「なんでこんなどことも知れねえ森の中でパシられてんだろうなぁトホホ……」
今現在殺し合いに巻き込まれ、そこで出会った軽く2周り近く年下の少女たちに頼まれて、山道の先にある山小屋を目指していた。
「?」
「いや、なんともねえよ。」
「いや、なんともねえよ。」
言葉の通じない剣士、クレイをお供に男2人で霧の道を行く。出世して手に入れた部下の猛者共は1人もおらず、首には爆弾付きの首輪。しかも行き先にはガトリングをぶっ放してくるらしい敵。いったいなぜこうなってしまったのか。
(チクショウ、どこの誰だよバトルロイヤルなんかやろうなんて言い出したのは。どうせインペルダウンの脱獄囚だろ。)
とりあえず自分と同じように脱獄した海賊へと疑いの目を向ける。こういうことをやるかやらないかで言うと、やろうとする奴はいくらでもいる。そしてそういう厄介ごとに巻き込まれた時の対応は一つ、流れに逆らわないことだ。
この大海賊時代、自分一人ではどうにもならないことなど吐いて捨てるほどある。そういうときは流れに乗ったほうが上手く行くと、今の地位を手に入れる過程で何度も経験している。今回とてそれと同じ理由で、出会ったばかりの小娘たちの頼みを聞いているわけだ。
氷室実咲と名乗った少女の頼みで、ガトリング相手に殿を務めた日本号なる男の救助に当たる。どう考えても手遅れで死んでるであろう無意味な行いなのだが、それを言ってしまえるほど薄情でないのがバギーだった。もっとも、言わなかった理由はガトリングを独り占めできるチャンスだからというのが大きいのだが、わざわざ馬鹿正直に言う必要はないので、親切な道化として付き合っておく。
この大海賊時代、自分一人ではどうにもならないことなど吐いて捨てるほどある。そういうときは流れに乗ったほうが上手く行くと、今の地位を手に入れる過程で何度も経験している。今回とてそれと同じ理由で、出会ったばかりの小娘たちの頼みを聞いているわけだ。
氷室実咲と名乗った少女の頼みで、ガトリング相手に殿を務めた日本号なる男の救助に当たる。どう考えても手遅れで死んでるであろう無意味な行いなのだが、それを言ってしまえるほど薄情でないのがバギーだった。もっとも、言わなかった理由はガトリングを独り占めできるチャンスだからというのが大きいのだが、わざわざ馬鹿正直に言う必要はないので、親切な道化として付き合っておく。
「チっ、死んでんじゃねえか。この傷はハデにガトリングだな。」
「■■■……」
「とりあえず戻んぞ。」
「■■■……」
「とりあえず戻んぞ。」
そうこうしているうちに目当ての山小屋が見えた。近づくにつれて、撃ち抜かれた扉の様子や、山小屋の前に落ちている何かが見えてくる。森の中に分け入って遠巻きに伺えば、惨状は明らかだ。
あれが日本号だろうと、体をズタズタにされた男の死体を見て思う。いくつもの弾痕らしきものが開いた体からは血が流れ出し、地面を赤く染めている。傷の割に流血が少ないようだが、それは気にせずもと来た道を戻り始めた。山小屋がどうあれ、一度合流して情報を共有してから動くことになっていた。迂闊に突入すれば二の舞いになることは明らかなのだが。
あれが日本号だろうと、体をズタズタにされた男の死体を見て思う。いくつもの弾痕らしきものが開いた体からは血が流れ出し、地面を赤く染めている。傷の割に流血が少ないようだが、それは気にせずもと来た道を戻り始めた。山小屋がどうあれ、一度合流して情報を共有してから動くことになっていた。迂闊に突入すれば二の舞いになることは明らかなのだが。
「おい、行くぜ。」
クレイはしばし死体に向けて黙祷してからバギーの後に続いた。殊勝なことだとは思うが、どうせろくに名前も知らない相手なのだからそんなことしてる間があるなら動けと思う。
乙和瓢湖に一度殺されかけただけあって、バギーは既にこの殺し合いで相当数の参加者が死んでいると考えている。実咲やジョゼのようなあからさまに弱い者と、自分のような強い者、半々が参加しているだろうというのがバギーの予想だった。狩る側と狩られる側を用意して殺しが起きやすくするのだろうと。それは海賊的な経験からくるものであった。
乙和瓢湖に一度殺されかけただけあって、バギーは既にこの殺し合いで相当数の参加者が死んでいると考えている。実咲やジョゼのようなあからさまに弱い者と、自分のような強い者、半々が参加しているだろうというのがバギーの予想だった。狩る側と狩られる側を用意して殺しが起きやすくするのだろうと。それは海賊的な経験からくるものであった。
(コイツやさっきのアイツ程度なら俺でも殺せるが、グランドラインにいるような海賊もいたらヤベえな。東の海のザコ共しかいませんよーに!)
