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刑務所の東部から立ち上り続けていた煙の柱は、爆発音の直後に比べれば幾分かの落ち着きを示していた。
もっともその勢いは、まだまだ遠目でもすぐに目に付く程度には残っていたのだが。
宇佐見蓮子と
霍青娥(とヨーヨーマッ)は、その煙の柱の根元に近づきつつあった。
目の前、木と土壁でできた質素な造りの日本家屋が立ち並ぶ集落から、煙が立ち上っているのがわかる。
さっきの爆発は、あの集落で起こったらしい。
いつもの癖で蓮子が空を見上げると、青空に塗りつぶされつつある星空と、白い満月が目に入った。
……と同時に彼女の瞳は、現在の時刻と位置を正確に認識する。
現在時刻……5時31分06秒。位置……D-2エリア、西端から251m、南端から190m。
つまり、目の前を200m程進んだ先に見えているあの集落が『猫の隠れ里』で間違いないようだ。
「……えっ?」
そこで蓮子は小さく驚きの声を漏らす。
……あまりに当たり前の様に頭に入ってきていた情報だったので、さっきは気づく事ができなかった。
(ここが、『この会場』がどこにあるのか判らない……!)
蓮子の持つちょっと不思議な目。
『星を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所が分かる程度の能力』。
写真に写り込んだ夜空だけを手がかりに、見知らぬ土地の心霊スポットさえ探し出すことができる彼女の目が、
この場では『会場内の位置』しか判別できなくなっている。
(私の身体……何かされたの?
そもそもここはどこなの?目の前の家はだいぶ昔の日本家屋みたいだし、
植物学には詳しくないけど、どうやらこの辺りの植生は日本のもの……のように見える。
……じゃあ、さっきの何から何まで英語で書かれていたグリーンドルフィン刑務所とやらは何なの?
地図上に記されていたイタリアの遺跡、ポンペイは?コロッセオは!?)
もう幾つ目か分からない、言いようの無い不安と混乱の種が蓮子にさらにのしかかってきた。
……が、ぐっとこらえる。今の蓮子に悩む余裕はない。
振り返ると、今の自分を縛り付ける存在の姿があった。霍青娥。
青い髪から抜き取った金色のカンザシを指でくるくる回しながら、怪訝そうな目で見つめているが……。
(カンザシに気を取られてるっぽい今なら、全力で走り出せば逃げ切れるかしら?
……絶対無理ね。すぐに追いつかれて……今度こそ虫を潰すみたいに殺される。体力が違いすぎる。
体つきは私やメリーとそんなに変わらないんだけど。……それがホント不気味だわ。)
そんなことを思っているうち、蓮子はうっすらと漂いだしていた煙の臭いが濃くなっていることに気づく。
木や紙の他に、プラスチックが燃えるような臭いが漂ってきていた。
蓮子は思わず咳き込み、頭の帽子を口元に当てた。
二人(と一体)で家屋の陰から煙の発生源と思しき辺りを覗きこむと、
案の定、そこには地獄絵図が広がっていた。
黒く焼け焦げた金属塊は、無残にもバラバラに破壊されたガソリン自動車らしき物体の残骸だ。
所々、タイヤや座席がまだくすぶっていて、煙は主にそこから発生している。
火の手は周囲の家屋にも及んでいたようだ。
地面には大きなクレーターが出来ていて、クレーターの無い部分には銃弾が撃ち込まれたようなくぼみが無数に広がっていた。
おまけに、ボッキリとへし折られた大木も転がっていた。
こんな破壊を引き起こす武器や能力を以って殺し合いに乗っている者が、
さっきの『クリーム』なるスタンドの使い手の他にも、ゴロゴロいるのだ。
酷い、などと蓮子がこぼす間も無く、背中から声が突き刺さってきた。
「ヨーヨーマッ、蓮子ちゃんと一緒に、ちょっと向こうの様子見てきてくれないかしら?
私は隠れてるから」
『かしこまりましたァ、ご主人様』「えっ」
「蓮子ちゃん、何か不満なの?」
まだここで戦闘を行った者がここにいるかも知れない。
そんなのに襲われたら、ただの人間など即死だ。
やめてくださいしんでしまいます。精一杯の勇気を振り絞り、蓮子は反論を試みた。
「……その、私が行く必要は、あるんですか?
