僕の名前は、智科リクト。小学6年生。
趣味は科学。
この世界の不思議な現象は、全て科学で解明できると信じている。
でも今は、ちょっとやそっとでは解決できそうな事態になってしまって困っている。
いつの間にか拉致されて、殺し合いに参加させられてしまったのだ。
小学生の僕を拉致するだけなら、ある程度の人数がいれば可能だろう。
だけど、この殺し合いには不思議なことが多すぎる。
趣味は科学。
この世界の不思議な現象は、全て科学で解明できると信じている。
でも今は、ちょっとやそっとでは解決できそうな事態になってしまって困っている。
いつの間にか拉致されて、殺し合いに参加させられてしまったのだ。
小学生の僕を拉致するだけなら、ある程度の人数がいれば可能だろう。
だけど、この殺し合いには不思議なことが多すぎる。
まず、最初に殺し合いを宣言していたあのウサギだ。
ウサギの声帯で、人間の言葉が話せるはずがない。
僕に考えつく可能性は、あれが精巧なロボットだった、というくらいだ。
でも、殺し合いの解説なんて人間でもできる。
姿を見せたくないなら、他の場所からスピーカーで話せばいいだけだ。
わざわざ精巧なロボットを作る理由がわからない。
他にも赤い霧とか、不思議な点はいろいろある。
いつ襲われるわからない状況で、じっくり考えてもいられないけど……。
それでも僕は、きっとこの謎を解いてみせる!
ウサギの声帯で、人間の言葉が話せるはずがない。
僕に考えつく可能性は、あれが精巧なロボットだった、というくらいだ。
でも、殺し合いの解説なんて人間でもできる。
姿を見せたくないなら、他の場所からスピーカーで話せばいいだけだ。
わざわざ精巧なロボットを作る理由がわからない。
他にも赤い霧とか、不思議な点はいろいろある。
いつ襲われるわからない状況で、じっくり考えてもいられないけど……。
それでも僕は、きっとこの謎を解いてみせる!
「おい、何もたもたしてんだ、ガクト! 置いていっちまうぞ!」
「あっ、はい! あと、僕の名前はリクトです!」
「あっ、はい! あと、僕の名前はリクトです!」
僕に声をかけてきたのは、さっき出会った嘴平伊之助さん。
イノシシのかぶり物をして上半身裸という変人にしか見えない格好……というか実際変人だけど、間違いなくいい人だ。
僕が戦う力のない子供だと知ると、「俺が守ってやる!」と言ってくれたんだから。
その後、なぜか子分に認定されたけど……そのくらいは我慢しよう。
イノシシのかぶり物をして上半身裸という変人にしか見えない格好……というか実際変人だけど、間違いなくいい人だ。
僕が戦う力のない子供だと知ると、「俺が守ってやる!」と言ってくれたんだから。
その後、なぜか子分に認定されたけど……そのくらいは我慢しよう。
「ん?」
突然、僕の前を歩いていた伊之助さんが足を止める。
「どうしました?」
「気をつけろ。血のにおいがする」
「え?」
「気をつけろ。血のにおいがする」
「え?」
そう言われて、鼻に意識を集中してみる。
するとたしかに、かすかに鉄くさいにおいを感じた。
するとたしかに、かすかに鉄くさいにおいを感じた。
「本当だ……。でも、よくこんなかすかなにおいわかりましたね」
「なんせ、俺は山育ちだからな! 炭治郎ほどじゃねえけど、鼻もいいのよ!」
「誰ですか、炭治郎って」
「俺様の子分一号だ!」
「はあ……」
「なんせ、俺は山育ちだからな! 炭治郎ほどじゃねえけど、鼻もいいのよ!」
「誰ですか、炭治郎って」
「俺様の子分一号だ!」
「はあ……」
たぶん、勝手に子分認定されてる知り合いの人なんだろうな……。
そんなことを考えていると、突然伊之助さんが走り出した。
そんなことを考えていると、突然伊之助さんが走り出した。
「伊之助さん!? どうしたんですか!」
「においの出所を突き止めるに決まってるだろうが!
殺し合いに乗ってるやつがいるなら、ぶっ飛ばしてやらなきゃいけねえからな!」
「においの出所を突き止めるに決まってるだろうが!
殺し合いに乗ってるやつがいるなら、ぶっ飛ばしてやらなきゃいけねえからな!」
そう言いながら、伊之助さんはぐんぐん遠ざかっていく。
ものすごい足の速さだ。
僕も運動は決して苦手じゃないけど、とてもついていける速さじゃない。
一流の陸上選手でも、あんなに速く走れるだろうか。
伊之助さん、本当に何者なんだろう……。
なんて、考え込んでる場合じゃない。
僕の目に映る伊之助さんは、もう豆粒のような小ささになっている。
このままでは、置いてけぼりにされてしまう。
ものすごい足の速さだ。
僕も運動は決して苦手じゃないけど、とてもついていける速さじゃない。
一流の陸上選手でも、あんなに速く走れるだろうか。
伊之助さん、本当に何者なんだろう……。
なんて、考え込んでる場合じゃない。
僕の目に映る伊之助さんは、もう豆粒のような小ささになっている。
このままでは、置いてけぼりにされてしまう。
(あの人、僕を守るって言ったこと忘れてないかなあ……?)
