そうとしなかった。圭ちゃんはどう見ても挙動不審で、女の方も困ったような感じだった。
そして2人から微かに香るのは、硝煙の臭い。
誰かと戦ったってすぐにわかる。
「こっちに来て。手当てしないと。私は園崎魅音、圭ちゃんの部活仲間です。」
「山田奈緒子です、東京で天才美人マジシャンをしていまして、あだっ。」
「マ、マジシャン、ですか。こっちです、救急箱を見つけてあるんで。」
「山田奈緒子です、東京で天才美人マジシャンをしていまして、あだっ。」
「マ、マジシャン、ですか。こっちです、救急箱を見つけてあるんで。」
自分で言うぐらいあってたしかに美人だ。私に負けないぐらい髪の毛ツヤツヤだし。
これは……下心があったね、間違いない。あとで圭ちゃんはシメる。
それは置いとくとして、私は山田さんが東京から拉致られたってとこに引っかかった。圭ちゃんもいるからてっきり雛見沢のみんなを集めたと思ったんだけど違うのかな? オヤシロ様はどうして山田さんを選んだんだ? それともこの殺し合いって、オヤシロ様とは関係ないのかな?
もっと話を聞かなきゃなんないけど、でもその前に。
これは……下心があったね、間違いない。あとで圭ちゃんはシメる。
それは置いとくとして、私は山田さんが東京から拉致られたってとこに引っかかった。圭ちゃんもいるからてっきり雛見沢のみんなを集めたと思ったんだけど違うのかな? オヤシロ様はどうして山田さんを選んだんだ? それともこの殺し合いって、オヤシロ様とは関係ないのかな?
もっと話を聞かなきゃなんないけど、でもその前に。
「この傷は、結構深いですね……弾丸が貫通してる。残ってるよりはマシだけどこれは……」
「ありがとう、えっと……園崎さん?」
「園崎魅音です。山田さん、何があったんですか?」
「……どこから話せばいいか……結論から言うと、私たちが銃撃戦をしたせいで子供を1人殺したかもしれません。」
「ありがとう、えっと……園崎さん?」
「園崎魅音です。山田さん、何があったんですか?」
「……どこから話せばいいか……結論から言うと、私たちが銃撃戦をしたせいで子供を1人殺したかもしれません。」
山田さんが絞り出すように言った。
思わず腕を止血帯で縛る力が入りすぎたけど、身動ぎするだけで何も言わなかった。
思わず腕を止血帯で縛る力が入りすぎたけど、身動ぎするだけで何も言わなかった。
「──なあ、そろそろ入っていいか?」
部屋の外から圭ちゃんの緊張した声がする。撃たれたところを手当てするのに上を脱いだほうがやりやすかったから追い出したけど、その声の感じはおかしかった。思春期だからとかそういう理由だったらどんなに良かったか。
小さな子供を撃ち殺したかもしれない。そんなことになったら、私だってああならないとは言い切れなかった。
小さな子供を撃ち殺したかもしれない。そんなことになったら、私だってああならないとは言い切れなかった。
「もういいよ。」
呼びかけた私に応えて扉が開くまでの時間が、嫌に長く感じられた。
それが私の心の問題なのか、圭ちゃんの心の問題なのか、今の私にはわからない。
小さく音を立ててドアノブが回って、圭ちゃんはゆっくり入ってきた。場所のせいもあって、まるで自首しに来た犯人みたいだった。
それが私の心の問題なのか、圭ちゃんの心の問題なのか、今の私にはわからない。
小さく音を立ててドアノブが回って、圭ちゃんはゆっくり入ってきた。場所のせいもあって、まるで自首しに来た犯人みたいだった。
「じゃあ、まずもっかい聞いとくけど、本当に他のメンバーとは会ってないんだね?」
私はいきなりその話題をすることは避けた。そもそも最初に聞きたかったのはこっちだったし。
「……あ、ああ。お前が初めてだ。この、こ、殺し合いが始まってすぐに山田さんと会って、そこから……」
「私たちが会ったのは、さっき話した子供だけです。」
「私たちが会ったのは、さっき話した子供だけです。」
圭ちゃんは力なく頷いた。
その顔はどんどん青くなってるようだった。
その顔はどんどん青くなってるようだった。
