「おっしゃ当たった! 今回は50mだよすごくなぁい!?」
「孝司兄ちゃんどんどんうまくなってるぜ。」
「いやあ、こんな才能があったとは。自分で自分にびっくりだよ。今までこういうエピソードないんだけどね。」
「なんだよこれ! 孝司! そっちの銃よこせ!」
「あっつ!?」
「ロー姉ちゃんとおっこ姉ちゃんはダメダメだな。」
「なんだと元太!」
「孝司兄ちゃんどんどんうまくなってるぜ。」
「いやあ、こんな才能があったとは。自分で自分にびっくりだよ。今までこういうエピソードないんだけどね。」
「なんだよこれ! 孝司! そっちの銃よこせ!」
「あっつ!?」
「ロー姉ちゃんとおっこ姉ちゃんはダメダメだな。」
「なんだと元太!」
恋愛ゲームで主人公に攻略対象の情報とか教えてくれそうな雰囲気を持つ少年、考司はおっこ(原作版)と元太とロードランナーと一緒に射的で遊んでいた。
広くて頑丈な壁のある敷地は絶好の射撃場だ。柱の間隔から距離を測って、壊した自販機から取り出してみんなで飲んだジュースの空き缶を並べて、思い思いの武器を思い思いの姿勢で撃つ。
広くて頑丈な壁のある敷地は絶好の射撃場だ。柱の間隔から距離を測って、壊した自販機から取り出してみんなで飲んだジュースの空き缶を並べて、思い思いの武器を思い思いの姿勢で撃つ。
「前回もスーパーマーケットで商品ゲットしてお店のカートで爆走したから大丈夫!」
「なにも大丈夫じゃないよ。」
「なにも大丈夫じゃないよ。」
そうツッコミを入れたおっこも今ではすっかり銃を撃てるようになっていた。的には依然当たらないが、少なくとも前に飛ばすようにはできるようになった。フレンズ特有の不器用さもあってロードランナーだけは苦戦していたが、とりあえず隣で伏射しようとした元太のライフルを撃ち抜くような真似はしなくなった。
さて、ここで現在時刻を確認しよう。
ただ今時計が指し示しているのは、五時近く。
彼らの前話は、一時近く。
四時間に渡って彼らには特に何も起こらなかった。
ただ今時計が指し示しているのは、五時近く。
彼らの前話は、一時近く。
四時間に渡って彼らには特に何も起こらなかった。
ことは今から四時間前に遡る。出会った四人はスタンスの確認→情報交換→方針決定という親の顔より見た対主催グループの結成過程を経て、一つの結論に達した。
「それでよぉ、孝司兄ちゃん。これからどこ行くんだ?」
「え、どこもいかないよ。」
「ハァ? 知ってるやつが巻き込まれてるかも知んねえんだぞ!」
「そうだよ孝司さん。」
「だからだよ。」
「え、どこもいかないよ。」
「ハァ? 知ってるやつが巻き込まれてるかも知んねえんだぞ!」
「そうだよ孝司さん。」
「だからだよ。」
オホン、と咳払いを一つ。
「迷子になったときはそこから動かない、動かないといけないなら一番近くの目印に行く。これが正解。それと、一人で突っ走って『あ! ここ重要そうだ!』なんていくと危ない目に合う。怪我するかもしれないし、知り合いが自分のことを聞いたときに不安になって危ないところに呼び寄せちゃうかもしれない。」
ガサリと音を立てて孝司はポケットからメモを取り出した。
「だからここを目指したんだ。道の真ん中でずっと立ってるわけにもいかないし、だったら安全そうな目印のある場所に行こうって思ったんだ。もしかしたら他の鬼ごっこの参加者も同じメモを持ってるかもしれないし、切った爪のコレクションが置いてある所になんて危ない人とか鬼とか来なさそうだしね。」
「お前……意外と考えてるんだな。」
「三回目だからね!」
「お前……意外と考えてるんだな。」
「三回目だからね!」
こうして彼らは運送会社に籠城することになった。
物音を立てないように気をつけながら、逃走ルートを確認して避難訓練したり、使えそうな道具を集めたりと。
だが、一時間経ち、二時間経ち、三時間経ち、ついに我慢の限界が訪れた。
物音を立てないように気をつけながら、逃走ルートを確認して避難訓練したり、使えそうな道具を集めたりと。
だが、一時間経ち、二時間経ち、三時間経ち、ついに我慢の限界が訪れた。
「なんも起こらなすぎだろ!」
「腹減った……」
「あっれー、今回はずいぶん鬼来ないなあ……」
「腹減った……」
「あっれー、今回はずいぶん鬼来ないなあ……」
彼らはいわゆる、パロロワで次の放送に行くために一話だけ書かれるタイプのキャラの境遇になっていた。しかも、把握の問題ではなく周りに人がいなさすぎてかつ移動するメリットもないというタイプのだ。こうなると次の放送で禁止エリアに指定されて炙り出されるのがお約束だが、その放送に行くためにはまず書かれなければならないというパラドックスを引き起こし、ロワの停滞によって自身の死を回避している。
人、これを「護身完成」と呼ぶ。
人、これを「護身完成」と呼ぶ。
そんなこんなで暇つぶしに銃を撃つ練習ということでみんなで射的をやっていた。なにせ銃は山のようにある。元々いざという時は戦わずに逃げる気だし、その時に持っていける銃なんてたかが知れているし、むしろ撃ち尽くす気で撃ちまくっている。弾の切れた銃なら、逃げる時に向けられても怖くない。それを狙って撃ち終わった銃は元の場所に置き直している。ここを後から拠点にした人間はさぞかし苛つくだろう。
なお、人を集めるとか物音を立てないとかの優先順位は投げ捨てていた。四時間待って誰も来ないならどうせ誰も来ないよ、むしろ音立てたら来るんじゃない?とは孝司の談である。そんな銃声が響きまくる建物を目指すのはだいたいの場合ろくでもないのだが、それに気づくクレバーさは彼にはなかった。