わずかな不安を感じながら、僕は必死で伊之助さんを追いかけた。
◆ ◆ ◆
「はあ……はあ……。やっと追いつきましたよ、伊之助さん」
それから数分後、僕はなんとか、伊之助さんに追いつくことができた。
伊之助さんは、森の真ん中で足を止めていた。
伊之助さんは、森の真ん中で足を止めていた。
「いったいどうし……うっ!」
僕は、それ以上しゃべることができなかった。
あまりにも凄惨な光景を目にしてしまったからだ。
それは、死体だった。
頭の目立つ位置に、小さな穴が空いている。おそらく、銃で撃たれたんだろう。
それ以外にも、全身至る所が傷ついている。
僕は死体なんて初めて見るけど、ここまでひどい怪我をした人間が生きていられるはずがないというのはすぐに理解できる。
こんなむごいものを見て僕が思いのほか冷静でいられるのは、おそらくあまりにも非現実的で脳の理解が追いついていないからだろう。
あまりにも凄惨な光景を目にしてしまったからだ。
それは、死体だった。
頭の目立つ位置に、小さな穴が空いている。おそらく、銃で撃たれたんだろう。
それ以外にも、全身至る所が傷ついている。
僕は死体なんて初めて見るけど、ここまでひどい怪我をした人間が生きていられるはずがないというのはすぐに理解できる。
こんなむごいものを見て僕が思いのほか冷静でいられるのは、おそらくあまりにも非現実的で脳の理解が追いついていないからだろう。
「善逸……」
ふいに、伊之助さんが呟いた。
善逸……この死んでいる人の名前だろうか。
ということは、この人は伊之助さんの知り合い!?
善逸……この死んでいる人の名前だろうか。
ということは、この人は伊之助さんの知り合い!?
「善逸ぅぅぅぅ! てめえ、何死んでやがる!
こんな簡単に死ぬほど、てめえは弱くねえだろうがぁぁぁぁぁ!」
こんな簡単に死ぬほど、てめえは弱くねえだろうがぁぁぁぁぁ!」
突然、伊之助さんが叫ぶ。
僕がどう反応していいかわからずにいると、伊之助さんは膝から崩れ落ちてしまった。
僕がどう反応していいかわからずにいると、伊之助さんは膝から崩れ落ちてしまった。
「ちくしょう! ちくしょぉぉぉぉぉ!」
伊之助さんは、叫び続ける。かぶり物のせいで、その表情はわからない。
でも伊之助さんは、きっと泣いていたんだろう。
でも伊之助さんは、きっと泣いていたんだろう。
◆ ◆ ◆
伊之助さんの刀が、善逸さんの髪を一房切り取る。
「さすがに死体持って動き回るのは、無理があるからな。
とりあえずは、これだけ持って行く。
体も持って帰れそうなら、後でまた来るぜ」
とりあえずは、これだけ持って行く。
体も持って帰れそうなら、後でまた来るぜ」
落ち着いた声で、伊之助さんは善逸さんの死体に語りかける。
死体に話しかけたって意味がない、なんて無粋なことは言わない。
科学的に無意味なことでも、必要な場面はある。
死体に話しかけたって意味がない、なんて無粋なことは言わない。
科学的に無意味なことでも、必要な場面はある。
「見てろよ。あのクソウサギは、必ずぶっ飛ばす。
で、てめえを死なせたことを百万遍詫びさせてやるぜ!」
で、てめえを死なせたことを百万遍詫びさせてやるぜ!」
声量は決して大きくないが、力のこもった声で伊之助さんは言う。
その言葉は、僕の中の何かも奮い立たせた。
そうだ、こんな悲劇を生み出すようなやつを、許せるわけがない。
必ず僕たちの力で、殺し合いを破綻させてやる。
そのために僕も、全力を尽そう。
僕の科学の知識は、必ず役に立つ場面があるはずだ。
その言葉は、僕の中の何かも奮い立たせた。
そうだ、こんな悲劇を生み出すようなやつを、許せるわけがない。
必ず僕たちの力で、殺し合いを破綻させてやる。
そのために僕も、全力を尽そう。
僕の科学の知識は、必ず役に立つ場面があるはずだ。
伊之助さんの背中を眺めながら、僕は固くそう誓った。
【0200 廃村周辺の森】