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恋 の 病  ~ かがみ 発症篇 ~

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だれでも歓迎! 編集
 この日も私は憂鬱な気持ちで家に着くと、自分の部屋に入った。
 かばんを置き、ベッドに横になって天井を見上げる。

「はぁ・・・・。どうしたらいいんだろ・・・・・」

 視線の先に浮かんでくるのは、私を憂鬱にさせている張本人。日下部みさおだ。

 勉強は嫌い。
 宿題もやらない。
 遊ぶことばかり考えて、
 将来のことなんて何も考えていない。

 こんなどうしようもないやつなのに・・・・・。

 底抜けに明るくて。
 いつも楽しそうに笑っていて。
 黒髪のショートカットも、
 栗色の大きな瞳も、
 それに、あの八重歯も、
 全部がとっても可愛いくて・・・・・。

 なんでこんなに好きなのか、全然わかんない!!!!

 日下部とは中学から同じクラスだけど、そんなに意識したこともなくて、ずっとただの友達だと思ってた。
 でも最近は、気がつくと日下部のことばかり目で追ってるし、普通に話しているだけなのに勝手にドキドキしてくる。

 それだけならまだしも(いや、良くはないけど・・・)、一人になると日下部の顔が浮かんできて、
 なぜか身体の奥が熱くなってきてしまう。
 気がつくと、いつの間にか自分で胸を触っていて・・・、その・・・、一人でしちゃったり・・・・とか・・。
 って、な、なに言ってんのよっ!!

 も、もとい。ま、まぁ、こんな状態が続いてるのよ。
 だけど、自分でもどうしたらいいのかわかんないんだよな・・・。

「しかし・・・、今日は最悪の日だ・・・・・・」

 私は目をつぶると、胸に小さな痛みを感じながら、一日を振り返った。





「ひぃらぎ~。一緒に弁当食べようぜ~」

 午前中の授業も終わり、教科書をしまっていると、待ち構えていたように日下部が声をかけてきた。
 それだけなのに、すでに鼓動は速くなっている。

「あ、う、うん・・・」
「どーした?元気ねーな」

 日下部の言葉に、一瞬ギクリとする。
 い、いかん。平常心、平常心。

「そ、そんなことないわよ」
「そうか~? 何か気になるんだよな~」

 そう言って日下部は、私の顔を覗き込んできた。
 大きな瞳が私の目に飛び込んでくると、途端に心拍数が急上昇し、しどろもどろになってしまう。

「だ、だ、だ、だから・・・・・な、なんでも・・・」
「ん? 顔、真っ赤だぞ?」
「なっ!?」

 思わず頬に手を当てる。
 な、なんでこんな熱くなってんのよっ!!

「熱でもあんのか?」

 言いながら日下部は、突然左手を伸ばすと、私のおでこにくっつけた。

「あ、あ、あわわわ!!」
「ん~?ちょっと熱い・・・・かなぁ?」

 日下部の突然の行動に、さらに体温が跳ね上がる。
 くはっ!!やばい・・・・・。も、もう・・・無理!!!

「ち、ち、ちょ、ちょっとトイレ!!」
「お、おい! ひ~らぎ~!!」

 私はそう叫んで教室を飛び出し、そのまま女子トイレに向かった。

「はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・・・こ、これは・・・本格的にヤバイわ・・・」

 洗面台に寄りかかり、懸命に落ち着かせようと深呼吸をする。
 でも、走った所為なのか、それとも日下部の所為なのか、呼吸は全然整わないし、心臓はバクバクしっ放し。

 もうっ!!なんで、いっつもあいつは突然なのよっ!!!

 心の中で日下部に毒づきながら、さっきのことを思い返し、また顔が熱くなる。

 はぁ・・・・、なんでこんなになっちゃうのよ・・・・・。
 絶対、おかしいって・・・・。

 蛇口を捻り、冷たい水で顔を洗うと、少しだけ頬の火照りも治まったみたいだった。
 けれど、お昼を食べる気分にもなれず、気持ちを切り替えようと、一人校舎をブラブラして過ごした。

 はぁ~・・・。何か、教室戻るのも憂鬱だな・・・・。

 そのまま早退したいくらいだったけれど、そんなことをして、余計に日下部に心配されるのも嫌だった。
 時計を見ると、昼休みも終わりに近づいていて、仕方なく私は教室に戻ることにした。

