「でっっっっっか。」
「……なんでしょうね、これ。」
「……なんでしょうね、これ。」
ああ、つい遠出してしまった。年号の鬼、元号の鬼、手鬼、呼び方は色々あるが一番短い手鬼と呼ぼう。
手鬼は聞こえてきた声に身を固くした。
つい、つい竈門禰豆子を撒いてさてどこに行こうかと考えたときに思ってしまったのだ。
──そういや、最後に海見たのいつだっけ──
手鬼は明治の間ずっと鬼殺隊の試し切り用として山の中に閉じ込められていた。だったら外の世界を探検してみたいと思うのは人情だ。全く代わり映えしないどころか毒になる藤林に囲まれたクソ山を抜けて、すっかり様変わりした街に時代の流れとその原因になった鱗滝左近次への殺意を感じ、そうして見に行ったのが海だった。
手鬼は聞こえてきた声に身を固くした。
つい、つい竈門禰豆子を撒いてさてどこに行こうかと考えたときに思ってしまったのだ。
──そういや、最後に海見たのいつだっけ──
手鬼は明治の間ずっと鬼殺隊の試し切り用として山の中に閉じ込められていた。だったら外の世界を探検してみたいと思うのは人情だ。全く代わり映えしないどころか毒になる藤林に囲まれたクソ山を抜けて、すっかり様変わりした街に時代の流れとその原因になった鱗滝左近次への殺意を感じ、そうして見に行ったのが海だった。
(──海って、赤くなったんだな。公害ってやつか?)
実に半世紀ぶり近く経って見る海は、地獄のような赤色だった。会場のせいなのだが、手鬼からすればそれすらも怪しい。鉱山からの排水で川が濁り魚が皆死ぬというのなら海もこんなものかもしれないと、新入りの鬼たちから得た情報でぼんやりと思う。まさしく浦島太郎の心持ちで、あのクソ鱗滝左近次絶対殺すめちゃくちゃ殺すとより一層殺意を深めていたところだった。
「えーっと、アンタも、参加者なの?」
(ま、まずい、こんな近くに人がいるだと? 気配を感じなかった、いや今も一人分の気配しか感じないぞ! ど、どうすれば……)
「首輪は……見えませんね。どこが首かもわかりませんし。」
(ま、まずい、こんな近くに人がいるだと? 気配を感じなかった、いや今も一人分の気配しか感じないぞ! ど、どうすれば……)
「首輪は……見えませんね。どこが首かもわかりませんし。」
そんなところに出会ったのがウタと白である。ホテルに集まった彼らは、その後戦力バランスを考えてバディを組み直し、白達はホテル近くの散策を行っていた。
じっとりとした視線を感じ、手鬼に焦りが出る。さっきの連中よりかは話が通じそうだが、こっちとしては残り1人になるまで引き篭もっていたいのだ。できれば無視してどこかに行ってほしい。
そう思うのだか手鬼の事情など知るはずもなく、ウタはゆっくり近づいてくる。どっかにいるもう一人は止めろよどう考えても怪しいだろ、と自分の姿を自覚しているので手鬼は思うが、話しながらも気配を掴ませない白としては、正直ウタが自分以外に殺される分にはそんなに抵抗が無い。なにせ会って1時間ほどである、死ねばかわいそうとは思うが、ただの他人だ。
じっとりとした視線を感じ、手鬼に焦りが出る。さっきの連中よりかは話が通じそうだが、こっちとしては残り1人になるまで引き篭もっていたいのだ。できれば無視してどこかに行ってほしい。
そう思うのだか手鬼の事情など知るはずもなく、ウタはゆっくり近づいてくる。どっかにいるもう一人は止めろよどう考えても怪しいだろ、と自分の姿を自覚しているので手鬼は思うが、話しながらも気配を掴ませない白としては、正直ウタが自分以外に殺される分にはそんなに抵抗が無い。なにせ会って1時間ほどである、死ねばかわいそうとは思うが、ただの他人だ。
「……ふ、ふわあ……よく寝た……」
「寝てた!?」
(…………)
「寝てた!?」
(…………)
こうなれば仕方がない、手鬼は反応することに決めた。
決め手は喋っているのに気配がまるで掴めない白の存在だ。鬼殺隊とてここまで気配を殺すことはできない、つまり、明らかにただの人間では無い。