不死身の『ヨーヨーマッ』だけで行かせればいいのでは。
……こんな力を持った相手が、まだ近くにいないとも限りません」
静かに、だが必死で蓮子は青娥に進言した。
青娥はそんな蓮子の心中を知ってか知らずか、にっこりとほほ笑みながら言葉を返した。
「蓮子ちゃん、スタンドについて、貴女が私にさっき話してくれたこと、覚えてる?
スタンドには、『本体』となる者がいるってこと」
「……私が『ヨーヨーマッ』の本体のフリをして、もしもの時は囮になれと」
「理解が早くて助かるわぁ。……『行けません』なんて言おうものなら、
とっとと〆て、キョンシーにでもしちゃう所だった」
『〆(シメ)る』って、家畜か何かか。
……実際、そうなのだろう。今の私は、家畜だ。
『では、行きましょう。蓮子様、いえ、ご主人様。
……途中で武器になりそうな物が落ちていても、貴女様が拾ってはいけませんよ?』
ヨーヨーマッが早くついて来い、と手招きしている。
どうやら今の私には危険を避ける事も、身を守る為の力を持つことさえも許されないらしい。
どうか、誰も襲って来ませんように、と祈ることしかできなかった。
「ふふ。グッド・ラックよ。ヨーヨーマッに、蓮子ちゃん。
ん?面白いコトを願うなら、バッド・ラック(悪運を祈る)の方が良いかしら?」
身を屈め、煙にむせ返りながら、蓮子はヨーヨーマッに先導される形で、重い足取りで歩みを進めた。
民家のすき間を抜けると幾分開けた広場のような場所に出た。
物陰越しからは見えなかった物が見える。
煙で霞んだ周囲を見回すと、いくつかの人影が見つかった。幸か不幸か、動く様子は無い。
うつ伏せに倒れた小柄な女の子と、がっしりした体格の金髪の女の人。
二人共全身黒焦げで、金髪の人は片腕が無くて、頭の下の地面に黒い血たまりができていて……死んでいる。
そして、金髪の人の腕に貫かれたまま動かなくなっている……男の人……人?小鬼(ゴブリン)?
女の人たちと同様に火傷だらけの身体は餓鬼の様に貧相で、
腕だけがボディビルダーの様にムキムキで……そんな彼もピクリとも動かない。
『皆さん、既に事切れていますねェ……先ほどの爆発の原因も、彼らによるものでしょうか』
蓮子は、こみ上げる吐き気をどうにかしてこらえながら、彼らの元に近づこうとした。
傍に座り込んでいる見慣れた後ろ姿に釘付けになったのは、その時だった。
「メリー!!」
見間違えるはずがない。
所々焼け焦げているが、紫色のスカートに、金髪で、白いナイトキャップを被った女性。
蓮子の唯一無二の友人である、メリー……
マエリベリー・ハーンのいつものファッションだ。
いや、服装や髪型は大した問題じゃない。たとえ服装を変えていたとしても、判る。
アレはメリーの姿だ。根拠などないが、蓮子にはそう言い切れる自信があった。
「メリー、メリーでしょ!?私よ!ケガしてないの?」
蓮子の呼びかけに気づいたのか、座り込んでいた金髪の女性はゆっくりと立ち上がり、
蓮子(とヨーヨーマッ)の方を振り向いた。ケガをしているのか、右腕がブラブラと力なく垂れ下がっている。
だがそんなことを案ずる余裕は蓮子にはなかった。
「フフフフフフ……」
「あ、貴女……誰!?」
メリーらしきその女性の表情は、『般若』の様に恐ろしく歪んでいたのだ。
その残忍な視線を浴びるだけで、蓮子は脚がすくんで動かなくなる。
左手に持っているのは……刀!?