実際は天竜人は五老星からも目をつけられるような超厄種も参戦している上に、新世界の海賊とも渡り合えるような猛者も何人もいる。なので彼の祈りは全く通じていない上に、さっそくそんな猛者に目をつけられているのだが、もちろんバギーは気づいていなかった。
見聞色の覇気があるならともかく、その男は無音殺人術の使い手、足音1つ立てずに正面から先回りしていく。
ジョゼたちの所へ戻ってきた時になって、何食わぬ顔でいる桃地再不斬にずっと監視されていたなどとは夢にも思わなかった。
見聞色の覇気があるならともかく、その男は無音殺人術の使い手、足音1つ立てずに正面から先回りしていく。
ジョゼたちの所へ戻ってきた時になって、何食わぬ顔でいる桃地再不斬にずっと監視されていたなどとは夢にも思わなかった。
「なっ……! アイツはやべぇ。」
「あっ! バギーさーん!」
「バカッ!? 声かけんな!」
「あっ! バギーさーん!」
「バカッ!? 声かけんな!」
一目見た瞬間、バギーは回れ右しようとしたが、園崎詩音の声で再不斬と目が合う。どう見ても殺ってる人の眼光にバギーは諦めて愛想笑いを返した。
「桃地再不斬。お前らと同じ参加者ってことになるんだろうな。」
(どっちも下忍程度。殺すのは楽だが……)
(どっちも下忍程度。殺すのは楽だが……)
一方、バギーたちを監視し先に詩音たちと接触することにした再不斬は品定めの最終段階に入っていた。
彼がバギーたちの前に姿を表すことにした理由は、彼が今も担いでいる佐藤マサオにある。
ようするに、マサオが邪魔なのだ。
動こうとするとかさばる荷物のくせに、生きた首輪のサンプルとして首を刎ねるわけにもいかない。そう思ってバギーを追う前後から持ち歩いているのだが、想像以上に手間である。持って歩こうにも気をつけなければ鞭打ちを起こしかねないし、どこかに置いておくのも移動の度に取りに戻らなくてはならないのでめんどくさいことこの上ない。
そこで見つけたのがジョゼのような車椅子の少女をも保護する詩音たち。コイツらならどう見ても殺し合いには乗っていないし、一応戦えそうな男手もいるので、首輪の生体サンプル置き場としてうってつけだったのだ。
彼がバギーたちの前に姿を表すことにした理由は、彼が今も担いでいる佐藤マサオにある。
ようするに、マサオが邪魔なのだ。
動こうとするとかさばる荷物のくせに、生きた首輪のサンプルとして首を刎ねるわけにもいかない。そう思ってバギーを追う前後から持ち歩いているのだが、想像以上に手間である。持って歩こうにも気をつけなければ鞭打ちを起こしかねないし、どこかに置いておくのも移動の度に取りに戻らなくてはならないのでめんどくさいことこの上ない。
そこで見つけたのがジョゼのような車椅子の少女をも保護する詩音たち。コイツらならどう見ても殺し合いには乗っていないし、一応戦えそうな男手もいるので、首輪の生体サンプル置き場としてうってつけだったのだ。
「その……日本号さんは、どうでしたか?」
「──そういうわけで、拡声器を使ってたガキ共を探してたら見つけたのがコイツだ。もう一人いたんだが、そいつは人面蜘蛛に襲われててな。」
「忍者に人面蜘蛛、ですか……もうなんでもありですね。」
「なんでこっち見ながら言うんだ。」
「いや別に……」
「──そういうわけで、拡声器を使ってたガキ共を探してたら見つけたのがコイツだ。もう一人いたんだが、そいつは人面蜘蛛に襲われててな。」
「忍者に人面蜘蛛、ですか……もうなんでもありですね。」
「なんでこっち見ながら言うんだ。」
「いや別に……」
実咲がバギーに問いかけているのを無視して再不斬は詩音とジョゼと話を進める。別に再不斬は詩音たちと馴れ合うつもりはない。首輪解除の道も残すためと、せっかく手に入れたマサオを無駄にしたくなかったために接触しただけだ。元々解除できるとも期待していないが、売り込んでおくのも悪くはないだろう。殺し合いに乗っていないと言うだけならタダなのだ。それに気絶している子供を保護しているというカードもある。
(いやこの人絶対カタギじゃないですよ。仕事で人を殺す人の目をしてますもん。)
(こんな眉無しがいい人なわけないだろ。趣味で人を殺す人の目をしてますもん。)
(こんな眉無しがいい人なわけないだろ。趣味で人を殺す人の目をしてますもん。)
