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  • 緑の瞳は見えないものまでまなざせるのか?

児童文庫ロワ

緑の瞳は見えないものまでまなざせるのか?

最終更新:2025年07月16日 00:12

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だれでも歓迎! 編集
 コトコトコトコト。
 給湯室、と入り口のドアにプレートを付けられた部屋は、8畳ほどの広さの真ん中にテーブルが置かれている。そこに鍋敷きをひくと、エリンはコンロから鍋を持ち上げて慎重に置いた。

「陽人君。」
「うおっ!?」

 窓辺の和泉陽人は、声をかけられると飛び起きて、慌てて周囲を見渡すと。

「悪い、寝てたか……」
「だいじょうぶだよ、何もなかったから。」
「なにも、か。」

 バツの悪そうに言うも、エリンにそう言われて、心配そうな顔をした。

 エリンたちがこの美術館に来てから数時間が経った。ハンターから逃げようと動いていた時、周りが駐車場や庭園になっていて近づく者に気づきやすい建物を見つけて入ったのだ。屋内に入った途端に大量の銃器があることに驚いたり、監視カメラを見つけてホッとしたり、電話が繋がらなくてガッカリしたりと、他の参加者がここ数時間でやったことを一通り経験して。他のグループと違うところというと、その間陽人が気を張り続けていたことだ。

(長いな……)

 逃走中ではなかなか無い長丁場に、陽人はすっかり疲れ果てていた。彼のこれまでの経験が裏目に出ていた。これほどまでに何も無い時間が続いたことなど、逃走中では無かったのだ。
 立ち上がると、心配を顔に出しながらモニターを眺める。高価なものもあるからか、防犯はしっかりしているらしい。まさか殺し合いの場に怪盗などいないだろうに、どうやらちゃんと監視カメラ機能しているようで、その無意味さが不気味に感じる。視線を外しかけたその時、モニターに動く影を見つけて、陽人が二度見したと同時にけたたましいアラームが鳴った。
 敵か! ハンターか! そう思ってモニターに近づくと、制服姿の少女の慌てた様子が映っている。そしてカメラの方に向かって何やらジェスチャーをして、慌ただしく駆け出した。数分もせずにガチャリと部屋のドアが開く。だが陽人は動くことはなかった。それが誰かわかりきっていたからだ。

「ごめんなさい……」

 そう言いながら入ってきたのは、このチームでは最後の一人、小川凛である。陽人はため息をつくと笑って防犯センサーを切った。
 つくづく、自分の知るゲームとは違うと思う。こんな頼りになる設備を自分が使えれば、ハンターから逃げるのももっと楽になるだろう。時間といい自分の常識の通じなさを感じる。
 そう思うとようやく、少し肩の荷が下りた。これまでの何時間かは、いつハンターが四方から殺到してこないか、実は美術品に紛れていてタイマーで放出されるんじゃないかと気を張り続けていた。なにより、あまりに何も起きない時間が長過ぎたのだ。いつ襲われるかと思いながら過ごすのは、とてつもなく時間の流れを遅く感じさせる。

(こんなことなら、小清水を拾ってきてやったら。)

 そうなると自然、目の前で死んだ小清水凛のことが思い出される。あの硬直していく姿は、目を閉じれば今も瞼の裏にこびりついて離れない。あの死に顔を忘れることは、きっと無いのだろうと思う。
 それでも陽人は、冷静になろうと考えた。自分が一番ハンターの脅威をわかっている。彼女ですらハンターに見つかれば振り切るのは容易ではなく、あんなにもアッサリと命を落としたのだ。そしてアイテムのように置かれた銃や刀。仮にハンターがいなくても、危険な人間はおそらくいるだろう。そうなれば自分一人で死体を運ぶなど無謀でしかない。もちろんエリン達を巻き込むわけには行かないので、己一人で死体を──

(死体……アイツを死体として……)
「陽人君?」
「……ああ、ありがとう、いただきます。」

 見知った仲間を、人間ではなく物として運ぶような発想に行き着いて、陽人は不機嫌に立ちすくんだ。遺体1つ弔ってやれないことに、どんな顔をすればいいのかわからない。
 それでもエリン達が無理矢理でも明るく振る舞っているのを見て、陽人はなんとか強張った顔を緩めようとしつつテーブルについた。



