「ぐあああっ!?」
自分でも気づかぬうちに悲鳴を上げて。
妖怪・かまちの感じたものは激痛であった。
妖怪・かまちの感じたものは激痛であった。
(なんだっ!? 何が起こった!?)
目の前の現実に混乱する間にも、更なる激痛がかまちを襲う。できることはむちゃくちゃに自分の周りに風を発生させることだけだった。
羅門ルルたちを殺してから1時間ほど。その間かまちは傷を癒やすべく休息を続けていた。
経験したことの無い銃創もあり、素早く移動とねぐらを見つけるとそこに落ち着いたのだが、しかしそんな彼に気づく者がいる。
水沢黎夜。銭形警部を撒くために日守紗綾を見失った彼が血の臭いから辿り着いたのは、かまちが去った後のルルたち4人の死体である。
その異様な殺害現場から直ぐに普通の武器ではない殺し方だと察せられた。遺体だけではなく、床や柱や壁に加えて、天井にまで斬撃とも爪痕とも得体のしれない傷跡が刻まれている。そしてそれを見たレイヤが想像するのは当然悪魔。この考察、当たらずも遠からず、種族による個体差はあれど、妖怪であるかまちは悪魔同様の戦闘力を持ち合わせている。
現場から返り血とかまち自身の血を辿りワンアウト、見つけたかまちが明確に普通の猛獣ではないと確認してツーアウト、その爪などに血を認めてスリーアウト。始まって数時間もしないうちに4人も殺すマーダーを放って置けるわけがない。見逃せばサーヤの身に危険が、そしてあの子どもたちが浮かばれないだろう。
経験したことの無い銃創もあり、素早く移動とねぐらを見つけるとそこに落ち着いたのだが、しかしそんな彼に気づく者がいる。
水沢黎夜。銭形警部を撒くために日守紗綾を見失った彼が血の臭いから辿り着いたのは、かまちが去った後のルルたち4人の死体である。
その異様な殺害現場から直ぐに普通の武器ではない殺し方だと察せられた。遺体だけではなく、床や柱や壁に加えて、天井にまで斬撃とも爪痕とも得体のしれない傷跡が刻まれている。そしてそれを見たレイヤが想像するのは当然悪魔。この考察、当たらずも遠からず、種族による個体差はあれど、妖怪であるかまちは悪魔同様の戦闘力を持ち合わせている。
現場から返り血とかまち自身の血を辿りワンアウト、見つけたかまちが明確に普通の猛獣ではないと確認してツーアウト、その爪などに血を認めてスリーアウト。始まって数時間もしないうちに4人も殺すマーダーを放って置けるわけがない。見逃せばサーヤの身に危険が、そしてあの子どもたちが浮かばれないだろう。
(……わざとああいうのを参加者にしてるのか?)
レイヤはしばらくの間周囲を調べ、いくつかの銃火器を手に入れた。マテリアルによる消耗を嫌ったのもあるが、それ以上に、バズーカやマシンガンなどの危険な凶器をなるべく減らしておきたい。見つけた量から考えれば焼け石に水だろうが、それでも強い武器がレアだということは体感している。眠るかまちに向け建物ごと吹き飛ばそうと持ってきたバズーカを発射し、ついでマシンガンの引鉄を引き続けた。
「ウオオオオッ! イ、イテェ!?」
「これでもダメか……!」
「これでもダメか……!」
げに恐るべきはかまちの耐久性だった。並大抵の悪魔なら数度は吹き飛ばせているであろう攻撃をしたのに、レイヤの前に全身から血を流しながらをかまちが瓦礫を吹き飛ばして姿を現す。それを見た彼は、一転、逃走を開始した。
レイヤがバズーカなどを撃ち込んだのは、単に強い武器を減らしつつ敵を倒せて一石二鳥だからではない。その火力がマテリアルを使うよりかは殺傷能力が高いからだ。これが元いた日本ならばともかく、殺し合いの主催者が用意したであろう会場なら抵抗も薄く暴れられる。