そのカードのおかげで明らかに詩音たちに警戒されながらも穏当な会話に成功している。趣味と仕事を兼ねて殺人している再不斬だが、ビジネスができないわけではない。ここで迂闊なことを言えばどうなるかを雰囲気と背中に担いだ首斬り包丁だけで示しつつ、自分を対主催だと受け入れさせていた。
「そう、ですか……あの、ありがとうございました。」
「まあ、その、なんだ、お前が無事なだけソイツも安心してるんじゃないか?」
(さっきのアイツが殺したのは間違いなさそうだな。)
「まあ、その、なんだ、お前が無事なだけソイツも安心してるんじゃないか?」
(さっきのアイツが殺したのは間違いなさそうだな。)
落ち込む実咲を慣れないながらもなんとか励まそうとするバギーを横目で見つつ、再不斬はもう一枚のカードについて考える。彼が先ほど拉致って森の中に置いてあるアミィ・キリヲは、やはり実咲の同行者を撃ち殺したようである。ならば、このままあの男には霧隠してもらうとしよう。
この対主催チーム、少し話して確信したがお人好しの集まりだ。いざとなればどうなるかはわからないが、逆に言えばならなければそうそう崩れはしないだろう。それならチームの仇であるキリヲと出会わせなければこのままなあなあで行ってくれるはずだ。復讐相手が見つかったとなればその処遇でもめるだろうし、殺せば割り切れずにしこりになり、捕まえるなら足手まといを抱えることになる。どちらも再不斬には望ましくない。かと言って殺すのも惜しい。あの程度の雑魚なら泳がせて殺し合いを進めさせたほうが手間もなく、自分の対主催としての価値も上がるからだ。
この対主催チーム、少し話して確信したがお人好しの集まりだ。いざとなればどうなるかはわからないが、逆に言えばならなければそうそう崩れはしないだろう。それならチームの仇であるキリヲと出会わせなければこのままなあなあで行ってくれるはずだ。復讐相手が見つかったとなればその処遇でもめるだろうし、殺せば割り切れずにしこりになり、捕まえるなら足手まといを抱えることになる。どちらも再不斬には望ましくない。かと言って殺すのも惜しい。あの程度の雑魚なら泳がせて殺し合いを進めさせたほうが手間もなく、自分の対主催としての価値も上がるからだ。
(白もいねえ以上、死んだふりとかやってられねえからな。地盤は整えておくか。)
暗殺者である再不斬は正面戦闘だけでなく搦手も使える。わざわざ敵対するよりは友好的に振る舞った後のほうが殺しやすいとなればそれを選ばない道は無い。
「うーん、じゃあ山小屋に行くのは危険そうですね。このまま山を降りようと思います。」
「そうか、俺はそいつらを『保護』しに行く。代わりにコイツも連れてってくれ。」
「「ハハァ……((殺す気じゃない?))」」
「そうか、俺はそいつらを『保護』しに行く。代わりにコイツも連れてってくれ。」
「「ハハァ……((殺す気じゃない?))」」
愛想笑いをする詩音とジョゼに押し付けるようにマサオを渡す。
「マジかよ……」そんな声が聞こえてきそうな表情でジョゼと顔を見合わせる詩音を無視して、「見つからなくても日の出頃には麓に降りる」と残すと、枝から枝へと森の中を移動し始めた。
「マジかよ……」そんな声が聞こえてきそうな表情でジョゼと顔を見合わせる詩音を無視して、「見つからなくても日の出頃には麓に降りる」と残すと、枝から枝へと森の中を移動し始めた。
「何が起こってるんだよ……誰か説明してくれよ……」
そして一人、クレイは話についていけずに途方に暮れていた。
一人だけ言葉がわからないので状況がサッパリだ。
なんとなく、実咲が同行者を犠牲にして助かって、それが悲しくて泣いているのをバギーが慰めて、再不斬がマサオという子供を保護していたが何か理由があって詩音とジョゼに預けたというのはわかるが、それ以外はなにもわからない。
そんだけわかってるなら十分だろと思うかもしれないが、殺し合いの場で自分だけ言葉が通じないのだ、嘆きたくもなる。他のパーティメンバーが、もともと幼女なのであまり言葉が通じないルーミィや、もともと言葉が通じても会話に難があるキットンなどなので、彼は特にコミュニケーション能力のデバフを受けていた。
一人だけ言葉がわからないので状況がサッパリだ。
なんとなく、実咲が同行者を犠牲にして助かって、それが悲しくて泣いているのをバギーが慰めて、再不斬がマサオという子供を保護していたが何か理由があって詩音とジョゼに預けたというのはわかるが、それ以外はなにもわからない。
