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児童文庫ロワ

追跡する殺意

最終更新:2023年12月01日 04:36

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だれでも歓迎! 編集
 地面に背中を擦りつけると、森の土の匂いが辺りに広がる。
 学校から離脱した賢王ロボは、元いた森に戻ると人間の匂いを落としていた。
 その鋭敏な鼻は微かに香る銃などの人工物の匂いを逃さず嗅ぎ取り、自然の匂いに書き換えんとする。先の戦いは熊に見つかったことがきっかけだったので、人間からすれば神経質に見えるほどの入念さで脱臭にかかる。
 しかし、先ほどロボが死に追いやった高橋大地のように、その表情を読み解けるものがいたならばこう思っただろう。困惑している、と。

「……………………」

 ロボは改めて自分の匂いを嗅いだ。すっかり人間や人間に関係する匂いは落ちてはいる。
 しかし、森の匂いになっていない。正確には、森の匂いとしては不自然に足りていない。
 ロボの嗅覚は人間では感知できない匂いの不完全さに気づいていた。本来、森というものは様々な菌類、あるいは動物、またあるいは植物が存在し、それぞれが匂いの元となる物質を代謝・発生させている。たとえば雨の日の独特な匂いも土中の微生物が匂いの原因物質を発するからだが、しかしこの森はそういったものがない。
 人工的に再現された森では微生物などの再現はできず、膨大な種類の動植物をそれらしく配置しているだけだ。いわばある種の無菌状態。それでは本来するであろう匂いが立つ道理は無い。

「……………………」

 発する言葉は狼なので無い。
 だがしかし、ロボははっきりと不満を感じていた。この森は、人間の手のものだ。森そのものが人間の手に落ちている。畑や牧場よりもなお酷い、形だけの自然だ。
 とはいえ別にそのことに文句を言う気もなければ言おうという発想もない。問題はこれでは人間を狩るのに支障が出かねないということ。

 この殺し合いに巻き込まれてからの一時間で、ロボが出会った参加者の数は11。
 最初に会ったのは森の中にいた四道健太。銃を持った中年男性でロケットランチャーまで使ってきたが、ヒットアンドアウェイと投石により狩った。
 次に会ったのはこれも森の中にいたヒグマ。アンブッシュを試みようともしたが、先の戦いでの匂いが染みついていたこともあり気づかれ、人間に狩らせることにした。この時の反省からロボは匂いに関して過敏になり、消臭に努めた。
 そしてライオンとヴァイオレット・ボードレールと芦川ミツル。ヒグマを連れてきた学校にいた参加者だ。これらにヒグマをぶつけるという作戦までは良かった。問題は次だ。
 古手梨花、富竹ジロウ、大場大翔、高橋大地、白井玲、磯崎蘭。一挙に6人の参加者と遭遇し、ここでロボのカウンティングが崩れた。狩るべき獲物が何体か把握するのは初歩の初歩、それができなくなった時点で狩る側から狩られる側へと落ちたことを逃走しながら悟った。振り返ってみれば、おそらく6人全員にヒグマとヴァイオレットを入れた計8人がミツルによって狩られたと見ていいだろうが、狩り漏らしもありうる。そのためロボとしては追撃をかけたいのだが、しかし自分の情報が既に伝わっている可能性を考え踏み止まる。
 ロボは知っている。人間というのは狼よりも早く正確に情報をやり取りすると。同族たちと違い人間並みの知能を持つ賢狼であるがゆえに、その一点で自分が野うさぎよりも容易に狩られる存在になりうると。
 しばし考える。情報が広まるより早く自分の存在を知るものを狩るか。罠が張られているのを避け森へ逃げるか。返り討ちのリスクと狼がいると知れ渡るリスク、口封じのリターンと獲物が他の参加者に狩られることに賭けての安全というリターン。
 迷っていたのは数秒。野生の理性が出した結論はどちらもよしとしないというものだ。双方とも遅いか早いかの差はあれど致命的な状況を招きかねない。折衷案で行くことにする。ロボは狩場となった学校を遠巻きに監視することとした。