「この匂いなんだ……飯でも食ってんのか?」

 陽人たちがいるその美術館の駐車場で、毒づく1人の少女。
 名前は竹井カツエ。彼女のその手は、右手はテーピングで固められ、左手は拳銃が握られている。小学生には似つかわしくないその姿は、眼光の鋭さもあって、胡乱な雰囲気を感じさせるには充分であった。
 空寺ケンとの戦闘から時間にすれば、数時間というほどは経っていなかった。互いに空手の実力者、男女の性差も小学生同士ではむしろ女子に有利に働く。銃ではなくあえて己が信を置くステゴロを選んだ2人の戦いは、ルール無用のバーリ・トゥードと化し、最後はハンターの乱入によって決着となった。
 あれからしばらく。その間カツエは手傷の手当てに当たっていた。組手もやるのだ、その辺りの知識は運動しない子供よりはある。彼女はひとまず動けるようになると、街をさまよい、見つけたドラッグストアを漁って必要な物を手に入れた。熱を持った傷をアイシングし、ガチガチにテーピングで固める。彼女にできる限りのことをすると、最後に痛み止めをがぶ飲みした。
 それが効いてきたのか、しばらくすると小走りできるぐらいには痛みが引いてきた。傷を痛めないように念入りにストレッチすると、適当に食べ物を口にしようとした時、ふと防災バッグを見つけたのでそれに詰め込む。苛立たしげにグミを口に放り込んで、とにかくもう少し安全な場所に移動しようと、カツエは足早に、しかし痛みからゆっくりと歩き出した。このドラッグストアは外から中が丸見えすぎる。店としてはそれで良いのだろうが、安心して腰を落ち着ける場所には程遠い。

(なんなんだこの平たいビル、まあなんでもいい、中の奴をぶっ殺して……)

 そうして街を歩いている時に見つけたのが、凛たちがいる美術館だった。霧の中から突然現れた、開けた空間の奥にある建物。場違いに思えるほど手入れがされた庭園には、謎のオブジェも点在している。カツエは遠巻きにそれを見ると、侵入できる場所を探して駐車場へと行き着いた。1つだけ換気扇が回っている小部屋(といっても他と比べてだが)があり、そこからは美味そうな匂いが流れてくる。そう言えばここに来てからろくに何も食べてない、そんなことが頭をよぎった時だ、後ろからかすかに足音が聞こえたのは。

「しいっ!」
「うわっ!」

 ズガン!と銃弾が停車してある自動車を撃ち抜く。カツエが躊躇無く発砲した弾丸は、元々狙いなどつけていないのでどこかに飛んでいき、その隙に尻餅をついた少年、陽人は素早く車の影に転がり込んだ。

「待て! 殺す気はない!」
「るっせえ!」

 振り向きざまに撃って当たるなどカツエ本人も思っていない。拳銃を連射しながらダッシュすると、陽人を蹴り殺そうと距離を詰める。見敵必殺、人を見たら見つけ次第殺す、頭にあるのはそれだけだ。
 車の周りをカーブするタイミングで更に撃ち、すぐさま突っ込む。陽人は同じタイミングでカツエから対角線になる位置に駆け込んだ。発砲するが、素人の腕ではわずか数メートルの距離でも当たらない。舌打ちをして追いかけるが、再び角を回ったときには陽人の姿は無かった。どこに行った?その疑問は直ぐに解決した。視界の上方から何かが飛んでくる。とっさにバックステップをすれば、ボンネットから屋根を足場に飛び込んできた陽人が、目の前にいた。

