かがみ part
私が日下部を見ると苦しくなるようになったのは・・・。
日下部を好きになったのは・・・。
・・・いったい、いつからなんだろう・・・。
日下部を好きになったのは・・・。
・・・いったい、いつからなんだろう・・・。
はっきりと覚えてはいない。
気がついたらそこに日下部がいて、いつの間にか好きになっていた。
気がついたらそこに日下部がいて、いつの間にか好きになっていた。
日下部と中学の頃から同じクラスだったのは知っていたけれど、その時はただのクラスメイトだったし、特別意識するようなこともなかった。
ただ、高校に入ってから日下部と話す機会も遊ぶ機会も増えたのは確かだし、それが日下部の努力だったなんてことは思いもよらなかった。
ただ、高校に入ってから日下部と話す機会も遊ぶ機会も増えたのは確かだし、それが日下部の努力だったなんてことは思いもよらなかった。
だから、私がここまで好きに・・・自分でも信じられないくらい日下部のことを好きになってしまっていることが 日下部の努力の結果なんだとしたら、それは成功したと言って良いと思う。
悔しいけど、それは認めざるを得ない。
悔しいけど、それは認めざるを得ない。
だけど、本当にそれだけなんだろうか?
本当に日下部の努力だけなんだろうか?
本当に日下部の努力だけなんだろうか?
・・・私は違うと思う。
今になって思えば、私は心のどこかで日下部のことを気にしていた。
明るくて。
あけすけで。
子どもみたいに自分に正直で。
あけすけで。
子どもみたいに自分に正直で。
自分にはないものを持っている日下部のことを私は気にしていた。
私は心のどこかで、自分にないものを持っている日下部に惹かれていた。
私は心のどこかで、自分にないものを持っている日下部に惹かれていた。
だけど私は、今の今まで自分の気持ちに正直になれなかった。
本当は好きで好きで仕方がないのに、その気持ちを日下部に言えなかった。
そして・・・
その所為でたくさん日下部を傷つけてきた。
本当は好きで好きで仕方がないのに、その気持ちを日下部に言えなかった。
そして・・・
その所為でたくさん日下部を傷つけてきた。
「なんで・・・ひっく・・・なんで何も言ってくれなかったんだよ!」
だから、私がすべてを正直に伝えて日下部が怒りだした時、それは仕方がないことだと思ったし、全部自分が受け止めなくちゃいけないんだって・・・。
それが自分のしてきたことの責任なんだって思った。
それが自分のしてきたことの責任なんだって思った。
・・・だけど本当は怖かった。
怖くて・・・すごく心細くて・・・。
日下部に嫌われたって思って・・・。
私の『恋』が終わるかもしれないって思って・・・。
怖くて・・・すごく心細くて・・・。
日下部に嫌われたって思って・・・。
私の『恋』が終わるかもしれないって思って・・・。
「だ、だって・・・ひっく・・・そんなこと言ったら・・・
ぐすっ・・・日下部が離れていっちゃうかもって・・・。
そう思ったら・・・ひぐ・・・こ、怖くなっちゃって・・・」
ぐすっ・・・日下部が離れていっちゃうかもって・・・。
そう思ったら・・・ひぐ・・・こ、怖くなっちゃって・・・」
私は、今にも切れそうな日下部との繋がりを少しでもつないでおきたくて、日下部を抱き締める腕に力を込めた。
だけど日下部は、私の気持ちをまるで無視するかのように、ものすごい力でその腕を振りほどいた。
そして私の両肩を握り締め、射るような視線を向ける。
その真剣な眼差しが突き刺さり、私の肩を握る手には徐々に力が加わっていく。
日下部のあまりにも大きな怒りに、私の全身は硬直し、立ちすくんだ。
だけど日下部は、私の気持ちをまるで無視するかのように、ものすごい力でその腕を振りほどいた。
そして私の両肩を握り締め、射るような視線を向ける。
その真剣な眼差しが突き刺さり、私の肩を握る手には徐々に力が加わっていく。
日下部のあまりにも大きな怒りに、私の全身は硬直し、立ちすくんだ。
あ・・・ああ・・・。
もう・・・ダメ・・・。
もう・・・ダメ・・・。
全てを諦めかけた瞬間、日下部が叫んだ。
「わ・・・わたしは・・・わたしはそんなことで離れていかない!