故にかまちが健在なのは完全に予想外である。これが全くのノーダメージならば撃破へ向けて相手の能力の攻略を考えられるが、シンプルに火力が足りないとなると打つ手に困る。あのレベルの攻撃を上回れるのは、レイヤの知る中でも一握りだ。
ダメージは与えた。だが倒しきれない。ここはもっと強い武器を見つけるしかない。脳内でかまちを途轍もない悪魔だと想定しながら、レイヤは素早く距離を取る。依然として後方からは、竜巻のような暴風が吹き荒れている。風だけであれ程の攻撃を防いだのかと戦慄しながらレイヤは走る。
この会場には、何体もの動物型の悪魔がいる。そのどれも、銃を使っても急所をつかなければ倒すことが困難な強者ばかりだ。
全ては愛する姉であるサーヤのため。悪魔とそれとは違う超常の存在をごっちゃにしながら、レイヤは更に対主催へと攻撃を加えた。
レイヤがバズーカなどを撃ち込んだのは、単に強い武器を減らしつつ敵を倒せて一石二鳥だからではない。その火力がマテリアルを使うよりかは殺傷能力が高いからだ。これが元いた日本ならばともかく、殺し合いの主催者が用意したであろう会場なら抵抗も薄く暴れられる。
故にかまちが健在なのは完全に予想外である。これが全くのノーダメージならば撃破へ向けて相手の能力の攻略を考えられるが、シンプルに火力が足りないとなると打つ手に困る。あのレベルの攻撃を上回れるのは、レイヤの知る中でも一握りだ。
ダメージは与えた。だが倒しきれない。ここはもっと強い武器を見つけるしかない。脳内でかまちを途轍もない悪魔だと想定しながら、レイヤは素早く距離を取る。依然として後方からは、竜巻のような暴風が吹き荒れている。風だけであれ程の攻撃を防いだのかと戦慄しながらレイヤは走る。
この会場には、何体もの動物型の悪魔がいる。そのどれも、銃を使っても急所をつかなければ倒すことが困難な強者ばかりだ。
全ては愛する姉であるサーヤのため。悪魔とそれとは違う超常の存在をごっちゃにしながら、レイヤは更に対主催へと攻撃を加えた。
(ま、まずい……こ、このままでは……)
一方、かまちは死に物狂いで竜巻を維持していた。
レイヤは誤解していたが、彼の攻撃は充分に致命傷になり得るものであった。もしバズーカを2発撃ち込んでいれば即死していたし、あともう一マガジン掃射していれば瀕死の重傷を負わせられていた。
それを防いだのは、かまちが自身の周囲に吹かせた風、もっと言えばそれによって巻き上げられた瓦礫だ。初撃のバズーカにより散乱した建材や家具を時速数百キロの竜巻に意図せず取り込むことで、銃弾の大部分を弾き、いなし、あるいは威力を減じさせた。
とはいえ普通に何発も喰らってはいるのでボロボロではある。正直痛いは動けないはで、竜巻を維持するのが限界だ。今また襲われればひとたまりもない。ゆえにかまちは半乱狂で移動を始めた。
レイヤは誤解していたが、彼の攻撃は充分に致命傷になり得るものであった。もしバズーカを2発撃ち込んでいれば即死していたし、あともう一マガジン掃射していれば瀕死の重傷を負わせられていた。
それを防いだのは、かまちが自身の周囲に吹かせた風、もっと言えばそれによって巻き上げられた瓦礫だ。初撃のバズーカにより散乱した建材や家具を時速数百キロの竜巻に意図せず取り込むことで、銃弾の大部分を弾き、いなし、あるいは威力を減じさせた。
とはいえ普通に何発も喰らってはいるのでボロボロではある。正直痛いは動けないはで、竜巻を維持するのが限界だ。今また襲われればひとたまりもない。ゆえにかまちは半乱狂で移動を始めた。
(グオオ……なぜ、こんな目に……!)
