かがみ part
え? これって・・・、どうなってんの?
あまりにも突然のことで自分の置かれている状況が分からない。
え、えーと・・・、さっき日下部に話しかけられて、でも黙っちゃって。
そしたら日下部が具合悪そうにして・・・。
あ、そうだ! だから私、日下部の汗を拭こうとしたのよね?
そうそう。それで・・・。
いきなり腕を掴まれて・・・。
日下部のことをどう思ってるのか聞かれて・・・。
・・・・・・。
そしたら日下部が具合悪そうにして・・・。
あ、そうだ! だから私、日下部の汗を拭こうとしたのよね?
そうそう。それで・・・。
いきなり腕を掴まれて・・・。
日下部のことをどう思ってるのか聞かれて・・・。
・・・・・・。
「と、唐突すぎて意味わかんないんだけど!!」
日下部の突飛な行動に思わず声を荒げる。
だけど日下部はまったく動じず、私の腕を握る手にさらに力を込め、もう一度同じ言葉を繰り返した。
だけど日下部はまったく動じず、私の腕を握る手にさらに力を込め、もう一度同じ言葉を繰り返した。
「だ、だから! ひぃらぎがわたしのことどう思っているのか知りたいんだってヴぁ!!」
か、顔が近い! 近いって!!
腕を握られた状態のまま、目の前には日下部の顔。
自分の置かれている状況にやっと気がついた瞬間、私の顔は一気に熱くなり、心臓は早鐘のように鳴り響き始めた。
激しい心臓の動きに突き動かされ、私の呼吸は徐々に激しくなっていった。
あまりの苦しさに頭の芯がボーっとしてくる。
自分の置かれている状況にやっと気がついた瞬間、私の顔は一気に熱くなり、心臓は早鐘のように鳴り響き始めた。
激しい心臓の動きに突き動かされ、私の呼吸は徐々に激しくなっていった。
あまりの苦しさに頭の芯がボーっとしてくる。
「や・・・や、やめ・・・」
無意識に日下部から逃れようと手を引くが、日下部の手は離れず、むしろ徐々に力が入っていく。
「ひぃらぎ・・・わ、わたし・・・」
こ、こんなの・・・も、もう無理!!
「は・・・、離してよ!!」
私は胸の苦しさから、半ば強引に日下部の手を振りほどくと、勢い余ってそのままベッドに座りこんだ。
「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ」
荒い呼吸をなんとか整え顔を上げると、日下部は放心したような顔で私を見つめていた。
その時、昨日の教室での一場面が、脳裏にまざまざと蘇ってくる。
その時、昨日の教室での一場面が、脳裏にまざまざと蘇ってくる。
「あ・・・、ご、ごめ・・・」
咄嗟に弁解しようと出た言葉は、日下部のひどく辛そうな表情に止められた。
「く、日下部・・・?」
日下部の表情に私はひどく不安な気持ちを覚え、擦れた声で呼びかけた。
だけど日下部は表情も変えず、ただ黙って私の顔を見つめていた。
その表情に私の心臓がギュッと掴まれる。
だけど日下部は表情も変えず、ただ黙って私の顔を見つめていた。
その表情に私の心臓がギュッと掴まれる。
このままじゃ・・・、また昨日と同じになっちゃう・・・。
「い、今のは違くて・・・」
辛うじて言葉を繋いだけれども、その後は何も出て来ない。
日下部はその言葉にも反応せず、私を見据えたまま微動だにしなかった。
保健室の中を冷たい沈黙が流れ、私は内心ビクビクしながら日下部を見つめていた。
日下部はその言葉にも反応せず、私を見据えたまま微動だにしなかった。
保健室の中を冷たい沈黙が流れ、私は内心ビクビクしながら日下部を見つめていた。
「ひぃらぎは・・・、どうしてわたしのこと避けるの?」
「・・・え?」
「・・・え?」
