一人の剣士がいた。
その剣士の名は…不明。
とりあえず「塁に切り刻まれた剣士」だと呼びづらいので、サイコロステーキ先輩と以後呼ぶことにする。
その剣士の名は…不明。
とりあえず「塁に切り刻まれた剣士」だと呼びづらいので、サイコロステーキ先輩と以後呼ぶことにする。
サイコロステーキ先輩は、この会場に呼ばれてすぐ、近くに落ちていた日輪刀を見つけ、手に入れていた。
しかし、剣を構えながら歩くその姿は、最初の場所でツノウサギに無謀にも挑もうとしていた時とは、まったく様子が違っていた。
しかし、剣を構えながら歩くその姿は、最初の場所でツノウサギに無謀にも挑もうとしていた時とは、まったく様子が違っていた。
「分からねえ、分からねえ、分からねえ…なんで俺、死んだのに生きてるんだ?」
自分はあの時、身体が動かないまま、死を迎えようとしていたはずだ。
それなのに、突然どこからか衝撃が来たと思ったら、生き返っていた。
生き返ったことに関しては別にいい。
しかし、問題は…一瞬とはいえ、死に触れてしまったことだった。
それなのに、突然どこからか衝撃が来たと思ったら、生き返っていた。
生き返ったことに関しては別にいい。
しかし、問題は…一瞬とはいえ、死に触れてしまったことだった。
「死にたくねえ、死にたくねえ、死にたくねえ…」
死の瞬間の感覚が、何度も脳裏にフラッシュバックする。
冷たくて、怖くて、孤独で…自分という存在が消えつつあるのを知覚したあの感覚。
怖い、怖い、怖い…
冷たくて、怖くて、孤独で…自分という存在が消えつつあるのを知覚したあの感覚。
怖い、怖い、怖い…
「とにかく、どっか隠れるところを…」
へっぴり腰で日輪刀を握りしめながら、サイコロステーキ先輩は身を隠す場所を探す。
しかし…
しかし…
「ひいいっ!?鬼!?」
よりにもよって、今一番会いたくない存在と遭遇してしまった。
「…ほう?貴様、鱗滝と同じ鬼殺隊という奴だな?」
巨大な体躯に無数の腕を生やした鬼。
サイコロステーキ先輩同様、正式な名前は不明だが、「手鬼」と呼ばせてもらおう。
手鬼は、鬼殺隊入隊の最終試練の場「藤襲山」に封じられた鬼であり、封じられながらもしぶとく生き残り、50人もの人間を喰らった。
喰らった人間はみな鬼殺隊の入隊試験を受けに来た候補生であり、正規の鬼殺隊士と出会うのは久方ぶりのことであった。
サイコロステーキ先輩同様、正式な名前は不明だが、「手鬼」と呼ばせてもらおう。
手鬼は、鬼殺隊入隊の最終試練の場「藤襲山」に封じられた鬼であり、封じられながらもしぶとく生き残り、50人もの人間を喰らった。
喰らった人間はみな鬼殺隊の入隊試験を受けに来た候補生であり、正規の鬼殺隊士と出会うのは久方ぶりのことであった。
「面白い。鱗滝と同じ真の剣士…喰いごたえがありそうだ」
久しぶりの鬼殺隊の剣士との邂逅に、胸を躍らせる。
それに対する、サイコロステーキ先輩はというと…
それに対する、サイコロステーキ先輩はというと…
「ひいいいっ!来るな、来るなあああ!」
その場に尻もちをつき、剣をでたらめに振り回していた。
「俺はもう死にたくない!あんな恐ろしい目に遭うのはごめんだ!来るなああああ!」
彼は、完全に死への恐怖に支配されていた。
そしてそんなサイコロステーキ先輩の姿を見た手鬼は、落胆する。
そしてそんなサイコロステーキ先輩の姿を見た手鬼は、落胆する。
「…鱗滝に捕らえられ47年。久しぶりに会った剣士がこんな奴とは…残念だ」
そう言うと手鬼は、その無数の手でサイコロステーキ先輩を捕らえようと…
「ガッ!?」
捕らえようとしたその身体が、吹っ飛ぶ。
突然乱入してきた少女によって。
少女は、サイコロステーキ先輩を庇うように立ちふさがる。
突然乱入してきた少女によって。
少女は、サイコロステーキ先輩を庇うように立ちふさがる。
「女のガキ…いや、貴様、俺と同じ鬼だな!?何故人間を庇う!?」
少女の名は竃戸禰豆子。
彼女もまた、手鬼と同じく鬼であった。
彼女もまた、手鬼と同じく鬼であった。
「そいつは俺の食料だ!邪魔をするな!」
「…!」
「…!」
こうして、二人の鬼の戦いが始まった。
【0030頃 平原】
【手鬼@鬼滅の刃 ノベライズ~炭治郎と禰豆子、運命のはじまり編~(鬼滅の刃シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
人間を喰う
●小目標
食事の邪魔をしてきた鬼を倒す
【目標】
●大目標
人間を喰う