「ウオオオオーーーーーッ!」
蓮子とヨーヨーマッが逃げ出す間も無く、メリーと似た姿の殺人鬼が刀を振り上げ斬りかかってきた。
……と思った瞬間、ヨーヨーマッは悪臭を周囲に撒き散らしながら、
『ンギモッヂイイーーーーー!!』
と豚のように叫びつつおよそ20個程の肉片と化し、地面にゴロゴロと撒き散らされていた。
「ひとぉーーつ……!」
殺人鬼はいつの間にかヨーヨーマッの傍らに立ち、肉片を見下ろしてそう呟いていた。
目にも映らない速さの斬撃が、ヨーヨーマッを切り刻んでいたのだ。全く視えなかったが、そうとしか考えられない。
とても逃げ切れない。力なくへたり込む蓮子に気づき、女殺人鬼が顔を向けた。
「……ん?『本体』が無事だな?……そういうタイプのスタンドもあるのか。
まあいい。……斬れるモノが増えてちょっとおトクだしな」
そして、殺人鬼は再び刀を勢い良く振り上げ、
「テメエもぶった斬れろおおおオオオオーーーーーーッッ!
ウシャアアアアアーーーーーー!!」
と、斬りつけてきたのだった。蓮子の間近で、激しく刀を振り回す殺人鬼。
動きが速すぎて刀身が見えない。斬られた痛みも不思議と全く感じない。
蓮子は時代劇でよく見る、剣豪に名刀で斬られると傷口が後から開く、あの現象を思い出していた。
いずれにせよ、ここで私は死んでしまったのだ。
「ワハハハハハハァーーー……ってアレっ?」
彼女は突如動きを止め、空の左手を見てあんぐりと口を開ける。
向こう側に見えていた古井戸に光る棒状の物体が吸い込まれていき、カラーンと音を立てた。
と同時に、彼女の頭が何かに殴られたかの様に激しくブレ、そのまま倒れこんでしまった。
「……青娥、さん?」
「あら、蓮子ちゃんまだ生きてたの?」
霍青娥だ。光学迷彩で姿を消し……私達の後ろからついてきていたのだろう。
そしてこのメリーに似た姿形の殺人鬼が隙を見せた瞬間に、不意討ちを仕掛けたのだ。
「良い働きだったわ、ヨーヨーマッ。いいこいいこ。
あの刀をどうにかしなければ、背後からでも危なかったでしょうからねぇ」
よく見ると殺人鬼の刀を握っていた手袋はボロボロで、
手の皮膚もアルカリで溶かされた様にヌルヌルになっている。
ヨーヨーマッが斬られ際に吹きつけていた唾液が、彼女の刀を握る手の皮膚を溶かしていたのだろう。
そして握りが甘くなったまま私に向かって刀を振りかぶったとき、スッポ抜けてしまったのだ。
うつ伏せに倒れて気を失っている女性を見下ろし、霍青娥が呟く。
「青娥さんのお知り合い……なんですか?」
「ええ、お世話になっているお方よ。
だけどまさか殺し合いに乗ったりするなんて。それもあんな、般若みたいな形相で。
コレはもういろいろと終了かも分からないわねぇ」
「まさか……この人を、どうするつもりですか!?」
蓮子は青娥が『八雲紫』と呼んでいた女性の顔を見ながら青娥に問いかけた。
青娥の手にはいつの間にか拾っていたらしい、やけに大きな拳銃が握られている。
「どうするって……念のため『殺しとく』に決まってるじゃない。
起きた時また襲ってきたら、今度は私達の手に負えるかわからないし」
「やめてください……この人、メリーの家族かも知れない。メリーにそっくりなんです。
私、メリーの家族のこと、まだよく知らないけど……
お姉さんか、もしかしてお母さんか……とにかく、メリーと赤の他人とは思えない!
だから、お願いします……この人を殺さないでください!」
「ぷっ……くくッ、あっはっはっはっはっはっは!
さっきの『本のスタンド使い』に続いて、クチの減らないコだわ。
自分の立場もわきまえずに!まず『殺しとく』べきだったのは貴女の方かもね」
銀色の、ギラギラ光る銃身が蓮子の額に突きつけられた。
蓮子は内臓が縮み上がって口から出そうな程の緊張に襲われながら、
消え入りそうな声で、それでも懇願する。
「お願いします……あのメリーの家族に、理由もなく殺し合う人がいるとは思えない……。
きっと何か理由があったんです……。例えば、突拍子もない話だけど、
持っていたあの刀に操られていた、とか……。だから、あの人を、紫さんを殺さないで……!
その、私、何でもしますから……!」
「『何でもする』って、貴女が、私に?これ以上何をできるというのかしら?
