私は難しい事は分からない。
難しいって分かった瞬間から考える事を放棄するから。
だけど、このモヤモヤは放棄しちゃいけないと思った。
難しくても落ち着かなくても、絶対に。
難しいって分かった瞬間から考える事を放棄するから。
だけど、このモヤモヤは放棄しちゃいけないと思った。
難しくても落ち着かなくても、絶対に。
珍しく今日は柊も一緒に昼食をとる事が出来た。
柊が向こうのクラスに行かずにこっちに来て弁当を出したから確実だ。
チビッコとケンカか? なんて思い聞いてみたところ、チビッコは風邪で欠席らしい。
柊が向こうのクラスに行かずにこっちに来て弁当を出したから確実だ。
チビッコとケンカか? なんて思い聞いてみたところ、チビッコは風邪で欠席らしい。
「でも、柊が向こうのクラスに行く理由って妹がいるからじゃなかったっけ?」
前に、なぜ私達と一緒に食べないのかと尋ねた時の返答は……
柊妹は人見知りが激しいから一緒に食べる……だったと記憶している。
入学から三年たった今となっては人見知りも何もないと思うけど。
いつの間にか向こうのクラスに行く理由がチビッコにすりかわっていたと柊は今気付いたらしい。
だけどそれを認めようとはしなかった。
柊妹は人見知りが激しいから一緒に食べる……だったと記憶している。
入学から三年たった今となっては人見知りも何もないと思うけど。
いつの間にか向こうのクラスに行く理由がチビッコにすりかわっていたと柊は今気付いたらしい。
だけどそれを認めようとはしなかった。
「つ、つかさにはみゆきがいるからよ。私が向こうに行ったら三人になって奇数になるじゃない」
若干顔を赤くしながら言っても説得力ないんだっぜ。
そもそも顔を赤くする必要性が分からない。
こんな風に柊をからかえる事なんて一ヶ月に一回あるかないかなので、ちょっと調子に乗ってみる。
そもそも顔を赤くする必要性が分からない。
こんな風に柊をからかえる事なんて一ヶ月に一回あるかないかなので、ちょっと調子に乗ってみる。
「でも柊、ここも奇数人数だぞ」
私、あやの、柊と名前を言いながら指差し確認をしてやる。
揚げ足を取られた柊が真っ赤になって「う、ううるさい!」と怒鳴った。
広げた弁当を抱えて向こうのクラスに行こうとしたので慌てて止める。
揚げ足を取られた柊が真っ赤になって「う、ううるさい!」と怒鳴った。
広げた弁当を抱えて向こうのクラスに行こうとしたので慌てて止める。
「ひ、柊ぃ!!行かないでくれよぉ~!」
折角一緒にいるんだから一緒に話そう。
柊がいたらあやのとの会話のキャッチボールに困る事も少なくなるんだってば。
自分のちょっとした悪戯心でそれをダメにしたくなかった。
柊の袖を掴んで引き止めると「しょうがないやつね……」と苦笑混じりの声と共に柊は弁当を机の上に再び広げた。
柊がいたらあやのとの会話のキャッチボールに困る事も少なくなるんだってば。
自分のちょっとした悪戯心でそれをダメにしたくなかった。
柊の袖を掴んで引き止めると「しょうがないやつね……」と苦笑混じりの声と共に柊は弁当を机の上に再び広げた。
「……本当に、峰岸はよくこいつの世話できるわね」
今まで私たちのやり取りを眺めていたあやのに柊が呆れ顔のまま酷いことを言う。
それじゃ私が問題児みたいじゃんか。
それじゃ私が問題児みたいじゃんか。
「みさちゃん、いい子よ」
その言い方もどうだろう。『子』って。明らかに子ども扱い。
せめて『いい人』とか……いや、でもその言葉もあんまりいい意味で使われないか。
恋人としては無理って意味でいい人止まりの人って言うしな。
つまりあやのにとって私はいい人止まり……?
ん? あれ、何かこーすっごいモヤモヤとした違和感が。
せめて『いい人』とか……いや、でもその言葉もあんまりいい意味で使われないか。
恋人としては無理って意味でいい人止まりの人って言うしな。
つまりあやのにとって私はいい人止まり……?