 見晴らしの良い場所に移動し、高低差を利用して低木に登る。狼は本来木登りができないが例外はある。器用に木の股に座ると木の葉で姿が見えにくくなっているのを確認する。そうしてしばらく学校を監視していると、あらためて人気のなさを感じた。見える景色には人間の縄張りである建物がいくつも見えるが、それらから人の気配というものを感じない。作りの違いもあるのだがそれ以上に不気味なものを覚える。
 そんなふうに思うのは神経質になっているからか。ロボにもそれはわからないが、注意深くなっていたことで微かな音にも敏感に反応するようになる。ピクリと耳が後方へ向いた。

「見ろよ、学校だ……ようやく森から抜けられそうだぜ……」

 木から降りて慎重に足を運ぶと、森の中を突っ切る道に出る。そこにいたのは先のミツルと同じ体格の3人の人間だった。
 関本和也・小林旋風・早乙女ユウは、森の中で拡声器を使ったことで蜘蛛の鬼(兄)に襲撃を受けてからこれまでさまよい続けていた。その顔には疲れが見えるが、ロボは慎重にその後を追う。3人が相手ではなかなか手が出しにくい。全員殺すことは容易だが、声を上げられたりと、狩りの痕跡を残す恐れがある。狼の存在を気取られたくないロボとしては、たとえグリズリー(ヒグマ)のような他の大型肉食動物がいるとわかっていても慎重に動く。

「なあ小林、気にしすぎだぜ? あんな状況で小さい子どもまで助けてられないだろ。」
「まあな……でも、今ごろ死んでるかもしれないって思うと、ダメなんだ。」
「死んだ仲間のことを思い出すから?」

 ロボの静かな殺意に気づくこともない3人が気に病むのは、自分たちが使った拡声器に寄って来たマーダーを円谷光彦と佐藤マサオに押し付けたかもしれないことだ。彼らの名前すら聞く間もなく逃げたため知る由もないが、実際に押し付ける形になり光彦は命を落とした。そうでなくても明らかに幼い子供を見捨てたことは、3人に後味の悪いものを残している。

「話しただろ? ギルティゲームのこと。あの時も見捨てたり助けられなかったりした……今回はそんなことにならないようにって思ったのに……」
「でもさ、あそこで助けてたらたぶん死んでたと思うな。さっきも言ったけど、オレ一人で突っ込んでったことあってさ、そんときは先生が助けてくれたからなんとかなったけど、100%死ぬって場面になっちゃったんだよ。ホラー映画で真っ先に死ぬやつ、まさにあれ。そういうのってあるだろ?」
「そうなんだけどな……助けたはいいけど後で死んだりとか……でも、そのときだけでも助けられたらって……」
「オレが言うのもなんだけど、自分が死ぬかもしれないときはやめといたほうがいいと思うぜ。オレを助けてくれた先生も最終的に死んじゃったし。自分を助けるついでぐらいでいいんじゃね?」
「2人とも、あそこ。車のところに人が倒れてる。」

 小林と関本の問答の内容など、ロボにわかるはずもない。だが彼らが落ち込んでいることはわかる。疲れからだけではないとふみ仕掛けるタイミングを図っていると、2人の会話に加わわらなかった早乙女が学校の方を指差して言った。ロボも目で追う。ヒグマをなすりつけた軽トラを指しているようだった。

「あれ、死んでるよな……まさか。」
「待てって小林っ。今言ったばっかだろ。落ち着けって。」
「ああ……まずは様子を見よう。」
「少し高低差があるから、ここからなら学校に地の利があるよ。」
「んじゃまず、校舎の偵察とかする?」

 突っ込むかと思ったが、ロボと同じく監視を選んだようだ。思いの外冷静に動かれ、襲うタイミングが来ない。
 腰を据えて、しかし周囲を警戒して動きを止めた3人から、ロボは距離を取ることにした。襲うにはリスキーだと判断する。
 その判断が正しかったとわかるのは、それから数分後のことだった。



