ここは、00年代の青い鳥文庫の巻末ページにありがちなコーナー。
今年もここに、生と死の狭間を彷徨うゲストが現れる。
今年もここに、生と死の狭間を彷徨うゲストが現れる。
綾瀬留衣「その彼氏で、手榴弾で殺されかけた綾瀬留衣です。」
蘭「それではさっそくゲストの方をお呼びしましょう、『ひぐらしのなく頃に』よりヒグマが弾き飛ばしたライフルで失神してる古手梨花さんと! 『黒魔女さんが通る!!』よりループ魔法の使い過ぎで失神してる黒鳥千代子さんです!」
ガラガラ
梨花「なんなのよこの謎空間……」
チョコ「なんか居酒屋みたいな感じだね。あー、巻末の作者と話すコーナーね。」
梨花「いつの時代のラノベよ……私の原作が出た頃にはもうやらなくなってたわよ。」シッダウン
チョコ「え、イマドキって巻末のこういうコーナー無いの?」シッダウン
蘭「私の原作『テレパシー少女「蘭」事件ノート』とかが刊行してた20年前にはやってたんだけどね、令和でやってたのは『黒魔女』ぐらいじゃないかな。」オトーシー
チョコ「ウソ、え、『若おかみは小学生!』とか『妖界ナビ・ルナ』とかでもやってなかったっけ?」
蘭「どっちも20年前だよ。」
留衣「映画のノベライズは出たけど、令和までやってたのは『黒魔女』だけだね。」
チョコ「し、知らなかった……」
梨花「……それで、なんで私たちが呼ばれたのよ。他にも楽屋ネタやってる原作あるんでしょ?」
蘭「うーんここは死者とこれから死者になりそうな人しか来れないからしかたないね。」
留衣「今年は早めに脱落して見せ場が少なかった人たちをピックアップして紹介していくよ。」
梨花「今年も何も今回が初めてだろ。」
蘭「細かいことはいいんだよ。」
四大殺戮者──『マーダー・フォー』
蘭「まずはこちら、現時点でのマーダートップ4の被害者の方々です。」
チョコ「そこはトップ5でよくない?」
蘭「5位タイが5人いるんだよね。さすがに多いかなって。」
留衣「それでは最初はこの方たちです。」
ガラガラ
タベケン「出会い頭に不良と出くわしたと思ったら死んでました。」
留衣「虹村形兆に殺された皆さんです。」
梨花「トップ4ってことは5人以上殺した奴が4人もいるのか……」
チョコ「ところで先からキャラ崩壊してるけどそれは大丈夫なの?」
蘭「まあ気にしないで、児童文庫の2次創作って本は絶版だしネットに情報は無いしで把握がガバガバどころかスカスカだから。それはチョコちゃんが一番よくわかってるよね?」
チョコ「まあ確かに『黒魔女』の2次創作ってpixivでも魔法のiらんどでも小説カキコでもあたしの一人称からして怪しいの多いけど……」
留衣「2次創作の設定が公式の設定みたいに思われてたりね。」
梨花「ネギま!の認識阻害結界みたいな話ね……」
チョコ「たとえがいちいち古いなあ。」
英治「俺もときどき菊池じゃなくて菊地って書かれるからな。」
タベケン「名前書くヒマあるならいいじゃん……ろくにセリフもなく殺されたんだぜ?」
ネネ「それならこっちなんてセリフほぼゼロよゼロ。アイツ遠くから殺してくるから爆死するシーンだけワイプで抜かれたのよ。」
旋風「あれってどうやったら死なずに済んでたんだ? 見えないミニチュアの軍隊とか防ぎようがないじゃん。」
蘭「超能力とか使わないなら、相手より先に気づいて距離を取るとかかな。見つからなければ襲われない。」
旋風「アイツヘリとか飛ばして偵察できるんだけど。」
蘭「あー、じゃあ、運がなかったとしか……」
チョコ「黒魔法も似てるけど、ああいう不思議な力を悪いことにつかわれると防ぐのがむずかしいよね。」
蘭「私も能力使えるけど、あれはたぶん防ぎきれないからなあ。柔道もそうだけどなんでも先に攻撃するほうが強いからね。ヒグマにも勝てなかったし。」