そんだけわかってるなら十分だろと思うかもしれないが、殺し合いの場で自分だけ言葉が通じないのだ、嘆きたくもなる。他のパーティメンバーが、もともと幼女なのであまり言葉が通じないルーミィや、もともと言葉が通じても会話に難があるキットンなどなので、彼は特にコミュニケーション能力のデバフを受けていた。
「うわぁ、本当に忍者みたいだぁ……え、これ、どうしましょう……ジョゼさんパス。」
「ええ……」
「そのな、だからえーっと、いや無理だろこんな時に効かせられるアドリブねえよ!」
「ごめんなさい……バギーさん………」
「……」
「ルーミィたち大丈夫かな……はぁ……」
「ええ……」
「そのな、だからえーっと、いや無理だろこんな時に効かせられるアドリブねえよ!」
「ごめんなさい……バギーさん………」
「……」
「ルーミィたち大丈夫かな……はぁ……」
人数は増えたのにバラバラのまま、6人という大集団の対主催が結成された。
【0230 『北部』山の麓の森】
【バギー@劇場版 ONE PIECE STAMPEDEノベライズ みらい文庫版(ONE PIECEシリーズ)@集英社みらい文庫】
●大目標
とりあえず、生き残るのを優先。
●小目標
なんかよくわかんねえうちに子供押し付けられた!? 孤児院じゃねえんだぞ!
●大目標
とりあえず、生き残るのを優先。
●小目標
なんかよくわかんねえうちに子供押し付けられた!? 孤児院じゃねえんだぞ!
【クレイ・シーモア・アンダーソン@フォーチュン・クエスト1 世にも幸せな冒険者たち(フォーチュン・クエストシリーズ)@ポプラポケット文庫】
【目標】
●大目標
みんな(フォーチュン・クエストのパーティー)が巻き込まらていないか探す。
●小目標
話しについていけないがジョゼとマサオを保護する……やっぱり影薄くないか? 言葉わからなくてもなんかしゃべったほうがいいかな?
【目標】
●大目標
みんな(フォーチュン・クエストのパーティー)が巻き込まらていないか探す。
●小目標
話しについていけないがジョゼとマサオを保護する……やっぱり影薄くないか? 言葉わからなくてもなんかしゃべったほうがいいかな?
【桃地再不斬@NARUTO-ナルト-白の童子、血風の鬼人(NARUTOシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
●中目標
首輪解除の保険として使えそうな対主催には接触しておく。
●小目標
アミィ・キリヲを元の場所に帰してきたあと下山。
【目標】
●大目標
生き残る。
●中目標
首輪解除の保険として使えそうな対主催には接触しておく。
●小目標
アミィ・キリヲを元の場所に帰してきたあと下山。
【園崎詩音@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第二話 綿流し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
●中目標
家族や部活メンバーが巻き込まれていたら合流する。
●小目標
氷室さんには悪いけど山小屋に向かわずに下山しよう……てかこの子(マサオ)どうすんの?
【目標】
●大目標
生き残る。
●中目標
家族や部活メンバーが巻き込まれていたら合流する。
●小目標
氷室さんには悪いけど山小屋に向かわずに下山しよう……てかこの子(マサオ)どうすんの?
【氷室実咲@怪盗レッド(1) 2代目怪盗、デビューする☆の巻(怪盗レッドシリーズ)@角川つばさ文庫】
●大目標
生き残る。
●小目標
日本号さん……
●大目標
生き残る。
●小目標
日本号さん……
【佐藤マサオ@双葉社ジュニア文庫 映画ノベライズ クレヨンしんちゃん
ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん(クレヨンしんちゃんシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
帰りたい。
●小目標
???
ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん(クレヨンしんちゃんシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
帰りたい。
●小目標
???