こうなってはもう一か八か心優しい化け物として振る舞うことに賭ける他ない。ウタを止めない様子からして鬼殺隊とは考えにくい。人を食う鬼とバレなければ、丸く納められる可能性はある。
睡眠などとんと取ったことが無いので棒演技をしながら手鬼はゆっくりと振り返った。軽く引いたような顔をした、奇抜な髪の色に奇抜な服装のウタが目に入る。これがハイカラというやつかと思っていると、ウタの視線に気づいた。
自分を見ていない。上の方を見ている。
つられて手鬼も見上げた。
決め手は喋っているのに気配がまるで掴めない白の存在だ。鬼殺隊とてここまで気配を殺すことはできない、つまり、明らかにただの人間では無い。
こうなってはもう一か八か心優しい化け物として振る舞うことに賭ける他ない。ウタを止めない様子からして鬼殺隊とは考えにくい。人を食う鬼とバレなければ、丸く納められる可能性はある。
睡眠などとんと取ったことが無いので棒演技をしながら手鬼はゆっくりと振り返った。軽く引いたような顔をした、奇抜な髪の色に奇抜な服装のウタが目に入る。これがハイカラというやつかと思っていると、ウタの視線に気づいた。
自分を見ていない。上の方を見ている。
つられて手鬼も見上げた。
「でっっっっっか。」
クソでかいフクロウがこちらへと向かって降下してきていた。
「ちくしょう、この赤い霧かなりヤバイぜ。少し高く飛んだだけなのに海面が見えなくなるなんてよ。しかもこのイヤな感じ、めちゃくちゃな妖力が練り込んである。」
海岸線から海へと飛ぶ光る影。
フクロウのような妖怪もっけは、風が無い空を不気味に思いながらばさりばさりと羽ばたいていた。
もっけは伝説の子であり陰陽師であり妖界ナビゲーターである、竜堂ルナの仲間だ。と言っても、彼がこの殺し合いへと連れてこられたのは夜鳴島での決戦で命を落としたタイミング、彼からすればここは地獄だと思いたいところだ。もしそうなら、きっと生き残ったであろうルナがこんな所にいるはずはないのだから。
フクロウのような妖怪もっけは、風が無い空を不気味に思いながらばさりばさりと羽ばたいていた。
もっけは伝説の子であり陰陽師であり妖界ナビゲーターである、竜堂ルナの仲間だ。と言っても、彼がこの殺し合いへと連れてこられたのは夜鳴島での決戦で命を落としたタイミング、彼からすればここは地獄だと思いたいところだ。もしそうなら、きっと生き残ったであろうルナがこんな所にいるはずはないのだから。
「雲も分厚いな。あんなに雷がなってちゃ近づけないぞ。しょうがない、もう少し低く飛ぶか。」
陸ではなく海を目指したのも、もしかしたらそのせいかもしれない。なるべくルナがいないはずの場所を調べて無事を確かめたいのかもしれない。
だがもちろん、もっけはそれだけを理由に海上を飛んでいるわけではない。彼の目的は一つ、この会場の範囲の確認だ。
陰陽師であるルナと共に冒険してきた彼からするとこの世界そのものが1つの結界のように思えた。少し飛んだだけで広大な敷地があることがわかる。それこそ地獄でないのなら、なんらかの術で広くしていると見た。でなければわざわざ街一つ作ったということになるからだ。
そして結界というのは当然内と外がある。その境目には何かしらの仕掛けがあるものだ。それを破壊してしまえばこの殺し合いの会場そのものを破壊できる可能性がある。結界の破壊に巻き込まれる可能性も無いわけではないが、シンプルに結界を張る前の状態に戻るのが大体だろう。
だがもちろん、もっけはそれだけを理由に海上を飛んでいるわけではない。彼の目的は一つ、この会場の範囲の確認だ。
陰陽師であるルナと共に冒険してきた彼からするとこの世界そのものが1つの結界のように思えた。少し飛んだだけで広大な敷地があることがわかる。それこそ地獄でないのなら、なんらかの術で広くしていると見た。でなければわざわざ街一つ作ったということになるからだ。
そして結界というのは当然内と外がある。その境目には何かしらの仕掛けがあるものだ。それを破壊してしまえばこの殺し合いの会場そのものを破壊できる可能性がある。結界の破壊に巻き込まれる可能性も無いわけではないが、シンプルに結界を張る前の状態に戻るのが大体だろう。