梨花「まさか先手取られてなかったらヒグマにも勝てるの……?」
英治「やっぱ怖いね殺人鬼は。」
ネネ「ヒグマ以外も怖いわよ。」
留衣「広瀬さんはどうでしょう。」
広瀬「あ、はい。えーっと、巻き込まれたみんなが無事でよかったなって。とりあえずこれまでは。」
蘭「ここにいるみんな誰かは知り合い死んでるもんね。」
梨花「どんだけ殺し合いに乗ってる奴いるのよ……いいえ、そういう人間ばかり集めてるのでしょうね。」
英治「あ、そう言えば、魔法のiらんどって。」
蘭「はい、菊池さん。」
英治「今年度で閉鎖するらしいぞ。」
チョコ「!?!?!?!?!?」
留衣「それでは続いてこの方たちです。」
ガラガラ
留衣「片桐安十郎ことアンジェロに殺された皆さんです。」
梨花「スタンド使いって危険人物ばっかなの?」
蘭「ううん、危なそうなのは2人だけだよ。ちなみにこの人は殺人鬼で脱獄犯なんだって。脱獄させたのはさっきの虹村さん。」
梨花「人殺しに抵抗の無い超能力者って最悪じゃない!」
チョコ「…………」ダラダラ
天野「俺も菊池も同じスタンド使いって連中に殺られたのか。」
ひまわり「タイタイ!」
木村「この子の知り合いも被害あったようだね……」
天野「安永ー! 橋口ー! 気をつけろー! お前らの近くにスタンド使いいるぞー!」
留衣「広瀬さんと一緒にいる安永さんは大丈夫だと思うけど……」
蘭「あそこはもっと大変だから……私も、結衣ちゃんのお兄ちゃんもあ底で脱落したんだよね。」
結衣「あれ、お兄ちゃんも?」
蘭「この後出てくるよ……」
あかね「コイツ……また藤原さん狙ってるのか。」
梨花「ところで、こいつはどういう超能力使うのかしら? さっきのはミニチュアの軍隊? とか言ってたけど。」
蘭「えーっと、この人は『アクア・ネックレス』ってスタンドを持ってて、水を操れるそうです。」
梨花「ふーん……それって、超能力としては強いものなの? あなたも超能力者らしいし似たようなことはできるんでしょ?」
蘭「私? うん、近いことはできるよ。あそこまで水を自由に操れないけど、私は水以外も操れるし。」
木村「私は体を操られていたようだよ。」
あかね「水を喉に張り付かされて窒息されられたりね。」
蘭「ただこの人は……めちゃくちゃ悪い人です。」
梨花「話に出てたわね。超能力を使って殺人してたって。」
蘭「それが、この人がスタンドを使えるようになったのって刑務所の中でらしいんだよね。なんで、それまでは普通の凶悪犯でした。」
梨花「一番超能力なんて持たしちゃいけない人種じゃない……」
留衣「それでは続いてこの方たちです。」
ガラガラ
明智小五郎「申し訳無い、私も微力を尽くしたのだが……」
留衣「芦川美鶴に殺された皆さんです。」
梨花「げえっ!? あの黒ローブ野郎!」
チョコ「芦川美鶴……それってたしか。」
留衣「はい、チョコちゃんがループするハメになった人です。」
チョコ「どういうこと?」
蘭「えーっと、ループを脱出する条件がチョコちゃんが警察署をいい感じにして、梨花ちゃんが死なないことらしいんですね。で、どっちもめちゃくちゃ難しかったらしくて、それを同時にクリアしなきゃならないから100回ぐらいループしたみたいです。」
チョコ「そんなことが……うっ……思い出したら頭が……」
梨花「アイツに何回殺されたか……私も頭が……」
明智「すまない。私が彼を止められていれば……」
ヴァイオレット「それはとても難しいことだと思うわ。魔法を使えるなんて思わないもの。」
ヒグマ「私の皮も肉も引き裂きましたからね。」
大翔「おいちょっと待てよなんでヒグマが喋ってるんだよ。」
大地「ああ、それはぼくが聞き取った動物の声を磯崎さんにテレパシーで流してもらってるんだ。」
