「殺し合いに車椅子の障害者を参加させるってそんなのあり?」
「そもそも人を殺し合いに参加させるな。」
「そもそも人を殺し合いに参加させるな。」
乙和瓢湖の襲撃から早数十分。園崎詩音たちは情報交換を終え軽口を言い合える余裕まで出てきた。
依然として鬱蒼な森の中、ろくな灯りもなく歩く4人だが、常人離れした身体能力を持つ千両道化のバギーと冒険者として鍛えられているクレイ・C・アンダーソンなら、山田クミ子ことジョゼの車椅子を押すぐらい造作もない。言葉が通じずとも時折クレイが山刀代わりにロングソードを振るい、あるいはバギーが無理矢理持ち上げ、そうこうするうちになんとか山道まで出ることができた。
依然として鬱蒼な森の中、ろくな灯りもなく歩く4人だが、常人離れした身体能力を持つ千両道化のバギーと冒険者として鍛えられているクレイ・C・アンダーソンなら、山田クミ子ことジョゼの車椅子を押すぐらい造作もない。言葉が通じずとも時折クレイが山刀代わりにロングソードを振るい、あるいはバギーが無理矢理持ち上げ、そうこうするうちになんとか山道まで出ることができた。
クレイだけ話にまじれなかったものの3人で身の上を話し合い、一応全員対主催だと確認しあっている。「とつぜん拉致されて殺し合うわけ無いだろいい加減にしろ!」というバギーの言葉には納得しかない。なお、バギーの海賊という話は、『千両道化』という二つ名を名乗ったせいですっかり設定だと受け止められていた。
「で、どっちに行くよ。地図も何もねえ(本当はメモがあるけど)から勘で選ぶしかねえぞ。」
「うーん、山で迷ったときは必ず山頂を目指すように、っていいますけれど。わかってます掴まないでくださいジョゼさん。」
「一瞬見捨てよう思っただろ。」
「ハハァ……」
「うーん、山で迷ったときは必ず山頂を目指すように、っていいますけれど。わかってます掴まないでくださいジョゼさん。」
「一瞬見捨てよう思っただろ。」
「ハハァ……」
話すうちに詩音が中学生だということにジョゼから驚いたり、ジョゼが成人していることに詩音が驚いたり、話に入れないクレイが切なそうな顔をしたりしたが、目下の問題はこれ。
4人揃って森の中で遭難していることだ。
海賊であるバギーや冒険者であるクレイはともかく、女性陣2人に地図の無い見知らぬ土地を歩く技術などない。そもそも一人で出歩けず引き篭もっているジョゼは、自宅の周りすら最近はまともに行っていない。そして彼女の車椅子。バリアフリーの欠片もない今のこの場所では行動が大きく制限される。
悩みから自然と口数が減り、一堂に沈黙が訪れる。言ってはなんだがジョゼが文字通りの足手まといだ。それでいて詩音もバギーも空気的に見捨てようとは言い出しにくいし、クレイは何も言わないので存在感が無いが一番彼女を見捨てる気は無い。なんでこんなやつをバトロワの参加者にしたんだよ、生きてても死んでても持て余すだろと酷いことをバギーが考えたとき、遠くから連続した破裂音が聞こえてきた。
バギーと詩音の顔色が変わる。その音の正体には心当たりがある。疑問の声を上げたジョゼを詩音が手で制したのを見ると、バギーは地面に耳をつけた。それを見てクレイも同じようにする。3人の行動にジョゼも黙り、数分息の音しかしなくなると、バギーは神妙な顔で立ち上がった。
4人揃って森の中で遭難していることだ。
海賊であるバギーや冒険者であるクレイはともかく、女性陣2人に地図の無い見知らぬ土地を歩く技術などない。そもそも一人で出歩けず引き篭もっているジョゼは、自宅の周りすら最近はまともに行っていない。そして彼女の車椅子。バリアフリーの欠片もない今のこの場所では行動が大きく制限される。
悩みから自然と口数が減り、一堂に沈黙が訪れる。言ってはなんだがジョゼが文字通りの足手まといだ。それでいて詩音もバギーも空気的に見捨てようとは言い出しにくいし、クレイは何も言わないので存在感が無いが一番彼女を見捨てる気は無い。なんでこんなやつをバトロワの参加者にしたんだよ、生きてても死んでても持て余すだろと酷いことをバギーが考えたとき、遠くから連続した破裂音が聞こえてきた。
バギーと詩音の顔色が変わる。その音の正体には心当たりがある。疑問の声を上げたジョゼを詩音が手で制したのを見ると、バギーは地面に耳をつけた。それを見てクレイも同じようにする。3人の行動にジョゼも黙り、数分息の音しかしなくなると、バギーは神妙な顔で立ち上がった。