「わかった。こっちはずっと警察署にいたけど、圭ちゃんたちとしか会ってないよ。」
ここまでは会ったときに聞いたこと。あらためて確認する。ここからが、本当に聞きたいことだ。
「それで、山田さん、聞きたいんだけど、圭ちゃんが撃ち殺したかもしれないって本当?」
「魅音「圭ちゃんは黙ってて」……」
「魅音「圭ちゃんは黙ってて」……」
これは聞いておかなきゃいけないことだ。
この人のせいで圭ちゃんが人を殺した。
この人がいなければ、とは言わないけれど、でも真実は知っておかないと。
この人のせいで圭ちゃんが人を殺した。
この人がいなければ、とは言わないけれど、でも真実は知っておかないと。
「……撃ち殺してはないと思います。二人で警察署に向かっていたらあそこの交差点で子供たちと会いました。子供の一人がこちらに駆け寄ってきたら、その近くに銃撃があって、前原さんと子供たちの間で撃ち合いになったんです。お互いに弾切れになるまで撃ち合って、終わったら。」
「真ん中で男の子が、頭から血を流して死んでいた。圭ちゃん、合ってる?」
「あ、ああ! 銃を持った、女の子たちと会って、そしたら突然女の子たちと一緒にいた男の子がこっちに来て、そうしたらどこからか撃たれそうになって、それで撃ち合いが始まった……」
「そうしたら、男の子が。」
「ああ……頭から血を流してた……」
「真ん中で男の子が、頭から血を流して死んでいた。圭ちゃん、合ってる?」
「あ、ああ! 銃を持った、女の子たちと会って、そしたら突然女の子たちと一緒にいた男の子がこっちに来て、そうしたらどこからか撃たれそうになって、それで撃ち合いが始まった……」
「そうしたら、男の子が。」
「ああ……頭から血を流してた……」
……二人が言っていることはだいたい一緒だ。大きな違いはない。
あそこの交差点で、拳銃を持った女の子たちのグループと出会った。
そうしたらそのグルーブにいた小さい男の子がなぜか山田さんに駆け寄ってきた。
その男の子の近くに銃弾が飛んできた。
そのあと女の子たちに撃たれて、ショットガンを持ってる圭ちゃんが撃ち返した。
パニックになって弾切れになるまで撃ち合って、気がついたら男の子が死んでいた。
一つ一つ冷静に考えていく。
いちおう撃ったっていうショットガンも見た。
結論は、すぐに出た。
あそこの交差点で、拳銃を持った女の子たちのグループと出会った。
そうしたらそのグルーブにいた小さい男の子がなぜか山田さんに駆け寄ってきた。
その男の子の近くに銃弾が飛んできた。
そのあと女の子たちに撃たれて、ショットガンを持ってる圭ちゃんが撃ち返した。
パニックになって弾切れになるまで撃ち合って、気がついたら男の子が死んでいた。
一つ一つ冷静に考えていく。
いちおう撃ったっていうショットガンも見た。
結論は、すぐに出た。
「だから、山田さんは女の子が撃った弾丸が男の子を殺したって言いたいんですね。」
ハッと圭ちゃんは顔を上げた。
「ショットガン、つまり散弾銃の玉なら頭から血を流して死ぬなんてぐらいじゃすまない。交差点の出会い頭で、男の子が中間地点にいたなら数メートルぐらいの距離のはず。そんな近くにいる子供にショットガンを撃ったら、散弾が1発しか当たらないはずがない。」
「ええ。もし当たるなら、他の玉も当たるはずなんです。園崎さん、雛見沢には漁師はいますか。」
「言いたいことはわかりますよ。ジビエで見たこともある。散弾銃の玉は十何メートル離れてたってそんなに散らばるようなものじゃない。それなのにたまたま散らばった1発がたまたま頭に当たるはずがない。頭だけでなく顔や首や胸にも当たるはずなんですよ。」
「つまり、前原さんは殺していない。」
「ええ。もし当たるなら、他の玉も当たるはずなんです。園崎さん、雛見沢には漁師はいますか。」
「言いたいことはわかりますよ。ジビエで見たこともある。散弾銃の玉は十何メートル離れてたってそんなに散らばるようなものじゃない。それなのにたまたま散らばった1発がたまたま頭に当たるはずがない。頭だけでなく顔や首や胸にも当たるはずなんですよ。」
