剣心は焦っていた。
彼は言うまでもなく、殺し合いの中で無力な人々を守るために動いていた。
だがすでにかなりの時間が経過しているというのに、まだ一人の参加者にも遭遇できていない。
自分の感覚が幾分か鈍っている、と剣心は感じていた。
まるでかつて戦った、闇乃武の拠点のようだ。
この奇妙な霧が感覚を鈍らせているのだろう、と推察する剣心。
だがどんなに強くても、一介の人間である彼に霧という現象をどうこうすることはできない。
その神速の脚で少しでも速く移動し、会場をしらみつぶしに回るしかないのだ。
彼は言うまでもなく、殺し合いの中で無力な人々を守るために動いていた。
だがすでにかなりの時間が経過しているというのに、まだ一人の参加者にも遭遇できていない。
自分の感覚が幾分か鈍っている、と剣心は感じていた。
まるでかつて戦った、闇乃武の拠点のようだ。
この奇妙な霧が感覚を鈍らせているのだろう、と推察する剣心。
だがどんなに強くても、一介の人間である彼に霧という現象をどうこうすることはできない。
その神速の脚で少しでも速く移動し、会場をしらみつぶしに回るしかないのだ。
(クッ……。拙者がこうしている間にも、おそらくたくさんの人々が命の危機に……)
記憶は曖昧だが、最初の場には多くの子供がいた気がする。
彼らの全てが、弥彦のように戦う勇気を持つ者であるはずがない。
大多数が恐怖におびえているだろう。
すでに、命を落としている子供もいるかもしれない。
むろん子供だけでなく、戦う力のない大人もこの場にはいるはずだ。
彼らの全てが、弥彦のように戦う勇気を持つ者であるはずがない。
大多数が恐怖におびえているだろう。
すでに、命を落としている子供もいるかもしれない。
むろん子供だけでなく、戦う力のない大人もこの場にはいるはずだ。
(一人の人間にできることなど、たかがしれている……。
理解していたつもりだったが、実際に叩きつけられるとこんなにもつらいとは……。
それでも拙者は、拙者にできることをやらねば……)
理解していたつもりだったが、実際に叩きつけられるとこんなにもつらいとは……。
それでも拙者は、拙者にできることをやらねば……)
湧き上がるネガティブな感情を必死で抑えながら、剣心は走り続ける。
だがその動きが、突然変化する。
鈍った感覚でもわかる、明確な殺気。
それが叩きつけられたのだ。
姿勢を低くし、横へと動く剣心。
その傍らを、銃弾が通り過ぎていく。
それを確認すると、剣心は腰の逆刃刀に手をかけ、銃弾が飛んできた方向へと視線を向ける。
そこにいたのは、鎧を纏い拳銃を手にした男だった。
今時見ないような鎧と拳銃の組み合わせがずいぶんと合わないななどと、剣心の脳裏にたわいもない考えが浮かぶ。
さすがの剣心もまさか眼前の男が、自分の生きている時代の数百年前に死んだはずの武将・明智光秀であるとは気づくはずもなかった。
だがその動きが、突然変化する。
鈍った感覚でもわかる、明確な殺気。
それが叩きつけられたのだ。
姿勢を低くし、横へと動く剣心。
その傍らを、銃弾が通り過ぎていく。
それを確認すると、剣心は腰の逆刃刀に手をかけ、銃弾が飛んできた方向へと視線を向ける。
そこにいたのは、鎧を纏い拳銃を手にした男だった。
今時見ないような鎧と拳銃の組み合わせがずいぶんと合わないななどと、剣心の脳裏にたわいもない考えが浮かぶ。
さすがの剣心もまさか眼前の男が、自分の生きている時代の数百年前に死んだはずの武将・明智光秀であるとは気づくはずもなかった。
「貴様もわしの命を狙う刺客か! 返り討ちにしてくれるわぁ!」
血走った目で叫ぶと、光秀は再び発砲する。
だがその弾丸も、剣心を捉えることはない。
だがその弾丸も、剣心を捉えることはない。
「落ち着くでござる! 拙者は、おぬしに危害を加えるつもりはござらん!
銃を収めてくれぬか!」
「誰が信じるか、そんな戯言!」
銃を収めてくれぬか!」
「誰が信じるか、そんな戯言!」
この光秀は、いわゆる「三日天下」から転がり落ちて敗走中の時期から連れてこられている。
精神的にひどく追い詰められた状態であり、剣心の説得が通じるはずもない。
精神的にひどく追い詰められた状態であり、剣心の説得が通じるはずもない。
(仕方ない、しばらく気絶していてもらうしか……!)
改めて逆刃刀を抜こうとする剣心。
だがその時、第三者の介入が発生した。
だがその時、第三者の介入が発生した。
『はい、そこの二人。今すぐ武器を置きなさい。
ダメだよ、街中でそんな物騒なことしちゃ』
ダメだよ、街中でそんな物騒なことしちゃ』
拡声器でそう呼びかけながら登場したのは、ふんどし一丁の筋肉質な男だった。
なぜか、全身に蜂蜜が塗られている。
顔立ちは歌舞伎役者のごとく整ったものだが、この有様では変質者にしか見えない。
なぜか、全身に蜂蜜が塗られている。
顔立ちは歌舞伎役者のごとく整ったものだが、この有様では変質者にしか見えない。
「な……なんだ、この化物は!」
そして光秀にとっては、変質者よりもはるかにおぞましいものに見えていたらしい。
「ええい、こんなやつを相手にできるか!」
血の気の引いた顔で、光秀は一目散に逃げ出した。
「あ、ちょっと! 逃げちゃダメだよ、おじさん!
悪いね、お兄さん。ちょっとここで待っててくれる?」
「いや、拙者も同行しよう。
あの御仁を放置しておくのは危険でござる」
「あ、そう? じゃあ手伝ってもらおうかな。
ここじゃ人手も足りないし」
悪いね、お兄さん。ちょっとここで待っててくれる?」
「いや、拙者も同行しよう。
あの御仁を放置しておくのは危険でござる」
「あ、そう? じゃあ手伝ってもらおうかな。
ここじゃ人手も足りないし」
同意を得て、剣心は蜂蜜男と共に光秀を追って走り出す。
ふんどし蜂蜜姿にもなんとか耐えていた剣心が、大きく目を見開く。
「勲……? 勇ではなく……?」
「うん、勲」
「うん、勲」
敵同士とはいえ、新撰組とは幾度も顔を合わせた仲だ。
局長の名前を間違えて覚えているはずがない。
そもそも、戦場でまみえた「近藤」とこの男とでは顔がまったく違う。
局長の名前を間違えて覚えているはずがない。
そもそも、戦場でまみえた「近藤」とこの男とでは顔がまったく違う。
(いったい、どういうことでござろうか……)
並行世界の存在など知らぬ剣心は、ただ困惑するしかなかった。
【0130 市街地】
【緋村剣心@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
●大目標
一つでも多くの命を救う
●小目標
光秀を追う
●大目標
一つでも多くの命を救う
●小目標
光秀を追う
【近藤勲@銀魂 映画ノベライズ みらい文庫版(銀魂シリーズ)@集英社みらい文庫】
●大目標
殺し合いに乗った連中を取り締まる
●小目標
光秀を追う
●大目標
殺し合いに乗った連中を取り締まる
●小目標
光秀を追う
【明智光秀@映画刀剣乱舞@小学館ジュニア文庫】
●大目標
敵を全て返り討ちにし、生き残る
●大目標
敵を全て返り討ちにし、生き残る