大翔「お前そんなことできたの?」
大地「そもそも、同じ『アニマルパニック』のキャラなんだよね。ただ、たぶんあの首輪って今度も動物を凶暴化させる仕掛けがあったから、あの時はどうにもできなかったかな。」
大翔「どこの世界もえげつないことする奴いるんだな。」
梨花「あら? 蘭も同じ軽トラに乗ってたでしょ? なんであなたはこっちじゃないの?」
蘭「あ、私はミツルに殺される直前にヒグマに殴り殺されてるから。富竹さんもそうだね。」
梨花「富竹……ここでもやっぱり死ぬのね……」
留衣「それでは続いてこの方たちです。」
ガラガラ
木本麻耶、武市変兵太「めっちゃんこ速い子供にぶつかられて死にました。」
留衣「タイ(フォア文庫)被害者の会の皆さんです。」
チョコ「」チーン
梨花「ちょっと失神しないでよ、私だけで回っせていうの。そもそも何よ(フォア文庫)って。」
蘭「タイくんはレーベル違いで2人参戦してますね。」
梨花「ええ……」
留衣「さっきアンジェロさんに殺された神田くん……彼も2人参戦してるね。」
蘭「神田くんの場合は原作と映画ノベライズのキャラなんで微妙に違うんだけどね。」
梨花「まともに考えるのがめんどくさくなってきたわね……それで、そいつも超能力者とか魔法使いなわけ?」
蘭「ううん、半妖。」
梨花「人間を参加させろ。」
蘭「半分人間だよ? ちょっとお父さんが凄腕の陰陽師で、お母さんが妖怪の国の女王だけど。」
梨花「ちょっとって言葉の意味を辞書で調べてこい。」
小黒「ていうかちょっと言わせてくれ、なんか俺らだけ参加させまくられてないか? 菊池も天野も殺られてるぞ。」
大木「オレなんて4人参戦して全滅してる……」
蘭「いや人選までは私もわからないし……そのへん、主催者の知り合いの木本さんはなんか知ってたりします?」
麻耶「そんなに詳しいってわけじゃないけど、もしかしてあなた達ってなんかヤバイ奴と戦ったりしてないかな。」
小黒「ヤバイ奴って言われてもちょっと警察とかカルト教団とか暴力団とかとドンパチしたぐらいで。」
大木「え。」
穂高「俺もちょっと銃とか持ってるけど……」
大木「え。」
麻耶「あー、それじゃない。アイツ心狭いから自分を脅かすっていうの? リスクになりそうな奴ばっか集めて殺そうとしてたらしいんだよね。そのために私たちが子供の頃に誘拐したとかなんとか。」
小黒「マジかよ……菊池と相原と安永はともかく俺とかは普通だぜ?」
麻耶「普通の中学生は警察と戦ったりしないと思うけど、なにやったの?」
小黒「廃工場に立て篭って機動隊おちょくって誘拐犯ぶちのめして誘拐されてる仲間助けた。」
麻耶「やべえなこいつ。」
変兵太「あら将来有望、うちくる?」
小黒「うちって?」
変兵太「攘夷志士。」
小黒「テロリストじゃん……」
梨花「マトモそうなのがそこのデカい外人だけなんだけど……この人もなんかそういう系のあれ?」
蘭「ううん、ノルさんはファンタジー世界で冒険者をされているそうです。」
ノル「うん。」コク
梨花「ファンタジーってことは、魔法とかも使えるのかしら。」
蘭「いや、ノルさんはそういうので生き返ったことはあっても本人が使えるわけではないみたいです。ただ単に強い人です。」
ノル「……」ハジライ
蘭「というわけでマーダートップ4に殺された21人の皆さんでしたー!」
チョコ「うっ……ココハァ?」
梨花「あ、起きた。」
チョコ「あ、ども。終わりました?」
梨花「終わりましたじゃないわよ私一人に押し付けて。」
チョコ「いやあのループ思い出したら私もう大いに気絶ですね。」ミズゴクー
梨花「それ言うなら私なんて100回殺されたんだけど。よりによって一番殺し合いやる気の相手に狙われてるのよ。」ミズチュー