ん? あれ、何かこーすっごいモヤモヤとした違和感が。
「みさちゃん?」
「やっぱり私はおかしいのか?」
「だ、だからどうしてそういう結論に至るの……?」
「やっぱり私はおかしいのか?」
「だ、だからどうしてそういう結論に至るの……?」
何の話? という柊の視線にあやのが気づいて、ちょっと考え込んで事情を説明していた。
すなわち『この頃のみさちゃんはおかしい……って、みさちゃん本人が言っている』と。
実際はこんな直球じゃなくてもうちょっとオブラートに包んでくれたけど。
すなわち『この頃のみさちゃんはおかしい……って、みさちゃん本人が言っている』と。
実際はこんな直球じゃなくてもうちょっとオブラートに包んでくれたけど。
「日下部が変っていうのは昔からの気がするけどね」
「ひっど!!」
「あはは、ごめんごめん。……じゃあ、悩み事とか?」
「ひっど!!」
「あはは、ごめんごめん。……じゃあ、悩み事とか?」
ある意味それは近い気がする。
でも私のボキャブラリーは貧困そのものなので、今の状況を1~10まで伝えれないだろうし。
伝えれたところで相手に分かるかという問題だ。
ふむぅ、とミートボールを味わいながら頬杖をついて考えこむ。
でも私のボキャブラリーは貧困そのものなので、今の状況を1~10まで伝えれないだろうし。
伝えれたところで相手に分かるかという問題だ。
ふむぅ、とミートボールを味わいながら頬杖をついて考えこむ。
「……確かに日下部がおかしい」
「ひ、柊ちゃん。もっとオブラートに包んで」
「日下部。峰岸に相談したら? 日下部のことになると人一倍心配するんだから」
「ひ、柊ちゃん。もっとオブラートに包んで」
「日下部。峰岸に相談したら? 日下部のことになると人一倍心配するんだから」
そんなんじゃ私だって心配になるし、とものすごく小さな声で柊は続けた。
う、おおおおおお!!! 今日はかなり貴重な体験してる気がする!!
叫びたい気持ちは場の空気を読んで抑えた。
う、おおおおおお!!! 今日はかなり貴重な体験してる気がする!!
叫びたい気持ちは場の空気を読んで抑えた。
「うーん……」
それよりもどうやって相談すべきなんだろうか。
私の勘は『言わないほうがいい』と言っているんだけど悩んでても仕方ないし。
少し遠まわしに聞いてみようか。
『あやのは兄貴と一緒にいて幸せか?』とか。
……それこそ聞いてどうする!! 答え丸分かりじゃん。
えっと、じゃあ『あやのは私と一緒にいて楽しい?』
いや、何か違う? それに何でそう言う事を思ったのかと返されたら答えれない。
だって分からないんだし。
私の勘は『言わないほうがいい』と言っているんだけど悩んでても仕方ないし。
少し遠まわしに聞いてみようか。
『あやのは兄貴と一緒にいて幸せか?』とか。
……それこそ聞いてどうする!! 答え丸分かりじゃん。
えっと、じゃあ『あやのは私と一緒にいて楽しい?』
いや、何か違う? それに何でそう言う事を思ったのかと返されたら答えれない。
だって分からないんだし。
「……私はあやのに苦労かけてないか?」
『え?』
『え?』
一生懸命ひねり出したセリフに二人が止まる。そして笑った。
かなり真剣だったんだけど。
それが一番聞きたかった事ではないとだけは分かっているけど、ある種間違ってはないだけにちょっと悲しい。
かなり真剣だったんだけど。
それが一番聞きたかった事ではないとだけは分かっているけど、ある種間違ってはないだけにちょっと悲しい。
「日下部、今更じゃない。それが嫌なら峰岸はとっくにあんたの保護者を放棄してるわよ」
あ、苦労をかけてるって事は否定しないんだ。
まぁそうだけどさ。
まぁそうだけどさ。
「そうよ、みさちゃん。私が好きでやってるんだから。そう言う事で悩まないで」
今のあやののセリフの一部に私の心の中の何かが反応したけど言葉は出なかった。
少し、ほんの少しだけモヤモヤが軽くなった気がした。
少し、ほんの少しだけモヤモヤが軽くなった気がした。
「日下部がそういう事を気にしてたんなら恩返しとかすればいいんじゃない?」
「どんな?」
「それは自分で考えるべきでしょ」
「どんな?」
「それは自分で考えるべきでしょ」
あやのに視線を向けると『気にしなくて良いよ』的な笑みが返ってきた。
でもそんなわけにはいかない。
確かにあやのには昔から苦労やら心配やら色々かけてきたし。
何が良いかなと考えつつ、弁当を食べつつ、三人で話しつつ昼休みは終わった。
でもそんなわけにはいかない。
確かにあやのには昔から苦労やら心配やら色々かけてきたし。
何が良いかなと考えつつ、弁当を食べつつ、三人で話しつつ昼休みは終わった。
結局放課後までなーんにも思いつかなかった。
ぬいぐるみを買おうか、とも思ったけどあやののコレクションは豊富だからダブりそうだし。
そもそも買いに行こうとしたら遠慮されるからすぐに出来る恩返し。
くそう、知恵熱出そうだっぜ。
クラスのやつらはもうほとんど帰ったりしてるけど、数人で話していたりするグループもいる。
ぬいぐるみを買おうか、とも思ったけどあやののコレクションは豊富だからダブりそうだし。
そもそも買いに行こうとしたら遠慮されるからすぐに出来る恩返し。
くそう、知恵熱出そうだっぜ。
クラスのやつらはもうほとんど帰ったりしてるけど、数人で話していたりするグループもいる。
「みさちゃん、私たちも帰ろう?」
「うー……」
「うー……」
机に突っ伏したまま顔を上げると、またしても苦笑&心配顔のあやのがいた。
こういう私たちを客観的に見るとしたらやっぱり『子供と保護者』なのか。柊もよく言うし。
そう言えば親に感謝する日があったよな。勤労感謝だっけ?