「足音が聞こえてきたな。誰か来るぞ。」
「さっきの銃声と関係が?」
「■■■?」
「ああいう音はガトリングだろ。あんなん持って歩けるやつ、東の海でも首領・クリークとかいたか……」
(あっちってお宝がある方じゃねえか。ガトリングなんていらねえぞ。)
「さっきの銃声と関係が?」
「■■■?」
「ああいう音はガトリングだろ。あんなん持って歩けるやつ、東の海でも首領・クリークとかいたか……」
(あっちってお宝がある方じゃねえか。ガトリングなんていらねえぞ。)
先にお宝を取られたことにもそれが強力だが自分には使えない武器なことも腹立たしい。しかし今は接近している何者かへの対処が先だ。
クレイは鎧を軽く直すと、道の一方を油断無く見る。一方でバギーは素早く木の上に登ると反対側を警戒しだした。それからほどなく現れたのは。
クレイは鎧を軽く直すと、道の一方を油断無く見る。一方でバギーは素早く木の上に登ると反対側を警戒しだした。それからほどなく現れたのは。
「! た、助けてください!」
メガネを曇らせ荒い息を整える間もなく、氷室実咲はそう叫んだ。
(起爆札、じゃねえな。)
桃地再不斬は包帯の下の口を歪める。ようやく次の獲物が見つかった、と。
再不斬が蜘蛛の鬼(兄)を撃破して、次にしたのは早乙女ユウたちの拡声器の声を追跡することだった。佐藤マサオが気絶していることを確認すると、その場に放置して音のした方向を目指す。赤い霧が立ち込める見知らぬ森だが、当代の忍刀七人衆であり今は抜け忍として追われる身である彼からすればさしたる障害では無い。ましてや彼は霧隠れの鬼人と呼ばれた男。霧自体はむしろ好ましくすらある。
素早く動きものの数分で展望台を見つけた。罠を警戒し慎重に捜索するも、人影は無し。あるのは3人分の足跡と爆発痕だけだった。
とりあえず成果はあったということにする。足跡から見るに一般人のガキだろうが、3人殺せるチャンスではある。追えば直ぐに見つかるだろう。
再不斬が蜘蛛の鬼(兄)を撃破して、次にしたのは早乙女ユウたちの拡声器の声を追跡することだった。佐藤マサオが気絶していることを確認すると、その場に放置して音のした方向を目指す。赤い霧が立ち込める見知らぬ森だが、当代の忍刀七人衆であり今は抜け忍として追われる身である彼からすればさしたる障害では無い。ましてや彼は霧隠れの鬼人と呼ばれた男。霧自体はむしろ好ましくすらある。
素早く動きものの数分で展望台を見つけた。罠を警戒し慎重に捜索するも、人影は無し。あるのは3人分の足跡と爆発痕だけだった。
とりあえず成果はあったということにする。足跡から見るに一般人のガキだろうが、3人殺せるチャンスではある。追えば直ぐに見つかるだろう。
(……またガキか。)
が、率直に言えば気が乗らない。
殺し合いというからには、彼が忍者になったときのような忍同士の戦いを期待したのだが、出会う相手は子供の頃の自分でも簡単に殺せるような子供ばかり。子供時代には見習いとはいえ年上の忍を殺していた彼からすれば、子供の遊びよりもなお簡単なおままごとに参加させられた気分だ。
しばし考える。このまま追うのが常道だろう。しかしさっき拾ったマサオもいる。何か面白いことができるかもしれないし、単純に首輪のサンプルがほしい。
殺し合いというからには、彼が忍者になったときのような忍同士の戦いを期待したのだが、出会う相手は子供の頃の自分でも簡単に殺せるような子供ばかり。子供時代には見習いとはいえ年上の忍を殺していた彼からすれば、子供の遊びよりもなお簡単なおままごとに参加させられた気分だ。
しばし考える。このまま追うのが常道だろう。しかしさっき拾ったマサオもいる。何か面白いことができるかもしれないし、単純に首輪のサンプルがほしい。
(捨てるのももったいねえか。)
小休止がてら悩み、マサオを拾ってから追うことにした。数分のロスと引き換えに首輪を1つ手放すのは惜しい。荷物にはなるが無いよりはマシだろう。邪魔になれば首を刎ねるだけだ。決めると行動は早い。数分と経たずにマサオの下へと戻ると、無造作に担ぎ上げる。
あらためて首輪を見てみる。自分に着けられているものを水分身で確認したが、他人のものと違いは見られない。外見的には忍者とそれ以外に差はないのだろうか。そんなことをしばし考えて、もと来た道を戻る。
足跡を追ってしばらく歩くと、再不斬は足を止めた。木から木へと飛び移り、じっと地面を見る。そこは磯崎蘭の初期配置地点だ。続いて近くにある富竹ジロウの足跡にも気づく。