チョコ「あ、そういえばこの組み合わせってループ組み合わせだったのね。」
梨花「いまさら?」
チョコ「これなんのくくりかなってずっと思ってたんだよね。これが黒魔女なら要約パート入ってるからわかりやすいんだけどさ。」ミズゴクー
留衣「お二人とも本日はいかがでしたでしょうか。」
梨花「いかがもなにもないでしょ。とっとと殺し合いから開放してくれって思ったわね。」
蘭「それではここで黒幕からのお知らせです。」
梨花「無視をするな。」
蘭「『チョコちゃん、古手さん、あけましておめでとうございます。お体に変わりありませんでしょうか。』」
梨花「変わりあるだろ。殺し合いだぞ。」
蘭「『こちらは今、雛見沢症候群が流行りつつあります。』」
梨花「おう待て待て待てなんて言ったです?」
蘭「『都合の悪い展開は時間を巻き戻して無かったことにしようと思っていましたが、このままだと主催者側の時間だけ進んでしまい雛見沢症候群を止められそうにありません。このままだと殺し合いが進んでも誰も生きて帰れなくなるので、お二人には頑張って殺し合いを打破してもらいたいです。』」
梨花「ふざけんな薬あるでしょ! ■■いないと思ったらアンタら、ちょっと待ちなさい何この伏せ字。」
蘭「『P.S. 雛見沢症候群の元凶は、現在児童文庫になっている範囲で出てきていないため名前を出すことができません。コロナで解答編を出さずに打ち切りになったかもしれません。』」
梨花「ゴールデンカムイとかのキャラ出してるのにそんなこと気にする必要ないだろ、いいからhanyu返せ。」
蘭「以上です。」
留衣「以上です。」
梨花「かってにさらっといてかってに助けを求めてくるとか……もうめちゃくちゃね。」
チョコ「……スンマセン。」
梨花「なんであなたが謝るのよ。」
チョコ「……私のクラスメイトなんだよね……黒幕……」
梨花「はぁっ!?」
蘭「それでは皆さん、また来年!」
「うっ……こ、ここは……」
「あ……鷹野先生、古手さん、起きました。」
(鷹野……? あれ、なにか……雰囲気が……違うような……)
「あ……鷹野先生、古手さん、起きました。」
(鷹野……? あれ、なにか……雰囲気が……違うような……)
凄まじい倦怠感が体を覆っている。
わずかに遠く聞こえてきた声が、知り合いの名前を言っていなければ、そのまままた意識を手放していただろう。
内からノックするような痛みが頭に響き、首の重さは体の自由を許してくれない。
なにか夢を、クソみたいな夢を見ていた気がしながら、梨花は自分が気絶していたのだろうと察した。
わずかに遠く聞こえてきた声が、知り合いの名前を言っていなければ、そのまままた意識を手放していただろう。
内からノックするような痛みが頭に響き、首の重さは体の自由を許してくれない。
なにか夢を、クソみたいな夢を見ていた気がしながら、梨花は自分が気絶していたのだろうと察した。
「ぐっ……」
(あばら骨が折れているのか……呼吸するだけでも苦しい……)
(あばら骨が折れているのか……呼吸するだけでも苦しい……)
きっと悪夢を見たのはこれか原因かと考えつつ、梨花は目を開く。それだけで全身に痛みが走り、毛穴が開く感覚がした。気絶から覚める経験は何度もあるが、慣れるものではない。この具合だと相当眠っていたようにも感じるが、傷の深さ次第だとも思い直す。どのみち、今の梨花にわかったのは、自分が屋内に横たわらされているということだけだ。眼球を動かすのすら脂汗がでるような痛みを覚えるので、ろくに視界を変えられないが、田舎の学校とは違う近代的な天井が見える。その天井に繋がる壁に違和感を感じて、少ししてそれがカーテンだと気づいた。
(ここは……あの学校の保健室かしら?)