ひぃらぎに何言われたって、ひぃらぎのこと置いてどこにもいかないっ!」
ひぃらぎに何言われたって、ひぃらぎのこと置いてどこにもいかないっ!」
―――え?
予想に反した日下部の言葉に自分の耳を疑う。
「・・・なんで・・・なんでわたしのこと信じてくんないんだよ!」
―――あ!
その時、全身を雷に打たれたような衝撃が走った。
ああ・・・そうなんだ・・・。
そうだったんだ・・・。
そうだったんだ・・・。
日下部が怒った理由。
そして今の言葉。
その瞬間、すべてがわかった。
そして今の言葉。
その瞬間、すべてがわかった。
日下部は確かに傷ついていた・・・。
私の態度、言葉、そのすべてに・・・。
だけど、日下部が怒っているのはそんなことじゃない。
日下部が怒っているのは・・・。
私の態度、言葉、そのすべてに・・・。
だけど、日下部が怒っているのはそんなことじゃない。
日下部が怒っているのは・・・。
「わたし・・・ひぃらぎに嫌われたって思って・・・ぐすっ・・・
すごく・・・すっごく寂しかったんだよ・・・? つらかったんだよ・・・?
なのに・・・。それなのに・・・」
すごく・・・すっごく寂しかったんだよ・・・? つらかったんだよ・・・?
なのに・・・。それなのに・・・」
私が日下部を 『信じて』 自分の気持ちを言わなかったからなんだ。
やっと理解できた。
私が自分の気持ちを信じられなかったのは、裏を返せば、日下部のことを信じられなかったからなんだって。
そして日下部は、私が日下部を傷つけてきたどんなことよりも、私が日下部を信じられなかったことが、日下部にとって1番哀しくてつらいことだったんだって・・・。
私が自分の気持ちを信じられなかったのは、裏を返せば、日下部のことを信じられなかったからなんだって。
そして日下部は、私が日下部を傷つけてきたどんなことよりも、私が日下部を信じられなかったことが、日下部にとって1番哀しくてつらいことだったんだって・・・。
「・・・ご、ごめ・・・ひぐ・・・ごめん・・・ぐすっ・・・なさい・・・。
・・・う・・・う、う、う、うぇぇぇぇん!!」
・・・う・・・う、う、う、うぇぇぇぇん!!」
気づくと、私はまるで子どもみたいに泣いていた。
何も考えず、ただ自分の感情に流されるまま大声で泣いていた。
止めようとしても止められず、私の瞳からは止め処なく熱い涙が溢れ出していた。
何も考えず、ただ自分の感情に流されるまま大声で泣いていた。
止めようとしても止められず、私の瞳からは止め処なく熱い涙が溢れ出していた。
だけど日下部は、そんな涙にまみれた私を抱き締めてくれた。
私を抱きしめながら一緒に泣いてくれた。
日下部は何も言わなかったけれど、その時私の気持ちを全部わかってくれていたような気がした。
私を抱きしめながら一緒に泣いてくれた。
日下部は何も言わなかったけれど、その時私の気持ちを全部わかってくれていたような気がした。
でも・・・わかってくれた気がしても・・・。
それでも私は不安だった・・・。
それでも私は不安だった・・・。
だから私は、包み隠さず今の気持ちを口にする。
「こんな・・・私・・・ぐすっ・・・嫌・・・だよね?」
「へ?」
「へ?」
私の気持ちを聞いた日下部は、私から身を離して少しだけ怪訝そうな表情を作った。
「だって私・・・ずっと日下部のこと信じられなくて・・・。
その所為で日下部をこんなにも辛い気持ちにさせて・・・」
「・・・・・・」
その所為で日下部をこんなにも辛い気持ちにさせて・・・」
「・・・・・・」
日下部は赤く腫らした目で私を凝視する。
だけどその目の中には、どこか私を包むような温かさがあるように見えた。
だけどその目の中には、どこか私を包むような温かさがあるように見えた。
「・・・・・・今はどうなの?」
短い沈黙の後、日下部はおもむろに口を開く。
「え?」
「・・・わたしのこと、信じてくれてんの?」
「・・・わたしのこと、信じてくれてんの?」
予想もしない質問に私は言葉を失う。
「わたしは離れていかないって、思ってくれてるの?」
日下部は軽く小首を傾げ、私を見つめた。
その瞳の中には、さっきまでの怒りも哀しみも全然見当たらなくって、日下部はただ純粋に私を見つめていた。
日下部のその真っ直ぐな視線に、なぜか不思議と心が落ち着いていく。
その瞳の中には、さっきまでの怒りも哀しみも全然見当たらなくって、日下部はただ純粋に私を見つめていた。
日下部のその真っ直ぐな視線に、なぜか不思議と心が落ち着いていく。
「・・・・・・うん」
私がコクリと頷くと、日下部は見る見るうちに顔を崩し、いつものあの笑顔になって言った。
「だったらさ、それでいーじゃん?」
「え?」
「前は信じてくれてなくたって・・・今信じてくれてるなら、それでいいよ」
「え?」
「前は信じてくれてなくたって・・・今信じてくれてるなら、それでいいよ」
あまりにもあっけらかんとした日下部の態度に、逆にこっちが面食らってしまう。
「・・・で、でも・・・。でも、ほんとに良いの? 私、こんなに意地っ張りなのよ?
