kairakunoza @ ウィキ

熱中症

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だれでも歓迎! 編集
いつも無口で、周りから見ると「何考えてるのかわからない」とか「怖そう」というイメージを与えてしまいそうなみなみちゃん
でもわたしから見れば「いつも私のことを考えてくれている」「少し照れ屋」な人
そして、かけがえのない大切な友達

「それにしてもこんな炎天下の中で体育なんて、やってられないよ~」
田村さんがだるそうな声で独り言をいう
確かにこんな天気だったら、プールの授業のほうが何倍もありがたい
でも悲しいことに陵桜は水泳の授業がない
なんでだろう?
そう考えながらも、体育服にそでを通す
この前まで体調を崩していて、ずっと見学していたから、私にとって久しぶりの体育だ
「ゆたか、もう体の調子は大丈夫?」
もう着替え終わったみなみちゃんが聞いてきた
「うん、たぶん大丈夫だと思うよ」
「もしきつくなったりしたら、遠慮なく言って…」
「ありがとう、みなみちゃん。田村さーん、もういくよー」
独り言を言いながら着替えていたせいなのか、着替えが遅れてしまっている田村さん
「うわ、ちょっと待って!」
そういうと大急ぎで着替え、私たちと合流する

「「「暑い……」」」
外に出た瞬間、思わず三人とも口をそろえて言った
高校になってからは夏はクーラーがあるため、教室にいるときはそこまで暑さを感じなかった
でも外に出たとたん、まさに灼熱のような暑さが待っていた
空は雲ひとつなく、抜けるような青空が何とも憎らしいほどだった

「この最悪の天気の時に、何でマラソン…?」
トラック一周を走り終えた田村さんがフラフラになりながら私の所へ来た
みなみちゃんは相変わらずあまり表情は変わっていないけれど、汗びっしょりになっている
「次は小早川さんの番だけど…大丈夫?病み上がりの体で無理しないほうがいいよ?」
「大丈夫だよ。それに体調が悪くなったときは早めに先生に言って休ませてもらうから」
「あまり無理しないでね…」
二人の声を受けて、私はレーンに入った


授業の残り時間も20分くらいになってきていた
じりじりと照りつける太陽の光のせいで、首筋や頭が熱くなっている
ほかの先生のもとで授業を受けている男子は水道水を頭からかぶっているけれど、さすがにそれはなかなかまねできない
そして再び私の出番が回ってきた
今回タイムがよかった人10人に点数をくれるらしい
しばらく休んでしまったから、こういうところで点数を取らないと…
「用意!ピッ!」
ホイッスルの音が鋭く響いた
私はこれまで以上に一生懸命走った
ただひたすら手足を動かして前に前に走った
なんだか手足が自分のものじゃないみたい
だれかほかの人の手足が私の体と入れ替わって、それが自動的に走ってるみたい
気づいたら一位でゴールしていた
最初はそれがなかなか信じられなかった
荒い呼吸を繰り返していると、田村さんたちがやってきた
「小早川さんすごい!一位になるなんて!」
「ゆたかって、足が速かったんだね…」
「いや…中学の頃は…そこまで早いほうじゃなかったんだよ…今回は偶然……」

……あれ?なんでだろう?景色が揺れて見える

聞こえてくるはずの音や声もところどころしかきこえない


めにみえているせかいがぐるぐるまわりはじめた



たむらさんやみなみちゃんがなにかいってるけどほとんどきこえない



なにかかたいものにぶつかるかんかくとどうじに、わたしのいしきもそこでとだえた



気がつくと木陰で寝ていた
「……あれ…?」
「気がついた…?」
すぐそばにはみなみちゃんがいた
「みなみちゃん……私は…
「熱中症で倒れたんだよ…」
「えっ…そうだったの…?」
「無理しないで、って言ったのに…」
表情は変わっていなかったけれど、その声には不安と心配と少しの怒りが混じっていた
「うん…ごめんね…」
みなみちゃんは手に持っていたスポーツドリンクを差し出してくれた
「はい、これ…大部汗かいてたから…」
「あ…ありがとう…」
プルトップをあけ、口をつける
さわやかな甘みと冷たさが口の中を潤す
口をつけて初めて気付いたけれど、かなりのどが渇いていたみたい。一気に飲み干してしまった
「みなみちゃんは、ずっと私のことを見ていてくれたの…?」
無言でうなずいた
「岩崎さんは、小早川さんが倒れた時からずっとそばにいたんだよ。小早川さんを一人でここまでおぶって運んだんだよ」
近くにやってきた田村さんが教えてくれた
「えっ…そうだったの…?」
みなみちゃんのやさしさに、思わず涙が出てきた
「ありがとう…みなみちゃん…」
「ゆたか…気にしなくていいんだよ…」
みなみちゃんはそっと手を伸ばすと、指で涙をぬぐってくれた
「みなみちゃんは、とっても優しいね…」
「ゆたか…」
顔を赤くして、視線をそらすみなみちゃん
その時、チャイムが鳴った
「あっ、そういえばもう体育の授業終わってたの?」
「うん、もう10分くらい前に終わって、みんな教室に戻ってるよ」
「じゃあ…みなみちゃんは、私のために残ってくれてたの…?」
「そうだよ…」
「みなみちゃん…迷惑かけちゃったね…」
「いいの…そんなことよりもゆたかの体のほうがずっと大切なんだから…」
「みなみちゃん…」
そんな事を言われると…私…また泣いちゃうよ…
ほら…みなみちゃんの顔がだんだんぼやけてきたじゃない…
そんな私を、みなみちゃんはそっと抱き寄せてくれた
「泣かないで…ゆたか…」
ああ…私はこんなにいい人と友達になれたんだ…
「私…みなみちゃんの友達になれて本当によかった…」
「わたしもだよ…ゆたか…」
私はしばらくの間、みなみちゃんと友達になれた幸せをかみしめていた

ふと気付くと、次の授業の開始を告げるチャイムが鳴った
「さ、そろそろ教室に戻ろう…ゆたか」
「うん…」

そういえばさっきなぜか田村さんが頭を抱えて悶絶していたけど、なんでだろう?















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  • 腐女子さまがみていた☆ -- 名無しさん (2011-04-18 16:05:51)
  • 私はひよりんになりたい…GJ!!!!

    -- オビ下チェックは基本 (2009-07-09 13:39:42)
  • ひよりんのポジションうらやましすぎるwww -- 名無しさん (2008-09-04 22:25:30)
  • 最後の最後でひよりんwwww -- 名無しさん (2008-08-25 03:48:20)

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