だんだんと頭が回ってくる。気絶でいくらか記憶が飛んでいるだろうが、断片的にでも一つずつ思い出していく。学校の近くで襲われた気がする。それなら助け出した誰かが保健室に運び込んだのだろうと考えた所で、鷹野という名前が出されたことを思い出した。
(鷹野がここにいる……そうだ、富竹も……富竹!)
「とみたっ……ぐあぁ……」
「とみたっ……ぐあぁ……」
そして頭の中でパルスが走る。自分が気絶する直前の映像か、それとも何か他のものも混ざっているのか、横で富竹ジロウが死んでいたことを思い出す。思わず叫びかけて、息を吸ったことで肋の痛みに出そうとした声は悲鳴に変わった。
冷徹に思われることもある彼女だが、人並み以上に人の死というものには敏感だ。ただ諦めることに慣れているだけで、それでも知人の死を何も感じずに受け止めるような人間性はしていない。それに、富竹の死は単にそれ以上の意味を持つ。彼が片思いしていた相手というのが鷹野なのだから、もし彼女がいればと考えると、声も出るものだった。
冷徹に思われることもある彼女だが、人並み以上に人の死というものには敏感だ。ただ諦めることに慣れているだけで、それでも知人の死を何も感じずに受け止めるような人間性はしていない。それに、富竹の死は単にそれ以上の意味を持つ。彼が片思いしていた相手というのが鷹野なのだから、もし彼女がいればと考えると、声も出るものだった。
(はぁ……息するのも苦しいっていうのは……わずらわしいね……それにしても、鷹野……彼女がここにいるのは、富竹がいるならありえないことじゃない……)
喘ぎつつも冷静に考えることを努める。単純な話だ、自分が誘拐された、自衛官である富竹も誘拐された、看護師をやっている鷹野ぐらい難なく誘拐できるだろう。難易度を考えればそうなる。
だがめぐり合わせというものを感じずにはいられない。自分が助け出されたということはその横にいた富竹の死体も発見されているだろう。よりによって熊に襲われた死体が。
汗が吹き出るのと、駆け足の足音が近づいてくるのを感じる。鷹野かと思ったが、視界に現れたのはセーラー服だ。ろくに効かない視力のせいもあって、一瞬竜宮レナかと誤解する。自分たち3人が巻き込まれているのならばレナもと思わず考えたが、髪色こそ似ているものの、顔立ちが違うのですぐにホっとする。レナの猫を思わせるような丸い瞳ではなく、中性的な顔と温度の無い目つきはまるで別人で。
この時ほど、梨花は自分がろくに声を発せられないのを幸運には思ったことは無かった。
だがめぐり合わせというものを感じずにはいられない。自分が助け出されたということはその横にいた富竹の死体も発見されているだろう。よりによって熊に襲われた死体が。
汗が吹き出るのと、駆け足の足音が近づいてくるのを感じる。鷹野かと思ったが、視界に現れたのはセーラー服だ。ろくに効かない視力のせいもあって、一瞬竜宮レナかと誤解する。自分たち3人が巻き込まれているのならばレナもと思わず考えたが、髪色こそ似ているものの、顔立ちが違うのですぐにホっとする。レナの猫を思わせるような丸い瞳ではなく、中性的な顔と温度の無い目つきはまるで別人で。
この時ほど、梨花は自分がろくに声を発せられないのを幸運には思ったことは無かった。
(──ミツル!!)
