「みなみちゃん、ごめんね……」
みなみちゃんとケンカした。
どんなケンカをしたのか、なんでケンカをしたのか、そんなことはもうどうでもよかった。
ただ、謝りたかった。許してもらえるかわからないけど、みなみちゃんに謝りたかった。
「みなみちゃん……」
いくら言っても、みなみちゃんはここにはいない。ここは私の部屋で、みなみちゃんは
学校にいるはずだから。こなたお姉ちゃんはもちろん学校で、おじさんも今日は仕事で
どこかに出るみたいで、家には私一人だった。
本当は、どうしても学校に行きたかった。みなみちゃんに会って、昨日のことを謝り
たかった。行くって言ったけど、こなたお姉ちゃんに止められた。
私は悪い子だ。あんなに優しいみなみちゃんを怒らせちゃったんだから。
せめて謝ろうと思っても、私の体はそれすら許してくれなかった。よりによってこんな
日に、学校を休まなくちゃいけないくらい体調が悪くなった。
本当に、自分が嫌になる。
いつも誰かに迷惑をかけてばっかりだった。ゆいお姉ちゃん、こなたお姉ちゃん、
みなみちゃん……今までの私のクラスメートに先生たち。みんな、こんな私にでも優しく
してくれた。
全部、私のせいだ。今日、学校を休むはめになったのも天罰なのかもしれない。
それでも。
「みなみちゃん……」
会いたいよ。
瞳からこぼれた涙を枕で拭き取って、それでもまたこぼれてきた。
「みなみちゃん……」
会いたいよ、みなみちゃん。
もう許してくれなくてもいいから。もう一生立てなくなってもいいから。
今だけでいいから、みなみちゃんに会いたいよ。
「みなみちゃん、ごめんね……」
「私のほうこそごめん、ゆたか」
「えっ?」
来るはずないと思っていた。
部屋の入り口に、息を切らせたみなみちゃんが立っていた。
みなみちゃんとケンカした。
どんなケンカをしたのか、なんでケンカをしたのか、そんなことはもうどうでもよかった。
ただ、謝りたかった。許してもらえるかわからないけど、みなみちゃんに謝りたかった。
「みなみちゃん……」
いくら言っても、みなみちゃんはここにはいない。ここは私の部屋で、みなみちゃんは
学校にいるはずだから。こなたお姉ちゃんはもちろん学校で、おじさんも今日は仕事で
どこかに出るみたいで、家には私一人だった。
本当は、どうしても学校に行きたかった。みなみちゃんに会って、昨日のことを謝り
たかった。行くって言ったけど、こなたお姉ちゃんに止められた。
私は悪い子だ。あんなに優しいみなみちゃんを怒らせちゃったんだから。
せめて謝ろうと思っても、私の体はそれすら許してくれなかった。よりによってこんな
日に、学校を休まなくちゃいけないくらい体調が悪くなった。
本当に、自分が嫌になる。
いつも誰かに迷惑をかけてばっかりだった。ゆいお姉ちゃん、こなたお姉ちゃん、
みなみちゃん……今までの私のクラスメートに先生たち。みんな、こんな私にでも優しく
してくれた。
全部、私のせいだ。今日、学校を休むはめになったのも天罰なのかもしれない。
それでも。
「みなみちゃん……」
会いたいよ。
瞳からこぼれた涙を枕で拭き取って、それでもまたこぼれてきた。
「みなみちゃん……」
会いたいよ、みなみちゃん。
もう許してくれなくてもいいから。もう一生立てなくなってもいいから。
今だけでいいから、みなみちゃんに会いたいよ。
「みなみちゃん、ごめんね……」
「私のほうこそごめん、ゆたか」
「えっ?」
来るはずないと思っていた。
部屋の入り口に、息を切らせたみなみちゃんが立っていた。
「みなみちゃん、なんで……」
みなみちゃんが来てくれた。嬉しかった。来てくれると思ってなかったから。
「泉先輩が開けてくれた。不法侵入とかはしてない」
って、時計を見てみたらもう放課後の時間だった。授業が終わる時間から計算すると、
終わってから真っ直ぐここに来たことになる。
「泉先輩に頼まれた。ゆたかに会ってやってって」
こなたお姉ちゃん、私がケンカしたこと気づいてたんだ……。
「みなみちゃん、ごめんね……私のせいで」
「いや、あれは私が悪かった。ごめんなさい……」
やっぱりみなみちゃんは優しいんだ。でも、やっぱり……。
「ごめんって、それだけじゃないよ」
言わなくちゃいけない。
「私はこんな体だから、いっつも誰かに迷惑かけてばっかりなんだ」
もう思ってること全部言っちゃおうと思った。
