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みなみとゆたか、ふたりのつながり

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だれでも歓迎! 編集
 差し込む日の光。
 懐かしい匂い。
 微笑いあう声。
 壁に掛けられた小さな制服。
 テーブルに乗せられたお菓子。
 それを挟んで私と向かいあう、二つのリボンをした可愛らしい女の子。


 ゆたかと出会って以来、何度この部屋に足を運んだだろう。
 私の家からここまでは、電車に乗っても結構な時間がかかってしまうけれど、
 今どこどこの駅を過ぎたところだとか、今日は何をしようかなんてことをメールでやりとりしながら、
 この後過ごすことになるであろうきっと楽しい一日を思い浮かべ、ゆたかに思いを馳せていれば、
 そんな移動時間なんて些細なもので、逆に言えば、ゆたかに会ったときに感じる心躍る気持ちを増幅させてくれて、
 帰りの時にはその日ゆたかと共に作った思い出を一つ一つ、丁寧に思い出させてくれる、
 とても大切な時間にさえ感じられる。
 だから私は休日にこうして時間をかけてまでゆたかのお家におじゃまさせてもらうし、
 ゆたかもきっと、私と同じようなことを思っているから、同じくらいの頻度で私のところに遊びにくる。

 二人でいる時間はあっという間に過ぎてしまう。
 前に一度、昼食を食べた後についうとうとして、二人で眠ってしまったこともあった。
 起きたらすっかり日も落ちている頃で、あの時はさすがにしまったと思ったけれど、
 考えてみるとそんなことは学校で一緒にいるときでは出来ないことだったので、
 なんだかその日はいつもの休日よりも特別な日に思えた。
 結局のところ、私はゆたかと一緒に居れればそれでいいのかもしれない。

 外は雲一つ無い快晴で、季節的には秋なのだろうけど、
 今日はそれほど厚着をしなくても十分暖かい天候なので、ゆたかも長袖一枚で過ごしている。
 泉先輩も、私がここに到着したとき、丁度柊先輩のところへ遊びに行くところだったようで、
 ショートパンツにスリーブが色違いのTシャツを着て、元気に私の来た道を走って行った。

「ゆーちゃん、おじさんちょっと出版社の人と打ち合わせに行ってくるから、しばらくお留守番いいかな」 
 ノックの音の後、少し開かれたドアからそうじろうおじさんがゆたかにそう伝えた。
「はい、わかりました。みなみちゃんも居るので、大丈夫です。ね、みなみちゃん」
 ゆたかはにこりと笑って私のほうを見た。
 私はこくりと頷いた後、おじさんのほうを向いて会釈した。
 おじさんは少し微笑んだ後、
「夕方頃には戻るからね」
 と言って時計を確認し、やや急ぎ足で一階へ降りていった。

 窓からゆたかが外の様子を見て、
「おじさん、行っちゃったみたい」
 と微笑わずに言った。
 微笑わずに、というのは何も怒っているというわけではなく、
 その表情の下に隠された感情を含んでいて、それを抑えているということ。
 そしてその感情は、おそらく、きっと、私が抱いている感情と全く同じもの。


 それは即ち――『愛する人と、肌を重ねたい』という、ひどく単純で、人間的な感情。


 とてとてと可愛らしい音を立てて私のそばに寄り、腰を下ろし、
 えへへと微笑んでそっと目をつむるゆたかに、私は迷い無く唇を重ねた。
 ひやり、というほのかに冷たい感触も初めのうちだけで、
 キスをしているうちに、だんだんと、おそらく体温の上昇も手伝って、
 暖かいと感じるようになってくる。
 そして、とくんと脈を大きく打ち始めた心臓は、それ以降ペースを落とすことなく、
 まるでゆたかを早く感じたいと急かすように、いつもより速く鳴り続ける。

 少し湿ったゆたかの唇。
 そしてふわりと感じる、少し甘いゆたかの香り。
 私はそんなささいなことだけですぐに我慢できなくなってしまい、
 ゆたかの口の中に私の舌をするりと滑り込ませた。
「ん……あむ……ちゅく……」
 ゆたかは動じることなく私を受け入れてくれた。
 私とゆたかの舌が、どちらの口の中ともつかない場所で絡まりあい、
 その様子は舌先の感覚と、口の隙間からかすかに聞こえる水音で、頭の中に鮮明なビジョンとして写り、
 私はそのいかにもエロティックな映像に、なすすべも無く興奮してしまう。