残念ながら、孝司は一般人である。彼と同じ六年生の章吾や大翔ならともかく、彼にはピンチの時に良く回る頭も、土壇場でなお前を向く心も、小学生男子に最も求められる能力である足の速さもない。はっきり言って、鬼ごっこというデスゲームに限れば、いくらでも替えの効くスペックだ。
彼にあるのはせいぜい、クラスメイトと距離を置いている奴にもダル絡みしつつなんやかんや協力するだけのコミュ力と協調性ぐらいだ。後は明るさと神経の太さといった、人間としての能力だけである。有能でもなく無能でもなく、ピンチの時でも明るいという、どこまで行ってもムードメーカー止まりの男子だった。
なお、人を集めるとか物音を立てないとかの優先順位は投げ捨てていた。四時間待って誰も来ないならどうせ誰も来ないよ、むしろ音立てたら来るんじゃない?とは孝司の談である。そんな銃声が響きまくる建物を目指すのはだいたいの場合ろくでもないのだが、それに気づくクレバーさは彼にはなかった。
残念ながら、孝司は一般人である。彼と同じ六年生の章吾や大翔ならともかく、彼にはピンチの時に良く回る頭も、土壇場でなお前を向く心も、小学生男子に最も求められる能力である足の速さもない。はっきり言って、鬼ごっこというデスゲームに限れば、いくらでも替えの効くスペックだ。
彼にあるのはせいぜい、クラスメイトと距離を置いている奴にもダル絡みしつつなんやかんや協力するだけのコミュ力と協調性ぐらいだ。後は明るさと神経の太さといった、人間としての能力だけである。有能でもなく無能でもなく、ピンチの時でも明るいという、どこまで行ってもムードメーカー止まりの男子だった。
「また、銃の音が……」
「ずっとしてるね……ねえ、やっぱりやめよう?」
「うん……逃げよう。」
「ずっとしてるね……ねえ、やっぱりやめよう?」
「うん……逃げよう。」
やけに三点リーダーが続くような、一言一言区切る話し方で話すのは、小松原麻紀と白石ヤマネ。小五の麻紀が中一のヤマネを引っ張る形で足早に、しかし物音を立てないように運送会社に背を向ける。その動きは既に慣れを感じさせるものだ。
ゲーム開始から五時間、彼女たちは銃声が聞こえる度に移動し続けていた。きっかけはトト子の銃撃。二人でドッキリか何かを疑っているところに至近弾を受け、慌てて逃げていたら今度はマンションにミサイルのようなものが撃ち込まれる瞬間を見て、しまいには喫茶店で毒殺されたらしい死体たちを目撃し、彼女たちは完全に人と接触する機会を逸していた。
それでも、彼女たちはそれぞれ合いたい人がいる。だから危険を冒して人のいそうなところに留まってはいるのだが、ここはこのロワでも屈指の激戦区。合う人合う人殺し合ってるか死んでいるかだ。たまに遠くに姿が見えてもそれなのだから、近づきようがない。
ゲーム開始から五時間、彼女たちは銃声が聞こえる度に移動し続けていた。きっかけはトト子の銃撃。二人でドッキリか何かを疑っているところに至近弾を受け、慌てて逃げていたら今度はマンションにミサイルのようなものが撃ち込まれる瞬間を見て、しまいには喫茶店で毒殺されたらしい死体たちを目撃し、彼女たちは完全に人と接触する機会を逸していた。
それでも、彼女たちはそれぞれ合いたい人がいる。だから危険を冒して人のいそうなところに留まってはいるのだが、ここはこのロワでも屈指の激戦区。合う人合う人殺し合ってるか死んでいるかだ。たまに遠くに姿が見えてもそれなのだから、近づきようがない。
「白石さん、大丈夫?」
「うん……」
「少し休みません?」
「ダメだよ、あんなに銃を撃ってるなら、急いで離れなきゃ……!」
「うん……」
「少し休みません?」
「ダメだよ、あんなに銃を撃ってるなら、急いで離れなきゃ……!」
無為な逃避行で二人の顔には疲労の色が濃い。
その甲斐が第一放送までに300人中の100人近くが死んだこのロワで生存という形で示されるのかは、あと一時間を待たなければならなかった。
その甲斐が第一放送までに300人中の100人近くが死んだこのロワで生存という形で示されるのかは、あと一時間を待たなければならなかった。
【0500頃 郊外・運送会社】
【G・ロードランナー@角川つばさ文庫版 けものフレンズ 大切な想い(けものフレンズシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
そもそも最初の話をまともに聞いてなかった
【目標】
●大目標
そもそも最初の話をまともに聞いてなかった
【関織子@若おかみは小学生! PART13 花の湯温泉ストーリー (若おかみは小学生!シリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
よくわからないけど家に帰りたい
●小目標
四人で射的
【目標】
●大目標
よくわからないけど家に帰りたい
●小目標
四人で射的
【小松原麻紀@星のかけらPART(1)(星のかけらシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
牧人や家族が巻き込まれてるかも……
●小目標
白石さんと一緒に逃げる
【目標】
●大目標
牧人や家族が巻き込まれてるかも……
●小目標
白石さんと一緒に逃げる
【白石ヤマネ@人狼サバイバル 絶体絶命! 伯爵の人狼ゲーム(人狼サバイバルシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
帰りたい
●小目標
麻紀ちゃんと一緒に逃げる
【目標】
●大目標
帰りたい
●小目標
麻紀ちゃんと一緒に逃げる