手を繋いでいこう。――ずっと、この人と。
「ふぅ……、まいっちゃったね、突然降りだすんだもん」
私と『彼』との下校中、降水確率10%の空は無情にも私達の体を雨に濡らした。
降りしきる雨から逃げるように走り、一番近かった私の家に二人で駆け込んだ。
今日は本当なら彼の家に行くつもりだったんだけど、
それが私の家になっただけだから、まぁ問題ないかといえば問題はない。
「ただいまー……ってそうか、今日は誰もいないんだ……」
いつもの調子で帰宅の挨拶をしてしまったけど、今日はお母さんが町内会の集まり、
お兄ちゃん達も声優のイベントがあるとかで夜まで誰もいないんだった。
ドアだって、さっき自分がお母さんから朝渡された家のカギで開けたばかりだっていうのに。
「ごめんね、ひよりさん。そんなときにおじゃましちゃって」
「ううん、大丈夫。それより、随分濡れちゃったね。シャワー浴びてって」
私がそういうと、彼は少し慌てたように、
「い、いいよいいよ、大丈夫。タオルかなんか貰えればいいからさ」
「ダメだよっ、風邪引いたりしたら大変だから。今は誰もいないからさ、遠慮しないで」
まだ雪こそ降ってはいないけど、今はそれなりに寒さが厳しい季節だから。
もし彼に風邪を引かれたら、私は心配でいてもたってもいられなくなってしまう。
彼は少し考えるような素振をして、
「ひよりさんがそういうなら、遠慮なく使わせてもらおうかな」
と微笑み、靴を脱いで廊下へ上がった。
(彼の笑顔、何度見ても素敵だなぁ……)
私はその笑顔にしばらく惚けたようになってしまって、
彼に「どうしたの? ひよりさん」と言われるまで玄関で靴も脱がずに立っていたままだった。
私と『彼』との下校中、降水確率10%の空は無情にも私達の体を雨に濡らした。
降りしきる雨から逃げるように走り、一番近かった私の家に二人で駆け込んだ。
今日は本当なら彼の家に行くつもりだったんだけど、
それが私の家になっただけだから、まぁ問題ないかといえば問題はない。
「ただいまー……ってそうか、今日は誰もいないんだ……」
いつもの調子で帰宅の挨拶をしてしまったけど、今日はお母さんが町内会の集まり、
お兄ちゃん達も声優のイベントがあるとかで夜まで誰もいないんだった。
ドアだって、さっき自分がお母さんから朝渡された家のカギで開けたばかりだっていうのに。
「ごめんね、ひよりさん。そんなときにおじゃましちゃって」
「ううん、大丈夫。それより、随分濡れちゃったね。シャワー浴びてって」
私がそういうと、彼は少し慌てたように、
「い、いいよいいよ、大丈夫。タオルかなんか貰えればいいからさ」
「ダメだよっ、風邪引いたりしたら大変だから。今は誰もいないからさ、遠慮しないで」
まだ雪こそ降ってはいないけど、今はそれなりに寒さが厳しい季節だから。
もし彼に風邪を引かれたら、私は心配でいてもたってもいられなくなってしまう。
彼は少し考えるような素振をして、
「ひよりさんがそういうなら、遠慮なく使わせてもらおうかな」
と微笑み、靴を脱いで廊下へ上がった。
(彼の笑顔、何度見ても素敵だなぁ……)
私はその笑顔にしばらく惚けたようになってしまって、
彼に「どうしたの? ひよりさん」と言われるまで玄関で靴も脱がずに立っていたままだった。
彼がシャワーを浴びている間、私はヤカンを火にかけ、温かいお茶の準備をした。
そしてソファーに腰かけ、雨に濡れてすっかり重くなってしまった私の髪をタオルで拭いた。
(私も彼が出たら、シャワーを浴びようかな)
笑顔が眩しい、優しさで包まれそうになる彼。
そんな彼のことを考えると、自然と髪を拭いている手が止まってしまう。
『チアをやっている私を見て、一目惚れした』なんて言ってくれたときは、本当に嬉しかった。
嬉しすぎて、夢なんじゃないかとか、騙されてるんじゃないかとか思った。
けれど、彼は真剣だった。だから、私も全てを打ち明けた。
趣味のこと、部活のこと、決して一般向けとは言えない漫画を描いていること――。
正直、引かれるのを覚悟だった。でも、いずれ分かることだから。
それなら最初に拒絶されるほうが、まだマシだと思ったから。
けれど、彼は私を受け入れてくれた。
今はまだお互い分からないことだらけだから、これから知っていけばいいと、
いきなり私の趣味のことが知れて嬉しいと、彼は言ってくれた。
彼の言葉の後、私はいつの間にか涙を流していた。彼は私が今まで会った男の人の中で、誰よりも優しかった。
彼は戸惑っていたけど、私には彼のその優しさが、何よりも嬉しかったから。
だから、これからこの人と、『ずっと手を繋いでいこう』って、決めたんだ。
「それにしてもこの状況って……」
今まで特に意識してなかったけど、親も誰もいない家で二人っきりなんて……
こ、こんなシチュエーション、漫画でしか見たことないよ……
しかも「シャワー浴びてって」だなんて……あああっ、どおりで彼もちょっと慌ててたわけだ……
「しまったぁ……完全に失言だ……」
変なこと考えてると思われたかな……?