もしかしたら、これからも日下部のこと傷つけちゃうかもしれないのよ?」
「ん~・・・。まぁ、そんときはそんときだよ」
もしかしたら、これからも日下部のこと傷つけちゃうかもしれないのよ?」
「ん~・・・。まぁ、そんときはそんときだよ」
こともなげに話す日下部を、私は驚きよりも呆れた表情で見つめる。
なんで・・・? なんでそんなに気にしてないの・・・?
それに・・・もしかして、我慢してるんじゃ・・・。
それに・・・もしかして、我慢してるんじゃ・・・。
「それにさ、わたしは、ひぃらぎがどんなに素直じゃなくても、どんなに意地っ張りでもいいんだ」
「え?」
「え?」
日下部はそう言って、私の不信を拭い去るかのように明るい声で断定した。
「な、何でよ?」
私の質問に、日下部はちょっとだけ照れたように目を伏せて、すぐに顔を上げた。
「だって、どんなひぃらぎだって、ひぃらぎはひぃらぎだろ?」
その顔は、まるで熱でもあるみたいに真っ赤に色づいていた。
「わたしは、そんなひぃらぎを全部ひっくるめた 『柊かがみ』 が好きなんだ」
その言葉を聞いた瞬間、また胸が熱くなる。
日下部は私のすべてを受け入れてくれてる・・・。
私のすべてを認めてくれてる・・・。
私のすべてを認めてくれてる・・・。
日下部が私の全部を好きでいてくれることが嬉しかった。
嬉しくて・・・、本当に嬉しくて。
その事実は、私の胸を言いようのない幸福感で満たしてくれた。
嬉しくて・・・、本当に嬉しくて。
その事実は、私の胸を言いようのない幸福感で満たしてくれた。
「・・・・・・・・・バカ」
だけど、嬉しすぎてまともに日下部の顔を見ることもできない私の口から出るのは、
こんな時まで心とは裏腹な言葉だった。
こんな時まで心とは裏腹な言葉だった。
でも、それはもう日下部を傷つけない。
私はそれを確信していた。
私はそれを確信していた。
なんでって?