緊張が限界まで高まった時、日下部は静かに口を開いた。
「最近わたしが話しかけても何か冷たいし・・・。
休み時間はすぐにちびっ子のところに行っちゃうし・・・」
休み時間はすぐにちびっ子のところに行っちゃうし・・・」
静かに語る日下部の言葉に私の心は反応し、様々な言葉が心に浮かんでは消えていく。
けれども、そんな心の言葉とは裏腹に私は曖昧な返事しかできなかった。
けれども、そんな心の言葉とは裏腹に私は曖昧な返事しかできなかった。
「そ、それは・・・」
それは・・・、日下部と一緒にいるだけでドキドキしちゃうから・・・。
「昨日だって、お昼一緒に食べようと思っただけなのにいなくなっちゃうし・・・」
「う・・・。 あの・・・」
「う・・・。 あの・・・」
だって、日下部に近づかれただけで苦しくなっちゃうから・・・
「どうして何も言ってくんないの?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そう言って日下部は、じっと私を見据えた。
その視線に耐え切れず、私はそっと俯く。
その視線に耐え切れず、私はそっと俯く。
本当は・・・日下部のこと好きだって言いたい・・・。
だけど・・・。だけど怖い・・・。
日下部に嫌われたくない・・・。
日下部と離れたくない・・・。
だけど・・・。だけど怖い・・・。
日下部に嫌われたくない・・・。
日下部と離れたくない・・・。
あんなに強く決心したのに、いつの間にか私は昨日と同じことを考えていた。
『意気地なし』
私の頭には、その文字が浮かんでいた。
日下部は私からの答えを待っていた。
だけど私は何も言えない。
その永久に流れるかのような沈黙は、日下部の私を呼びかける声で終わった。
だけど私は何も言えない。
その永久に流れるかのような沈黙は、日下部の私を呼びかける声で終わった。
「ひぃらぎ・・・」
静かに響いた声に顔を上げると、そこには今までになく真剣な顔をした日下部がいた。
日下部は真っ直ぐに私を見つめている。
その視線が私の心をざわつかせるけれど、どうしても目を逸らすことが出来ない。
日下部は、私を見つめながらゆっくりと口を開いた。
日下部は真っ直ぐに私を見つめている。
その視線が私の心をざわつかせるけれど、どうしても目を逸らすことが出来ない。
日下部は、私を見つめながらゆっくりと口を開いた。
「わたしはひぃらぎのこと・・・好きだ・・・」
「・・・え?」
「中学の頃から・・・ずっと好きなんだ・・・」
「・・・え?」
「中学の頃から・・・ずっと好きなんだ・・・」
な、何を・・・言ってる・・・の・・・?
「う・・・、うそ・・・でしょ?」
想像もしなかった言葉に、思わず言葉が漏れる。
「うそじゃないよ・・・。 本当にひぃらぎのこと好きなんだ・・・」
そう言って日下部は椅子に座り、下を向いてもう一度深呼吸をした。
次に顔を上げたとき、日下部は寂しげな笑顔を作っていた。
その表情のまま、日下部は静かに語りかける。
次に顔を上げたとき、日下部は寂しげな笑顔を作っていた。
その表情のまま、日下部は静かに語りかける。
「・・・中学の頃、もっとひぃらぎと話したかったんだけど、部活もあったし、全然話せなくて・・・。
だから高校入ってからはがんばろうって思ってさ・・・。
この高校選んだのだって、ホントはひぃらぎと一緒にいたかったからなんだ・・・」
だから高校入ってからはがんばろうって思ってさ・・・。
この高校選んだのだって、ホントはひぃらぎと一緒にいたかったからなんだ・・・」
日下部は少し照れたように、人差し指でほっぺをかいた。
「そしたら、1年の時から同じクラスだったじゃん?
