「殺し合い……か……」
「どこぞのバカの暴走に巻き込まれたという可能性が高いだろうが……。
しかし……」
しかし……」
悪魔には、破壊や暴力を好む者が多い。
前例は聞いたことがないが、それなりに権力を持った悪魔がおのれの欲を満たすためこのようなイベントを開いたという可能性は十分考えられる。
だがアスモデウスには、それよりも気になることがあった。
先ほどのウサギの説明に、スルーできない言葉が含まれていたのだ。
前例は聞いたことがないが、それなりに権力を持った悪魔がおのれの欲を満たすためこのようなイベントを開いたという可能性は十分考えられる。
だがアスモデウスには、それよりも気になることがあった。
先ほどのウサギの説明に、スルーできない言葉が含まれていたのだ。
『毒を注射してよ、人間の身体を数秒で固めて殺すんだとよ』
「人間」。ウサギはそう言った。
伝説上の存在であるはずの人間が、このイベントに参加させられているというのか。
いや、あの言い方では人間こそがメインの参加者であり、悪魔の自分は例外であるとも解釈できる。
伝説上の存在であるはずの人間が、このイベントに参加させられているというのか。
いや、あの言い方では人間こそがメインの参加者であり、悪魔の自分は例外であるとも解釈できる。
「……いや、そんなはずはないか。
人間が何十人も発見されたら、その時点で大騒ぎになる。
とても隠し通して、こんなイベントに参加させられるものではない。
おそらくは、私の聞き間違いであろう。
何かの魔術を使われたのか、記憶も不鮮明だしな」
人間が何十人も発見されたら、その時点で大騒ぎになる。
とても隠し通して、こんなイベントに参加させられるものではない。
おそらくは、私の聞き間違いであろう。
何かの魔術を使われたのか、記憶も不鮮明だしな」
おのれの想像をあり得ないと切って捨て、アスモデウスは思考を切り替える。
「そんなことより、心配なのは入間様だ。
万が一、入間様もここに連れてこられていたら……。
いや、あの方に限ってむざむざ殺されるようなことはないだろうが……。
とはいえ、入間様は争いを好まぬお方。
このようなイベントなど、苦痛に感じておられるに違いない!
すぐにでも駆けつけ、励まして差し上げねば!
いや、そもそも参加させられているかどうかもわからんのだったな……。
やむを得ん! この地を隅々まで調べて、確認するしかあるまい!」
万が一、入間様もここに連れてこられていたら……。
いや、あの方に限ってむざむざ殺されるようなことはないだろうが……。
とはいえ、入間様は争いを好まぬお方。
このようなイベントなど、苦痛に感じておられるに違いない!
すぐにでも駆けつけ、励まして差し上げねば!
いや、そもそも参加させられているかどうかもわからんのだったな……。
やむを得ん! この地を隅々まで調べて、確認するしかあるまい!」
敬愛する「トモダチ」への思いをひとしきり口にすると、アスモデウスは走り始める。
本来なら翼を使って空から確認したいところだが、こうも霧が濃くては上空での視界が十分確保できるとは思えない。
走って移動した方が確実と判断したのだ。
本来なら翼を使って空から確認したいところだが、こうも霧が濃くては上空での視界が十分確保できるとは思えない。
走って移動した方が確実と判断したのだ。
「待っていてください、入間様! いや、ここにおられないのが一番いいのですが!」
◆ ◆ ◆
そして、しばらく後。
アスモデウスは、2体の参加者が戦闘を行っている場面に遭遇した。
片方は、髪の長い少女。少々変わった服を着ているが、驚く程のものではない。
だがもう一方は、全身が無数の手に覆われた異形であった。
悪魔の外見は、千差万別だ。
アスモデウスのクラスメイトにもライオンや梟の姿をした悪魔がいるし、
他のクラスを見れば既存の生き物に当てはめられない独特すぎる体格の者もいる。
だが目の前で戦っている存在は、そんな異形を見慣れたアスモデウスにとってもなお「異質」であった。
アスモデウスは、2体の参加者が戦闘を行っている場面に遭遇した。
片方は、髪の長い少女。少々変わった服を着ているが、驚く程のものではない。
だがもう一方は、全身が無数の手に覆われた異形であった。
悪魔の外見は、千差万別だ。
アスモデウスのクラスメイトにもライオンや梟の姿をした悪魔がいるし、
他のクラスを見れば既存の生き物に当てはめられない独特すぎる体格の者もいる。
だが目の前で戦っている存在は、そんな異形を見慣れたアスモデウスにとってもなお「異質」であった。
(何だこいつは……! 悪魔なのか?
それとも魔獣?
駆除すべきか……? いやそもそも、私はこの戦いに介入すべきなのか?
なぜこいつらが戦っているのかもわからんのだぞ。
放置して速やかに入間様を捜索すべきではないのか?)