 桜井リクと沖田悠翔。
 学校の中に潜んでいたためにミツルとヒグマの殺戮から難を逃れた2人は、ちょうどロボが森へと戻ったあたりで校舎からの脱出を図っていた。
 元々校舎にいるライオンを警戒して上層階にバリケードを築いていたが、ロボがヒグマを学校に連れ込んだ時に校庭に出たライオンを目撃している。この機を逃さずに猛獣が徘徊する学校から逃げようと急ぎ、しかし。

(まずい……! 校舎の中にライオンが……!)
(チィッ、なんでライオンなんか参加者にしてるんだよ。)

 ヒグマや人間に驚いて校舎に戻ってきたライオンに脱出を阻まれていた。
 物音を立てないように階段にへばりつき、一つ下の踊り場へ聞き耳を立てる。そして抱えていたライフルの重さに耐える。安全装置を外す音さえ聞こえてしまいそうで、ひたすらどこかに行ってくれることを祈る他ない。そんな彼らは、彼ら自身から銃を撃つという発想が無くなっていることに、気づくことはない。
 先のヒグマによる参加者の皆殺。軽トラに乗っていた何人もの人間がまたたく間に殺され、そのヒグマも突然土中から突き出た黒い何かに串刺しにされ死んだ。正気を疑う光景は、小学生の2人から殺人や発砲を選択肢からなくすのに充分すぎた。
 数分が10分にも1時間にも思える。そんな経験にそれぞれ思い出がある2人だが、回想シーンに入る余裕もない。ひたすら息を殺し続ける。そうして時間の感覚が無くなってきたところで、ようやく重々しい足音が遠ざかっていくのが聞こえた。爪がリノリウムの床に当たる音がナイフかなにかがぶつかる音に聞こえて、2人の背中が寒くなる。あの爪に割かれればどうなるのかは、ヒグマに襲われた軽トラの子供たちを思い出したくなくても思い出しわからされる。人間は猛獣には勝てない。これは差別ではない、差異だ。

「──っはぁ! 死ぬかと思った……」
「下駄箱からは逃げられないな……」

 目で会話を交わして、もと来た階段を上がって、ひとまず近くの教室に転がり込むと緊張の糸が切れる。想像よりも過酷な状況に、ただ学校から出るだけで異様な疲労感を2人は感じていた。しかしここで休んでいるわけにも行かない。いつライオンが1階から2階に上がってくるかわからないのだ。脱出しなければまた籠城するしかない。既に戦うという選択肢は無くなっている。

「カーテンつなげれば、校庭まで降りられないか?」

 それでも機転は効くのは気質かそれとも経験か。悠翔の提案で手早くカーテンを窓から外すと、2人がかりで固く結び1本のロープとする。
 リクが先に降りると撃てないライフルを構え、代わりに悠翔がライフルを担いで降下する。
 降りたのは校庭に面した校舎際。焦りから見晴らしの良いところに降りてしまい2人で敷地際に駆ける。幸いなことに襲撃はないと、物陰に隠れて何分経っても何も起こらないことで判断して、校門へと急いだ。
 それは冷静に考えれば適切な判断とは言えないだろう。ヒグマにより多数の人間が殺され、そのヒグマも謎の手段で死んだにもかかわらず、その現場に行こうとする。その蛮勇さは、なまじ命懸けの状況への経験があるためリスクを過小評価していることもあるが、それよりも。

「ダメだ、みんな死んでる……」
「こっちもだ……待った、この女の子は!」
「生きてるっ!?」

 2人は軽トラに生存者がいないのかを確認せずにはいられなかった。
 校舎では何もできずに殺されていくのを見ているしかなかったが、それを良しとするような人間ではない。
 ゆえに、惨劇の唯一の生存者──古手梨花が彼らに助けられるのは必然だったのだろう。