……それこそ今ここで死んでキョンシーになるくらいしかできないのではなくて?」
拳銃の引き金にゆっくりと力が込められるのが見え、蓮子はもうここに来て何度目かわからない死を予感した。
そして
「バーーン!」
青娥の口から発せられた銃声で蓮子の身体がビクンと跳ねる。
「冗談よ、ジョーダン♪」
青娥は言い放って、くつくつと悪戯ぽく笑っていた。
蓮子はというと、緊張で呼吸もままならずに立ち尽くしていた。
「私にとってもあの人は『大事なお方』なんだし?無闇に殺したりはしないわよ。
というわけで蓮子ちゃん、大事な大事な紫ちゃんを、焼け残った家まで運ぶわよ」
「は……はい!」
こうして気絶した紫を背負った蓮子は、
死者達のデイパックを抜け目なく回収する青娥の後について里の外れに向かったのだった。
そして間近で背中にいる『八雲紫』なる女性の寝顔を見て、蓮子は思う。
(やっぱりこの人、メリーに似てる……)
「あ、蓮子ちゃん。さっき『何でもする』って言ったわよね?」
「へっ!?」
「私覚えたからね?後から言ってない、なんてゆーのはダメよ?」
「うぅ……」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
程なくして、蓮子たち一行は隠れ里の外れで無傷の廃屋を見つけることができた。
蓮子はガクガクと震える膝で、目を瞑ったままの紫を、ゆっくりと床に下して柱に腰掛けさせた。
そしてぜーぜーと荒い息で一言。
「ひーっ、つかれたー」
『重かったー』という言葉が口を突いて出そうになるが、ぐっとこらえた。
「あらあら、女の子ひとり背負ってちょっと歩いたくらいでへばっちゃうなんて。
やっぱり貴女キョンシーになってみる?そうすれば疲れ知らずよぉ」
「遠慮しておきます……」
そんなやりとりの間に、青娥はどこからか拾ってきていた荒縄で紫を柱に括りつけていた。
「さて、彼女の前にはこんな縄、気休め程度でしょうけど……。
紫ちゃんが目を覚ますまで待ってから、事情を聞いてみましょうか?」
「そこは心配無いと思いますよ……。
えーと、八雲さん、でしたっけ?もう目を開けても良い……と思います」
蓮子が柱に縛られてうつむく紫にそう声を掛けると、彼女はゆっくりとした動作で首を上げ、まぶたを開いた。
青娥は驚き、いつにない機敏な動作で紫に拳銃を向ける。
紫はそんな脅しなどどこ吹く風といった様子で、蓮子に尋ねた。
「……よく私のタヌキ寝入りを見抜くことができたわね」
「ええ、まあ」
蓮子がいつもの二人で呑んだ後、メリーが先に酔いつぶれた時に良く使われた手だった。
本当はとっくに酔いなんて醒めてるのに、部屋まで背負って運ばされた事は一度や二度ではない。
その時のメリーのタヌキ寝入りの様子が、ちょうど先ほどまでの紫とそっくりだったのだ。
「運ばれる途中で目を覚ましたら問答無用で撃たれかねないから、敢えて縛られた……という訳ね?」
「そんな所よ」
「マゾなの?」
「……断じて違うわ」
「あの……八雲さん、話してくれませんか?ここで、何があったか。
その……話せる範囲で、いいですから」
「ええ、話すわ。洗いざらい……ね」
蓮子は奇妙な既視感を感じながら、『八雲紫』なる人物のここでのいきさつを聞いた。
敢えて話を聞くというよりは、紫がいてもたっても居られずに漏らす言葉を聞いてあげる、という表現が正しいか。
スタンド使いの人間(!)である
ズィー・ズィーを手懐けたこと。
妖刀を手にした『半人半霊』、
魂魄妖夢。地底に住まう『鬼』、
星熊勇儀。
ゲームに乗り、殺し合いを繰り広げていた二人を紫が止めようとしたこと。
そんな紫に……今日出会ったばかりの紫に、ただの移動手段にしか思っていなかった
ズィー・ズィーが命賭けで協力してくれたこと。
だが、紫達の介入も空しく、三人ともを喪う結果に終わってしまったこと。
茫然自失としていた所、ふとした拍子で触ってしまった妖刀に身体を奪われて、
蓮子たちを襲撃してしまったこと。
そして最後に『八雲紫』なる人物は、ポツリと漏らした。
「ねえ、貴女は嘲笑(わら)ってくれるかしら……こんな間抜けを演じた私を……」
「…………………………」
蓮子は何も答えることができなかった。
危険を冒して最善を尽くした結果、最悪の結果を招いてしまった彼女に対し『もう一度頑張れ』などと
勇気づけてやる残酷さを、蓮子は持ちあわせていない。
それに……
「あの……八雲さん、貴女は一体何者なんですか!?