それは・・・。
日下部のことを本当に 『信じる』 ことができたから。
みさお part
「・・・・・・・・・バカ」
柊の言った言葉が照れ隠しだっていうのはすぐに分かった。
だって、こんなにも顔を真っ赤にして、しかも嬉しそうに言うんだもん。
だって、こんなにも顔を真っ赤にして、しかも嬉しそうに言うんだもん。
「バカでもいいよーだ。それに、ひぃらぎみたく考え過ぎないほうが楽なんだよ・・・
っと」
っと」
だからわたしは、柊の言葉を受けて半ば確信犯的に柊に抱きついた。
「ちょ、ちょっと! きゃっ!」
不意に抱きつかれた柊は、そのままバランスを崩し、
可愛らしい声を上げてわたしと一緒にベッドに倒れこんだ。
可愛らしい声を上げてわたしと一緒にベッドに倒れこんだ。
「つ~・・・。い、いきなり何よ?」
ちょっぴり怒り気味に言う柊は、それでもわたしを抱き止めてくれていた。
柊のその柔らかな感触が、やりすぎたかなって不安になったわたしの気持ちをちょっぴり軽くしてくれる。
柊のその柔らかな感触が、やりすぎたかなって不安になったわたしの気持ちをちょっぴり軽くしてくれる。
「ごめんごめん。だって、ひぃらぎもわたしのこと好きって言ってくれたから嬉しくって」
「だ、だからって、突然すぎるだろ! ったく、もう少しこっちの状況も考えなさいよ!」
「だ、だからって、突然すぎるだろ! ったく、もう少しこっちの状況も考えなさいよ!」
そう言って柊は口を尖らせる。
「いやいや、それにさ、これで晴れて恋人同士になったわけだし?」
「こっ! こい!? ・・・びと・・・・・・って・・・」
「こっ! こい!? ・・・びと・・・・・・って・・・」
間髪いれずに言ったわたしの言葉に、柊は顔を真っ赤に高潮させた。
でも、いつものように俯こうとしても、目の前にはわたしの顔があるからどうしてもその顔を隠すことはできない。
わたしは、超至近距離で柊の照れた顔を心いくまで堪能した。
でも、いつものように俯こうとしても、目の前にはわたしの顔があるからどうしてもその顔を隠すことはできない。
わたしは、超至近距離で柊の照れた顔を心いくまで堪能した。
「へへ~。ひぃらぎぃ、すっげー照れてるなぁ」
「ち、ちょっ! そ、そんなまじまじと見るな!! 」
「ち、ちょっ! そ、そんなまじまじと見るな!! 」
そう言って柊は、両手でわたしの頭を掴むと、そのまま自分の胸に押さえつけた。
「む! むぅぅぅ! く、くる・・・し」
かなりの力で押さえられたから呼吸ができず、顔全体を包むような柊の胸の感触を楽しむ余裕は無い。
必死にバタバタと両手を動かしていると、やがてそれに気づいた柊が手を離してくれた。
必死にバタバタと両手を動かしていると、やがてそれに気づいた柊が手を離してくれた。
「あ! ご、ごめん! 大丈夫?」
頭を拘束する力が抜けた瞬間、顔を上げて思い切り空気を吸い込む。
「げほっ! げほっ! ふぃ~・・・ヤヴぁかったゼ・・・。
ひぃらぎぃ・・・もうちょっと手加減してくれよな?」
「だ、だから、ごめんって言ってるじゃない!
そ、それに、元々はあんたが変なこと言うから・・・」
「恋人同士って言うのが、そんなに変なこと?」
「ち、ちがっ! そうじゃなくて・・・その・・・・・・恥ずかしいんだって・・・」
ひぃらぎぃ・・・もうちょっと手加減してくれよな?」
「だ、だから、ごめんって言ってるじゃない!
そ、それに、元々はあんたが変なこと言うから・・・」
「恋人同士って言うのが、そんなに変なこと?」
「ち、ちがっ! そうじゃなくて・・・その・・・・・・恥ずかしいんだって・・・」
そう言って柊は真っ赤な顔を横に向けた。
まぁ、わかっててやってんだけどね。
好きな子にいじわるしたくなっちゃうのって、こういう気持ちなのかもしんねーな。
好きな子にいじわるしたくなっちゃうのって、こういう気持ちなのかもしんねーな。
柊の照れた様子を眺めながら、そっと柊の胸に頭を乗せる。
「ねぇねぇ? わたしがくっついてるのって嫌?」
「ふへっ? な、何言ってんのよ!」
「ん~? 嫌なの?」
「そ、そんなこと・・・・・・。 って、バカ! 分かってんでしょ!」
「いや~。わかんないなぁ~。教えてほしいなぁ~」
「ふへっ? な、何言ってんのよ!」
「ん~? 嫌なの?」
「そ、そんなこと・・・・・・。 って、バカ! 分かってんでしょ!」
「いや~。わかんないなぁ~。教えてほしいなぁ~」
ニヤニヤしながらそう言うと、柊はそれでも必死に顔を逸らそうとする。
でも、顔はおろか、首から耳まで真っ赤になっているから、どう見たって照れてるとしか思えない。
でも、顔はおろか、首から耳まで真っ赤になっているから、どう見たって照れてるとしか思えない。
くふふふふ。照れてる。柊がいっぱい照れてるよ!