いや、敬老か? それはじいちゃんばあちゃんだっけ。あー、もういいや!
敬老の日と言えばこれだろ!!
こういう私たちを客観的に見るとしたらやっぱり『子供と保護者』なのか。柊もよく言うし。
そう言えば親に感謝する日があったよな。勤労感謝だっけ?
いや、敬老か? それはじいちゃんばあちゃんだっけ。あー、もういいや!
敬老の日と言えばこれだろ!!
「あやの!! 肩たたきしてやる!」
「え!?」
「いいからいいから、ほら、座って」
「え!?」
「いいからいいから、ほら、座って」
椅子から立ち上がって、その自分の席に無理やりあやのを座らせる。
遠慮する暇もあたえずにいると諦めたのか、妙に困ったような薄い笑みを浮かべた。
遠慮する暇もあたえずにいると諦めたのか、妙に困ったような薄い笑みを浮かべた。
「ストレッチとかやってるから、結構自信あるんだよなー」
一、二年の時は先輩にマッサージを頼まれた事もあるし。
ちょっとした特技かもしれない。
あやのの髪は長いので、分けて前に流してもらう。叩いてる時に髪を引っ張ったりしたら痛いし。
ちょっとした特技かもしれない。
あやのの髪は長いので、分けて前に流してもらう。叩いてる時に髪を引っ張ったりしたら痛いし。
「あやの、ちょっと髪を前に流してくれ」
「こう?」
「こう?」
両手を後ろ髪に伸ばし左右に分けて前に流す。
普段は隠れて見えないうなじの細さと白さに驚いたのか何なのかは分からないが一瞬心臓が派手に動いた。
なんだ、今の?
普段は隠れて見えないうなじの細さと白さに驚いたのか何なのかは分からないが一瞬心臓が派手に動いた。
なんだ、今の?
「みさちゃん?」
「お、ぉお? んじゃ始めっぞ」
「お、ぉお? んじゃ始めっぞ」
ゴホンと無駄に咳払いをして制服の上から肩の硬さを確かめる。
制服の襟の部分があるから正確な硬さが分からない。でも脱がすわけにもいかないのでそのまま続行。
首、肩、肩甲骨の側面などを親指で押していく。
制服の襟の部分があるから正確な硬さが分からない。でも脱がすわけにもいかないのでそのまま続行。
首、肩、肩甲骨の側面などを親指で押していく。
「結構肩こってるぞ? 特に右側。頭痛とかしてないか?」
「時々ツキンと来る時はあるけど……そんなに酷くないよ」
「ダメダメ、油断してると一気に四十肩になるぞ」
「時々ツキンと来る時はあるけど……そんなに酷くないよ」
「ダメダメ、油断してると一気に四十肩になるぞ」
寝起きに普通に伸びをしようと手を上げたときに肩がつった人物を知っている。
というより、私の兄貴。
あれは四十肩というよりただミネラル足りてなかったというか運が足りてなかったというか。
というより、私の兄貴。
あれは四十肩というよりただミネラル足りてなかったというか運が足りてなかったというか。
「もしかして右肩を下にして寝てない?」
「えっと……うん、そうかも」
「だから血流悪くなってるのか……? たまには左向きで寝てみたほうがいいって」
「でもいつもと違う向きって寝にくくない?」
「そうかー?」
「えっと……うん、そうかも」
「だから血流悪くなってるのか……? たまには左向きで寝てみたほうがいいって」
「でもいつもと違う向きって寝にくくない?」
「そうかー?」
私は結構どんな体勢でも寝れる派だからあんまり気にしてない。
あやのの首の筋肉に沿って親指で押していきながら会話を進める。
あやのの首の筋肉に沿って親指で押していきながら会話を進める。
「痛かったら言ってくれよ」
「うん。だいじょうっ……ん、大丈夫」
「うん。だいじょうっ……ん、大丈夫」
ちょっと痛かったっぽいけど「ごめん」と言葉が出なかった。
全然違う方に思考が飛んでたからだけど、むしろその方向に思考が飛んだことを謝りたい。
って、そもそも何で「何か色っぽい声だな」とか思っちゃったんだろ。
全然違う方に思考が飛んでたからだけど、むしろその方向に思考が飛んだことを謝りたい。
って、そもそも何で「何か色っぽい声だな」とか思っちゃったんだろ。
「ありがと、みさちゃん」
