ドッペルゲンガー、という都市伝説がある。
この世にはまったく同じ顔の人間が3人おり、顔を合わせると死んでしまう……というものだ。
岸里ゆかりが先日引っ越した家で見つけた赤い本にも、似たような話があった。
ダブル、というもので、こちらはドッペルゲンガーと違って顔を合わせてもすぐには死なない。48時間以内に、ダブルに気づかれないようにピッタリ重なれば、死を回避できる。
この世にはまったく同じ顔の人間が3人おり、顔を合わせると死んでしまう……というものだ。
岸里ゆかりが先日引っ越した家で見つけた赤い本にも、似たような話があった。
ダブル、というもので、こちらはドッペルゲンガーと違って顔を合わせてもすぐには死なない。48時間以内に、ダブルに気づかれないようにピッタリ重なれば、死を回避できる。
「それがこれなのか?」
全く同じ顔で同じように爆死した三つの死体の前で、居想直矢は問いかける。
二人は今、自然公園で起きた爆発跡に転がる松野チョロ松×3を調べていた。
近くにあるコンビニで出会った二人は、それぞれ殺し合いに乗る気など欠片もなかったことと、始まって一時間以上も誰とも合わず誰かと話したかったことから比較的穏やかに話し合い、チームを組んでいた。互いにハッキリとは言わなかったもののこういった奇妙な事態に多少の経験があると伝えて、同じ界隈の人間だと思ったことも二人が打ち解けるのにプラスに働いた。怪談としか言いようのない経験をしたゆかりと能力バトルに片足を突っ込んでいる直矢では違いも大きいのだが、さすがにそこまではわからない。だが、この殺し合いが幻覚的なものであり、かつ現実に死にかねないものだという認識は共有していた。
二人がコンビニから出ることを決めたのは、今から30分ほど前のことだ。遠くの方で、微かな爆音が聞こえた気がした。この殺し合いでそういうことができそうな武器があることは、コンビニ内に散らばるライフルや手榴弾でなんとなくわかる。おそらく、誰かが誰かを殺したか殺そうとした。
それから二人で爆発を調べに行くかコンビニに隠れておくかを話し合うこと数分、結局二人は確かめに行くことにした。物の記憶を読み取り音として認識する異能力を持つ想矢も、かれこれコンビニから2時間以上外に出ていないゆかりも、どちらもそろそろここに居るだけというのは落ち着かなくなってきていた。書き置きを残して、持ちきれない大多数の武器をバックヤードに隠すと、見つけた鍵で内扉を施錠する。そして自然公園を少し歩くと、二人は奇妙な死体に出くわしたのだった。
二人は今、自然公園で起きた爆発跡に転がる松野チョロ松×3を調べていた。
近くにあるコンビニで出会った二人は、それぞれ殺し合いに乗る気など欠片もなかったことと、始まって一時間以上も誰とも合わず誰かと話したかったことから比較的穏やかに話し合い、チームを組んでいた。互いにハッキリとは言わなかったもののこういった奇妙な事態に多少の経験があると伝えて、同じ界隈の人間だと思ったことも二人が打ち解けるのにプラスに働いた。怪談としか言いようのない経験をしたゆかりと能力バトルに片足を突っ込んでいる直矢では違いも大きいのだが、さすがにそこまではわからない。だが、この殺し合いが幻覚的なものであり、かつ現実に死にかねないものだという認識は共有していた。
二人がコンビニから出ることを決めたのは、今から30分ほど前のことだ。遠くの方で、微かな爆音が聞こえた気がした。この殺し合いでそういうことができそうな武器があることは、コンビニ内に散らばるライフルや手榴弾でなんとなくわかる。おそらく、誰かが誰かを殺したか殺そうとした。
それから二人で爆発を調べに行くかコンビニに隠れておくかを話し合うこと数分、結局二人は確かめに行くことにした。物の記憶を読み取り音として認識する異能力を持つ想矢も、かれこれコンビニから2時間以上外に出ていないゆかりも、どちらもそろそろここに居るだけというのは落ち着かなくなってきていた。書き置きを残して、持ちきれない大多数の武器をバックヤードに隠すと、見つけた鍵で内扉を施錠する。そして自然公園を少し歩くと、二人は奇妙な死体に出くわしたのだった。
「やめてよ、十四松。それとも、おそ松兄さん? こんな状況で僕の真似するとか、笑えないから――真似してるのはそっちだろ? 僕の振りなんかして、何が面白いのさ――何を小芝居なんてしているんだ。そんな変装で私を混乱させようとしても無駄だぞ」
(なんだこの独り言、どうなってるんだ?)