それとも魔獣?
駆除すべきか……? いやそもそも、私はこの戦いに介入すべきなのか?
なぜこいつらが戦っているのかもわからんのだぞ。
放置して速やかに入間様を捜索すべきではないのか?)
考え込むアスモデウス。
そうしているうちに、無数の手を持つ異形……手鬼も、アスモデウスの存在に気づく。
そうしているうちに、無数の手を持つ異形……手鬼も、アスモデウスの存在に気づく。
「何だ、おまえは……。人間じゃねえが、鬼の気配もしねえ……。
いったいどっちなんだ、おまえは!」
いったいどっちなんだ、おまえは!」
少女……禰豆子からいったん距離を取り、手鬼はアスモデウスに向かって叫ぶ。
「人間……? 貴様は人間を知っているのか?
ということは、本当にこの場に人間が……?」
「こっちの質問に答えろぉぉぉぉぉ!!」
ということは、本当にこの場に人間が……?」
「こっちの質問に答えろぉぉぉぉぉ!!」
一人で考え込むアスモデウスに苛立ち、手鬼が襲いかかる。
だがアスモデウスは、手から繰り出した炎でそれを迎撃する。
彼が得意とする、火炎を操る魔術だ。
だがアスモデウスは、手から繰り出した炎でそれを迎撃する。
彼が得意とする、火炎を操る魔術だ。
「ぐっ!」
思わぬ反撃をくらい、手鬼は後ずさる。
「人間にこんな芸当できるはずがない……。
やっぱりおまえ、鬼だな!
なぜ鬼の気配がしない!」
「何を吠えているのかわからん。
どうも貴様と私では、常識が根本的に異なるようだな。
少し話を聞かせてもらおうか。
もっとも素直に話してくれるような輩ではないようだから……。
少々痛めつけてからになるがな!」
やっぱりおまえ、鬼だな!
なぜ鬼の気配がしない!」
「何を吠えているのかわからん。
どうも貴様と私では、常識が根本的に異なるようだな。
少し話を聞かせてもらおうか。
もっとも素直に話してくれるような輩ではないようだから……。
少々痛めつけてからになるがな!」
アスモデウスの周囲を、炎が包み込む。
それこそが、彼が手鬼を明確に「敵」と認識した証であった。
それこそが、彼が手鬼を明確に「敵」と認識した証であった。
◆ ◆ ◆
禰豆子は困惑していた。
彼女も、アスモデウスの気配が人間とも鬼とも異なることに気づいていた。
戦うべき鬼でもなく、守るべき人間でもない。
未知の存在の出現に禰豆子はどうしていいかわからず、立ち尽くしていた。
だが手鬼がアスモデウスに襲いかかったことが、彼女に判断材料を与えた。
あの男は、少なくとも鬼の味方ではないようだ。
ならば、こちらから敵対行動を取る必要はない。
自分は変わらず、鬼と戦えばいい。
そう結論づけ、禰豆子は改めて手鬼へと突進した。
彼女も、アスモデウスの気配が人間とも鬼とも異なることに気づいていた。
戦うべき鬼でもなく、守るべき人間でもない。
未知の存在の出現に禰豆子はどうしていいかわからず、立ち尽くしていた。
だが手鬼がアスモデウスに襲いかかったことが、彼女に判断材料を与えた。
あの男は、少なくとも鬼の味方ではないようだ。
ならば、こちらから敵対行動を取る必要はない。
自分は変わらず、鬼と戦えばいい。
そう結論づけ、禰豆子は改めて手鬼へと突進した。
なお自殺したサイコロステーキ先輩の亡骸は、たまたま背の高い草に遮られ、彼らからは見えていなかった。
【0040頃 平原】
【アスモデウス・アリス@魔入りました!入間くん(1) 悪魔のお友達@ポプラキミノベル】
【目標】
●大目標
会場を探索し、入間がいれば合流
●中目標
本当に、この場に人間がいるのか調べる
●小目標
怪物(手鬼)を叩きのめし、情報を引き出す
【目標】
●大目標
会場を探索し、入間がいれば合流
●中目標
本当に、この場に人間がいるのか調べる
●小目標
怪物(手鬼)を叩きのめし、情報を引き出す
【手鬼@鬼滅の刃 ノベライズ~炭治郎と禰豆子、運命のはじまり編~(鬼滅の刃シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
人間を喰う
●小目標
食事の邪魔をしてきた鬼と、正体不明の男を倒す
【目標】
●大目標
人間を喰う
●小目標
食事の邪魔をしてきた鬼と、正体不明の男を倒す
【竃戸禰豆子@鬼滅の刃 ノベライズ~きょうだいの絆と鬼殺隊編~(鬼滅の刃シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
人間を守る
●小目標
目の前の鬼を倒す
【目標】
●大目標
人間を守る
●小目標
目の前の鬼を倒す