突然出てきた足跡に、再不斬はしばし周囲を警戒した。主催者によって配置された彼らは当然、そこに至るまでの足跡などない。そのことが再不斬の警戒心を呼び起こす。またマサオを放置して周囲を調べ、2人が道を歩いていったことを確認し、悩む。
あらためて首輪を見てみる。自分に着けられているものを水分身で確認したが、他人のものと違いは見られない。外見的には忍者とそれ以外に差はないのだろうか。そんなことをしばし考えて、もと来た道を戻る。
足跡を追ってしばらく歩くと、再不斬は足を止めた。木から木へと飛び移り、じっと地面を見る。そこは磯崎蘭の初期配置地点だ。続いて近くにある富竹ジロウの足跡にも気づく。
突然出てきた足跡に、再不斬はしばし周囲を警戒した。主催者によって配置された彼らは当然、そこに至るまでの足跡などない。そのことが再不斬の警戒心を呼び起こす。またマサオを放置して周囲を調べ、2人が道を歩いていったことを確認し、悩む。
(大人の男もいるようだな。しかもこいつ、重心がブレてない。忍か?)
ようやく見つけた手応えの有りそうな相手にほくそ笑む。どうやら展望台から離れた3人はこの山道には気づかなかったようだ。さてどちらを追うかとしばし考えて、山道を駆けることにした。あちらは下草が踏まれているので追いやすいし移動も遅いだろうが、こちらはいつのものかもわからない。少々追ってみて駄目なら諦めるかと欲を出す。少しして木ばかりの視界に建物が見えた。どうやらシンプルなサバイバルゲームとは違うらしいと思ったところで、今度は分かれ道が現れる。そして、爆発音。
(音の感じからするにあっちの町より距離はあるな。忍でなければ聞き漏らす。行くか。)
ここで再不斬は再度目標を変更した。明らかに人がいる方へと行き先を変える。水分身を先行させると更に駆けるスピードを上げ、緩やかな坂を行くと、山小屋が見えた。水分身はそのまま突っ込む。後方から追う再不斬にフィードバックが来た。水分身が中の人物をアンブッシュし、その情報を共有するために術を解いたのだ。
(角の生えたガキか。こいつが殺ったんだろうな。なるほど、少しはマトモなカモもいるのか。)
再不斬は悠々と山小屋へと踏み込んだ。既に水分身がクリアリングを終えている。室内の情報も共有されたため、すぐに何が起こったかわかった。
気絶させた眼鏡男が、槍を持った男を殺した、シンプルな状況だった。
フン、と鼻を鳴らす。さっきといい今といい、あっさりと奇襲が成功してしまい手応えというものがまるでない。元々無音殺人術はそういうものではあるが、忍相手に暗殺する彼からすれば、欠伸が出るような戦いだ。しかも今回は水分身なのでより達成感は無い。別に戦って回りたいわけではないのだが、若干の飽きはある。それでもまだガキ以外を見つけられたので良しとし、さて死体から首輪を切り取ろうとして、再不斬の聴覚が足音を捉えた。すぐさまマサオをまた放置して駆ける。見つけたのは、バギー達4人である。
気絶させた眼鏡男が、槍を持った男を殺した、シンプルな状況だった。
フン、と鼻を鳴らす。さっきといい今といい、あっさりと奇襲が成功してしまい手応えというものがまるでない。元々無音殺人術はそういうものではあるが、忍相手に暗殺する彼からすれば、欠伸が出るような戦いだ。しかも今回は水分身なのでより達成感は無い。別に戦って回りたいわけではないのだが、若干の飽きはある。それでもまだガキ以外を見つけられたので良しとし、さて死体から首輪を切り取ろうとして、再不斬の聴覚が足音を捉えた。すぐさまマサオをまた放置して駆ける。見つけたのは、バギー達4人である。
「あそこです! 日本号さんが、はぁ……はぁ……」
「氷室さん、落ち着いて。バギーさん、クレイさんと見てきてもらえますか?」
「詩音お前俺のこと便利に使いすぎじゃない?」
「海賊なんだから強いんでしょ。ジョゼさん見てくださいよ車椅子ですよ。」
「そうだよ。」
「便乗すんじゃねぇ。たくしょうがねえなあ、おい竹アーマー、着いてこい。」
「■■■、■■?」
「氷室さん、落ち着いて。バギーさん、クレイさんと見てきてもらえますか?」
「詩音お前俺のこと便利に使いすぎじゃない?」
「海賊なんだから強いんでしょ。ジョゼさん見てくださいよ車椅子ですよ。」
「そうだよ。」
「便乗すんじゃねぇ。たくしょうがねえなあ、おい竹アーマー、着いてこい。」
「■■■、■■?」