彼女を100回に渡って殺してきた芦川ミツルが、殺意を秘めた瞳で梨花を見下ろしていた。
学校にミツルが潜入するのは至極簡単だった。
彼の顔を知っている人間は皆殺している。殺害の場面を見られたことは考えられるが、そもそもミツルが着ている魔法使い然としたローブによって、彼の顔を確認することは至近距離でなければ困難だ。
だから彼がやるべきことはほんの僅かですんだ。
中学生のものらしいセーラー服が学校から一時離れた時に漁った民家にあったことを思い出すと、そこまで戻って全ての服を着替えただけだ。
ヘアアクセサリーで髪型を多少変え、女物の下着を付け、セーラー服を着ると、少し考えて女子らしい靴下をはく。鏡で何度か確認し、帽子と眼鏡で印象を変え、体型を誤魔化すために女物のアウターで厚着をした後、全ての荷物を人目につかない所へしまう。杖を新聞紙に包んでゴルフバッグに入れ、入っていたゴルフクラブもいくつか同じようにし、そうでないゴルフクラブを引き抜いてライフルを入れた。これで『拾ったゴルフバッグに拾ったライフルを入れた女子中学生』と化した。
これが日常生活であれば目立つ出で立ちではあるが、殺し合いの場でそこまで気が回る人間はそうはいない、と思いたい。よく考えればおかしいところだらけだと自分でも思うが、だからといって少女を疑う男など難癖をつける変態扱いすればあしらえる。学校にいるのが男子小学生程度の人間ばかりならなおさらだ。
もう一つ、ミツルは学校に潜入することを容易にする要因があった。学校に集まった17名は、人数が多すぎて全容を把握している人間が少ないのだ。
初対面の人間が一度に10名以上の顔と名前を一致させるなどそうそうできない。またミツルにとって幸運なことにそれができる人間は死ぬか正常な状態ではなくなるか多忙である。彼はそこまでわかっていたわけではないが、学校に20名近くの参加者が集まっていることは把握していた。
魔法が使えようと強力な武器があろうと、さすがにそれだけの参加者を1人で皆殺しにするのは無謀だ。まず何人いるのかわからないので殺しきれたかわからない。撃ちもらせばリスクになる。そのことを考えついた時は顔を渋めたものだ。顔も見せずに殺すことは容易いが、最後の一人になるまで殺し合うというルール上、多人数に密集されると殺せても殺しにくくなる。
だから、内に入って人数を確認して殺しに行く。
彼の顔を知っている人間は皆殺している。殺害の場面を見られたことは考えられるが、そもそもミツルが着ている魔法使い然としたローブによって、彼の顔を確認することは至近距離でなければ困難だ。
だから彼がやるべきことはほんの僅かですんだ。
中学生のものらしいセーラー服が学校から一時離れた時に漁った民家にあったことを思い出すと、そこまで戻って全ての服を着替えただけだ。
ヘアアクセサリーで髪型を多少変え、女物の下着を付け、セーラー服を着ると、少し考えて女子らしい靴下をはく。鏡で何度か確認し、帽子と眼鏡で印象を変え、体型を誤魔化すために女物のアウターで厚着をした後、全ての荷物を人目につかない所へしまう。杖を新聞紙に包んでゴルフバッグに入れ、入っていたゴルフクラブもいくつか同じようにし、そうでないゴルフクラブを引き抜いてライフルを入れた。これで『拾ったゴルフバッグに拾ったライフルを入れた女子中学生』と化した。
これが日常生活であれば目立つ出で立ちではあるが、殺し合いの場でそこまで気が回る人間はそうはいない、と思いたい。よく考えればおかしいところだらけだと自分でも思うが、だからといって少女を疑う男など難癖をつける変態扱いすればあしらえる。学校にいるのが男子小学生程度の人間ばかりならなおさらだ。
もう一つ、ミツルは学校に潜入することを容易にする要因があった。学校に集まった17名は、人数が多すぎて全容を把握している人間が少ないのだ。
初対面の人間が一度に10名以上の顔と名前を一致させるなどそうそうできない。またミツルにとって幸運なことにそれができる人間は死ぬか正常な状態ではなくなるか多忙である。彼はそこまでわかっていたわけではないが、学校に20名近くの参加者が集まっていることは把握していた。