きっと、こんなになってるのって、わたしの前だけだよね?
なんか、すっげー嬉しいな!
きっと、こんなになってるのって、わたしの前だけだよね?
なんか、すっげー嬉しいな!
柊のこんなにも照れた表情はおそらく自分だけしか見れないということに、まるで柊を独り占めしているような気持ちになる。
柊は顔を背けたまま、幸福感でいっぱいになっているわたしに言った。
柊は顔を背けたまま、幸福感でいっぱいになっているわたしに言った。
「いやじゃ・・・ない・・・わよ・・・・・・バカ・・・」
わかりきっていたけれど、柊の口からその答えを聞くと、さっきよりももっと幸せな気持ちになる。
「ふふふ。よかった。じゃあ、もっとくっついててもいい?」
「・・・・・・い、いいに決まってるでしょ・・・」
「そっかー。んじゃ、失礼して」
「・・・・・・い、いいに決まってるでしょ・・・」
「そっかー。んじゃ、失礼して」
ゴロゴロと、まるで猫みたいに柊の身体に顔をくっつけると、昨日教室で嗅いだあの匂いをすごく近くで感じ、わたしはそのまま胸いっぱいに柊の匂いを吸い込んだ。
う~ん。気兼ねなく柊に甘えられるのってしあわせだなぁ。
だけど、柊はどうなんかな? わたしばっかりじゃ嫌かな?
だけど、柊はどうなんかな? わたしばっかりじゃ嫌かな?
「ねぇ・・・ひぃらぎぃ?」
「な、なに?」
「わたしさ、素直じゃないひぃらぎも好きだけど、
素直なひぃらぎはもっと好きだよ?」
「は・・・はぅ・・・な・・・なによ・・・いきなり・・・」
「ん~。もしひぃらぎもお願いとかあったら、ちゃんと言ってほしいなぁ~って思ってさ」
「え?」
「だって、わたしばっかりじゃひぃらぎに悪いし」
「・・・・・・あぅ・・・う、うん・・・」
「な、なに?」
「わたしさ、素直じゃないひぃらぎも好きだけど、
素直なひぃらぎはもっと好きだよ?」
「は・・・はぅ・・・な・・・なによ・・・いきなり・・・」
「ん~。もしひぃらぎもお願いとかあったら、ちゃんと言ってほしいなぁ~って思ってさ」
「え?」
「だって、わたしばっかりじゃひぃらぎに悪いし」
「・・・・・・あぅ・・・う、うん・・・」
そう言って柊は天井を見上げたまま、何かを考えるような表情になった。
そして少しだけ間をおくと、ゆっくりとわたしの方に顔を向けて、少しモジモジしながら言った。
そして少しだけ間をおくと、ゆっくりとわたしの方に顔を向けて、少しモジモジしながら言った。
「じ、じゃあ・・・お願い・・・してもいい?」
「いいよ! なに?」
「・・・その・・・私も・・・日下部にくっつきたい・・・」
「え? くっついてんじゃん?」
「い、いや、あの・・・日下部みたいにしたい・・・っていうか・・・」
「ん~? どゆこと?」
「だ・・・だか・・・ら・・・日下部に・・・・・・甘えたい・・・・・・」
「あ、甘えたい?!」
「・・・・・・うん。 ・・・・・・ダメ?」
「いいよ! なに?」
「・・・その・・・私も・・・日下部にくっつきたい・・・」
「え? くっついてんじゃん?」
「い、いや、あの・・・日下部みたいにしたい・・・っていうか・・・」
「ん~? どゆこと?」
「だ・・・だか・・・ら・・・日下部に・・・・・・甘えたい・・・・・・」
「あ、甘えたい?!」
「・・・・・・うん。 ・・・・・・ダメ?」
哀願するように潤んだ瞳の柊を目の当たりにした途端、ありえないスピードで心拍数が跳ね上がり、頬が一瞬にして熱くなる。
呼吸は次第に浅く、早くなっていき、まるで部活でダッシュをした後のような息苦しさが押し寄せてきた。
呼吸は次第に浅く、早くなっていき、まるで部活でダッシュをした後のような息苦しさが押し寄せてきた。
ちょ、ちょっと! なんだこれ? な、なんでこんなにドキドキしてんだ!?