「ん……ふぅ……ふぅ……」
 鼻と口の隙間から吐息が漏れ、それが自分でもはっきり分かるほどに荒くなっているものだから、
 少しがっつきすぎている気がして恥ずかしくなるけれど、
 それでもゆたかを求める気持ちには勝てずに、むしろ私達の舌の絡まりはより一層激しくなっていく。
 そのうちに頭がぼんやりとして、
 目をつぶっているものだから、一瞬自分の重心がぐらぐら揺れているような感覚に襲われる。
 その感覚はジェットコースターに乗っているときのそれとは違って、
 ゆらゆらと意識が揺さぶられているのに、
 まるで穏やかな水面の上にぷかぷかと浮いているみたいな、心地良い感覚だった。
「んっ……んん~……」
 ゆたかが我慢できずに漏らす声に私の体は疼き、
 もっとその可愛らしい声を聞きたい、
 そしてもっとゆたかを愛したいという、激しい衝動に駆られてしまう。

「ぷはぁっ……みなみ……ちゃん……」
 少し苦しくなったのか、ゆたかが唇を離し、やや潤み、とろんとした目で私を見上げ、
 求めるような声で私の名前を呼んだ。
 はぁ、はぁ、と深く息をするゆたかの頬は少し赤みがかっていて、
 普段のゆたかからは想像も出来ないような、「色っぽい」という印象を受ける。
「ゆたか……」
 私は自分を抑えることができず、またゆたかに口付けをした。
 歯止めの利かなかったのは気持ちだけではなく、体もそうだったようで、
 私は唇を重ね、手をゆたかの後ろにまわし、
 そのままゆたかを頭を打たないようにゆっくりと、抱きかかえるように反対側に押し倒した。

「んん……ちゅくちゅく……ぴちゃ……」
 ゆたかの上に覆いかぶさる形になりながら、今度は舌を絡めるだけではなく、
 まるでゆたかを食べるようにゆたかの唇を舐めたりしながら、
 私は一心不乱にキスをした。
「ん~……ぴちゅ……んふぅ……」
 ゆたかの体がぴくんと小さく跳ね、段々と息が乱れていく。
 私の口から流し込まれる唾液がゆたかのそれと混ざり合い、
 二人分の体液で出来たそれはごくりという音と共にゆたかの中へ入っていく。
 その音が聞こえる度に私はまたどうしようもなく興奮してしまい、暴走してしまう。

 自分がこんな風に誰かを愛すことに一生懸命になるなんて、考えたこともなかった。
 ゆたかと愛し合っている時は、自分を抑えられない。
 堪らなくゆたかへの愛情が爆発してしまい、ゆたかを自分のものにしたくなってしまう。
 今だって、そう。
 ゆたかは私のこんなにも凶暴な愛を、受け止めることができない。
 分かっているのに、けれど私は自分を律する手段を知らない。
 二人の繋がった部分から、一粒の光が零れ落ちてゆく。
 私はそれを自分の口で掬うことで、一先ずゆたかとの繋がりを断った。
 これ以上ゆたかを、傷つけてしまわないように。

「はぁっ……はぁっ……」
 ゆたかの虚ろな瞳には私がちゃんと映っているだろうか。
 ゆたかは細かく体を震わせ、全身の力が抜けたようにぐったりしている。 
「ごめん、ゆたか……また私、やりすぎ……」
「ううん、そんなことないよ、みなみちゃん……。すっごく……嬉しかったから……」
 私の言葉を遮るようにして、ゆたかはそう言って笑った。
 その笑顔に私はいつも救われる。よかった、嫌われてはいなかった。
 ゆたかが無理をして嘘を付いているときは、目を見ればすぐに分かる。
 今のゆたかは、間違いなく本当のことを言ってくれた。
 私はゆたかの手をとり、体を起こし、おぼつかない足取りのゆたかを支えながら、
 まだシーツがきれいなままで敷かれているベッドに向かった。

「ん……ちゅ」
 ベッドの縁に腰掛け軽いキスを交わした後、ゆたかの頭を静かに枕の上に乗せ、
 再び唇を重ねながらTシャツの隙間に手を掛けて、ゆたかの地肌に触れた。
 するすると手を上の方に移動させながらTシャツを捲り上げると、
 ゆたかはそれに反応するようにして小さな体をふるふると震わせた。
 やがて手はゆたかのブラに行き当たり、私はゆたかの口から一旦離れ、
 両手をゆたかの背中に回してホックを外した。
「あ、待って、みなみちゃん。全部……脱いじゃうね」
「寒くない……? 平気……?」
「うん、大丈夫」
 ゆたかが体を起こし、すでに半分以上が捲れているTシャツと、
 ホックが外れてストラップだけがかかっているブラを取り外すと、
 純白の肌が見え、二つの小さな膨らみと、先端のピンク色が露になった。
 まるで人形のようなゆたかの体。
 本当に、綺麗。