(なんだこの独り言、どうなってるんだ?)
遠巻きに死体を見るゆかりを置いて、想矢は死体の一つに触れる。もちろん、死体になんか触れるのは初めてだ。漂い臭って流れる血はそれが死体だと言っている。だけれども、どうにも同じ顔の死体が三つとくると、何かドッキリ的なものを感じる。それならと思って使った異能力によって聞こえてきたのは、全く同じ三つ?の声が言い争う音声だった。
――『うわあああああ!! ドッペルゲンガーだあああああ!!』
――「童貞のまま死ねるかーっ! おまえら二人が死ね!――こっちだって童貞だ、馬鹿野郎! おまえが死ね!――警官の私が死んだら、誰が市民を守るんだ! 君たちが死ね!」――
「イッタぁ!」
「想矢くん!? だ、大丈夫?」
「あ、あぁ。」
――「童貞のまま死ねるかーっ! おまえら二人が死ね!――こっちだって童貞だ、馬鹿野郎! おまえが死ね!――警官の私が死んだら、誰が市民を守るんだ! 君たちが死ね!」――
「イッタぁ!」
「想矢くん!? だ、大丈夫?」
「あ、あぁ。」
同じ声の男三人が言い争い、最期は強い爆発音が聞こえて、音声は読み取れなくなった。醜い言い争いにシンプルな爆音で腰を抜かした想矢に、おずおずとゆかりが近寄ってくる。幻聴と言えば幻聴なのだが確かに聞こえた大音量で痛む頭を抑えながら、想矢はますます混乱した。
どうやら、男たちも自分たちを互いにドッペルゲンガーだと認識したらしい。まずここがわからない。そして突然の爆発。いったいなぜそうなったのか。あと童貞ってどういう意味なんだろう。なんとなくゆかりには聞かないほうが良さそうだ。
どうやら、男たちも自分たちを互いにドッペルゲンガーだと認識したらしい。まずここがわからない。そして突然の爆発。いったいなぜそうなったのか。あと童貞ってどういう意味なんだろう。なんとなくゆかりには聞かないほうが良さそうだ。
「……やっぱり死体なんて触れるものじゃないな。岸里、離れよう。調べられることもなさそうだ……岸里?」
声をかける。返事はない。
直矢は死体から目を離してゆかりの顔を見た。その顔は、直矢の後ろに向けられている。見ている方向を追うと、黒い服の少年がいた。
ヤバい。直矢の背中に、これ絶対後で怒られるやつだってことをやらかした時の感覚が走った。死体の前で、ライフルを肩紐で提げながら何かしている二人。絶対に殺ったと誤解される。誤解しなかったらそいつはかなりのお人好しだ。
直矢は死体から目を離してゆかりの顔を見た。その顔は、直矢の後ろに向けられている。見ている方向を追うと、黒い服の少年がいた。
ヤバい。直矢の背中に、これ絶対後で怒られるやつだってことをやらかした時の感覚が走った。死体の前で、ライフルを肩紐で提げながら何かしている二人。絶対に殺ったと誤解される。誤解しなかったらそいつはかなりのお人好しだ。
「ちがう、こいつらが殺ったんだ。俺たちじゃない。」
直矢は自分が普段でもないほどしどろもどろになっているのを自覚しながら言った。同時に、これじゃまるで殺ったやつが咄嗟に言い訳しているみたいだと思った。思ったが、他に言いようもない。思わずゆかりを見る。ゆかりも直矢を見る。二人の視線が何度も少年と互いを往復した。
「こいつらが殺った、見てないけどそうだ。な?」
「う、うん。そうだと思う。ね?」
「ああ。」
「うん、わかった。」
「う、うん。そうだと思う。ね?」
「ああ。」
「うん、わかった。」
え、わかるの? 思わず直矢とゆかりはまた互いの顔を見た。そして少年の顔を見る。
少年は木刀片手に近づいてくると、死体を一瞬見てすぐに二人を見た。
少年は木刀片手に近づいてくると、死体を一瞬見てすぐに二人を見た。
「君たちが来たときには、もう死んでたんだね?」