ベラベラと喋る一行だと思った。この会話だけで、小屋から逃げたのが氷室という少女であること、変なピエロが自称海賊のバギーだということ、車椅子の少女がジョゼでそれを押すのが詩音だということ、竹でできた鎧を着ているのがクレイということ、都合5人の名前が手に入った。この情報を変化の術でどう利用しようかと考えるが、それより先にやることがあると思い直した。
(アイツらに殺されちゃ面白くないからな。)
山小屋に戻ると、マサオとアミィ・キリヲを担いで離脱した。せっかく生きてる首輪が2つ手に入ったのだ、奴らにどんな因縁があるかは知らないが、みすみす殺されては面白くない。ついでに水分身に日本号の死体を山小屋の外に出させて置く。死体が動かされたことに気づくかでバギー達の程度を見ようという判断だ。それに死体が室外にあれば、あの山小屋で休憩しようという気も起きよう。そうすればなおのこと様子も伺いやすくなる。
「チっ、死んでんじゃねえか。この傷はハデにガトリングだな。」
「■■■……」
「とりあえず戻んぞ。」
「■■■……」
「とりあえず戻んぞ。」
聞き耳を警戒していない様子に、再不斬は内心で彼らへの評価を下げる。もと来た道を行くバギーとクレイを見ながら、再不斬は何度目かの悩みに眉間にシワを寄せた。バギーたちをどう利用するか、集めた情報をどう使うか、そして今接触なり攻撃なりしていいのか。
(このまま聞き耳立てとくのが一番得策か?)
車椅子の人間を連れていることから甘い奴らなのだろう。まさか首輪がのキープというわけではあるまい。
マサオとアミィの下に水分身を残して、再不斬はまた追跡した。
マサオとアミィの下に水分身を残して、再不斬はまた追跡した。
【0215 『北部』山の麓の森の山小屋】
【園崎詩音@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第二話 綿流し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
●中目標
家族や部活メンバーが巻き込まれていたら合流する。
●小目標
氷室さんの言っていた山小屋に向かう。
【目標】
●大目標
生き残る。
●中目標
家族や部活メンバーが巻き込まれていたら合流する。
●小目標
氷室さんの言っていた山小屋に向かう。
【バギー@劇場版 ONE PIECE STAMPEDEノベライズ みらい文庫版(ONE PIECEシリーズ)@集英社みらい文庫】
●大目標
とりあえず、生き残るのを優先。
●小目標
オイオイオイ死んでたわこいつ。
●大目標
とりあえず、生き残るのを優先。
●小目標
オイオイオイ死んでたわこいつ。
【クレイ・シーモア・アンダーソン@フォーチュン・クエスト1 世にも幸せな冒険者たち(フォーチュン・クエストシリーズ)@ポプラポケット文庫】
【目標】
●大目標
みんな(フォーチュン・クエストのパーティー)が巻き込まらていないか探す。
●小目標
話しについていけないがジョゼを保護する……あれ、なんかまた影薄くないか? やっぱりセリフがないからか?
【目標】
●大目標
みんな(フォーチュン・クエストのパーティー)が巻き込まらていないか探す。
●小目標
話しについていけないがジョゼを保護する……あれ、なんかまた影薄くないか? やっぱりセリフがないからか?
【佐藤マサオ@双葉社ジュニア文庫 映画ノベライズ クレヨンしんちゃん
ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん(クレヨンしんちゃんシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
帰りたい。
●小目標
???
ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん(クレヨンしんちゃんシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
帰りたい。
●小目標
???
【アミィ・キリヲ@小説 魔入りました!入間くん(3) 師団披露(魔入りました!入間くんシリーズ)@ポプラキミノベル】
●大目標
大量の武器を持ち帰る。
●中目標
絶望した表情を見るために、他の参加者を襲う。
●小目標
???
●大目標
大量の武器を持ち帰る。
●中目標
絶望した表情を見るために、他の参加者を襲う。
●小目標
???