柊を見つめていることになぜか耐え切れなくなったわたしは、飛び跳ねるように身体を起こした。
そしてそのままベッドに座り直すと、しどろもどろになりながらも、何とか返事をする。
そしてそのままベッドに座り直すと、しどろもどろになりながらも、何とか返事をする。
「そ、そ、そん、そんなこと! お、お、おおお安い御用だゼ!」
「そ、そう? あ、ありがと・・・」
「そ、そう? あ、ありがと・・・」
わたしの行動に怪訝な表情を見せた柊は、それでもその言葉に少し安堵したようで、ゆっくりとベッドから起き上がった。
「そ、それで! ど、どうすればいいんだ?」
鼓動は耳の辺りでドクドクとうるさく聞こえている。
わたしは鳴り響く鼓動を隠すように、できるだけ大きな声を出した。
わたしは鳴り響く鼓動を隠すように、できるだけ大きな声を出した。
「え? あ、あ、あの・・・そ、そのままでいいから・・・」
そう言って柊は、ベッドの上を四つんばいのままゆっくりと近づいてきた。
ただそれだけのことなのに、なぜか心臓はバクバクとさらに大きく動き、頭の芯までもがボーっとしてきた。
そして、柊が目と鼻の先にまで近づくころには、心臓は口から飛び出しそうな勢いで暴れている。
ただそれだけのことなのに、なぜか心臓はバクバクとさらに大きく動き、頭の芯までもがボーっとしてきた。
そして、柊が目と鼻の先にまで近づくころには、心臓は口から飛び出しそうな勢いで暴れている。
や、やヴぁいって・・・。こ、これじゃ、さっきひぃらぎが言ってたのとおんなじじゃんか・・・。
柊を直視することに耐えきれなくなり、わたしはギュッと目を瞑った。
「ひゃうっ!!」
けれど、突然太ももに柔らかな感触が触れた瞬間、その目は大きく見開かれた。
目の前では、わたしの変な叫び声に驚いた柊が心配そうにわたしを見つめていた。
目の前では、わたしの変な叫び声に驚いた柊が心配そうにわたしを見つめていた。
「い、嫌だった?」
何が起こったのかわからず状況も読めない。
けれど、せっかく柊がお願いしてくれたのに、それを無駄にはしたくなかったわたしは、混乱する頭で何とか話を合わせる。
けれど、せっかく柊がお願いしてくれたのに、それを無駄にはしたくなかったわたしは、混乱する頭で何とか話を合わせる。
「い、いいって。だ、大丈夫だから・・・き、気にしないで・・・」
「で、でも・・・・・・」
「だ、大丈夫だってヴぁ!」
「そ、そう・・・?」
「で、でも・・・・・・」
「だ、大丈夫だってヴぁ!」
「そ、そう・・・?」
柊は戸惑いながらも、真っ赤に色づいた顔をそらすと、ゆっくりとわたしの膝の上に乗せた。
その柊の感触は、このままじゃ死んじゃうんじゃないかって思うくらい、わたしの心臓をさらに大きく跳ねさせる。
その柊の感触は、このままじゃ死んじゃうんじゃないかって思うくらい、わたしの心臓をさらに大きく跳ねさせる。
ひ、ひゃあ! ひ、ひ、ひ、ひぃらぎが! わ、わたしの太ももにぃっ!!
わたしが1人テンパッていると、柊が下から声をかけてきた。
「・・・・・・ありがと・・・日下部・・・」
「ひ、ひゃい! ・・・って、え?」
「ひ、ひゃい! ・・・って、え?」
意外な返答に驚いて思わず聞き返すと、柊はわたしに背を向けたまま言葉を続けた。
「・・・私って・・・昔から周りに『しっかりしてる』って言われることが多くて。
どちらかっていうと、頼られることの方が多かったのよね・・・」
「そ、そうだったの?」
「・・・うん。日下部ってそういうところないじゃない?