「みなみちゃんにもいっぱい迷惑かけちゃって、それなのにもっと助けてもらいたいって
思ってるんだ」
もうみなみちゃんとケンカなんかしたくない。だから私の思ってること全部しゃべって、
二度とケンカできないようにしてやろうって思った。
みなみちゃんに嫌われちゃうかもしれない。それでも、ケンカするくらいなら嫌われ
ちゃったほうがいい。もう二度とこんな思いはしたくないから。さっきみたいな、寂しくて
泣きたい気持ちにはなりたくないから。
「みなみちゃんに優しくしてもらってるのに、まだ足りないんだ。田村さんにも優しくして
もらってるのに、みなみちゃんの方がいいとか、そんなこと考えてるんだ」
嫌われちゃってもいいなんて思ったのに、みなみちゃんがどんな顔をして聞いているのか、
怖くて見れない。
「本当はね、私ってすっごくわがままなんだよ。こなたお姉ちゃんのこと好きなのに、
さっきまでみなみちゃんのことばっかり考えてたんだ。今ここにきたのがこなたお姉ちゃん
だったら、多分がっかりしてた」
こなたお姉ちゃんだけじゃなくって、おじさんも田村さんも私によくしてくれてる。ゆい
お姉ちゃんのことも大好きで、来てくれたら嬉しかっただろうけど、多分満足してなかった。
みなみちゃん以外だったら、私は不満だった。
「私ってそんなこと考えてるんだよ……。みんなのこと好きなのに、こんなに自分勝手
なんだよ。嫌いになったでしょ……。もう私なんか友達に……うっ……ひくっ……」
言えない。言えないよ。
「もう、友達……ともだちに、なんて……やだ、やだよぉ……」
みなみちゃんに嫌われるなんてやだよ。みなみちゃんのこと好きだもん。
みなみちゃんにばっかり甘えちゃいけないよ。それなのに嫌いになってとも言えない。
「やだよぉ……うくっ……もう……」
どうすればいいのか、わからないよ。
みなみちゃんが来てくれた。嬉しかった。来てくれると思ってなかったから。
「泉先輩が開けてくれた。不法侵入とかはしてない」
って、時計を見てみたらもう放課後の時間だった。授業が終わる時間から計算すると、
終わってから真っ直ぐここに来たことになる。
「泉先輩に頼まれた。ゆたかに会ってやってって」
こなたお姉ちゃん、私がケンカしたこと気づいてたんだ……。
「みなみちゃん、ごめんね……私のせいで」
「いや、あれは私が悪かった。ごめんなさい……」
やっぱりみなみちゃんは優しいんだ。でも、やっぱり……。
「ごめんって、それだけじゃないよ」
言わなくちゃいけない。
「私はこんな体だから、いっつも誰かに迷惑かけてばっかりなんだ」
もう思ってること全部言っちゃおうと思った。
「みなみちゃんにもいっぱい迷惑かけちゃって、それなのにもっと助けてもらいたいって
思ってるんだ」
もうみなみちゃんとケンカなんかしたくない。だから私の思ってること全部しゃべって、
二度とケンカできないようにしてやろうって思った。
みなみちゃんに嫌われちゃうかもしれない。それでも、ケンカするくらいなら嫌われ
ちゃったほうがいい。もう二度とこんな思いはしたくないから。さっきみたいな、寂しくて
泣きたい気持ちにはなりたくないから。
「みなみちゃんに優しくしてもらってるのに、まだ足りないんだ。田村さんにも優しくして
もらってるのに、みなみちゃんの方がいいとか、そんなこと考えてるんだ」
嫌われちゃってもいいなんて思ったのに、みなみちゃんがどんな顔をして聞いているのか、
怖くて見れない。
「本当はね、私ってすっごくわがままなんだよ。こなたお姉ちゃんのこと好きなのに、
さっきまでみなみちゃんのことばっかり考えてたんだ。今ここにきたのがこなたお姉ちゃん
だったら、多分がっかりしてた」
こなたお姉ちゃんだけじゃなくって、おじさんも田村さんも私によくしてくれてる。ゆい
お姉ちゃんのことも大好きで、来てくれたら嬉しかっただろうけど、多分満足してなかった。
みなみちゃん以外だったら、私は不満だった。
「私ってそんなこと考えてるんだよ……。みんなのこと好きなのに、こんなに自分勝手
なんだよ。嫌いになったでしょ……。もう私なんか友達に……うっ……ひくっ……」
言えない。言えないよ。
「もう、友達……ともだちに、なんて……やだ、やだよぉ……」
みなみちゃんに嫌われるなんてやだよ。みなみちゃんのこと好きだもん。