「あ、あの……みなみちゃん、あんまり見られると……その……」
「あ……ごめん、ゆたか……」
「まだちょっと恥ずかしいかな、やっぱり……」
 ゆたかは少し照れ微笑いをして、両手で胸を隠し、
 私の心臓はその仕草に、またドクンと大きく脈を打った。

 可愛すぎる。
 もう駄目。
 我慢の、限界。

 私は右手をゆたかの頭の後ろに回してゆたかをゆっくりと押し倒し、
 キスをしながら左手でゆたかの手を退け、親指と人差し指の付け根の辺りで
 ゆたかの小さな胸の先端を挟み込むようにして刺激した。
「んんっ……!! ひはひひゃぁん……」
 びくんと大きく体を反応させ、ゆたかの塞がった口から途切れ途切れによがった声が漏れる。
 けれどゆたかは抵抗しないので、私はそれを、もっと好きにしていいんだ、と勝手に解釈し、
 指をこねるように動かしたり、舌を必要以上に大きく絡めたりした。
「ぅ……ん……んん~……ぅぅん……」
 ゆたかのくぐもった声が口の中に響き、私の体は無意識にもじもじと疼く。
 足がショーツに擦れる度に感じる冷たい感覚は、少し前から時間を増すごとにどんどんひどくなっている。
 やっぱり代えのものを持ってこればよかったかな、とそんなことを頭の片隅に置きながら、
 私はくにくに、ぐにぐにとゆたかを攻め続けた。

「ゆたか……もっとよく、見せて……」
 暫くの後、体を上げてゆたかの手を軽く押さえ、
 ついさっきまで私の玩具にされていたゆたかの胸を晒した。
「は、恥ずかしいよぅ……みなみちゃん……」
 ゆたかはそう言っているけれど、やはり無理に隠そうとはしなかった。
 真っ白な雪の大地の、ほんの少し積もった山に咲く、一輪の花。
 そんなイメージが、頭の中に浮かぶ。
 右手でゆたかの肌を撫でるとすべすべとしていて、本当に雪を触っているような感覚になる。
 いつまでも見ていたい、そんな気にもさせられる。
 けれど私は水をあげなくてはいけない。
 雪の中に咲く、小さな花に水を。

「ひゃあっ……! み、みなみちゃ……あ、あぁっ……」
 左手はさっきと同じ位置に置き、今度は口を反対側の胸に移して、
 舌で転がしたり、吸ってみたり、私の好きなようにして弄んだ。
 ゆたかの口はちょっと前までとは違い、塞がれていないので、
 可愛らしいゆたかの声は、直接私の耳に入ってくる。
 私が吸ったり、舐めたり、触ったりして、ゆたかが出してくれる声。
 それが聞きたくて、その声を出してくれるのが嬉しくて、
 私はもっとゆたかを攻めてみたくなる。
 肌に触れているところから、ゆたかの体温が直に感じられ、
 また左手から、ゆたかの打つトクン、トクン、というリズムが伝わってくる。
 いけない、また、止まらなくなりそう。

「ぁはぁっ……! だ、だめ……」
 私が歯で軽く噛んでみると、ゆたかは今までとは調子を変えて大きく反応し、
 私の悪戯心に小さな火を灯した。
「んっ……はぁっ……あ、あっ……ああぁっ……」
 ゆたかの胸を大きく口に含んで、根元の部分をカリッと噛み、
 弱く噛んだり、強く噛んだりを繰り返しながら、舌でコロコロと転がしてあげる。
 そうするとゆたかは思ったとおり、可愛い声をたくさん出してくれた。

 私は自分でも不思議なほどに、ゆたかを愛すことが上手くなってきている。
 ゆたかの好きなことも、嫌いなことも、大体は分かるし、
 なにより、ゆたかの反応でそれの見分けが出来ることも知っている。
 ゆたかは嫌なことをされているときは、自分から少し抵抗するのだけれど、
 それ以外のとき、特に、本当に好きなことをされているときは、
 ゆたかが「駄目」と口に出していても抵抗したりはしない。
「や……みなみちゃん……ぁ、んんっ……」 
 おそらくそれは無意識的なこと。
 私だけが知っている、ゆたかのサイン。

「みなみちゃんも……脱いで、ほしいなっ……」
 少し震えたゆたかの声で、私は顔を上げる。
「私も……みなみちゃんのこと、触りたいから……」
 ゆたかは無邪気な顔で、そう言った。
 私はこの世でゆたかほど可愛らしい存在を知らない。
 冗談でも大袈裟でもなく、本当にそう思う。
 今のゆたかの仕草も、やはりそう思わせるほど反則的に可愛かった。
 抱きしめたくなる衝動を抑え、私は自分のシャツのボタンに手を掛けた。