「開かない、ドアが歪んでるんだ。」
「窓から出そう。でも、生きてるのか?」
「他の人と違って血を流してない。銃をハンマーにしよう、せーのっ。」

 特にリクは、歩けなくなった妹のために命懸けのラストサバイバルに参加しておきながら、瀕死の母親を助けるために立ちはだかったライバルのために、優勝したにもかかわらず『なんでも叶う願い』を使ったほどのお人好しだ。目の前で死に瀕している人間を放っておきたくない。それが助けられなかった人間の中にいた、助けられるかもしれない一人ならばなおさらだ。
 既にヒグマによって大部分が砕けているフロントガラスを、銃床で殴りつけていくと、なんとか子供1人潜れるほどの穴が開く。梨花に破片が容赦無く降りかかるが、それが刺激となったのか、表情と血の気が無かった顔はかすかに動き出し、やがてゆっくりと目を開けた。

(ここは……? 車の中……? だれ……雛見沢の子供じゃない……雛見沢じゃない!)

 そして気絶による意識の混濁が急速に晴れていった。記憶がつながり、思い出した光景は熊に襲われるという信じがたいもの。しかし、自分に半ば覆いかぶさる男が、それが現実だと無言で教える。

(富竹……! 富竹がまた死んでるっ!)

 殺し合いに巻き込まれる前からの知り合い、富竹ジロウ。元自衛官だと名乗った彼が、頭から脳が見える状態で微動だにせずもたれかかっている。どう見ても死体だ。そして梨花の鼻を突くのは、濃厚な血の臭い。その強さから出血の程を推し量り、身体で分析した結果は明白。

(たしか、校門のあたりで、外国人の、女の子が襲われてて……オオカミとクマが突っ込んできて……それで……ミツル……そう、ミツル、アイツが何かした?)
(待って、蘭は? 大翔は? 超能力者に、主催者の関係者なのよ。あの2人に死なれたら──)
「開いた! 息もある、この子だけでも助けないと。」
(この子だけ、ですって? それじゃあ……)

 記憶を芋づる式に思い出していく。自分の身体が引っ張られていく感覚は、すぐに足元から這い上がってくるような絶望感にかき消された。
 超能力者、磯崎蘭。時間が巻き戻る前の記憶を失わずにいたエスパーで、様々な能力を持つ盾であり矛。
 生還者、大場大翔。司会者であるツノウサギが前に開いた命懸けの鬼ごっこで逃亡に成功した、主催打倒の切り札。
 その2人が同時に失われた。信頼の置ける富竹と合わせれば3人。絶対に失ってはいけない、換えが効かない人材がまたたく間に全滅した。

(蘭の仲間は、前の時は今頃には死んでたはず。合流は期待できない。大翔の仲間は第一放送までには会えなかった。これはもうダメかもわからないわね。それに……)

 名前も知らない少年たちに呼びかけられても、梨花は無反応で思考を巡らす。怪我によって話せないとでも思っているのだろうなと、2人を他人事で分析して、内心で鼻で笑った。もう何もかも手遅れなのに、と。
 気心の知れた自衛官も、超常現象に何度も遭遇してきたエスパーも、主催者に一度は勝利したリピーターも死んだ。そして自分は。

「大丈夫? しっかり!」
「立てるか?」
「みー……からだが、動かないのですよ……」

 首から下の感覚が、古手梨花には無かった。

(フフ、フフフ……笑えてくるわ。こんなにも、人の手の上で踊らされていると……)
(ここでも、雛見沢でも、結局は同じ……何度やり直してもダメなように世界はできている……)
(今度は、同じように記憶を持っている蘭もいるから、もしかしたらって思ったのだけれど。甘かった。何もかもぜんぶ……)