みなみちゃんにばっかり甘えちゃいけないよ。それなのに嫌いになってとも言えない。
「やだよぉ……うくっ……もう……」
どうすればいいのか、わからないよ。
*
「ひよりんにもついて来させて、悪かったね」
「とんでもないっス。頼んででも来させてもらいたかったっスよ」
小早川さんは岩崎さんに任せて、私は泉先輩とまったりお茶をしてた。今日の仕事を終えた
成実さんと泉先輩のお父さんも一緒に待ってるんだけど……。
「ゆいちゃん、ごめんな。こんなことになってるなら何がなんでもオレが側にいてやらなきゃ
いけなかったんだよな。ゆきから預かった大事な娘なんだから……」
「こんなおじさんにいてもらってもゆーちゃんには迷惑だよ」
「なっ!?」
さすが泉先輩、実の親が相手でも容赦がないっス。
「まあ、みなみちゃんには悪いけど、私はこれでよかったって思ってますよ」
お茶を一啜り。
「ゆたかはわがまま言わない子ですから。いつも自分のせいで周りに迷惑がかかってると
思ってるから、いつも欲求を隠してるんです。ケンカできるような相手ができたんなら、
少しはわがままを言えるようになったんだと思います」
成実さんのことをちょっとすごいと思った。この人は、小早川さんと岩崎さんが仲違い
したままになるとは、ちっとも考えてないんだ。
「これからもゆたかが迷惑かけるかもしれませんが、よろしくお願いします。こなたも、
おじさんも、ひよりちゃんも」
「オレはゆたかの親代わりのつもりだからな。いくらでも任されるよ」
「そうそう。ゆーちゃんは妹みたいなもんだし」
二人にとってはそれが当たり前のことで、迷惑だとは考えてないんだよね。
それなら私は……。
「私も小早川さんの友達ですから。いくらでも来いっスよ」
小早川さんと岩崎さんの仲睦まじい姿を見るのが好きで、二人と友達になって、それでも
これだけ一緒にいれば情も移る。昨日の時点でケンカを止められなかったことも後悔してる。
小早川さんと岩崎さんの間には誰も割り込んじゃいけないと思って、私はそんなふうに
していた。それが、私が仲直りの手助けをできなかった理由なのかも。
こんなときに力になれないのが、ちょっと寂しい。なんでこんなことになったかって
いえば、私が二人を同人誌のネタにしようと思って、少し距離をおいていたからだと
思う。私は二人の友達なのに……ちょっと反省。
「ありがとうね。田村さんもゆたかのこと好きでいてくれる?」
「当たり前っスよ。それに、小早川さんと岩崎さんが仲良くしてるのが嬉しいっスから」
変な意味じゃないよ。決して。
「ゆたかには友達がいてくれるんだから、ここはみなみちゃんに任せるよ。ゆたかが姉離れ
するのはちょっと寂しいけど、先に妹離れしたのは私のほうだしね……ま、もう少し待ち
ましょっか」
やっぱりお姉さんも小早川さんも好きなんだ。寂しいっていう気持ちは私よりずっと
大きいんだろうな。
考えてみれば、小早川さんもこれまでずっと苦労してきてるんだよね。身体が自分の
思い通りになってくれないのってすごく辛いだろうし、小早川さんは良い子だから学校を
休むだけでも後ろ暗い気持ちになるんだろうな。
私だったらいくらでも小早川さんを助けてやれる気になるけど、小早川さんにとっては
それが負い目になってるんだと思う。
でもそれが萌え……じゃなくて好感を持てるし、やっぱり岩崎さんとうまくいってほしい。
変な意味じゃないよ。決して。
「とんでもないっス。頼んででも来させてもらいたかったっスよ」
小早川さんは岩崎さんに任せて、私は泉先輩とまったりお茶をしてた。今日の仕事を終えた
成実さんと泉先輩のお父さんも一緒に待ってるんだけど……。
「ゆいちゃん、ごめんな。こんなことになってるなら何がなんでもオレが側にいてやらなきゃ
いけなかったんだよな。ゆきから預かった大事な娘なんだから……」
「こんなおじさんにいてもらってもゆーちゃんには迷惑だよ」
「なっ!?」
さすが泉先輩、実の親が相手でも容赦がないっス。
「まあ、みなみちゃんには悪いけど、私はこれでよかったって思ってますよ」
お茶を一啜り。
「ゆたかはわがまま言わない子ですから。いつも自分のせいで周りに迷惑がかかってると
思ってるから、いつも欲求を隠してるんです。ケンカできるような相手ができたんなら、
少しはわがままを言えるようになったんだと思います」