「つまり、前原さんは殺していない。」
私たちの答えに、圭ちゃんは目を見開いていた。
はぁはぁと大きく息をして、それが何分も続いて。
最後に両手を広げて顔を覆うと、大きなため息を一つついて。
はぁはぁと大きく息をして、それが何分も続いて。
最後に両手を広げて顔を覆うと、大きなため息を一つついて。
「……良かった……!」
そう言って泣き出した。
(そう、圭ちゃんはそっち側でいて。)
自分が人を殺したのではない、それがどれだけホッとすることか。
私の目の前で、その実例がいた。
これがふつうの反応なのだろう。園崎という家にいるから感覚が鬼によってしまっているけれど、ふつうはこうなるものなんだ。
誰だって人殺しにはなりたくないし、人殺しとは関わりたくない。
そう納得して私は。
私の目の前で、その実例がいた。
これがふつうの反応なのだろう。園崎という家にいるから感覚が鬼によってしまっているけれど、ふつうはこうなるものなんだ。
誰だって人殺しにはなりたくないし、人殺しとは関わりたくない。
そう納得して私は。
「……あれ?」
「どうしました?」
「あ、いえ、なんでも、ちょっとお花を摘みに。」
「どうしました?」
「あ、いえ、なんでも、ちょっとお花を摘みに。」
山田さんの気遣うような声を後ろに、トイレへと駆け込んでいた。
ゴシゴシと手を洗って、顔を洗って、うがいする。
喉のかゆさのかわりに、全身が冷たいような気持ちがあった。
心が落ち込むような気がして、さっきの圭ちゃんみたいにひどい顔なんだろうなと思って鏡を見る。
ゴシゴシと手を洗って、顔を洗って、うがいする。
喉のかゆさのかわりに、全身が冷たいような気持ちがあった。
心が落ち込むような気がして、さっきの圭ちゃんみたいにひどい顔なんだろうなと思って鏡を見る。
「……そっかあ、私、かなしいのかぁ……」
鏡の中の私は、なぜか泣いていた。
水滴なんて言い訳がつかないほどに、目から涙があふれていた。
……ほんとうは、理由もわかっていた。
圭ちゃんは、私とは違う。
私のような、園崎のような鬼とは違う。
ふつうに生きている、殺し殺されからは遠い人なんだ。
人の死が近くて、それを振りまくような一族とは、まるで違う。
いっしょになんて、いられるはずがない。
水滴なんて言い訳がつかないほどに、目から涙があふれていた。
……ほんとうは、理由もわかっていた。
圭ちゃんは、私とは違う。
私のような、園崎のような鬼とは違う。
ふつうに生きている、殺し殺されからは遠い人なんだ。
人の死が近くて、それを振りまくような一族とは、まるで違う。
いっしょになんて、いられるはずがない。
「あなたもそう思ってたから、私の顔を見るのが怖かったんでしょう? 圭一くん……」
【0113 『南部』 繁華街・警察署】
【園崎魅音@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第二話 綿流し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
●中目標
家族や部活メンバーが巻き込まれていたら合流する。
【目標】
●大目標
生き残る。
●中目標
家族や部活メンバーが巻き込まれていたら合流する。
【山田奈緒子@劇場版トリック 霊能力者バトルロイヤル 角川つばさ文庫版@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
●小目標
まず病院行きたいんだけど無さそうっすね。これ死ぬんじゃないか……?
【目標】
●大目標
生き残る。
●小目標
まず病院行きたいんだけど無さそうっすね。これ死ぬんじゃないか……?
【前原圭一@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第一話 鬼隠し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
【目標】
●大目標
生き残る。