ちょっと女子供を4人殺しただけなのに、ここまでされるいわれはない。
必死に逃げる彼は、自分が周囲からどう見られているかなど全く眼中になかった。
必死に逃げる彼は、自分が周囲からどう見られているかなど全く眼中になかった。
「藤原さん! ダメだ、なんだこの竜巻……!」
かまちが知らず知らず巻き上げた看板をギリギリで躱して地面に伏せる少年。神田あかね。
「かんだくーん! どこー!」
そしてかまちを挟んで同じく地面に伏せる少女、藤原千花。
ものの見事に巻き込まれた2人は、暴風から逃れるために逆方向へと駆け出した。
いや、藤原は喫茶店でブッ倒れてるしあかねは死んでんじゃねーか、と思う方もいるかもしれないが、まま、そう焦んないでよ。
喫茶店で片桐安十郎に襲われたのは、藤原千花(映画版)と神田あかね(映画版)である。
一方この2人は藤原千花(まんが版)と神田あかね(原作版)である。
並行世界の2人は、それぞれ同じ相手と出会っていたのだ。
このバトル・ロワイアル、時に同一人物が初期配置を近くされることがある。彼女らはそのパターンだったが、複数参戦しているもの同士でペアになるという珍事が発生していた。
この組み合わせが発生するかで、主催陣の一部はギャンブルも行っている。なにぶん人数が多いので、潰し合いそうなマーダーでもなければ主催陣によって奇妙な配置をされることもあった。
ものの見事に巻き込まれた2人は、暴風から逃れるために逆方向へと駆け出した。
いや、藤原は喫茶店でブッ倒れてるしあかねは死んでんじゃねーか、と思う方もいるかもしれないが、まま、そう焦んないでよ。
喫茶店で片桐安十郎に襲われたのは、藤原千花(映画版)と神田あかね(映画版)である。
一方この2人は藤原千花(まんが版)と神田あかね(原作版)である。
並行世界の2人は、それぞれ同じ相手と出会っていたのだ。
このバトル・ロワイアル、時に同一人物が初期配置を近くされることがある。彼女らはそのパターンだったが、複数参戦しているもの同士でペアになるという珍事が発生していた。
この組み合わせが発生するかで、主催陣の一部はギャンブルも行っている。なにぶん人数が多いので、潰し合いそうなマーダーでもなければ主催陣によって奇妙な配置をされることもあった。
「なんなんだこの風……グッ!」
飛んできた何かに背中を打ち付けられて、あかねは一瞬息が詰まる。銃を見つけたのでてっきりこれで殺し合わされるのかと思ったが、こんな竜巻まで発生するなど、思っていたのと違う。というかなんで自分がこんな目に合わなくてはならないのか。普通の小学生になんで殺し合いなんてさせたがるのか。
元々体が弱いのもあり、咳き込みだすと止まらない。それを忌わしく思いながら、片手で目を庇いつつ周囲を見渡す。この場で初めて、そして唯一出会った千花と、離れるわけには行かない。強風に負けてなるかと何度も名前を叫ぶ。
元々体が弱いのもあり、咳き込みだすと止まらない。それを忌わしく思いながら、片手で目を庇いつつ周囲を見渡す。この場で初めて、そして唯一出会った千花と、離れるわけには行かない。強風に負けてなるかと何度も名前を叫ぶ。
「えいっ!」
一方、叫んではいるが息が荒くろくに声が出ていないあかねの声など聞こえるはずもなく、ましてや適当な民家の窓ガラスを落ちてきたブロックで投げ割って家内に入りこんだ千花は、吹き込んでくる飛来物から逃れるために更に奥へと入りこんでよりあかねの声が届かなくなっていた。
さすがの彼女も竜巻に巻き込まれそうになった経験は無い。銃や刃物も飛んでくるのを見てとにかく屋内へと逃げたが、何かの拍子に起爆したのだろう、なんらかの爆発物による破片が民家の壁を揺らし肝を冷やす。そんな彼女の間の前の道で電線が切断されタコ足のように暴れ回るのを見て「ゲエッ!?」と似つかわしくない声を上げる。バチバチと漏電させるそれは、路肩に置かれていた植木鉢を掠めると炎を上げさせた。
さすがの彼女も竜巻に巻き込まれそうになった経験は無い。銃や刃物も飛んでくるのを見てとにかく屋内へと逃げたが、何かの拍子に起爆したのだろう、なんらかの爆発物による破片が民家の壁を揺らし肝を冷やす。そんな彼女の間の前の道で電線が切断されタコ足のように暴れ回るのを見て「ゲエッ!?」と似つかわしくない声を上げる。バチバチと漏電させるそれは、路肩に置かれていた植木鉢を掠めると炎を上げさせた。
4人の対主催たちの混乱は、しばらく終わりそうになかった。
【0204 『西部』商店街】
【水沢黎夜@魔天使マテリアル(1) 目覚めの刻(魔天使マテリアルシリーズ)@ポプラカラフル文庫】
【目標】
●大目標
サーヤを守り、脱出する。
●中目標
サーヤと合流する。
●小目標
悪魔のような危険な参加者へ備える。
【目標】
●大目標
サーヤを守り、脱出する。
●中目標
サーヤと合流する。
●小目標
悪魔のような危険な参加者へ備える。
【神田あかね@若おかみは小学生! PART1 花の湯温泉ストーリー (若おかみは小学生!シリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●小目標
藤原さんと一緒にいる。
【目標】
●小目標
藤原さんと一緒にいる。
【藤原千花@かぐや様は告らせたい―天才たちの恋愛頭脳戦― まんがノベライズ 恋のバトルのはじまり編@集英社みらい文庫】
【目標】
●小目標
神田くんと合流する。
【目標】
●小目標
神田くんと合流する。