成実さんのことをちょっとすごいと思った。この人は、小早川さんと岩崎さんが仲違い
したままになるとは、ちっとも考えてないんだ。
「これからもゆたかが迷惑かけるかもしれませんが、よろしくお願いします。こなたも、
おじさんも、ひよりちゃんも」
「オレはゆたかの親代わりのつもりだからな。いくらでも任されるよ」
「そうそう。ゆーちゃんは妹みたいなもんだし」
二人にとってはそれが当たり前のことで、迷惑だとは考えてないんだよね。
それなら私は……。
「私も小早川さんの友達ですから。いくらでも来いっスよ」
小早川さんと岩崎さんの仲睦まじい姿を見るのが好きで、二人と友達になって、それでも
これだけ一緒にいれば情も移る。昨日の時点でケンカを止められなかったことも後悔してる。
小早川さんと岩崎さんの間には誰も割り込んじゃいけないと思って、私はそんなふうに
していた。それが、私が仲直りの手助けをできなかった理由なのかも。
こんなときに力になれないのが、ちょっと寂しい。なんでこんなことになったかって
いえば、私が二人を同人誌のネタにしようと思って、少し距離をおいていたからだと
思う。私は二人の友達なのに……ちょっと反省。
「ありがとうね。田村さんもゆたかのこと好きでいてくれる?」
「当たり前っスよ。それに、小早川さんと岩崎さんが仲良くしてるのが嬉しいっスから」
変な意味じゃないよ。決して。
「ゆたかには友達がいてくれるんだから、ここはみなみちゃんに任せるよ。ゆたかが姉離れ
するのはちょっと寂しいけど、先に妹離れしたのは私のほうだしね……ま、もう少し待ち
ましょっか」
やっぱりお姉さんも小早川さんも好きなんだ。寂しいっていう気持ちは私よりずっと
大きいんだろうな。
考えてみれば、小早川さんもこれまでずっと苦労してきてるんだよね。身体が自分の
思い通りになってくれないのってすごく辛いだろうし、小早川さんは良い子だから学校を
休むだけでも後ろ暗い気持ちになるんだろうな。
私だったらいくらでも小早川さんを助けてやれる気になるけど、小早川さんにとっては
それが負い目になってるんだと思う。
でもそれが萌え……じゃなくて好感を持てるし、やっぱり岩崎さんとうまくいってほしい。
変な意味じゃないよ。決して。
*
「みなみちゃん……ひぐっ……」
ゆたかが私に何か言おうとしているのはわかるけど、ただ泣きじゃくるだけだった。
ゆたかに何て言ってやればいいのかわからない。何て言えばゆたかは泣き止むのだろう。
口のうまい人なら何かいいことを言ってやれるのだろうけど、私にはできなかった。
昔からそうだ。伝えたいことがあるのに伝わらない。伝えるべきことを正しく伝えることが
できない。だから、ゆたかともあんなケンカになった。
全部、私のせいなんだ。
無口で愛想がないと、よく人に言われた。そんな私を友達と呼んでくれるゆたかを、
どんな理由であれ怒らせてしまったのだ。つくづく、自分が嫌になる。
そんな私にゆたかが愛想を尽かしたというのなら、それはしょうがないと思う。私でさえ
自分を好きになれないのだから。
――それでも。それでも、ゆたかのために何かをしたかった。私はゆたかのことが好き
なんだから。ここでゆたかのために何かをするべきなのが誰かではなく私だってことくらい、
私にもわかる。
それなのに、どうすればいいのかわからない。
何もわからない。どうしてこんな私に友達ができたのか……。
……そうだ。そうだった。
「ゆたか、これ……」
私はハンカチを差し出して涙を拭う。奇しくも、それはあのときと同じハンカチだった。
泣き止ませることはできなくても、涙を拭くことなら、私にもできる。
「みなみちゃん……」
ゆたかの手をとって、ゆたかと手を繋ぐ。少しだけ、勇気が欲しかった。
何て言えばいいのかわからない。だから、思ってることをそのまま言うことにした。
「私は、ゆたかのこと好き。何があっても、ゆたかのことが好き」
たったこれだけで私の気持ちがゆたかにどれだけ伝わったかのかはわからない。でも、
これが私にできる精一杯だった。
ゆたかの瞳から、また涙が溢れてきた。私がハンカチで拭う前に……
「わたしだって……ひくっ……みなみちゃんのこと……嫌いになったりなんか、しないもん」
私の胸にすがりついてきた。そのままゆたかのことを抱きしめる。なぜかそうしたかった。