「う、うん。そう、だけど。」
「なんでわかった?」
「だって血が流れてないし。傷口の血も乾きだしてる。」
「う、うん。そう、だけど。」
「なんでわかった?」
「だって血が流れてないし。傷口の血も乾きだしてる。」
冷静にそう言うと、少年は三つの死体に一度ずつ手を合わせて、二人に向き直る。それを見て二人も慌てて合唱した。
三谷亘こと旅人のワタルがパーティーインしたのはこの時だった。
三谷亘こと旅人のワタルがパーティーインしたのはこの時だった。
「幻界に異能力……なんだかすごいなあ。」
「現世にも魔法みたいな力ってあったんだ。」
「オカルトにファンタジーか。アイツが好きそうな話だ。」
「現世にも魔法みたいな力ってあったんだ。」
「オカルトにファンタジーか。アイツが好きそうな話だ。」
コンビニに戻ってきた三人は、改めて自己紹介した。異能力ものに学校の怪談と来て、新たに加わったのは異世界転移。互いの身の上を聞いて互いに「なんか児童文庫の主人公みたいだな」と思いつつ、自分自身もどっこいどっこいの人生を歩んでいるので嘘などとは全く思わずにすんなり受け入れる。そもそもデスゲームに現在進行系で巻き込まれているし、そこを疑う余地はない。
「とりあえず、このコンビニを基地にしてときどき辺りを見渡すのはどうかな。」
「賛成。」「うん。」
「あ、言い忘れてた。ぼくさっき女の人に襲われて。」
「お前……それ言い忘れるか? ふつう。」
「ごめん、白い服の女の人に気をつけて。それと、ロウセイのリチョウって言う人、じゃなかった、虎? えっと、虎になってる人も居て――」
「おい待て。話を整理しろ。」
「えーっと、どうやって説明しよう……その説明をするためにはまずさっきの蜘蛛の繭の話をする必要があって……少し長くなるよ?」
「賛成。」「うん。」
「あ、言い忘れてた。ぼくさっき女の人に襲われて。」
「お前……それ言い忘れるか? ふつう。」
「ごめん、白い服の女の人に気をつけて。それと、ロウセイのリチョウって言う人、じゃなかった、虎? えっと、虎になってる人も居て――」
「おい待て。話を整理しろ。」
「えーっと、どうやって説明しよう……その説明をするためにはまずさっきの蜘蛛の繭の話をする必要があって……少し長くなるよ?」
【0300前 自然公園付近のコンビニ】
【居想直矢@異能力フレンズ(1) スパーク・ガールあらわる! (異能力フレンズシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
死なないように動く
●中目標
仲間が巻き込まれていたら合流する
●小目標
コンビニを基地にして三人で話し合う
【目標】
●大目標
死なないように動く
●中目標
仲間が巻き込まれていたら合流する
●小目標
コンビニを基地にして三人で話し合う
【岸里ゆかり@終わらない怪談 赤い本@ポプラポケット文庫】
【目標】
●大目標
この怪談で死なないようにする
●中目標
友達が巻き込まれていないか心配
●小目標
ワタルくんたちと話す
【目標】
●大目標
この怪談で死なないようにする
●中目標
友達が巻き込まれていないか心配
●小目標
ワタルくんたちと話す
【三谷亘@ブレイブ・ストーリー (4)運命の塔(ブレイブ・ストーリーシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
脱出する
●中目標
怪物(姉蜘蛛)に警戒しながら、仲間やミツルがいるかどうか探す
●小目標
一休みしながらナオヤたちと情報交換する
【目標】
●大目標
脱出する
●中目標
怪物(姉蜘蛛)に警戒しながら、仲間やミツルがいるかどうか探す
●小目標
一休みしながらナオヤたちと情報交換する