 乾いた笑いしか出てこなかった。もはや勝ち筋も未来への道も見えない。それは奇しくも彼女の人生そのもののようであった。
 何度やり直しても、どれだけ努力しても、全てはムダ。今回は同じような立場の蘭がいたが、それでもダメだった。これではもはや、何も改善点が見つからない。
 実際には、蘭の仲間は今現在は生きているし、大翔の仲間もすぐ側まで来ている。しかし神でもなければ神が近くにいもしない彼女では、そんなことに気づくはずもない。
 梨花の心に諦めが募っていく。雛見沢での頑張りも、今となっては惰性でやっていたように思えてきた。
 だが、しかし、そのまま心折れて眠りにつこうとする彼女は、ふと目を開けた。それは悠翔とリクの言葉が届いたから、ではない。一つの疑問が、全てを投げ出す前に気になったからだった。

「……なんで、蘭は記憶を失くさなかったのかしら?」
「? なんて言った? 大丈夫か?」
「私がやり直すから私だけ記憶が残ってたのだと思ってたけれど、そうじゃない? あの子やあの子の友達みたいに、記憶の残る人間がいる? それとも、あの子がやり直した?」
「頭かどこかを打ったんだ。動けないのもそれが理由なのかも。」

 悠翔とリクの話しかけを無視して梨花は独白を続ける。話すうちにピースがハマっていく感覚があった。

「やり直せる人間は何人もいる? たとえば……ゲームの主催者。そう、時間を巻き戻しているのは、殺し合いを開いているツノウサギ……」
「……まさか、雛見沢でも? 私以外に記憶を持ってるなら、やり直せなくても妨害はできる……」
「そうかっ! あははははは! だから、だからかっ! だから、何度やってもダメだったんだ。百年の魔女は2人いたっ! いや、3人かも、4人かも!」

 錯乱したかのように梨花は叫ぶ。助けに来た2人のことなど全く視界に入らない。
 まさか、こんな、わけのわからない殺し合いで、自分を永らく苦しめていた原因に行き着くとは。100年探し求めた答えの一端が見えたと、梨花は笑わずにはいられなかった。

「なら……今度こそやり直すだけね……フフフ……あなたなら、楽に殺してくれるかしら?」
「悠翔くん、急いで病院に運ぼう。」
「運ぶって行っても、病院やってる……?」
「それは……」
「必要、ないわ……どのみち、助かりそうにないもの。それよりも、逃げた方がいいわね。」

 自分の言葉に困惑した様子のリクと悠翔を見て、梨花はまた笑う。差し迫った死に気づかない2人は滑稽で、しかしとても簡単なことを100年見落としていた自分は更に滑稽だと、嘲笑わずにはいられない。
 自分が2人ではなく、その後ろを見ている理由がわかれば、彼らは行動を変えるのだろうか? そんなふうにも思うが、梨花はあえて言わないでおいた。
 そして、ダァン。雷鳴のような銃声が響いた。

「熱っ! えっ?」
「悠翔くん!」

 地面に寝転がる梨花の上体を起こして呼びかけていた悠翔が、音のすぐ後に叫ぶと、何が起こったかわからないという表情のまま自分に倒れ込んでくる。富竹の時もこうだったのかなと思いながら、梨花は硬いコンクリに頭を打ち据えながらも依然として視線をミツルへと向けていた。

「しまった、罠か!」
「イッテえ……この子、囮にして……あがあああっ! い、痛いっ、くそっ!!」
「悠翔くん、しっかり!」

 ここに来てようやく事態を飲み込めたようだが、リクは銃をミツルに向けつつも悠翔を助け起こすことに専念していた。それを見て梨花はまた笑う。ミツルがいたのは、学校の塀の角。距離は数十メートルはあるので、自分たちを見捨てて走ればまず助かるのに。
 ミツルはゆっくりと狙いをつけると、発砲した。梨花の顔に血が数滴かかり、見上げるとリクの耳たぶが千切れ飛んでいた。落ち着いて撃てるとわかったのでヘッドショットでも狙っているのだろうか。あるいはこちらが撃ち返せないとわかっているのだろう。それはリクのメンタルの問題ではなく。