よかった。ゆたかは私のことを好きでいてくれる。
「ごめんね……みなみちゃんから、離れたくなんかなかったのに……」
「いいの? 私はこんなに無口で無愛想で、人から好かれることなんか」
「そんなふうに言わないでっ!」
まだ泣き止まないゆたかの声は、意外なほどに強かった。
「みなみちゃんは優しくて、かっこよくて……私は大好きだよっ」
私が、どれだけ自分を好きになれるのかはわからない。でも、ゆたかが好きでいてくれる
なら、それでいいと思った。
「私が……こんな身体じゃなければ……もっと、みなみちゃんと……うくっ」
泣き声交じりのゆたかが何を言おうとしているのかはわからない。
それでも、なんとなく私と同じことを言おうとしているのだとわかった。
「私はゆたかのこと好きだから。ゆたかのこと、全部」
「みなみちゃ……」
小さなゆたかの身体は、とても抱き心地がよかった。
ゆたかが私に何か言おうとしているのはわかるけど、ただ泣きじゃくるだけだった。
ゆたかに何て言ってやればいいのかわからない。何て言えばゆたかは泣き止むのだろう。
口のうまい人なら何かいいことを言ってやれるのだろうけど、私にはできなかった。
昔からそうだ。伝えたいことがあるのに伝わらない。伝えるべきことを正しく伝えることが
できない。だから、ゆたかともあんなケンカになった。
全部、私のせいなんだ。
無口で愛想がないと、よく人に言われた。そんな私を友達と呼んでくれるゆたかを、
どんな理由であれ怒らせてしまったのだ。つくづく、自分が嫌になる。
そんな私にゆたかが愛想を尽かしたというのなら、それはしょうがないと思う。私でさえ
自分を好きになれないのだから。
――それでも。それでも、ゆたかのために何かをしたかった。私はゆたかのことが好き
なんだから。ここでゆたかのために何かをするべきなのが誰かではなく私だってことくらい、
私にもわかる。
それなのに、どうすればいいのかわからない。
何もわからない。どうしてこんな私に友達ができたのか……。
……そうだ。そうだった。
「ゆたか、これ……」
私はハンカチを差し出して涙を拭う。奇しくも、それはあのときと同じハンカチだった。
泣き止ませることはできなくても、涙を拭くことなら、私にもできる。
「みなみちゃん……」
ゆたかの手をとって、ゆたかと手を繋ぐ。少しだけ、勇気が欲しかった。
何て言えばいいのかわからない。だから、思ってることをそのまま言うことにした。
「私は、ゆたかのこと好き。何があっても、ゆたかのことが好き」
たったこれだけで私の気持ちがゆたかにどれだけ伝わったかのかはわからない。でも、
これが私にできる精一杯だった。
ゆたかの瞳から、また涙が溢れてきた。私がハンカチで拭う前に……
「わたしだって……ひくっ……みなみちゃんのこと……嫌いになったりなんか、しないもん」
私の胸にすがりついてきた。そのままゆたかのことを抱きしめる。なぜかそうしたかった。
よかった。ゆたかは私のことを好きでいてくれる。
「ごめんね……みなみちゃんから、離れたくなんかなかったのに……」
「いいの? 私はこんなに無口で無愛想で、人から好かれることなんか」
「そんなふうに言わないでっ!」
まだ泣き止まないゆたかの声は、意外なほどに強かった。
「みなみちゃんは優しくて、かっこよくて……私は大好きだよっ」
私が、どれだけ自分を好きになれるのかはわからない。でも、ゆたかが好きでいてくれる
なら、それでいいと思った。
「私が……こんな身体じゃなければ……もっと、みなみちゃんと……うくっ」
泣き声交じりのゆたかが何を言おうとしているのかはわからない。
それでも、なんとなく私と同じことを言おうとしているのだとわかった。
「私はゆたかのこと好きだから。ゆたかのこと、全部」
「みなみちゃ……」
小さなゆたかの身体は、とても抱き心地がよかった。
*
「みんな……ごめんなさい……」
私のために、こんなにも人が集まっていたなんて。いつのまにかゆいお姉ちゃんまで。
「いいっていいって。みんなゆたかのこと好きなんだよ」
「うん」
胸につかえてたものがなくなって、すごく爽やかな気分だった。
「あの、田村さんもごめんなさい。こんなことに巻き込んじゃって」
「あはは。これは私が好きで巻き込まれたんだから」
そう言って、田村さんは気まずそうに目をそらした。何かあったのかな?