「待って、みなみちゃん。私が脱がせてあげるね」
 そう言って、んしょ、んしょ、と可愛い声を出しながら、
 ゆたかは一つずつ私の服のボタンを外していき、
 やがて全てのボタンが外れ、するりとシャツが背中側に落ちると、
 ゆたかは私のブラのホックに手をかけ、そっと私を裸にした。

「……やっぱり、ちょっと大きくなったよね、みなみちゃん」
「うん……そう、かな」
 実はゆたかと体を交わすようになってから、
 わずかではあるけれど私の胸に変化が表れているようだ。
 それが行為の所為なのかどうかは分からないけれど、
 それでも例えるなら「無」から「極々小」くらいの大きさの変化はあるようで、
 私よりも先に「触る側」のゆたかがそれに気付いて教えてくれた時は、
 自分でもはっきりと分かるくらいに気分の高揚が感じられ、
 その日の夜はなかなか寝付けなかったのを覚えている。
 それまで『一応』付けているだけだったブラも、
 それ日以来私にとって重要な意味を持つものに変わり、
 毎日ブラを付けることがちょっとした楽しみにもなってしまった。

「これって私のせい……なのかな?」
「わからないけれど……そうだと……嬉しい」
「えへへ……なんだか照れちゃうね……」
 ゆたかは人差し指でほっぺをかく仕草をして、
「……触ってもいい?」
 と上目使いで私を見上げた。
 私がこくりと頷くと、ゆたかは小さな両手で私の胸に手を当て、
 決して強くはない力で、ふに、ふに、と断続的に二つの手を動かして
 私にぴりぴりと微弱な刺激を与え続け、
 その焦らされているかのような心地に、私の体は一層疼かせられた。
 ゆたかの手から伝わるのは、温もりと、私への愛情。
「みなみちゃん、すっごくドキドキしてる……」
 そして私からゆたかには、高鳴る私の鼓動が伝わり、
 ゆたかに自分の心の声を聞かれているような気になって、私は少し恥ずかしい気持ちにさせられる。
 初めは胸だけに感じられた刺激も、じわじわと波紋のように広がっていき、
 やがて体全体をちくちくとつつくような、大きな感覚へと成長していた。

「……っ……ゆた、かぁっ……」
 塵も積もれば山となり、やがて私の体は重心を失い、ゆたかのほうへと傾いた。
 けれどゆたかは私を支えず、そのまま背中側に私と一緒に倒れ、
 それでも私の胸からは手を離そうとはせずに、
 ゆたかは先ほど私に愛された時と同じ体勢になっても、相変わらず私を攻め続けた。
「……ぁ……はぁっ……ゆたかっ……」
「みなみちゃん、気持ちよさそう……」
「み、ないで……ゆたか……」
 ゆたかに顔を見られるのが恥ずかしくなって、私はゆたかの頭の右に顔をうずめた。
 しかし私もやられてばかりではなく、お返しするつもりで、
 私は左手をゆたかのスカートにもぞもぞと忍ばせ、ゆたかの一番敏感なそこに指を沿わせた。

「ひゃっ……み、みなみちゃん……あっ……だ、だめだよぅっ……」
 ゆたかのそこはショーツの上からでも十分分かるくらいに濡れそぼっていて、
 私が指を少し押し付けるようにして動かすと、
 そこから染み出るように冷たいそれがじわりと私の指を濡らした。
 動かす度にじゅくじゅくとゆたかから愛液が出てくる様子は、
 指先の感覚だけでも相当にいやらしいもので、
 そのイメージは、アドレナリンを枯渇させてしまいそうなほどに私を昂らせた。

「ん……は、ぁっ……やっぱり、だめっ……。脱いでからにしよっ……?」
 ゆたかにそう言われ、私はまた、既の所で理性を取り戻した。
 スカートから這い出た指はほんのりと湿っていて、
 私がそれを見つめていると、ゆたかは恥ずかしそうに私の指を隠した。
 ゆたかはそれからスカートのホックを外してファスナーを下ろし、ショーツ一枚だけを纏った姿になり、
 私もベッドに腰掛け、デニムジーンズを脱いで床に置き、ゆたかと同じ格好になった。
 いつからだったか「ショーツだけはお互いが脱がせあう」というルールが私達の間に出来ていて、
 ゆたかは準備万端といった具合に、先にベッドに体を寝かせている。

「それじゃあ、ゆたか……」
「うん、お願い、みなみちゃん……」
 私はゆたかの腰に手をあて、そっと少しづつ、ゆたかのショーツをずり下げていった。
 ショーツとゆたかが離れるときに、つつ、とゆたかから一本の透明な糸が引き、
 二つを繋いでいたそれは、やがて距離が開くと、
 真ん中から下に引き寄せられるようにしてシーツに落ちていった。