 ドアの端から中を見渡すと、日下部が私の机に座り、口を半開きにして昼寝をしていた。
 周囲も慣れたもので、誰一人気にしてはいない。
 峰岸もどこかに行っているのか、見当たらなかった。

 あんまり近づかない方がいいんだけど・・・。
 でも・・・日下部の寝顔・・・かわいいなぁ・・・。

 恐る恐る日下部に近づいてみると、完璧に熟睡しているみたいで、まったく起きる気配はなかった。
 その様子に少しだけ安心して、私は日下部の前の席に座り、しばらくそれを眺めていた。

 あぁ・・・、ホント、かわいい。

 起こさないように、日下部のほっぺをプニプニと指で押してみる。

「んぁ? ん~・・・・」

 日下部は一瞬眉間にしわを寄せたけれど、また寝てしまった。
 もう一度押してみると、今度はうるさそうに指を払おうとする。

 ふふ、日下部のほっぺって柔らかい・・・。

 ムニムニと日下部のほっぺで遊んでいると、あるものが目に留まった。
 それは、口元から可愛らしくちょこんと見えている、日下部の八重歯だった。

 そういえば、前から気になってたのよね・・・・。

 マジマジと日下部の八重歯を観察してみる。
 それは独特の光沢を放ち、日下部の呼吸に合わせて上下していた。

 ・・・田村さんが言ってたけど、確かにポイント高いわ・・・。

 お昼の後に歯を磨いたのだろうか、日下部の息からは微かにミントの香りがしていた。
 その香りをかいでいると、なぜか全身が熱くなり、つい顔を近づけてしまう。

 な、なんか・・・変な気分になってきちゃった・・・・。

 口元に近づくとミントの香りは一層強くなり、その香りが私の心臓を早鐘のように鳴り響かせた。

 ・・・・・日下部の息・・・・。良い・・匂い・・・・・。

 気がつくと、日下部の唇に触れそうなくらいにまで、顔が近づいていた。

 うぉあっ! ス、ストップストップ!!

 間一髪のところで何とか思いとどまり、日下部から離れる。

 だ、誰も見てなかった・・・・よね?

 慌てて周りを見回したけれど、特に変わった様子はない。
 ほっと胸を撫で下ろし、改めて日下部を見ると、相も変わらず気持ち良さそうに眠っていた。

 あっぶな~・・・・。これ以上、日下部にちょっかい出すのはまずいわね・・・・・。
 名残惜しいけど・・・、そろそろ止めとこ・・・・。
 ・・・・・。
 でも・・・、最後にもう一回・・・。

 柔らかな感触をもう一度感じたくて、日下部のほっぺを指で押そうとした瞬間、
 日下部が身じろぎ、指はそのまま日下部の口に入ってしまった。

「えっ?」

 一瞬、何が起こったのか理解できなかった。

 あ、あれ?日下部の・・・口に・・・・。

 次の瞬間、指が生暖かい感触に包まれているのに気がつき、一気に顔が紅潮する。

 ちょちょちょ、ちょっと!!な、なんてことしてんのよ!!

「う、う~ん・・・・」

 突然日下部が起きそうになり、私は驚きのあまり、指を引き抜くと同時に、大声を出してしまった。

「ひゃあぁぁぁぁっ!!」
「うぉあっ!!な、なんだ?」

 日下部は、驚いてズリ落ちそうになる身体を、寸でのところで立て直す。
 さ、さすが陸上部!!

「あっぶね~・・・・。  あ、あれ? ひぃらぎ? なんでそんなとこにいるんだ?」
「な、ななな、な、なんでって・・・そ、その・・・・。
 そ、それより、あ、あんたこそ、なんで私の席に座ってんのよ!」
「ん~? なんだっけ・・・・・?」

 おいおい・・・。

「あっ! そうだっ!ノート借りようと思ってたんだ」
「はぁ?な、なんでよ!」
「いや~。次の授業で指されそうだからさ」
「い、いつもみたく、峰岸に借りれば良いじゃないっ!」
「あやのは風紀委員の集まりで、まだ戻ってきてねーんだよ」
「そ、そう言えば、さっき一人だったわね」
「そうなんだよ。な? 頼むよ~」