仲間がいたとはいえ、あんな、一撃で地面にクレーターを作ったりする『鬼』や、
車を真っ二つにする『妖刀』の使い手を相手にしようと考えるなんて」
……自己紹介がまだだった。
そこでうっかりしていたという風に紫が答えた。
「……私?私は、『スキマ妖怪』の八雲紫よ」
「スキマ……妖怪?」
「ええ、私はありとあらゆるもののスキマ……境界を操ることができる。
……この場ではほとんど力が発揮できないのだけど……」
そう言って紫は左腕を蓮子の右腕に伸ばしてきた。
左腕の向かう先、紫の視線を見て、蓮子は初めて気付いた。
気にしていられる状況じゃなかったが、右腕に小さな切り傷を負っている。さっき斬られたのか。
紫を縛っていた縄は、きつく巻きつけたはずなのにいつの間にかほどけている。
そして、紫が荒れた左手の平で蓮子の切り傷を撫でると……
「『境界』が……!これは、『境界』なの!?」
パックリ開いていた傷口の端に赤いリボンが結ばれ、傷口の中から暗い空間が覗く。
その空間は独りでに細くなって見えなくなり、
リボンが消えると共に傷口はまるで最初から存在しなかったかの様に消えてしまった。
「例えば、貴女の腕にできた、傷口という境界を消す……この程度の力は残っているわ。
本当にこの程度か……あるいはそれにちょっと毛の生えた程度の力しか、今は発揮できないのだけど」
(一緒だ……!細かい所は違うけど……私が直接見たわけじゃないけど、
メリーから話に聞いた、『境界』の様子と……!
メリーと他人とは思えないほど姿形がそっくりで、
メリーが視える境界をこの人、いえ、この妖怪、の女の人は操ることができて、
……ああ、もう聞いてみた方が早い!)
「あ、あのっ、八雲さん!」
「……何よ?」
「メリー、いえ、マリェベ、じゃなくて……メアリーベル、でもなくて……」
「『マエリベリー・ハーン』なら、名簿にあったけど」
「そう!知りませんか!?その人の事を「はぁーい、ちゅうもーく!!」
今まで紫の話もそこそこに、黙々と回収した支給品の説明書きを読みふけっていた青娥が二人の話を遮った。
「青娥、……さん!」
大事な話を邪魔された蓮子が、恨めしい感情を必死に抑えながら青娥の言葉に耳を傾ける。
「紫ちゃんとメリーの関係は私も興味があるけど……そろそろ時間よ。『放送』とやらの」
蓮子が窓の外に覗く明けの明星を見上げると、時刻は『5時59分53秒』を指していた。
(そうね、まずは放送を聞かないと。……大丈夫、きっとメリーは生きてる)
【D-2 猫の隠れ里外れの廃屋内/早朝・第1回放送直前】
【宇佐見蓮子@秘封倶楽部】
[状態]:疲労(中)、精神疲労(中)、首筋への打撃(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、食糧複数
[思考・状況]
基本行動方針:メリーと一緒に此処から脱出するために、とりあえずは青娥の命令に従う。
1:八雲紫とマエリベリー・ハーンの関係を知りたい。
2:今は青娥に従う。
3:メリーとジャイロを探す。
4:いつまでも青娥に従うわけにはいかない。隙を見て逃げるか…倒すか…。
5:・・・強くなってメリーを守りたい。
[備考]※参戦時期は少なくとも『卯酉東海道』の後です。
※ジョニィとは、ジャイロの名前(本名にあらず)の情報を共有しました。
※「星を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所が分かる程度の能力」は会場内でも効果を発揮します。
※DISCに関する更なる詳しい情報をヨーヨーマッから聞いてます。
【D-2 猫の隠れ里/早朝】
【八雲紫@東方妖々夢】
[状態]:茫然自失、全身火傷(やや中度)、全身に打ち身、右肩脱臼、左手溶解液により負傷、霊力中消費
[装備]:なし(左手手袋がボロボロ)
[道具]:なし(霍青娥に奪われる)
[思考・状況]
基本行動方針:…………