 ゆたかのしま模様のショーツには、中心にくっきり染みが広がっていて、
 普段の純粋な、小さな女の子というイメージとは違い、
 ゆたかの体が一人の女性として、私を求めていたという事実がはっきりと残っている。
「ゆたかは……やっぱりすごくえっち……」
 私がそれを見つめながら少し意地悪にそう言うと、
「そ、そんなことないもんっ! みなみちゃんのが……えっち、だもん……」
 ゆたかはぷくっとほほを膨らませ、私をうるうると見つめた。
「ふふ、ごめんね……冗談だから……。私もお願い、ゆたか……」
 ゆたかは「んもうっ」と、もう一度だけ頬を膨らませた後、
 私の言ったことが冗談だと分かっているからか、すぐに元のゆたかに戻り、
 仰向けに寝ている私のショーツに手を掛け、私と同じように少しずつ下ろしていった。

「わっ……みなみちゃんも、すごいことになってるね……」
「きっと……二人ともえっちなんだね……。昼間から、こんなことをしているんだから……」
 私がそう言うとゆたかは少し寂しそうな表情になって、
「やっぱり……こういうことって、いけないことなのかな……? 私達、女の子同士だし……」
「ううん、そんなことは、関係のないこと……。
 私は、ゆたかが好き。ゆたかは……私のことが好き?」
「うん、もちろんだよっ」
「じゃあきっと、いけないことじゃない。好きな人同士なら、それでいいと、私は思う……」
 そう、私達は愛し合っている。
 愛する人との繋がりを求めることを、誰が止めることができるだろうか。
 ゆたかは段々と顔を晴らして、
「そっか……そうだよね。私達、好きな人同士なんだもんねっ」
「うん……大好きだよ、ゆたか……」
「私も、大好きっ、みなみちゃん!」
 私達は座ったまま足を交差させ、裸で向き合ってキスをした。
 温かい、と何故かそう思わせられたキスだった。

「んっ……あ、はぁぁっ……み、みなみちゃぁん……」
 ゆたかを自分の前にひきよせ、私は左手でゆたかの敏感な部分を撫でた。
 指でひだになっているところをなぞると、間に溜まっていた愛液が雫となって垂れ、
 シーツに小さな染みを作った。
 中指と人差し指を中心に、上へ下へと手を動かすと、
 ぐちゅぐちゅという生々しい水音が聞こえ、小さく体を震わせるゆたかから甘い声が出される。
 私は敢えてゆたかが大好きなところには触らず、焦らすようにゆたかを愛した。
 ゆたかの目は遠くを見ていて、薄く開けられた口からは不規則な吐息が漏らされている。
 そのうちにゆたかは、軽い刺激では飽き足らなくなってきたのか、
「みなみちゃん……もっと……たくさんしても、いいよ……」
 と腰をややもじもじさせながら言った。
 私は待っていたと言わんばかりに、「そう……それじゃあ……」と言って、
 指先に少し力を込め、ゆたかの一番敏感なそこにそれを当てた。

「あっ……あぁぁ、あっ……!!
 やっ……みなみちゃっ……ぁんんっ……!!」
 ぐりぐりと、周りから挟み込むようにしてゆたかのそこを撫でると、
 ゆたかはさきほどまでと調子を変えて反応し、
 びく、びくとゆたかのそこが伸縮して、血液が集まっていくのが分かった。
 新たに湧いてくる泉の口から、私はそっと指先で愛液を掬い取り、
 まだ小さな蕾をたくさんのそれで濡らしてあげた。
 そして染みこませるように指でそこを触ってあげると、
 またどんどんと泉から愛液が湧き出てくるので、私はまた指先で掬いとって、蕾へと運んでいく。
 そうして育っていくのは、ゆたかの快感。
 生まれてくるのは、ゆたかが発するよがり声。
 ゆたかは私の背中に手を回し、頭を私の胸のあたりに押し付けて、
 私が生み出すそれらに必死で耐えているようだった。

「今はお家の人が誰もいないから……そんなに我慢しなくてもいいんだよ、ゆたか……」
「で、でもっ……あっ、ああぁっ……!!」
 私はゆたかが顔を上げた瞬間を狙って、ゆたかに少し強めの刺激を与えた。
 ゆたかは恥ずかしがるので、こうでもしないとゆたかのこういうときの可愛い顔が見られないからだ。
「可愛い、ゆたか……」
 私がそう言うと、ゆたかはやはり照れた様子で顔を下に向けてしまった。
 それがたまらなく愛おしくなって、私はより一層ゆたかを愛すことに一生懸命になった。
 初めは弱かった愛撫も、少し強く、けれどゆたかを傷つけないように、優しく。
 私の愛が伝われば、ゆたかはそれに応えてくれる。
 もっと、もっとゆたかを愛したい。