「ヤバ──」「死ねえ!」

 叫んだのは同時、動いたのも同時。
 カツエが引鉄を引いた瞬間、陽人は反射的に腕を上げる。その腕がカツエの手をずらし、そして銃口からは弾が発射され、ない。

(弾切れ!?)
「ガッ!?」

 撃ち尽くしたことを理解するより先に、今度はカツエが反射で殴りつける。今度も腕を動かされるが、体に染み付いた武道の動きは、人間の反射をも超える。鳩尾こそ外したとはいえ正中線にガードも虚しく正拳突きが突き刺さり、陽人は肺の中の空気を出しながら吹き飛ばされた。

「はっ……なるほど、罠だったってわけね。」
「違っ! ぐっ……!」

 上体を起こしている所に横から蹴りを入れてうつ伏せにすると、カツエはその上に乗った。にわかに鼓動を早くした心臓を落ち着かせるように深呼吸して辺りを見渡す。すると中空に赤い光が見えた。よく見ればそれが監視カメラだと気づく。なるほどこれで気づかれたかと、他にも何かないか探すと、車の脇に立ち竦む2人の少女と目が合った。

(……なんだこいつら。)

 少女たちが動かないように、カツエも硬直した。この銃弾が飛んでくるがもしれないところに突っ立っている2人は何なのか。殺し合いの場だどいうのに手ぶらである。ではカツエのように腕に自身があるのかというと、とてもそうには見えない。片方は中学校の制服だろうか、天然なのかパーマなのか、とにかくウェーブした髪が特徴的な少女だ。もう片方は、緑の髪に緑の瞳、さらに民族衣装らしきものに身を包んだ奇抜な格好の少女である。2人とカツエは見つめ合っていた。

「……お前ら動くな、コイツ殺されたくなかったら武器捨てろ。」
「は、はい……」

 弾の切れた拳銃を陽人に向け、弾が無いのだからこれでは脅しにならないかと2人に向け、いや2人に向けても脅しにならないのは同じだと思ったが、とりあえず格好として向ける。すると2人は、慌ててポケットなりから拳銃を地面におっかなびっくり置いた。
 すると拍子抜けするのはカツエである。まさかこんな、ド三流のチンピラムーブを自分がすることになるとも、それで相手が従うとも思っていなかった。コイツらは弾切れだと気づいてないのか?その可能性に気づいてカツエは薄く笑う。どうやら頭の弱いいい子ちゃんなのだろう。ならカモだ。

「あ、あの、こんなことやめませんか。」
「うるせえ! 早くその銃、こっちに滑らせろ。」
「そんな……」
「早くしろぉ! 撃つぞゴラァ!」
「凛さん、それは……」
「だ、大丈夫……もう撃てないから……」
「チっ!」

 いやバレている。ならなんなのだコイツらは。さっき銃を出したときそのまま撃っていれば良かったではないか。カツエから見れば不合理な行動に困惑が深まる。目的がわからない。殺し合いを前提としたその頭では。
 カツエは銃を捨てると、陽人にバックチョークをかける。もういい、まずはコイツを殺ってから、次はお前らだ。そう考えると、首輪が邪魔でうまく締められずまごついているところに曲が流れ出す。

『──強くなれる理由を知った。』
「なにっ?」

 陽人の首輪だけではない、カツエ自身の首輪からも、横に停まっている車のカーラジオからも、美術館の館内放送からも、エリンたちからの首輪からもだ。

「お前ら動くな!」
「ち、違うよ、私たちじゃないよ!」
「……ミッションか?」
「みっしょん?」

 混乱する3人と、1人ダメージに顔を歪めながらも冷静に何が起こるかを察する陽人。気色ばむカツエを無視するように、第一回放送が始まった。



 コポコポコポコポ。
 ぬるめのお湯を注ぐと、4人分の湯呑みから茶葉の香りが匂い立つ。
 エリンはお盆を持つと、それをテーブルの上に置いた。

「ありがとう。」

 反応を示したのは陽人1人だ。カツエはポトフをがっきながら鋭い目を向けるだけだった。そして、凛は、泣いていた。


『広瀬崇』

 その名前が呼ばれた時が、戦いに水が入ったタイミングだった。放送が始まって直ぐにその趣旨が当の放送によって伝えられ、自然と全員がそれに耳を傾けることになる。エリンたち3人は元より、カツエも自分の家族の名前が呼ばれていないかは当然気になる。そうして無事に『た』で名前が呼ばれなかったことで安堵し、小清水凛の名前が呼ばれてもわずかに身じろぎするだけだった陽人を締め直し、さてこれからどうコイツらを片付けるかと思っていた時だ。