1:私って、なんて間抜けなの……
[備考]
参戦時期は後続の書き手の方に任せます。
【霍青娥@東方神霊廟】
[状態]:疲労(中)、全身に唾液での溶解痕あり(傷は深くは無い)
[装備]:S&W M500 (残弾5/5)、スタンドDISC「ヨーヨーマッ」@ジョジョ第6部、河童の光学迷彩スーツ(バッテリー90%)@東方風神録
[道具]:双眼鏡@現実、500S&Wマグナム弾(13発)、
未確定ランダム支給品(魂魄妖夢、星熊勇儀のもの。青娥だけが内容を確認済み)、基本支給品×5
[思考・状況]
基本行動方針:気の赴くままに行動する。
1:会場内のスタンドDISCの収集。ある程度集まったらジョルノにプレゼント♪
2:
第一回放送を聞く。
3:八雲紫とメリーの関係に興味。
4:蓮子をDISC収集のための駒として『利用』する。
5:あの『相手を本にするスタンド使い』に会うのはもうコリゴリだわ。
6:時間があれば芳香も探してみる。
[備考]
※参戦時期は神霊廟以降です。
※制限の度合いは後の書き手さんにお任せします。
※光学迷彩スーツのバッテリーは30分前後で切れてしまいます。充電切れになった際は1時間後に再び使用可能になるようです。
※ジョルノにDISCの手土産とか言ってますが、それ自体にあまり意味は無いかもしれません。やっぱりDISCを渡したくなくなるかも知れないし、彼女は気まぐれですので。
※スタンド及びスタンドDISCについてかなりの知識を得ました。現在スタンドDISC『ヨーヨーマッ』装備中。
※頭のカンザシが『壁抜けののみ』でない、デザインの全く同じ普通のカンザシにすり替えられていることに気づきました。
※魂魄妖夢、星熊勇儀、ズィー・ズィー、八雲紫の荷物を回収しました。
そんな蓮子たちの心配をよそに、斜向かいの家屋に潜む影がひとつ。
(女3人、こちらには気づいていない……が、ちょうど『放送』の時間か。
どうする?放送を聞いてから仕掛けるか?……放送と同時に襲う、という手もあるが……)
弱者たる蓮子にこの場では、唯一無二の友を気にかけることすら、許されていないのかも知れない。
【D-2 猫の隠れ里外れの廃屋(蓮子達3名のはす向かい)/早朝・第1回放送直前】
【ウェス・ブルーマリン@第6部 ストーンオーシャン】
[状態]:肋骨、内臓の損傷(中)、背中への打撲(処置済み)、服に少し切れ込み(腹部)
[装備]:妖器「お祓い棒」@東方輝針城、ワルサーP38(8/8)@現実
[道具]:タブレットPC@現実、手榴弾×2@現実、不明支給品(ジョジョor東方)、ワルサーP38の予備弾倉×2、
ワルサーP38の予備弾×7、救急箱、基本支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:ペルラを取り戻す。
1:この戦いに勝ち残る。どんな手を使ってでも、どんな奴を利用してでも。
2:三人組の女(蓮子・青娥・紫)に襲撃を仕掛ける。
3:
空条徐倫、
エンリコ・プッチ、FFと決着を付け『
ウェザー・リポート』という存在に終止符を打つ。
4:
姫海棠はたてが気になるが、連絡を試みるかは今のところ保留。
5:あのガキ(ジョルノ)、何者なんだ?
[備考]
※参戦時期はヴェルサスによって記憶DISCを挿入され、記憶を取り戻した直後です。
※肉親であるプッチ神父の影響で首筋に星型のアザがあります。
星型のアザの共鳴で、同じアザを持つ者の気配や居場所を大まかに察知出来ます。
※制限により「ヘビー・ウェザー」は使用不可です。
「ウェザー・リポート」の天候操作の範囲はエリア1ブロック分ですが、距離が遠くなる程能力は大雑把になります。
※主催者のどちらかが『時間を超越するスタンド』を持っている可能性を推測しました。
※アヌビス神はD-2猫の隠れ里、古井戸の底に落ちています。『誰か拾ってくれよぉ~~さびしいよォォ~~』
最終更新:2014年07月18日 00:15