「みなみちゃん……わ、私……も、う……あ、あぁあっ……」
 ゆたかの中の快感が高まってきているのが、ゆたかの声と体で感じられた。
 私はぐっとゆたかの体を寄せて、二人の感覚をもっと密にした。
 ゆたかは以前、自分が達する瞬間が少し怖いと言っていたので、
 こうすることで、少しでもゆたかに安心感を与えられると思ったからだ。
 ゆたかはぎゅっと私の体を抱きしめ、頭を私の胸に埋め、
「あ、あ、あっ……だめ、も、わた、し……」
「大丈夫、ゆたか……怖くないから……」
 ゆたかが私を抱きしめる力がぐっと強くなり、そして、
「あっ、あああぁっ……みなみ、ちゃ……あっ、ああぁあっ――!!」
 普段めったに聞くことのない大声を部屋中に響かせて、ゆたかは絶頂に達した。
 それと同時にゆたかの体がびくっ、びくっ、と小刻みに震え、
 私はゆたかが壊れてしまわないように、しっかりとゆたかの体を抱きしめた。
 しわのよったシーツには、私達の行為を物語るかのように、手のひら大ほどの水溜りが出来ていた。

「んっ……んはぁっ……みなみ、ちゃん……」
「大丈夫……? ゆたか……」
 ゆたかはしばらく息を乱したまま、なかなか落ち着かなかった。
 ゆたかは体が強くないので、あまり激しいことをすると、具合を悪くしてしまうかもしれない。
「もう今日はやめる……?」
 だから私はあくまでゆたかの体を優先した。
 けれどゆたかは、
「ううん、大丈夫……ありがとね、みなみちゃん」
 と顔を上げ、
「こういうことすると、すっごく気持ちよくなっちゃって、
 体がおっつかなくなっちゃうけど、でも、みなみちゃんと一緒にこういうことした日に、
 体の具合が悪くなったことは一回もないんだよっ?」
 と言って、いつもの可愛らしい笑顔をにこりと私に向けた。
「だから、大丈夫。それに……まだ、みなみちゃんが、気持ちよくなってないでしょっ?
 今度は、私がしてあげる番だから……」
「ゆたか……」
 そう言うとゆたかは少し背伸びをし、唇をほんの少し突き出したので、
 私は背中をちょっと曲げ、ゆたかに口付けをすると、
 ゆたかはとても嬉しそうにえへへと笑うので、私はその笑顔になんだかすごく安心してしまって、
 自然と私の顔にも笑みが浮んだようだった。
 ゆたかはそれからそっと私のそこに手を伸ばし、優しく私のことを撫で始めた。

「……は、ぁっ……ゆたか……あいかわら、ず……上手……」
 とても意外なことだけれど、ゆたかは私を愛でることがすごく上手い。
 つぼをついてくる、というか、的確に、私の弱いところを、
 最初から知っているみたいに優しく撫でてくる。
 それは私が感じやすいということなのかもしれないけれど、
 それを考慮したとしても、ゆたかはそう私に思わせるほど私を愛でることに長けていた。
「そ、そう、かなぁ……?
 えへへ……なんだかそう言ってもらえると嬉しいね」
 無邪気に微笑みながら、ゆたかは私のことを変わらず愛し続けた。
 私のそこは先ほど焦らされていたこともあって
 さわれば溢れてしまいそうなほどに濡れていたので、
 ゆたかがかすかにその指を上下に動かすだけで
 ぐちゅぐちゅと私の羞恥心を掻き立てるような音が鳴り、
 矛盾するようだけれど、その音は私を興奮させる音でもあるので、
 さらに音の元が私のそこから分泌され、そうして止まることのない永久機関を築いていた。

「ゆたか……私も……」
「ぁっ……だ、だめだよ、私さっきしてもらったばっか……あ、あぁっ……」
 私はゆたかの背中に回していた左手を、さっきのようにゆたかの秘所に忍ばせた。
 ぴちゃぴちゃという水音が、自分とゆたかから、ちぐはぐなステレオ再生となって
 私達の耳に入り、それに割り込むようにして二人分の喘ぎ声が絶え間なく発せられている。
「ゆた、かぁっ……」
「んん……みなみちゃぁん……」
 愛し合っているときにお互いの名前を呼びたくなるのは何故だろう。
 相手を思う気持ちが爆発して、それが名前を呼ぶという行為となって口から出ているのだろうか。