「──撃ちたくないのにっ。」
(ああ、これで終わりね。今度目が覚めたときは、もっと上手く──)

 リクが震える手に手を重ねて無理やり発砲する、その瞬間軽トラから漏れ出たガソリンにマズルフラッシュが引火し、梨花たち3人を爆風が襲った。



「……これで、更に3人。」

 燃え盛る軽トラに近づき、ミツルはリク、梨花、悠翔へとヘッドショットを決めた。ついでに車にいる死体にも死体撃ちしておく。なかなか狙ったところに飛ばないことに苛立ちながらも、ひとまず扱えるようになった銃を撫で、ミツルは背を向けて学校へと歩き出した。


 ヒグマごと軽トラを串刺しにしてからロボたち猛獣の追撃を行っていたミツルは、早々に諦めて近くの民家へと腰を落ち着けていた。
 先の一連の戦闘、ミツルにとっても想定外の事態は多々あった。ダメージにせよ猛獣にせよ多数の参加者にせよ、受け止めきれていないことは多い。学校裏の森へと逃げ込んだらしいロボを、赤い霧に阻まれ上手く魔法も決まらずに追っている中で、無駄なことをしている暇はないと思い直した。
 民家に押し入り、顔を洗うと軽くストレッチする。身体を走った衝撃はまだのこっているが、少しの違和感といったレベルだ。戦闘にも支障はないと判断して、適当に冷蔵庫からジュースを出すとコップに注ぎ、リビングテーブルに座った。
 今更殺人に抵抗はないが、割と命懸けの状況だったと、まだかすかに武者震いする手をまじまじと見る。口に広がる甘みを味わいながら、この異世界も一筋縄では行かないと、肝に銘じようとミツルは思った。

「魔法が少し使いにくいし、気が散りやすい。この霧自体に魔力があるからかな。」

 わざわざ自分の杖を埋めていたほどだから杖さえ取り戻せば楽に勝てると思っていたが、どうやら甘かったと反省する。最初に戦った2人の機転は自分を出し抜くほどで、もしヒグマたちが現れなければ逃げられていたかもしれない。そうなれば手の内も殺し合いに乗っていることもバレる。さっきまでの自分ならそれがどうしたと思っていたが、今は肝が冷える思いだ。名前も知らない明智とヴァイオレットの顔を思い浮かべながらコップを置く。

「……というか、なんでこんなに銃が落ちてるんだ。今まで建物の中に入らなかったけど、もしかしてどこの家にも置かれているのか?」

 そしてなにより驚いたのは、室内に入ると武器が落ちていることだ。ライフルにショットガンにハンドガン。あるいは幻界にありそうな刀剣まで。トイレに入ろうと思ったら便座の蓋の上に手榴弾が置かれているありさまで、さすがにミツルも閉口した。
 どうやらあのツノウサギとかいう魔物は、魔法ではなく銃や剣で殺し合ってほしいのだろうと理解する。もしかして杖を奪ったのも単に魔法を簡単に使わせたくなかっただけなのではとも思ったが、とにもかくにも魔法頼りではいつ銃殺爆殺されかねないところだとはわかった。

「使えるようになっておいたほうがいいな。え、重い……」

 魔法の有効射程距離が落ちているように感じて、とりあえずライフルだけ持っていくことにした。どうせそこらじゅうの建物の中に武器はあるようなので最低限のものとする。そもそも拳銃が必要な場面では魔法を使うとわかりきっているので、半分ハッタリだ、少しでも身軽にしたい。

「無いほうがマシかもしれないけど、持ってないのも不自然かな? まあ、とりあえず学校に戻ろう。ライオンはまだ学校にいるかもしれない。」

 そして休憩も終えたことで、あらためて残党刈りに乗り出すことにした。もう油断はしない。魔法を過信せずに銃も使っていくし、猛獣が参加者なのも理解した、そして参加者は短い時間で10人ぐらい集まるほどの人口密度。いつ新しい参加者と出会ってもおかしくはないことを念頭に動くと決めて。