「……あい」
「……あい」
十分かそこらで肩叩きを終えて、やっぱり肩がこってたから楽になったのかあやのは笑顔だった。
反面私は素直に喜べない。
肩叩き中に何度も別の方向に思考が飛んでしまってその度に妙に自己嫌悪。
恩返しになってない気もしてきた。
カバンを持って昇降口まで歩きながら、私は風呂上りに軽く自分で肩を揉んだ方がいいとかアドバイスしていた。
靴を取り出し上靴を入れる。その動作をあやのもしていると思ったら、あやのは止まっていた。
私の隣で、こっちを真剣に見ながら。
反面私は素直に喜べない。
肩叩き中に何度も別の方向に思考が飛んでしまってその度に妙に自己嫌悪。
恩返しになってない気もしてきた。
カバンを持って昇降口まで歩きながら、私は風呂上りに軽く自分で肩を揉んだ方がいいとかアドバイスしていた。
靴を取り出し上靴を入れる。その動作をあやのもしていると思ったら、あやのは止まっていた。
私の隣で、こっちを真剣に見ながら。
「苦労かけてるとか、思わなくていいんだよ?」
「へ?」
「私はみさちゃんの事好きだし、苦労かけられてるなんて思ってないから」
「へ?」
「私はみさちゃんの事好きだし、苦労かけられてるなんて思ってないから」
また、だ。
あやののセリフに私の中の何かが騒いでる。うるさい位に、今まで以上に。
色んな感情の塊がガヤガヤと騒いでいて、それが大きすぎて一つ一つが理解できない。
理解しようと考える事に集中した所為で入れる途中だった上靴が片方落っこちた。
あやのがそれを拾おうとして屈む。髪が流れてさっきまで触れていた首筋が見えた。
心臓も、感情の塊もうるさい。無性に叫びたくなる。でもいったい何を?
あやののセリフに私の中の何かが騒いでる。うるさい位に、今まで以上に。
色んな感情の塊がガヤガヤと騒いでいて、それが大きすぎて一つ一つが理解できない。
理解しようと考える事に集中した所為で入れる途中だった上靴が片方落っこちた。
あやのがそれを拾おうとして屈む。髪が流れてさっきまで触れていた首筋が見えた。
心臓も、感情の塊もうるさい。無性に叫びたくなる。でもいったい何を?
「……その『好き』ってどういう意味?」
暗く、細く、重い、私らしくない声が昇降口に流れる。
あやのは上靴を拾ってくれているから表情は見えない。
感情の塊の一つが……多分『嫉妬』と呼ばれる感情が一番騒いでる。
あやのは上靴を拾ってくれているから表情は見えない。
感情の塊の一つが……多分『嫉妬』と呼ばれる感情が一番騒いでる。
「友達として? 親友として? それとも」
兄貴の――恋人の妹として?
これは言ったらいけないと、今更理性がフル活動をし始めた。
でも言ってしまった言葉は元に戻らない。
あやのが上靴を拾って立ち上がる。その表情を見て……いや、見る前から分かって怖がっていた。
だから一歩後ろに下がってしまった。
これは言ったらいけないと、今更理性がフル活動をし始めた。
でも言ってしまった言葉は元に戻らない。
あやのが上靴を拾って立ち上がる。その表情を見て……いや、見る前から分かって怖がっていた。
だから一歩後ろに下がってしまった。
確実に言える。
今あやのは、猛烈に怒っていると。
でもどうしてかは分からない。
私がアホな事を言ったからだろうけど、それは少し違うと勘が言っている。
今あやのは、猛烈に怒っていると。
でもどうしてかは分からない。
私がアホな事を言ったからだろうけど、それは少し違うと勘が言っている。
「……みさちゃんは、どう言ってほしいの?」
細く、暗く、重い、あやのらしくない声が昇降口に流れた。
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- 素晴らしすぐるぜ…
というか書くスピードめちゃめちゃ早くないですか(汗)
自分は遅筆なので羨ましいなぁ… -- 名無しさん (2007-10-23 00:31:06) - GJでした!つづきもがんばってください!! -- 名無しさん (2007-10-23 00:21:57)