「って、そりゃ邪魔が入るとは思ってたけど、そんなんありかよ!」
もっけがどれくらい飛んだだろうか。ようやく真っ赤な海に浮かぶものが見えてきた。視界が悪いので、目視できた途端にそれの正体を察する。それと同時に首輪から音が鳴り始め。
次の瞬間、無人の軍艦から放たれたレーザーを急降下でもっけは躱した。
次の瞬間、無人の軍艦から放たれたレーザーを急降下でもっけは躱した。
「ちょっと待てなんだそれ!?」
もっけが驚くのも無理はない。それは火の国はキャプテン・リンが用意した無人艇のピケットラインである。
和風ファンタジー出身のもっけからすれば、戦艦というところまでは現代日本で暮らす中でなんとなくわかったが、まさかそれがレーザーを撃ってくるなどとは思わなかった。一方キャプテン・リンはファンタジーはファンタジーでもSFに突っ込んでいるタイプのファンタジーである。ロボットもレーザーも実用化して民生品にまでなっているのだ。
和風ファンタジー出身のもっけからすれば、戦艦というところまでは現代日本で暮らす中でなんとなくわかったが、まさかそれがレーザーを撃ってくるなどとは思わなかった。一方キャプテン・リンはファンタジーはファンタジーでもSFに突っ込んでいるタイプのファンタジーである。ロボットもレーザーも実用化して民生品にまでなっているのだ。
「うおお思ってたのとちがう!」
鳴る首輪から嫌な予感をヒシヒシと感じつつ、もっけは急制動を繰り返しながら飛び続ける。その間もレーザーが執拗にもっけを狙い続ける。首輪の位置情報をデータリンクすることで霧の中だろうと正確無比な攻撃が可能となる。霧による誤差を修正される前に有効射程距離を脱せたのは幸運であった。いつしか鳴りやんだ首輪にホッとすると、もっけは速度と高度を落とした。
「な、なんで、ビームが飛んでくるんだよ、めちゃくちゃ疲れたぜ……」
(でもこれでわかったぜ、あの海の先には守らなきゃならいなんかがある。)
(でもこれでわかったぜ、あの海の先には守らなきゃならいなんかがある。)
口では愚痴りながらももっけは心の中で手応えを感じていた。
もし高度な結界なら、いつまでも端につかなかったり結界内の別の場所に移動させられたりしかねなかった。しかしそうではない。レーザー撃ってくる軍艦?をわざわざ並べていたということは、つまり陰陽術などではなく科学の力技でこの会場を作っているということだ。
もし高度な結界なら、いつまでも端につかなかったり結界内の別の場所に移動させられたりしかねなかった。しかしそうではない。レーザー撃ってくる軍艦?をわざわざ並べていたということは、つまり陰陽術などではなく科学の力技でこの会場を作っているということだ。
(……それって、わざわざ街一つ作ったってことなのか? それに、霧も雲も海も妖力を感じる。ああ、考えすぎで頭いたくなってきたぜ。)
自分の考察を自分でツッコみつつ、もっけはようやく見えた海岸線に向けて飛ぶ。考えなくてはならないことがあるが、とりあえずいったん落ち着こう。そう思い人気のなさそうな所で着陸した、はずだった。
「でっっっっっか。」
「うおっ!? 岩だと思ったぜ。うん? あ、やべ。」
「うわあ大きい……フクロウ? アンタも参加者なの?」
「うおっ!? 岩だと思ったぜ。うん? あ、やべ。」
「うわあ大きい……フクロウ? アンタも参加者なの?」
疲れからか手鬼とその影にいたウタを見落としてしまう。もっけらしからぬ大失態である。が、すぐに考え直す。どのみち普段のように正体を隠している場合でも必要性も無い。もしなんかアレだったら、そん時はスネリ探してなんとかしてもらおう。そう考えている所に、更なる登場人物の登場だ。不幸にも黒服の参加者に遭遇してしまう。黒い髪に黒いサングラスに黒いスーツに黒いネクタイに黒いブーツの男が真っ直ぐ陸地の方から歩いてきた。
ウタ「えーっと、フクロウくんは、話せる?」
もっけ「なんかどんどん増えるな」