 ゆたかが私を抱く力が、そして私がゆたかを抱く力が、ぐっと強くなった。
 だんだんと何も考えられなくなってきて、
 ゆたかを求めること以外の全ての思考が中断された。
「ゆたか……ゆたかぁっ……」
「みなみちゃん……大好きっ……」
 二人のボルテージが上がっていく。
 愛する人を互いに高めあっているというこのどうしようもなく甘美な状況では、
 私達が達するのはそう時間のかからないことだった。
 快感が全身にあますところなく行き届き、許容量を今にも超えてしまいそうだ。
 ぶくぶくと私の中で大きな怪物が膨れ上がっていき、
 今にも私という殻をやぶって外に出てしまいそうな、そんな感覚だった。

「ゆたか……私、もう、げんか……い……」
 そうして私の中で決定的な何かが弾けた。
 一度水に浸ってしまった紙が、水を吸い上げるのを止められないように、
 私の中の絶頂感も、止められようもなく私の体を侵食していった。
「私もっ……また、だめ、みた、い……」
 ゆたかの手と私の手が激しさを増した。
 一瞬、私達の体が強張り、そして、
「ゆたかっ……大好きっ……あ、ぁぁっ……あああぁっ!!」
「みなみちゃぁん……はぁぁっ……ふあああっ……!!」
 私達は、みっともないくらいの大声をあげて果てた。
 体がはち切れそうなほど全身を強い快感が襲い、
 行き場を失った快感はびくびくと私の体を震えさせながら、しばらく私の中に居座り続けた。
 ゆたかは達した瞬間に私を押し倒すようにして倒れこみ、
 快感に耐える私に強く抱きしめられながら、ゆたかもそれと必死に格闘しているようだった。
 頭がどうななってしまいそうなこの感覚は、いつになっても慣れそうにないけれど、
 いっそどうにかなってしまうほどのそれを、いつか感じられたら、
 と頭のどこかで思ってしまっているのは、ゆたかには内緒にしておこう。

 私の元に思考が回復するまでどれほど経っただろうか、
 ゆたかが頭をあげ、少し力の抜けたまなざしでこちらを見て、
「みなみちゃん、大丈夫?」
 と言って微笑った。
 私はなんだかそれがおかしくって、
「それは私のセリフ……」
 と言ってゆたかの頭に手を置き、優しく撫でた。
「みなみちゃん、すごく気持ちよさそうだった……可愛かったよ、みなみちゃん」
 ゆたかがそう言ってくれるのはありがたいのだけれど、
 可愛い、と言われるのはやっぱり少し恥ずかしい。
「私はまだ大丈夫だよ」
 ゆたかが次に発したこの言葉が何を意味しているのかは、すぐに理解できた。
「どうなっても知らないよ、ゆたか……」
 私らしくないセリフだな、と思いながら、私はゆたかを抱いて、体を起こした。
 しわのよったシーツには、二つの染みが繋がって、一つの大きな水溜りが出来ていた。

「ゆたかはこれが好き……?」
「うん……温かくて、何だかみなみちゃんを感じられてるって気がして」
 足をまたぐように交差させ、私達は一つになっている。
「そう……私も、好き。少し恥ずかしいけれど……」
 触れている部分から、微弱ではあるけれどゆたかの熱が伝わってくる。
「じゃあ、いくよ……ゆたか」
「うん……私も頑張るね」
 少しの間見つめあったあと、私達はまた快楽の旅へと船出した。
 この体勢は思ったよりも密着度が高いので、
 ゆたかのそこの感触がとてもリアルに感じられる。
 ゆたかの花びらと私のそれが、ぐちゅぐちゅと生々しい音をたてる潤滑油によって
 ぬるぬると擦り合せられて、手で触りあったときとは違う、羞恥にも似た快感を生み出す。
 そしてゆたかのことも、手で覆われない限りははっきりと見えるので、
 ゆたかが気持ちよさそうな表情も、可愛らしい胸も、ちゃんと見ることができる。
「ふあっ……あああぁっ……」
 そうしてゆたかが良い反応をしたら、その気持ちいいところを重点的に攻めてあげる。
 不思議とそういうポイントは私自信も好きなようで、
 ゆたかと一緒に声を混じらせることも少なくない。
「ゆたか……気持ちいい?」
「うん……もっと、しても……いいよ……?」

 ゆたかがそう言ったこともあって、私は少し腰の動きを速めた。
「あぁぁっ……みなみちゃ……」
 ゆたかの体が大きく揺れ、小ぶりな胸が少し上下に揺れている。
 ぴちゃぴちゃと音を立てるそこから、シーツのほうに向かって蜜がこぼれ落ちていった。
 ゆたかの体は私の視覚を刺激し、さらに私を昂ぶらせ、
 部屋に立ち込めている女の子独特の香りが、私の嗅覚を刺激して、私の頭をくらくらとさせる。
 花びらの触覚は十分なほど官能的だ。
「んっ、んっ、んっ、ああっ……きもち、いいよぅ、みなみちゃん……」
 けれどやはり私を一番興奮させるのはゆたかの声で、
 ゆたかの甘い声はこういうときにしか聞けないので、ついもっと聞きたいと思ってしまい、
 必要以上にゆたかを攻めてみたくなる。
「あっ、はぁっ……ん、ん、んん~……」
 こうして少し切ない顔をされたときなどは、堪らなく可愛いと思ってしまう。
 ゆたかは気付いていないかもしれないけれど、
 ゆたかは私なんかよりもずっと艶っぽい表情が出来るし、そういう声だって出せる。
 けれどそれを知っているのは私だけで、
 みんなの知らないゆたかを知っていることが、私はなんだかとても嬉しかったりする。