 椅子に座ったままの日下部は、そう言って上目遣いで私の顔を覗き込んだ。
 くぅぅ・・。その顔は反則よ・・。

「うぅぅ・・・・。 わ、わかったわよ・・・」
「お、サンキュ。ひぃらぎ」

 日下部は、上機嫌で私の差し出したノートを受け取ると、自分のノートに写し始めた。
 何の疑問もなく写している日下部の態度に、小言の一つでも言ってやろうかと思ったその時、人差し指のひんやりとした感覚に気がついた。

 そう言えば、さっき、この指が日下部の口に入っちゃったんだっけ・・・・・。

 よく見てみると、指先が日下部の唾液で少しだけ濡れていた。

 これって・・・日下部の・・・・・。

 指を見つめていると、あのミントの香りが思い出され、どうしてもそれを味わってみたい衝動が湧き起こってきた。

 ・・・・・日下部のって、いったいどんな味がするんだろ・・・・。

 ドクドクと、大きく脈打つ心音を聞きながら、指をゆっくりと口元に近づけていく。

「なぁ、ひぃらぎぃ」

 すると、それまで黙ってノートを写していた日下部が、不意に声をかけてきた。
 その声に慌てて指を引っ込め、日下部の方に向き直る。

「ななな、な、なによ?」
「あ、あのさ・・・・、さっきは何で走ってたんだ?」
「へっ? は、あ、あの・・・・、ちょ、ちょっと気分が悪くなって」
「ふ~ん・・・・?」

 一瞬の沈黙の後、日下部は顔を上げ、私を見つめた。

「なぁ・・・、何か隠してねぇか?」
「なっ!? な、な・・・」

 あまりにも唐突な質問に、一瞬、心臓が大きく跳ねる。
 目を見開き日下部を見ると、日下部は首を傾げたまま、私をじっと見つめていた。
 その真っ直ぐな視線は、私の気持ちを見透かしているような気がして、耐えきれずに、うつむいてしまう。

 ど、どうしよ・・・・。このままじゃ日下部にばれちゃうよ・・・。

 床を見ながら、必死に考えを巡らしても、一向に考えはまとまらない。
 それどころか、頭の中ではいろんな言葉が浮かび、私を混乱させていった。

 わ、私は・・・・。
 日下部のことが・・・好き・・・・・・。
 でも・・・。
 でも、言ったら日下部にひかれちゃうよ・・・。
 そんなことになったら私・・・・、耐え切れない・・・・。

 ・・・・・。
 だけど・・・・・、
 ずっとこのままでいいの?
 このまま卒業するまで。
 卒業したら・・・もう会えないかもしれないのよ?
 そうなったら、一生言えないのよ?

 そ、そんなこと言ったって、やっぱり無理よ!!
 だって・・・、好きなんだもん・・・。
 すごく・・・、すっごく好きなんだもん!!
 だから・・・。
 そんなことになるくらいなら・・・・。
 いっそこのままの方が・・・・。

 でも・・・・。
 本当に・・・、
 本当にそれでいいの?

 あぁー!!うるさいうるさいうるさい!!
 いったい、どうしたらいいのよ!!

 積み重なる葛藤と、言葉にならないもどかしさ、私を見つめる日下部の視線、その全てが私をイライラさせていく。

「ひ、ひぃらぎ?」

 そのイライラは、日下部に声をかけられた瞬間、爆発し、自分自身に向けたはずの言葉が、口をついて出てしまった。

「う、うるさい!!」

 その声に日下部は身体をビクッと震えさせる。
 はっとして視線を上げると、日下部は、今にも泣きだしそうな顔でこっちを見ていた。

 あ・・・、わ、私・・・なんてこと言ってんのよ・・・・。
 日下部は、何も悪くないのに・・・・。

「あ、あぅ・・・。   ひ、ひぃらぎ・・・。ご、ごめん」
「え?あ、いや、そ、その・・・。こ、これはちが」
「変なこと言って・・・、悪かったな・・・・」
「あ・・・・」

 そう言って日下部は、またノートに視線を戻した。
 その寂しそうな姿に声をかけることもできず、私はただ黙ってそれを見つめていた。
 気まずい沈黙が流れ、その間私の胸は、ズキズキと突き刺さるような痛みを感じていた。