それがすごく嬉しくってさ。
たくさん話して、ひぃらぎといっぱい仲良くなろうって思ったんだ」
それがすごく嬉しくってさ。
たくさん話して、ひぃらぎといっぱい仲良くなろうって思ったんだ」
そんなの・・・全然知らなかった・・・。
「わたし推薦だから高校でも部活はしてたけど、できるだけひぃらぎと一緒にいたいと思って、休み時間に話しかけたり・・・、
あ、あやのも誘って・・・勉強会・・・したり・・・して・・・」
あ、あやのも誘って・・・勉強会・・・したり・・・して・・・」
日下部の言葉が途切れ、その可愛らしい顔が徐々に歪んでいく。
そして日下部は・・・、その綺麗な黄褐色の瞳から、ハラハラと涙を落とした。
そして日下部は・・・、その綺麗な黄褐色の瞳から、ハラハラと涙を落とした。
「だけど・・・ぐすっ・・・わた・・・し・・・すっごくがんばったんだけど・・・
ひっく・・・結局・・・ちびっ子には敵わなかった・・・」
ひっく・・・結局・・・ちびっ子には敵わなかった・・・」
そう言って日下部は両手で顔を覆い、すすり泣きを始めた。
両手の間からは涙と一緒に尚も言葉が漏れてくる。
両手の間からは涙と一緒に尚も言葉が漏れてくる。
「・・・ぐすっ・・・ひぃらぎの横には・・・いつもちびっ子がいて・・・。
わたし・・・、ひぃらぎのこと・・・ひっく・・・誘うけど・・・。
ひぃらぎは・・・どうしてもちびっ子とのこと優先させるし・・・。
そ、それが・・・うぅぅ・・・ひっく・・・、い、一番つら・・・くて・・・」
わたし・・・、ひぃらぎのこと・・・ひっく・・・誘うけど・・・。
ひぃらぎは・・・どうしてもちびっ子とのこと優先させるし・・・。
そ、それが・・・うぅぅ・・・ひっく・・・、い、一番つら・・・くて・・・」
日下部からの思いがけない告白は、私の心に深く突き刺さった。
日下部はこんなにも私のこと好きだったんだ・・・。
そして・・・こんなにも私のことを想ってくれてたんだ・・・。
そして・・・こんなにも私のことを想ってくれてたんだ・・・。
なのに・・・。
それなのに私は・・・。
日下部に嫌われたくなくて・・・。
自分の気持ちに素直にもなれず・・・。
ただ日下部を避けてばかりで、自分の気持ちに向き合おうともしなかった・・・。
日下部みたく、自分の気持ちを信じようとしなかった・・・。
それなのに私は・・・。
日下部に嫌われたくなくて・・・。
自分の気持ちに素直にもなれず・・・。
ただ日下部を避けてばかりで、自分の気持ちに向き合おうともしなかった・・・。
日下部みたく、自分の気持ちを信じようとしなかった・・・。
その所為で、こんなにも日下部のことを傷つけて・・・。
そして・・・、今も私は日下部を傷つけてる・・・。
自分の気持ちも言わず、ただ黙って・・・。
そして・・・、今も私は日下部を傷つけてる・・・。
自分の気持ちも言わず、ただ黙って・・・。
その時、胸の奥から熱いものが込み上げてくるのを感じた。
こんなの・・・。
こんなの、もう耐えられない!
私が好きになった人を・・・。
世界で1番好きな人のことを・・・。
こんなの、もう耐えられない!
私が好きになった人を・・・。
世界で1番好きな人のことを・・・。
『日下部みさお』のことを・・・
これ以上傷つけたくない!!
その瞬間、私は弾かれるようにベッドから立ち上がった。
みさお part
柊への気持ちに気がついたのは中学生の時だった。
その時、自分が女なのに女の子を好きになったことですごく悩んだ。
こんなこと誰にも相談できなかったし、まして柊に告白することなんて思いもよらなかった。
その時、自分が女なのに女の子を好きになったことですごく悩んだ。
こんなこと誰にも相談できなかったし、まして柊に告白することなんて思いもよらなかった。
しばらくしてあやのとアニキが付き合い始めて、それを見た時にあれが普通なのかなって思って、
だったらわたしは普通じゃないのかもって思った。
だったらわたしは普通じゃないのかもって思った。
だけど、柊を見るとわたしの胸はドキドキして自分では抑えられなくて、
いくら間違っているって思っても、柊を好きな気持ちはどうしても消せなかった・・・。
いくら間違っているって思っても、柊を好きな気持ちはどうしても消せなかった・・・。
何で柊のこと好きなのか。
そんな自分はおかしいのか。
毎日そんなことばかり考えて。
いっぱい悩んで・・・。 いっぱい泣いて・・・。
そんな自分はおかしいのか。
毎日そんなことばかり考えて。