「はああっ……ん、ん、あああああっ……」
 ゆたかが自分からも、まるで更なる快感をを求めるように動き始め、
 私の中の快感も、それによってふつふつと湧き上がってきた。
 ゆたかがシーツをぎゅっと握りしめ、その周りにくしゃりとしわがよった。
 私達が動いてベッドが軋む音、ゆたかと私の声、
 私達のつながったところから生まれる水音、
 それらが部屋中を埋め尽くして、耳から私の脳を刺激する。
 今、泉先輩も、そうじろうおじさんもいなくてよかった。
 もしいたら、私達の秘め事は簡単にばれてしまっていただろう。
「はぁ……はぁ……ふああぁぁっ……」
 ゆたかの呼吸が深くなって、体が少し震え始め、
 目はどこか遠いところを見ていて、ゆたかの掴んでいたシーツにはさらにしわがよっていた。
 ゆたかは、本日三度目の絶頂を迎えようとしているようだった。

「ゆたか、もう……限界?」
 私がわざとそう聞くと、
 ゆたかは息を乱したまま、もう声を出す気力も残っていないのか、首だけを動かし、
 私はゆたかを果てさせるつもりで、最後のスパートをかけた。
「んっ、んっ、ん、ああっ、あ、あっ……」
 ゆたかは着々と絶頂への階段を上っていき、
 私自信も、一歩一歩、ゆたかのいる場所に向かっているのを感じた。
 そして、
「あ、あっ、あっ……! ああぁああぁっ……!!!」
 と、ゆたかは頼りなく声を張り上げて、体をぐったりとさせた。
 直後に私自身も絶頂感が最大まで高まり、
「あ、ああっ……ゆたかぁっ……!!!」
 と愛する人の名前を呼んで、私の体も快楽に包まれた。
 体をベッドに倒すと、
 少し西側に傾いた太陽の光が、部屋を照らしているのが見えた。


「今日はなんだかいっぱいしちゃったね」
 温かいシャワーを浴びながら、ゆたかは照れた様子で言った。
「うん……けれど、シーツが……」
 結局あのシーツは二つの大きな水溜りを残して、くしゃくしゃになってしまった。
 毎度気をつけてはいるのだけれど、今日は少し羽目を外しすぎてしまったかもしれない。
 今、シーツは洗濯機の中でぐるぐると音をたてて回っている。
「うーん、まぁ次は気をつけよっか」
 ゆたかはあまり気にしていない風に、にこりと微笑んだ。
 その無邪気な笑顔が、さきほどまでの艶っぽいゆたかとあまりにも違っていたので、
 私はくすりと、ゆたかに気付かれない程度に笑った。


「ふう、温かかったね~」
「うん」
 シャワーを浴びた後は、タオルで体の拭き合いをした。
 私達はあの後、そのまま降りてきたので、
 服は二階のゆたかの部屋に置きっぱなしになっている。
「じゃあ早めに戻ろうか……ゆたか」
「うん、そだね。でもなんかまだふらふらしちゃって……うわっ!」
「!!」

「ただいま~、いやーかがみ達が家の手伝いがあるっていうから早く帰ってきちゃっ……」

 バランスを崩してこけてしまったゆたかと、
 そのゆたかを支えようとして一緒にこけてしまい、
 丁度ゆたかに覆いかぶさるようになっている私を、
 柊先輩の家から帰ってきた泉先輩に目撃されたのは、
 今日、私達が好き勝手やってしまったことへの罰なのだろうか。

「ご、ごゆっくりぃ~」
 ガチャリ、と扉が閉まる音がして、泉先輩は外の世界へと消えた。
「ま、まって、お姉ちゃん!」
「ゆたか、まず服を着ないと……」

 泉先輩の後を追って、そのまま外へと飛び出していきそうなゆたかを止めながら、
 私はこの後どうやって泉先輩に弁明しようかと、まだ回りきらない頭で必死に考えるのだった。

 洗濯機がシーツを回す音を聞きながら、私は何となく、今日の帰りは遅くなりそうだなと思った。 













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