峰岸とか私の宿題は見ようとするし、少しでも楽しようとするし」
「あ、あはは・・・。ま、まぁ・・・お世話になってます・・・」
「だから、まぁ、最初はなんかムカついてばっかりだったんだけど・・・。
・・・でもさ、ホントは私、どっかであんたのこと羨ましいなって思ってたのよね」
「へぇ~。そうだったんだ・・・」
どちらかっていうと、頼られることの方が多かったのよね・・・」
「そ、そうだったの?」
「・・・うん。日下部ってそういうところないじゃない?
峰岸とか私の宿題は見ようとするし、少しでも楽しようとするし」
「あ、あはは・・・。ま、まぁ・・・お世話になってます・・・」
「だから、まぁ、最初はなんかムカついてばっかりだったんだけど・・・。
・・・でもさ、ホントは私、どっかであんたのこと羨ましいなって思ってたのよね」
「へぇ~。そうだったんだ・・・」
なんか意外だな。柊って、そういうのあんまりなさそうだったんだけど。
なんでもそつなくこなす柊が、ホントはそういう気持ちだったんだっていうのを初めて知り、わたしはなんだかすごく親近感を持った。
その所為なのか、気がつくとさっきまでの鼓動は治まり、わたしは柊の話に集中していた。
その所為なのか、気がつくとさっきまでの鼓動は治まり、わたしは柊の話に集中していた。
「でも、そういうイメージってさ、一旦できあがっちゃうと変えるのって難しいじゃない?
だから、こういうことしたかったんだけど、その・・・タイミングがなかったというか・・・」
「ふぅ~ん。じゃあ、今がそのタイミングだったってこと?」
「そ、それもあるけど、その・・・あ、あんたが私に・・・お願いあるかって聞いてくれたから・・・」
「あ、え? ・・・う、うん」
だから、こういうことしたかったんだけど、その・・・タイミングがなかったというか・・・」
「ふぅ~ん。じゃあ、今がそのタイミングだったってこと?」
「そ、それもあるけど、その・・・あ、あんたが私に・・・お願いあるかって聞いてくれたから・・・」
「あ、え? ・・・う、うん」
そう言って柊は、ゆっくりと真っ赤に色づいた顔を向けた。
「それに・・・・・・好きな人には・・・甘えたいから・・・・・・」
「!?」
「!?」
前ふりも何も無い突然の告白と、少し視線を逸らして照れたように言う柊を見た瞬間、わたしの心臓が思い出したかのようにまた激しく動き出す。
「え? あ、え? えと・・・その・・・」
酸欠状態の頭でうまく言葉がまとまらないでいると、途端に柊の表情が翳り、今にも泣き出しそうな顔になった。
「ねぇ? ・・・やっぱり、こんな私って変かな?」
柊は小さな声で不安そうにわたしに問いかけた。
その震える声を聞いた途端、考える間もなく独りでに口が動いた。
その震える声を聞いた途端、考える間もなく独りでに口が動いた。
「ち、ちがっ! ぜ、全然変じゃねーよ! そ、そうじゃなくて・・・その・・・
最初はちょっとびっくりしたけど、それは変とかって意味じゃなくて・・・」
「ど、どういうこと?」
「え、えっと、うまく言えないんだけど・・・。
わたし、ひぃらぎのそういうところ・・・。
う、うーんと、あ、甘えてくるところって初めてみたから、
び、びっくり・・・じゃなくてっ! その、か、可愛くて・・・」
「か! かわっ?!」
「そ、それで・・・ど、どう反応したら良いのかわかんなくて・・・。
だ、だから・・・、別に変だなんて思ってないし・・・。
そ、それにさ! わ、わたしにしかこういうことしてないんだろ?」
「え? あ、そ、そりゃそうだけど・・・」
「だから、その・・・ちびっことか、ひぃらぎの妹とか眼鏡ちゃんとか、
みんなはこういうひぃらぎは知らないっていうことが嬉しいっていうか・・・」
「はわ・・・あ、う・・・」
「なんか・・・わたしだけしか知らないひぃらぎがいるって、
まるで独り占めしてるみたいで・・・・・・」
「 !! 」
最初はちょっとびっくりしたけど、それは変とかって意味じゃなくて・・・」
「ど、どういうこと?」
「え、えっと、うまく言えないんだけど・・・。