「広瀬、崇……?」

 膝から崩れ落ちる人間など、空手をやっていてもそうそう見ることはない。その貴重な実例をカツエは目にした。
 その名前が呼ばれた瞬間、凛の体から全ての力が抜けたように見えた。横のエリンがとっさに支えていなければ、打撲は免れなかっただろう、ストンという落ち方。
 カツエが何もしなくても、少女たちは無力化された。エリンは凛を見捨てて動けるようなたまでないことは短い間にわかった。その凛は明らかに顔面蒼白、1人では動けもしないだろう。そして陽人は自分が首に手をかけている。負ける要素など、ない。
 それでもカツエは、放送が終わるまで、自分の腕に陽人が手をかけるまで動けなかった。

「……殺し合いなんてやる気はないよ、みんな。あんたもそうじゃないか。」
「ア……チっ!」

 違う、そう言い捨てようとして、しかし、言葉に詰まった。殺し合いに乗っている。そう口にするには、あまりにも、あまりにもこの場の空気は死んでいたのだから。

(……いや、待てよ、そもそも、そもそも最初は同盟相手探そうとも考えてたんだ。ならコイツらって使えるんじゃねえか? たぶんクッソお人好しだもん。)
「俺は和泉陽人、あんたは?」
「……殺し合えば何でも願いが叶うんだろ? 信用できるか。」
「あんなくそみたいな放送の方が信用できねーよ。だろ?」
「……そうか、竹井カツエだ。」

 それにもう1つ、カツエが方針を改める理由があった。
 放送していた死野マギワは、カツエの参加していた絶体絶命ゲームの進行役である。ゆえに、彼女はその放送を真実だと受け取った。たとえ織田信長が呼ばれようが明智光秀が呼ばれようが、あの放送内容自体が何かのヒントも兼ねたのだと受け取った。残念ながらメモを取ることはできなかったので全部は憶えきれないが、それでも人数は把握した。
 だが陽人たちはマギワもツノウサギも知る様子を見せなかった。だから真に受けない、信じない、値千金の死亡者情報を。信じることなどできない、あんな非現実的な内容を。

(家族の名前とか呼ばれればともかく、そうじゃないなら信じないもんなのか。てことは、コイツらが殺しに行く可能性は低い……?)

 そして信じないからこそ安心できる。カツエは十中八九、追加ルールによるキル数レースは真実だと考えていた。あんなルールが追加されれば、集団で動くことなどできない。人数が集まれば集まるほど、殺し合いに乗るメリットが増える。だが、あの放送を信じないのであれば、その意味は大きく変わる。カツエだけが3人殺せるポイントをキープしているに等しい。

(なら、今ここで無理して殺す必要はないよな……あと6時間、放送ギリギリまで、こういうバカを集めて、最後にぶっ殺せば──)
「あの……」
「あ?」

 エリンに声をかけられて、カツエはスプーンが止まっていることに気づいた。どうやら考え込んでいたらしい。ちょうど小腹も空いていたところに出てきた暖かくて優しい味の飯に、張っていた気が緩んだのは仕方のないことなだろう。これではいかんと出されたお茶をゴクゴクと飲み、飲んでからこれに毒が入っている可能性を考えて、青い顔になるが、何も起きないのでホッとする。当のエリンはというと、凛の横に座って話しかけていた。

(アタシだけかよ……)
「竹井、大丈夫か?」
「……なにが?」
「いや……ほら、手だよ。」
「あぁ……アンタは?」
「俺は……あー、いいパンチだったぜ。」
「あっそ。」

 陽人も、無理をしているのが明らかだった。顔は強ばり、じっと監視カメラの映像を見ているかと思えば、落ち着かないように部屋の棚や引き出しを漁ったりしている。そうしてしばらくすると、袋菓子の小袋を1つ開けて、また監視カメラの映像を見始めるのだ。
 誰も彼もが疲れた顔をしていた。たった6時間、知り合いの名前が呼ばれた信用できない放送が流れただけで、それまで保っていた連帯が崩れている。カツエはこの3人がまともなグループだった頃を知らないので、やけに辛気臭い奴らに潜り込んでしまったと思った。

(やっべ眠くなってきた……この空気も疲れるし……いやでも、さすがに寝たらやばいか?)