「ありがと」

 ノートを写し終えた日下部は、少しだけ寂しそうな笑顔でそう言うと、ノートを渡して自分の席に戻っていった。

 午後の授業が始まっても、どうしても日下部のことが気になってしまい、私はチラチラと様子を伺っていた。
 日下部は何か考え込んでいるようで、珍しく真剣な顔でノートを見つめている。

 日下部・・・・・。嫌われちゃったよね・・・・・。
 授業終わったらちゃんと謝らないと・・・・。
 で、でも、何て謝ったら・・・・。

 何度か声をかけようとしてはみたけれど、なかなか決心がつかず、ずるずると6時限目まできてしまった。

 つ、次こそは・・・。

 授業が終わり、意を決して日下部のところへ向かおうとした時、ドアの方から声をかけられた。
 見ると、つかさがかばんを持って立っている。

「お姉ちゃ~ん。一緒に帰ろう」
「う、うん。あ、あれ?こなたは?」
「今日はバイトなんだって~」
「そ、そうなんだ」

 日下部の方を見ると、峰岸と何かを話していた。
 日下部は、さっきまでの泣きそうな顔じゃなくて、すごく楽しそうな笑顔になっていた。
 2人が話しているその光景は、なぜか私の心をざわつかせた。

「お姉ちゃん? どうしたの?」
「う、ううん・・・・。なんでもない」
「?」
「・・・・。さ、帰ろ」

 帰り道、つかさはクラスの出来事を、とても楽しそうに話していた。
 私も適当に相づちを打ってはいたけれど、頭の中では日下部のことばかり考えてしまう。

 あ~あ、結局謝れなかったな・・・・。
 絶対、日下部に誤解されちゃったよね・・・・。

 つかさの笑顔とは対照的に、私の中には重苦しい気持ちが満ちていった。





「かがみ~。ごはんよ~」
「う・・・・・、ん?」

 お母さんの声が聞こえ、ゆっくりと目を開く。
 気が付くと部屋の中は暗くなっていて、慌てて時計を見ると、もう夕食の時間になっていた。
 あ、あれ?寝ちゃってた・・・・のか?

「みんな待ってるわよ~」
「あ・・・、い、今行くー!!」

 お母さんの声に促され、急いで着替えると、下に降りてご飯を食べた。
 正直、食欲はなかったんだけれど、食べないとみんな心配するだろうから、無理して食べた。
 その後、居間でテレビを見始めたけれど、胸を締めつけるような苦しさは消えず、どうしても落ち着かなかった。

「わ、私、先にお風呂入るね」

 居たたまれなくなり、一緒にテレビを見ていたつかさに声をかける。

「うん。   あ、お姉ちゃん。この後見たいドラマがあるから、ちょっと早めに出てほしいんだけど」
「う、うん。 わかった・・・」
「よろしくね~」

 そう言ってつかさはテレビに向き直り、また無邪気に笑い始めた。

 あの子はこういう気持ちとは無縁そうよね・・・・。
 やっぱり、双子でも違うものなのかな?

 そんなことを考えながら、着替えを持ってお風呂に向かった。

 身体を洗い終え、いつもより熱めのお湯に、ゆったりと身体を伸ばして浸かる。
 いつもだったら、それだけで気分も軽くなるはずなのに、重苦しい気持ちはいつまでも消えなかった。

 今日のこと・・・・。日下部には悪いことしちゃったな・・・・。
 私んとこ・・・、全然来なかったもんね・・・。
 やっぱりあれじゃ・・・、嫌われても仕方ないよね・・・・。
 ・・・・・・・。