魔法が使えようと強力な武器があろうと、さすがにそれだけの参加者を1人で皆殺しにするのは無謀だ。まず何人いるのかわからないので殺しきれたかわからない。撃ちもらせばリスクになる。そのことを考えついた時は顔を渋めたものだ。顔も見せずに殺すことは容易いが、最後の一人になるまで殺し合うというルール上、多人数に密集されると殺せても殺しにくくなる。
だから、内に入って人数を確認して殺しに行く。
(結局のところ、幻界でもここでもやることは変わらない。利用できる勢力なら、中には行ったほうがいい。)
ミツルにとっての幸運はもう一つ、鷹野三四が保健室を外していたことだろう。この場のリーダー役である彼女は当然新しい人間にも面通しするが、看護師である彼女に拙い女装など通用しないであろう。もっとも、彼はそれを指摘されても心は女などとでも言って誤魔化す気ではあったが、めんどうなく潜入するに越したことはない。
(負傷者が多いな。ここは後回しでいいか。)
ミツルは冷たい視線を梨花から外すと保健室を後にする。敵の足手まといは多いほうがいい。
ただ、状況しだいではあるが、このままこのグループに潜入し続けるのも悪くはないと思い始めてきた。ミツル1人でもこの殺し合いに勝ち抜く自信はあるが、自分がこのグループを襲いにくかったように、他のマーダーもこのグループを襲いにくいのではないか。まったく持って脆弱な盾ではあるが、それでもこれだけの肉盾は惜しくも感じ始めていた。
ただ、状況しだいではあるが、このままこのグループに潜入し続けるのも悪くはないと思い始めてきた。ミツル1人でもこの殺し合いに勝ち抜く自信はあるが、自分がこのグループを襲いにくかったように、他のマーダーもこのグループを襲いにくいのではないか。まったく持って脆弱な盾ではあるが、それでもこれだけの肉盾は惜しくも感じ始めていた。
(クソボケがあっ!! なんだよもおおおおお!! ようやく抜け出せたと思ったらまたこれかよおおおおお!!)
梨花は人生で何千回目かの運命を呪った。
100回リスキルされた後にまた殺しに来られたと思えばこうもなろう。
全力で眠りたかった。クソみたいな夢でギャグやらせてほしかった。
100回リスキルされた後にまた殺しに来られたと思えばこうもなろう。
全力で眠りたかった。クソみたいな夢でギャグやらせてほしかった。
マーダーランキング暫定2位、5人殺しの異世界転移者、願いの為に手を血に染める者。
そして、古手梨花を百殺した『天敵』。
さしもの彼も、時間を超えた記憶により自分の正体を知る者がいるとは気づかず。
梨花にとって最も危険な男が、梨花の目の前に現れた。
そして、古手梨花を百殺した『天敵』。
さしもの彼も、時間を超えた記憶により自分の正体を知る者がいるとは気づかず。
梨花にとって最も危険な男が、梨花の目の前に現れた。
【0407 『北部』学校】
【古手梨花@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第一話 鬼隠し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
今回のイレギュラーを利用して生き残る。
●中目標
自分が雛見沢からいなくなった影響を考えて手を打つ。
特殊な経験、または超常的な力を持つ参加者と合流する(でもあんまり突飛なのは勘弁)。
●小目標
ミツル……! なんでここに……!
【目標】
●大目標
今回のイレギュラーを利用して生き残る。
●中目標
自分が雛見沢からいなくなった影響を考えて手を打つ。
特殊な経験、または超常的な力を持つ参加者と合流する(でもあんまり突飛なのは勘弁)。
●小目標
ミツル……! なんでここに……!
【芦川美鶴@ブレイブ・ストーリー (4)運命の塔(ブレイブ・ストーリーシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
ゲームに優勝し、家族を取り戻す。
●中目標
学校のグループを潜入し調査する。
●小目標
まずは人数を確認するか……
【目標】
●大目標
ゲームに優勝し、家族を取り戻す。
●中目標
学校のグループを潜入し調査する。
●小目標
まずは人数を確認するか……