 現に今、こうして自分は飯まで食っている。エリンたちはあの戦闘にも関わらず、カツエをパニックになっていただけだと判断してなんと受け入れたのだ。実際問題あの時のカツエは殺られる前に殺ろうと思ったから撃ったので出会い方が違えばもっと表面上は穏便に殺るはずだったのだが、ともかく寝れるときに寝るのはいいかもしれない。自分に気づくぐらいには注意深いのだし、センサー代わりと考えればアリだろう。

「そこのソファー借りるよ。」

 これはある意味賭けだ。凛たちが度を越したお人好しならば、利用価値はでかい。なにせ81人の死者だ。カツエが首輪を外すには1人で10人近く殺さなくてはならないかもしれない。その時のために、同じようなお人好しを集めるお人好しホイホイとして、そして肉の盾として使えるか。

「カツエさん、どうぞ。」
「お、あんがと。」

 直ぐに立ち上がりパタパタと小走りで棚からタオルを渡してきたエリンを見て、カツエは思う。特にコイツは使える。何人だか知らないけどきっと利用できる。後は、カツエ次第だ。

(せいぜい利用させてもらうよ、エリン。)
(カツエさんはよく見張ってないと。)

 そのエリンがカツエを危険視していることに気づかぬまま、彼女は眠りにつく。その緑の瞳の慧眼さは、彼女の予想を超えていた。
 エリンはこのグループで、実は放送を真実だと誰よりも思っていた。そして同時に同じぐらいに疑っていた。いわばフラットな中立の視点である。
 親が処刑され天涯孤独の身となった彼女を助けた蜂飼いのジョウンから学んだ様々な知識は、この場ではほとんど役に立たない。だがそれでも、人の話というものが、時に自然と、つまり真実を言い表していることもあれば、誤りや過不足があることもあることは、変りなかった。
 エリンはツノウサギのことを知らない。死野マギワのことも知らない。彼女たちがどのような立場で、どのような知識を持って、どのような事情で、どのような目的であの放送をしているのか、正しいことは何もわからないのだ。また彼女がリョザ真王国の、大公領の、その中でも異端の霧の民ということも大きいだろう。生まれからして本来なら言葉が通じるかも怪しい異民族の中で、異民族の文化を受けて育ったのだ。必然的に己の見え方が他とは違うことを、環境が教える。たとえ差異が無くてもあることになる。
 だからエリンは、竹井カツエという生き物を最初から観察していた。彼女の闘蛇を思わせる殺気立ち方に、なぜそうなったのか気になったのだ。そうして気づいたのは、違和感だ。なにか、なにか思い違いをしているように思えてならない。凛や陽人と同じような、単に殺し合わさせられている子のはずなのに。
 緑の瞳は見えないものまでまなざせるのか?



【0624 『東部』都市部・美術館】


【エリン@獣の奏者(講談社青い鳥文庫)】
【目標】
●大目標
 殺し合いから脱出する。
●中目標
 凛さんたちが心配した。
●小目標
 カツエさんに違和感。

【和泉陽人@逃走中シリーズ(集英社みらい文庫)】
【目標】
●大目標
 この殺し合いから脱出する。
●中目標
 監視カメラを見張る。
●小目標
 小清水……

【小川凛@泣いちゃいそうだよシリーズ(講談社青い鳥文庫)】
【目標】
●大目標
 ???
●小目標
 ???

【竹井カツエ@絶体絶命ゲーム 1億円争奪サバイバル(絶体絶命シリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
 生き残り人生をやり直す。
●中目標
 凛たちを利用して殺しまくれるタイミングを待つ。
●小目標
 寝る。

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