「・・・・・うっ・・・、ぐす・・・・・・・、うぅぅ・・・・」

 取り返しのつかないことをしてしまったような想いが募り、絶望感と一緒に涙が溢れてくる。

 うう・・・・、嫌だよ・・・・・。
 このまま・・・離れていくなんて・・・・。
 このまま・・・話せなくなっちゃうなんて・・・・。

 もう・・・・、どうしたらいいのかわかんないよ・・・・・。

 不安感と孤独感に苛まれ、私はただ、声を殺しながら涙を流すことしかできなかった。
 涙を拭い、顔を洗おうとしたその時、ふと、左手の人差し指が目についた。

 お湯で多少赤くなっただけの、何の変哲もない指。だけど・・・・・。

 日下部の口に入っちゃった・・・のよね・・・・。

 指を見つめていると、日下部の口中の感触が思い出され、鼓動は次第に早くなっていった。
 同時に、身体の奥の方が、徐々に熱くなってくる。

「日下部・・・・・・」

 重く、苦しい気持ちのはずなのに、身体を熱くしてしまう自分を、浅ましく思う一方で、
 私を包む孤独感は、そんな自己嫌悪の気持ちを無視させた。
 私は、日下部とのつながりを求めるかのように、見つめていた指を口に含んだ。

「は・・んむ・・・・ちゅ・・・く、くさ・・んっ・・・か・・・べ・・・・」

 指を舐めながら、あのミントの香りを思い出していく。

「ん・・・・・。ちゅぷ・・・・・くちゅ・・あ・・・・んむ・・・・ちゅぱ・・・・」

 指全体を口に含み、丹念に舌を絡めていくと、次第に気分は高揚していき、
 私はまるで日下部とキスをしているような気持ちになっていた。

「あ・・・・ん・・・・ちゅっ・・・・くさ・・・・かべ・・・に・・触れ・・たい・・。ちゅ・・・は・・あ・・・ん・・・もっと・・感じたい・・・」

 あたかも口中を犯すかのように、激しく指を出し入れすると、その度に口の端からは唾液がこぼれ落ち、首筋から鎖骨にかけて、生温かい感触が伝っていった。

「ん・・あぁぁ・・くさかべ・・・。はっ・・ん・・・。キス・・・したい・・・。
 キスしたいよぉ・・」

 口の中は、まるで性器のように敏感になっていて、差し込んだ指で口の内壁を優しくなぞると、身体は小さく身震いをしてしまう。

「あぁぁ・・・・。はっ・・ん・・く・・くさ・・かべ・・・・。も、もっと・・・あっ・・んむ・・・キス・・して・・・。
 日下部の・・・舌・・あっ・・・は・・ん・・・いっぱい・・い・・入れてぇ・・・」

 そのうち、指を舐めているだけでは、どうしても我慢ができなくなり、
 私は空いている右手で身体を伝っていた唾液をすくうと、そのまま胸の先端に塗りつけた。
 ヌルヌルとした感触が、乳首をより敏感にさせる。
 優しく指先で転がしながら、時折強くつまむと、そのたびに身体は小刻みに震え、吐息と一緒に声が漏れてしまう。

「んっ・・・く・・・・。はぁっ、はぁっ・・・んっ・・・く・・はぁ・・・。
 つ、つま・・んで・・・。もっと・・・つ・・よ・・・くぅぅぅ・・・」

 繰り返される快感の波に、私の理性はもう何の役にも立たなくなっていた。
 欲望に支配された私は、口に含んでいた左手を抜くと、内腿の間に差し込む。

「あっ!  あぅ・・・・んっ・・・・ぐ・・ぅ・・・むぅぅぅぅ!!」

 そこは今までにないくらい濡れていて、お風呂の中にいるのに、ねっとりとした体液が、指にまとわりついてきた。
 指が秘裂をなぞるだけで身体は大きく仰け反り、お風呂にいることを忘れて、つい大きな声を上げそうになってしまう。

「はっ・・・あぁぁ・・・ん・・む・・・。あっ・・・・はぁ・・・だ、だめ・・・。き、きちゃう・・・よ・・。く・・さ・・・かべ・・・」

 お腹の奥から、徐々に登りつめていくような感覚が迫り、自分でも限界が近づいているのがわかった。
 私は、秘裂をなぞっていた指を秘芯へと移し、優しく撫でる。

「あ・・、あっ!・・ぐ・・・ぅぅ・・んっ!
 き、きもち・・・いぃぃ・・あっ・・・もっ・・もっと・・こすっ・・・て・・」

 すべりの良くなった指は滑らかに動き、想像以上の快感がゾクゾクと背中をなぞっていく。
 口からは、唾液と一緒にあられもない言葉が漏れ、最早私は、快感を貪ることしか考えられなかった。