いっぱい悩んで・・・。 いっぱい泣いて・・・。
そしたら、ある時気がついたんだ。
女の子なのに女の子を好きになることが変だとしても、わたしが柊を「好き」な気持ちは変じゃない。
わたしが好きなのは女の子だけど、女の子が好きなんじゃない。
女の子なのに女の子を好きになることが変だとしても、わたしが柊を「好き」な気持ちは変じゃない。
わたしが好きなのは女の子だけど、女の子が好きなんじゃない。
わたしが好きなのは・・・『柊かがみ』なんだって。
だからわたしは、柊にちゃんと気持ちを伝えたいって思った。
そして今、柊に告白した。
そして今、柊に告白した。
中学の時から持ち続けた柊への想い。
同じ高校に入った理由。
そして・・・、ちびっ子への嫉妬。
同じ高校に入った理由。
そして・・・、ちびっ子への嫉妬。
わたしはその全てを話した。
話しながら、その気持ちが全部ごちゃ混ぜになって・・・。
そして、それは一気に涙となって流れ落ちた・・・。
話しながら、その気持ちが全部ごちゃ混ぜになって・・・。
そして、それは一気に涙となって流れ落ちた・・・。
全てを話し終えた時、柊はひどく驚いた表情でわたしを見ていた。
そして、一言も発しないまま固まった。
そして、一言も発しないまま固まった。
時間にしたら2、3分くらいなのかもしれなかったけど、この時のわたしには、それがひどく永い時間に思えた。
いつまでも何も言わない柊を見つめているわたしの中には、無力感と虚しさが込み上げてきていた。
いつまでも何も言わない柊を見つめているわたしの中には、無力感と虚しさが込み上げてきていた。
正直、柊が何考えてるのかわかんなかった。
だけど、何も言わないこと、それ自体が返事なのかも知れないと思った。
だけど、何も言わないこと、それ自体が返事なのかも知れないと思った。
わたし、自分がしたいように、自分が思うようにしてみたけど・・・。
でも、うまくいかなかった・・・。
これで・・・わたしの恋も・・・終わっちゃうんだな・・・。
でも、うまくいかなかった・・・。
これで・・・わたしの恋も・・・終わっちゃうんだな・・・。
すべてを諦めかけて目を瞑ったその時、昨日教室で嗅いだあの香りがわたしの全身を包んだ。
「え?」
突然のことに思わず眼を開けると、わたしの視界は一面、紫色に染まっていた。
何が起こったのかわからず戸惑っていると、不意に耳元で声が聞こえた。
何が起こったのかわからず戸惑っていると、不意に耳元で声が聞こえた。
「・・・ぐすっ・・・ごめん・・・日下部・・・。 ごめん・・・」
それは確かに柊の声だった。
だけどそれはひどくか細く、微かに震えていた。
だけどそれはひどくか細く、微かに震えていた。
「え・・・? ちょ、ひ、ひぃらぎ?」
驚いて顔を見ようとすると、柊はさらに強くわたしを抱き締めた。
そして、静かに話し始めた。
そして、静かに話し始めた。
「ごめんね・・・ひっく・・・わ、わたし・・・ぐすっ・・・ホントは日下部のこと・・・。
・・・好き・・・なの・・・」
・・・好き・・・なの・・・」
・・・へ?
「う、うそ?」
思いがけない言葉に全身が硬直する。
「うそじゃない・・・。ひっく・・・うそじゃないの・・・。
私・・・ぐすっ・・・あんたのこと好きで・・・ひぐ・・・大好きで・・・。
毎日・・・あんたのことしか考えられなくて・・・。
だけど・・・ひっく・・・近づかれると苦しくなっちゃって・・・。
・・・息が・・・ぐすっ・・・止まりそうなくらい辛くって・・。
まるで・・・ひぐっ・・・何かの病気にかかったみたいで・・・」
私・・・ぐすっ・・・あんたのこと好きで・・・ひぐ・・・大好きで・・・。
毎日・・・あんたのことしか考えられなくて・・・。
だけど・・・ひっく・・・近づかれると苦しくなっちゃって・・・。
・・・息が・・・ぐすっ・・・止まりそうなくらい辛くって・・。
まるで・・・ひぐっ・・・何かの病気にかかったみたいで・・・」
そこで言葉を区切った柊は、嗚咽を漏らしながらも言葉を繋いだ。
「えぐ・・・う、うぅぅ・・・だけど・・・ひっく・・・。
その所為で・・・はっきり自分の気持ちが言えなかった所為で・・・ぐすっ・・・。
あんたのこと・・・ひぐ・・・こんなにも傷つけてた・・・。
・・・本当に・・・ひっく・・・本当に・・・ごめん・・・なさい・・・」
その所為で・・・はっきり自分の気持ちが言えなかった所為で・・・ぐすっ・・・。
あんたのこと・・・ひぐ・・・こんなにも傷つけてた・・・。