「私のこと心配してくれてる人がこんなにいるんだよね。私のクラスにも」
「そうそう。ゆーちゃんが思ってるより、世の中恵まれてるものなんだよ」
明るく笑うこなたお姉ちゃんにも、何か思うところがあるのかもしれない。
おばさんはもう亡くなっちゃってるけど、こなたお姉ちゃんはこんなにも元気なんだ。
「そうだよね……私はこんな身体だけど、みなみちゃんがいてくれるから。みなみちゃんと
友達になれてよかったよ。入試で会ってから入学のときまで、ずっと楽しみだったんだ」
「私は……ゆたかが元気になっても友達でいたい」
「うん、ずっと一緒だよ! もうみなみちゃんと離れるのはいやなんだから」
「ありがとう……私も、ゆたかと離れたくない」
みなみちゃんのことを見つめると、すごくまぶしかった。やっぱり私はみなみちゃんの
こと、好きなんだな。
そうだ、みんなにもお礼を言わないとね。みんなのこと、好きだもん。
……って、あれ? なんでみんな赤くなってるの?
「えー……あとは若い者に任せて我々は退散しましょうか」
「そ、そうっスね」
なぜかみんなそそくさと部屋を出ていって、あとには私と赤面してるみなみちゃん
だけが取り残された。
「な、なんでーっ!?」
みんなにも伝えたいことがあるのに!
私のために、こんなにも人が集まっていたなんて。いつのまにかゆいお姉ちゃんまで。
「いいっていいって。みんなゆたかのこと好きなんだよ」
「うん」
胸につかえてたものがなくなって、すごく爽やかな気分だった。
「あの、田村さんもごめんなさい。こんなことに巻き込んじゃって」
「あはは。これは私が好きで巻き込まれたんだから」
そう言って、田村さんは気まずそうに目をそらした。何かあったのかな?
「私のこと心配してくれてる人がこんなにいるんだよね。私のクラスにも」
「そうそう。ゆーちゃんが思ってるより、世の中恵まれてるものなんだよ」
明るく笑うこなたお姉ちゃんにも、何か思うところがあるのかもしれない。
おばさんはもう亡くなっちゃってるけど、こなたお姉ちゃんはこんなにも元気なんだ。
「そうだよね……私はこんな身体だけど、みなみちゃんがいてくれるから。みなみちゃんと
友達になれてよかったよ。入試で会ってから入学のときまで、ずっと楽しみだったんだ」
「私は……ゆたかが元気になっても友達でいたい」
「うん、ずっと一緒だよ! もうみなみちゃんと離れるのはいやなんだから」
「ありがとう……私も、ゆたかと離れたくない」
みなみちゃんのことを見つめると、すごくまぶしかった。やっぱり私はみなみちゃんの
こと、好きなんだな。
そうだ、みんなにもお礼を言わないとね。みんなのこと、好きだもん。
……って、あれ? なんでみんな赤くなってるの?
「えー……あとは若い者に任せて我々は退散しましょうか」
「そ、そうっスね」
なぜかみんなそそくさと部屋を出ていって、あとには私と赤面してるみなみちゃん
だけが取り残された。
「な、なんでーっ!?」
みんなにも伝えたいことがあるのに!
-終わり-
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- 無自覚っすか⁈
萌え尽きたよ。 -- 名無しさん (2010-06-21 14:10:50) - 天然GJwwwww -- 将来ニートになるかも (2007-10-31 22:03:33)