「……これで、更に3人。」
「この火事に寄ってくる参加者を待ちぶせて、あと何人かは狩りたいな。コイツらは学校から来たみたいだし、今なら無人か。少し身を潜めよう。」

 そして現在、ミツルは学校へと向かっていた。
 あの軽トラの惨状に他の参加者が引き寄せられているのを見たときは、射撃訓練も兼ねて襲うと決めた。思いの外当たらなかったが、魔法でも倒せる距離の上に軽トラからはガソリンが漏れ出ている。そんな状態では銃を撃たれても自滅するだけだと高を括って襲い、予想通りに自爆した。
 結果だけ見れば3人撃破。パーフェクトだろう。

「落ち着けって早乙女! 関本も!」
「離して、今なら殺せる。」
「ウソだろ……死んだ? 撃たれて、燃やされて……」
「……」

 だから気づかない。既に自分が他の参加者に捕捉され、銃口を向けられていることに。その銃口をじっと見る狼がいることに。
 賢王ロボは監視を選んで正しかったと冷徹に思う。彼が見張る中で行われたのは、彼が最も危険視する人間による殺傷。最初は自分のことを伝えることも警戒し、口封じのために関本たちを狩ってから速攻で襲おうとも思ったが、その心配は杞憂だった。勝手に人間を襲い殺してくれる。勝ち残るために便利なことをしてくれる人間だ。
 しかもどうやら、殺された人間はコイツらの仲間らしいと早乙女と関本の反応を見て察する。正確には関本の友人である大翔は死体撃ちされただけなのだが、そんなことは関本にもロボにもわからないし、どちらでも似たようなものだ。
 ロボにとって重要なのは、自分の存在を知るミツルの死。そしてその為に動いてくれそうな3人の人間。

「みんな、スマホ出せ。アイツの写真取ってバラ撒こう。」
「なにっ。」
「そんなことしなくても今殺せばいいよ。」
「返り討ちにあうかもしれないだろ。アイツにも仲間がいるかもしれないし。写真を撮ってから襲うかどうか決めようぜ。」
「おお、小林おまえなんか突然かしこくなったな。なんだかわかんねえけどとりあえず賛成するぜっ。」

 3人が何やらしながらまた話し出しすのを、ロボはじっと見る。
 ミツルを狩った時がお前たちが狩られる時だと、静かな殺意を込めて。



【0124 『北部』学校】


【ロボ@シートン動物記 オオカミ王ロボ ほか@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
 生き残り、縄張りに帰る。
●中目標
 人間(ミツル)を警戒。
●小目標
 人間(ミツル)と3人組(関本和也・小林旋風・早乙女ユウ)で狩らせあわせる。

【関本和也@絶望鬼ごっこ くらやみの地獄ショッピングモール(絶望鬼ごっこシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
 殺し合いから脱出する。
●小目標
 殺された? 大場大翔が? ヒロトオオバが?

【小林旋風@ギルティゲーム(ギルティゲームシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
 殺し合いから脱出する。
●小目標
 マーダーを警戒、ユウを警戒、和也も警戒、警戒する奴多いっ!

【早乙女ユウ@生き残りゲーム ラストサバイバル 宝をさがせ!サバイバルトレジャー(ラストサバイバルシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
 リクくんを殺したやつ(ミツル)を殺す。

【芦川美鶴@ブレイブ・ストーリー (4)運命の塔(ブレイブ・ストーリーシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
 ゲームに優勝し、家族を取り戻す。
●中目標
 学校近くの敵を殺す。
●小目標
 まずは学校に潜む。



【脱落】
【古手梨花@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第一話 鬼隠し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【桜井リク@生き残りゲーム ラストサバイバル つかまってはいけないサバイバル鬼ごっこ(ラストサバイバルシリーズ)@集英社みらい文庫】
【沖田悠翔@無限×悪夢 午後3時33分のタイムループ地獄@集英社みらい文庫】

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