「は・・あっ・・あぁぁ・・ん・・。はぁっ・・・はぁっ・・も、もう・・・む・・り・・・」

 秘芯を撫で回す指の動きは徐々に速くなり、その動きに呼応するかのように、お腹の奥の感覚も、次第に大きくなっていく。

「あぁぁ・・・はっ・・・あぁぁぁ、んん!・・・だ、だめっ!くぅぅ・・くさかべ・・・はぁぁ・・
 く、くるっ・・・きちゃうっ・・・・・あ・・あ・・あっ!
 いく・・・い・・・く・・、い、い・・・ぃくぅぅぅぅぅぅ!!!!」

 その感覚が私の中ではじけた瞬間、大きな快感の波が一気に押し寄せ、頭の中は真っ白になった。





 気がつくと私は、お風呂の縁に頭を乗せ、天井を見上げながら荒い呼吸を続けていた。

「はぁっ・・・・・・はぁっ・・・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・」

 おぼろげな意識の中、目の前には日下部の姿が浮かんでいる。

「日下部・・・・・好き」

 そう呟いた時、パズルのピースが、スルリと枠にはまったような感覚が訪れると同時に、自然と気持ちが溢れ出してきた。

 そう・・だ・・・。
 私は、日下部のことが好き・・・・。
 すごく好きなんだ・・・・。
 だから嫌われたくない。
 離れたくない。
 そんなの・・・絶対、嫌・・・。
 だけど・・・・。

 もっと日下部に近づきたい。
 もっと日下部に触れていたい。
 もっと日下部と・・・一緒にいたい。

 学校で私を混乱させたのと同じ言葉が、次から次へと浮かんでくるのに、今はまったく混乱はしない。
 むしろ、その言葉たちが不思議な力で紡ぎ合わされていく。

 このまま何もしなかったら・・・・、日下部のことで悩むだろうけど・・・・、
 そのまま卒業して、大学行って、就職して、社会に出て・・・・、そのうち、今の気持ちも忘れていっちゃうんだろうな・・・。

 それも一つの選択肢よね・・・。大人になってくって、そういうことだもん・・・。

 だけど・・・・、それを選んだら、私はきっと後悔する。

 振られたら・・・。嫌われたら・・・・。
 そんなことを考えると・・・、怖いし・・・、苦しいし・・・。

 それでも私は・・・、自分が好きになった人に何もしないで、まして、気持ちを忘れるのを待つなんて・・・。
 そんなこと、絶対にしたくない。

 日下部の気持ちは、正直わかんない・・・。でも・・・、私はもう、自分の気持ちを誤魔化したくない。
 日下部に嫌われても・・・・・。そうしないと・・・・、私は一生後悔してしまう・・・。
 だから・・・・・・。

 私の胸を支配する重苦しい気持ちは、相変わらず消えていなかった。
 でも、その時の私には、そんなものは気にならないくらいの、大きな覚悟があった。

            私は日下部に告白する。

 それに思い至った時、日下部への想いが、胸の奥からフツフツと溢れてきた。
 その想いに奮い立たされるかのように私は立ち上がると、お風呂にいることも忘れて叫んだ。

「よし! 今度こそ絶対にするわよ!!」
「え?何を?」

 その時、着替えを抱えたつかさが、突然ドアを開けた。

「・・・・・・・つ、かさ?」
「う、うん」
「あ、あの・・・、い、いつから・・・、そこに?」
「え?い、今来たんだけど・・・。ところで、なにをするの?」
「あ、あの・・ちがうのよ・・ここ、これは・・・、って、う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 何とか取り繕うと、焦って前に踏み出した瞬間、私は湯船の底に足を滑らせ、盛大にひっくり返った。

「ブクブクブクブクブクブクブク」
「お、おねえちゃ~ん!!」

 つかさに助けられ、なんとか湯船から起き上がる。

 は・・はは・・・・。
 こんなんで・・・・大丈夫なのかな?

 頭までずぶ濡れになった自分を見つめ、私はちょっぴりだけ、先行きに不安を感じた。




                                         続



恋 の 病  ~ みさお 発症篇 ~(かがみ×みさお)(みさお視点)(みさお自慰)

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恋 の 病  ~ 告知篇 ~ 後編(かがみ&みさお)(かがみ みさお 両視点)

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