●小目標
食事の邪魔をしてきた鬼を倒す
【竃戸禰豆子@鬼滅の刃 ノベライズ~きょうだいの絆と鬼殺隊編~(鬼滅の刃シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
人間を守る
●小目標
目の前の鬼を倒す
【目標】
●大目標
人間を守る
●小目標
目の前の鬼を倒す
わけが分からない、わけが分からない、わけが分からない…
サイコロステーキ先輩は混乱していた。
今まさに鬼に喰われそうになっていた自分を救ったのは、鬼だった。
自分を庇うように立ち、鬼と戦うその行動は、明らかに自分を守ろうとする者の行動だった。
今まさに鬼に喰われそうになっていた自分を救ったのは、鬼だった。
自分を庇うように立ち、鬼と戦うその行動は、明らかに自分を守ろうとする者の行動だった。
「意味が分からない…なんで鬼が人間を、しかも剣士を庇うんだ!」
死んだと思ったら生き返り。
鬼に襲われたと思ったら鬼に助けられ。
わけが分からない。
現実の出来事とは思えない。
鬼に襲われたと思ったら鬼に助けられ。
わけが分からない。
現実の出来事とは思えない。
混乱を強めるサイコロステーキ先輩。
その混乱は、死への恐怖と結びつき。
その混乱は、死への恐怖と結びつき。
「あ、そうか」
その結果、彼が出した結論は。
「これは、夢なんだ」
安直で都合のいい、逃げだった。
「そうだ、夢だ!全部夢なんだ!死んだのに生き返って、鬼に守られて…こんな非常識なこと、夢以外にあり得ない!ハ、ハハ、ふひゃハハハハハハハハハへは!」
狂ったような笑い声をあげるサイコロステーキ先輩。
死への恐怖は、彼から冷静な判断を失わせていた。
この世界を夢だと決めつけたサイコロステーキ先輩は、持っていた日輪刀を自らの首へと持っていく。
死への恐怖は、彼から冷静な判断を失わせていた。
この世界を夢だと決めつけたサイコロステーキ先輩は、持っていた日輪刀を自らの首へと持っていく。
「きっとさっきは、死に方が甘かったから夢から覚めなかったんだ。思い切って首を斬ってしまえば、きっとこんな訳の分からない夢から、抜け出せる!」
「俺はこんなとこで変な夢見てる暇なんかないんだよ!現実の世界で、ほどほどの鬼をほどほどに狩って、出世して金をもらう!」
「こんな夢とは、おさらばだ!」
そういうとサイコロステーキ先輩は、自らの首に日輪刀を押し当てた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
これは、サイコロステーキ先輩が元の世界で死んでから、もう少し未来の話。
鬼殺隊の剣士、竃戸炭治郎は無限列車にて、下弦の壱、魘夢と戦う。
魘夢が仕掛けてくる強制昏倒睡眠、強制的に敵を眠らせ夢に閉じ込める術に対し、炭治郎は眠ってすぐ夢の中で自決するというとんでもない方法で対処する。
しかし、列車と融合を果たした魘夢との戦いの中で何度も強制昏倒睡眠を喰らった炭治郎は、夢と現実の境界が曖昧になり、ついには現実の中で自らの首を斬りそうになってしまう。
しかし…
鬼殺隊の剣士、竃戸炭治郎は無限列車にて、下弦の壱、魘夢と戦う。
魘夢が仕掛けてくる強制昏倒睡眠、強制的に敵を眠らせ夢に閉じ込める術に対し、炭治郎は眠ってすぐ夢の中で自決するというとんでもない方法で対処する。
しかし、列車と融合を果たした魘夢との戦いの中で何度も強制昏倒睡眠を喰らった炭治郎は、夢と現実の境界が曖昧になり、ついには現実の中で自らの首を斬りそうになってしまう。
しかし…
『夢じゃねえ!!現実だ!!!』
『罠にかかるんじゃねえよ!!つまらねえ死に方すんな!!』
仲間が、助けてくれた。
これは夢じゃなく、現実なんだと教えてくれたのだ。
その後炭治郎は、仲間と力を合わせて、魘夢を撃退することに成功した。
これは夢じゃなく、現実なんだと教えてくれたのだ。
その後炭治郎は、仲間と力を合わせて、魘夢を撃退することに成功した。
竃戸炭治郎には、仲間がいた。
仲間がいたから、危機を救われた。
仲間がいたから、敵を倒すことができた。
サイコロステーキ先輩、彼には――
仲間がいたから、危機を救われた。
仲間がいたから、敵を倒すことができた。
サイコロステーキ先輩、彼には――
ザシュッ
【脱落】
【塁に切り刻まれた剣士(サイコロステーキ先輩)@鬼滅の刃 ノベライズ~きょうだいの絆と鬼殺隊編~(鬼滅の刃シリーズ)@集英社みらい文庫】
【残り参加者 259/300】
彼には、仲間がいなかった。