ウタ「ホーホーしか言えないか、まあフクロウが喋らないよね」
もっけ「やっぱ聞こえないか、おーいそっちの岩っぽいのはオイラの言葉わかるか?」
手鬼「……なんだ、この雰囲気」
ウタ「どうしたの?」
もっけ「オイラだけ言葉通じないのかよ。ま、みんなの言葉はわかるからいいけどさ。おーい、そこのスーツの人はオイラの言葉聞こえるかー?」
もっけ「なんかどんどん増えるな」
ウタ「ホーホーしか言えないか、まあフクロウが喋らないよね」
もっけ「やっぱ聞こえないか、おーいそっちの岩っぽいのはオイラの言葉わかるか?」
手鬼「……なんだ、この雰囲気」
ウタ「どうしたの?」
もっけ「オイラだけ言葉通じないのかよ。ま、みんなの言葉はわかるからいいけどさ。おーい、そこのスーツの人はオイラの言葉聞こえるかー?」
ハンター「……」
ハンターは視界に入った参加者を確保するようにプログラミングされている。
白はハンターに気配が無いことから自身も気配を消し続け様子を見る。
もっけは海側で着陸したまま首をひねる。
ウタは無言で近づいてくるハンターに生理的に距離を取ろうとして後退る。
最もハンターに近い距離にいたのは、手鬼。
白はハンターに気配が無いことから自身も気配を消し続け様子を見る。
もっけは海側で着陸したまま首をひねる。
ウタは無言で近づいてくるハンターに生理的に距離を取ろうとして後退る。
最もハンターに近い距離にいたのは、手鬼。
手鬼「パアアアア!?」
おもむろにハンターが手鬼に触れた瞬間、首輪が作動し藤の毒を注入する。
ハンターに確保された者は、誰も生き残れない!
ハンターに確保された者は、誰も生き残れない!
白「逃げますよ」
ウタ「え、うわ、キャッ!?」
もっけ「何だコイツ、何したんだ!?」
ウタ「え、うわ、キャッ!?」
もっけ「何だコイツ、何したんだ!?」
いち早く状況を理解した白がウタを連れて駆ける。反射的に飛び上がったもっけがハンターの伸ばした腕を躱す。
そのままそれぞれ移動する両者をハンターは追跡できない。
ハンターは視界から参加者がいなくなると追跡を止める。
ハンターは単体で空を飛ぶ能力は無い。
うまく、撒いたようだ。
そのままそれぞれ移動する両者をハンターは追跡できない。
ハンターは視界から参加者がいなくなると追跡を止める。
ハンターは単体で空を飛ぶ能力は無い。
うまく、撒いたようだ。
【0444 『東部』ホテル近くの海辺】
【ウタ@ONE PIECE FILM RED 映画ノベライズ みらい文庫版(ONE PIECEシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●小目標
なんだあのオッサン!?
【目標】
●小目標
なんだあのオッサン!?
【白@NARUTO-ナルト-白の童子、血風の鬼人(NARUTOシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●中目標
ホテルまで撤退する。
●小目標
あの感じ……忍ではない?
【目標】
●中目標
ホテルまで撤退する。
●小目標
あの感じ……忍ではない?
【もっけ@妖界ナビ・ルナ(5) 光と影の戦い(妖界ナビ・ルナシリーズ)@フォア文庫】
【目標】
●大目標
ルナを守り、殺し合いを止める。
●中目標
ルナと合流する。
●小目標
なんだあのオッサン!?
【目標】
●大目標
ルナを守り、殺し合いを止める。
●中目標
ルナと合流する。
●小目標
なんだあのオッサン!?
【ハンター@逃走中シリーズ(集英社みらい文庫)】
【目標】
●大目標
視界に入った参加者を捕らえる。
※捕らえた参加者の首輪が爆破するよう改造されている(触れただけやすぐに逃げられた場合はノーカウント)
【目標】
●大目標
視界に入った参加者を捕らえる。
※捕らえた参加者の首輪が爆破するよう改造されている(触れただけやすぐに逃げられた場合はノーカウント)
【脱落】
【手鬼@鬼滅の刃 ノベライズ~炭治郎と禰豆子、運命のはじまり編~(鬼滅の刃シリーズ)@集英社みらい文庫】