・・・本当に・・・ひっく・・・本当に・・・ごめん・・・なさい・・・」
柊はわたしと同じ気持ちだった。
わたしと同じように悩んで・・・。
わたしと同じように苦しんで・・・。
わたしと同じように悩んで・・・。
わたしと同じように苦しんで・・・。
それを知って、普通ならわたしは嬉しいはずだった。
喜ぶはずだった・・・。
喜ぶはずだった・・・。
「なんで・・・ひっく・・・なんで何も言ってくれなかったんだよ!」
だけどこの時、なぜか涙と一緒にフツフツと怒りが込み上げてきた。
思わず荒げた声に、柊は一瞬ビクリと身体を震わせ、わたしを抱き締める力を強めた。
思わず荒げた声に、柊は一瞬ビクリと身体を震わせ、わたしを抱き締める力を強めた。
「だ、だって・・・ひっく・・・そんなこと言ったら・・・
ぐすっ・・・日下部が離れていっちゃうかもって・・・。
そう思ったら・・・ひぐ・・・こ、怖くなっちゃって・・・」
ぐすっ・・・日下部が離れていっちゃうかもって・・・。
そう思ったら・・・ひぐ・・・こ、怖くなっちゃって・・・」
その言葉を聞いた瞬間、わたしの感情は爆発した。
私を抱き締めている柊を引き剥がし、両肩を掴んで柊の顔を正面に見据える。
綺麗な藤色の瞳から涙を流す柊の顔が、わたしの目に飛び込んでくる。
ひどく怯えた顔をした柊を見て、わたしは大きな声で叫んだ。
綺麗な藤色の瞳から涙を流す柊の顔が、わたしの目に飛び込んでくる。
ひどく怯えた顔をした柊を見て、わたしは大きな声で叫んだ。
「わ・・・わたしは・・・わたしはそんなことで離れていかない!
ひぃらぎに何言われたって、ひぃらぎのこと置いてどこにもいかないっ!」
ひぃらぎに何言われたって、ひぃらぎのこと置いてどこにもいかないっ!」
柊は目を見開き、何も言わずにわたしを見つめていた。
わたしは柊に構わず言葉を続ける。
わたしは柊に構わず言葉を続ける。
「・・・なんで・・・なんでわたしのこと信じてくんないんだよ!」
そうだ・・・。
わたしが全然嬉しくないのは・・・。
わたしがこんなにも怒っているのは・・・。
わたしが全然嬉しくないのは・・・。
わたしがこんなにも怒っているのは・・・。
わたしが好きになった人が・・・。
世界で1番好きになった人が・・・。
世界で1番好きになった人が・・・。
『柊かがみ』がわたしのことを信じてくれてなかったからなんだ・・・。
「わたし・・・ひぃらぎに嫌われたって思って・・・ぐすっ・・・
すごく・・・すっごく寂しかったんだよ・・・? つらかったんだよ・・・?
なのに・・・。それなのに・・・」
すごく・・・すっごく寂しかったんだよ・・・? つらかったんだよ・・・?
なのに・・・。それなのに・・・」
わたしはそれ以上言葉を続けることも、柊を見つめ続けることもできなかった。
わたしの口からは嗚咽が漏れ、落とした視線の先に涙が落ちて床を濡らした。
わたしの口からは嗚咽が漏れ、落とした視線の先に涙が落ちて床を濡らした。
「・・・ご、ごめ・・・ひぐ・・・ごめん・・・ぐすっ・・・なさい・・・。
・・・う・・・う、う、う、うぇぇぇぇん!!」
・・・う・・・う、う、う、うぇぇぇぇん!!」
顔を上げると、柊は両方の瞳から大粒の涙を流し、まるで子どもが叱られた時みたいな顔で泣いていた。
その顔を見た瞬間、さっきまで怒っていた気持ちとか、哀しかった気持ちとか、
そんなものがなぜか全部消え、今度はわたしが柊を強く抱きしめた。
その顔を見た瞬間、さっきまで怒っていた気持ちとか、哀しかった気持ちとか、
そんなものがなぜか全部消え、今度はわたしが柊を強く抱きしめた。
その時わたしは、怒っているのでもなく、哀しいのでもなく・・・、
・・・ただ嬉しかった。
泣いているのにすごく嬉しかったんだ。
・・・ただ嬉しかった。
泣いているのにすごく嬉しかったんだ。
何でかって?
それは・・・、
やっと気持ちが通じたんだってわかったから。
続
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- いつまでも続きを待ってるよ・・・!! -- 名無しさん (2010-05-26 01:30:29)
- うおー!!次回作凄い期待してます!GJすぎます! -- 名無しさん (2010-05-12 16:08:51)
- 泣ける… 待っていた甲斐がありました。発症篇の方にこっちのリンクが貼ってないので是非ともお願いします。 -- 名無しさん (2010-05-10 18:05:05)