わたし、ひぃらぎのそういうところ・・・。
う、うーんと、あ、甘えてくるところって初めてみたから、
び、びっくり・・・じゃなくてっ! その、か、可愛くて・・・」
「か! かわっ?!」
「そ、それで・・・ど、どう反応したら良いのかわかんなくて・・・。
だ、だから・・・、別に変だなんて思ってないし・・・。
そ、それにさ! わ、わたしにしかこういうことしてないんだろ?」
「え? あ、そ、そりゃそうだけど・・・」
「だから、その・・・ちびっことか、ひぃらぎの妹とか眼鏡ちゃんとか、
みんなはこういうひぃらぎは知らないっていうことが嬉しいっていうか・・・」
「はわ・・・あ、う・・・」
「なんか・・・わたしだけしか知らないひぃらぎがいるって、
まるで独り占めしてるみたいで・・・・・・」
「 !! 」
鼓動が早くなっている影響なのか、それとも柊の泣きそうな顔を見て焦っているからなのか、わたしは自分の気持ちに流されるまま一気に喋り通した。
そこでようやく柊の方に視線を向けると、柊の顔にはさっきまでの不安そうな表情はなく、今度は逆に湯気でもでそうなくらい顔を真っ赤にしてわたしを凝視していた。
そこでようやく柊の方に視線を向けると、柊の顔にはさっきまでの不安そうな表情はなく、今度は逆に湯気でもでそうなくらい顔を真っ赤にしてわたしを凝視していた。
「あ、え、えっと・・・ど、どしたの? 何か変なこと言ってた?」
その変わりように不安を感じたわたしは、柊に問いかけた。
すると柊は、我に返ったように視線を戻す。
すると柊は、我に返ったように視線を戻す。
「へ? あ、そ、その・・・・・・」
「も、もし、変なこと言ってたらごめん。何か、自分でも何言ってんのかわかんなくなっちゃって・・・」
「そ・・・そんなこと・・・」
「そ、その、ひぃらぎがすごく哀しそうな顔してたから、思わず必死になっちゃって・・・。
で、でもね! 可愛いって思ったこととか、嬉しいって思ったのはホントだからな!」
「・・・・・・・・・」
「も、もし、変なこと言ってたらごめん。何か、自分でも何言ってんのかわかんなくなっちゃって・・・」
「そ・・・そんなこと・・・」
「そ、その、ひぃらぎがすごく哀しそうな顔してたから、思わず必死になっちゃって・・・。
で、でもね! 可愛いって思ったこととか、嬉しいって思ったのはホントだからな!」
「・・・・・・・・・」
そう言うと、それまで無言で膝に頭を乗せていた柊はゆっくりと起き上がり、目の前にちょこんと座った。
そして、俯きながら口を開いた。
そして、俯きながら口を開いた。
「・・・なんで・・・・・・あんたって、そういうこと平気で言えるのかなぁ」
「え? あ、何かダメだった?」
「え? あ、何かダメだった?」
思わず真顔で問いかけると、柊は泣いているような、笑っているような、
そんな不思議な顔でわたしを見つめた。
そんな不思議な顔でわたしを見つめた。
「・・・・・・ダメだよ・・・」
「え? な、何が?」
「・・・・・・そんなこと言われたら・・・・」
「え? な、何が?」
「・・・・・・そんなこと言われたら・・・・」
そこで言葉を区切った柊は、そのまま背中に腕を回し、わたしを抱きしめた。
「ひ、ひぃらぎ!?」
そして、柊は耳元で優しく囁いた。
「・・・もっと・・・あんたのこと・・・・・・好きになっちゃうじゃない・・・・・・」
驚いて横を向くと、そこには真っ赤に色づいた柊の顔が見え、そのままゆっくりとわたしの方に近づいてくる。
「え? ちょ、ちょっと・・・ひぃら・・・ん・・・・・・」
その瞬間、とても柔らかな感触がわたしの唇に触れた。
続
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- ウホッ いいみさかが・・・ -- 名無しさん (2010-07-28 01:02:35)
- 正当ですね^-^ -- 名無しさん (2010-07-25 13:45:18)
- GJ! -- 名無しさん (2010-07-23 18:48:04)