どうしよう、否定したいけど、でも自分から言い出すのもまたわざとらしいし……けど、
「もう私達、付き合ってからそれなりに経つんだよね」
そう、だからもし『そういうこと』になったとしても、それはある意味自然なことなわけで……
「でも、私達、まだキスまでしかしたことないしっ……!」
とタオルを握り締めてソファーでごろごろ体を転がしていると、
まるで神様が叱ってくれたみたいに、ソファーの固いところにごつりと頭がぶつかった。
「あいててて……ま、そんなことは、妄想の中だけに留めておこうかな」
頭を打った衝撃で少し目が覚めた私は、ヤカンの火を止め、タオルを持ってお風呂場へと向かった。
そしてソファーに腰かけ、雨に濡れてすっかり重くなってしまった私の髪をタオルで拭いた。
(私も彼が出たら、シャワーを浴びようかな)
笑顔が眩しい、優しさで包まれそうになる彼。
そんな彼のことを考えると、自然と髪を拭いている手が止まってしまう。
『チアをやっている私を見て、一目惚れした』なんて言ってくれたときは、本当に嬉しかった。
嬉しすぎて、夢なんじゃないかとか、騙されてるんじゃないかとか思った。
けれど、彼は真剣だった。だから、私も全てを打ち明けた。
趣味のこと、部活のこと、決して一般向けとは言えない漫画を描いていること――。
正直、引かれるのを覚悟だった。でも、いずれ分かることだから。
それなら最初に拒絶されるほうが、まだマシだと思ったから。
けれど、彼は私を受け入れてくれた。
今はまだお互い分からないことだらけだから、これから知っていけばいいと、
いきなり私の趣味のことが知れて嬉しいと、彼は言ってくれた。
彼の言葉の後、私はいつの間にか涙を流していた。彼は私が今まで会った男の人の中で、誰よりも優しかった。
彼は戸惑っていたけど、私には彼のその優しさが、何よりも嬉しかったから。
だから、これからこの人と、『ずっと手を繋いでいこう』って、決めたんだ。
「それにしてもこの状況って……」
今まで特に意識してなかったけど、親も誰もいない家で二人っきりなんて……
こ、こんなシチュエーション、漫画でしか見たことないよ……
しかも「シャワー浴びてって」だなんて……あああっ、どおりで彼もちょっと慌ててたわけだ……
「しまったぁ……完全に失言だ……」
変なこと考えてると思われたかな……?
どうしよう、否定したいけど、でも自分から言い出すのもまたわざとらしいし……けど、
「もう私達、付き合ってからそれなりに経つんだよね」
そう、だからもし『そういうこと』になったとしても、それはある意味自然なことなわけで……
「でも、私達、まだキスまでしかしたことないしっ……!」
とタオルを握り締めてソファーでごろごろ体を転がしていると、
まるで神様が叱ってくれたみたいに、ソファーの固いところにごつりと頭がぶつかった。
「あいててて……ま、そんなことは、妄想の中だけに留めておこうかな」
頭を打った衝撃で少し目が覚めた私は、ヤカンの火を止め、タオルを持ってお風呂場へと向かった。
「――君、タオルここに置いとくね」
私は曇りガラスの向こうにぼんやりと姿が見える彼に声をかけた。
「うん、ありがとう、田村さん」
「じゃあ、私は制服を乾かしておくからね」
そういって私がまたリビングへ戻ろうとした時、
「待って、田村さん」
と、予期せぬタイミングで彼に呼び止められた。
「どうしたの? ――君」
私は何気なく彼に聞き返し、そして、
「ひよりさんも、一緒に入らない?」
彼の言葉に、私の頭は一瞬真っ白にさせられた。
「えっ、ええええええっ! だ、ダメだよっ、そんなことっ!」
さっき『そういうこと』をちらっと考えていた私は、
彼の提案をたいした理由も考えることもなくすぐに却下していた。
いざ直面するとこうして逃げ腰になってしまうのは、いかにもヘタレな私らしい。
「でも、ひよりさんも雨に当たってたし、そのままだと風邪を引いちゃうよ」
「わ、私は――君が出てから入らせてもらうから……」
う、うん、そうそう。何も一緒に入ることなんてないんだから、ね。
そういう言い訳を考えていたのに、考えていたのに――
「ひよりさんは、僕と一緒に入りたくない……?」
そんなこと言われたら、「NO」だなんて言えなくなっちゃうよ……。
私は曇りガラスの向こうにぼんやりと姿が見える彼に声をかけた。
「うん、ありがとう、田村さん」
「じゃあ、私は制服を乾かしておくからね」
そういって私がまたリビングへ戻ろうとした時、
「待って、田村さん」
と、予期せぬタイミングで彼に呼び止められた。
「どうしたの? ――君」
私は何気なく彼に聞き返し、そして、
「ひよりさんも、一緒に入らない?」
彼の言葉に、私の頭は一瞬真っ白にさせられた。
「えっ、ええええええっ! だ、ダメだよっ、そんなことっ!」
さっき『そういうこと』をちらっと考えていた私は、
彼の提案をたいした理由も考えることもなくすぐに却下していた。
いざ直面するとこうして逃げ腰になってしまうのは、いかにもヘタレな私らしい。
「でも、ひよりさんも雨に当たってたし、そのままだと風邪を引いちゃうよ」
「わ、私は――君が出てから入らせてもらうから……」
う、うん、そうそう。何も一緒に入ることなんてないんだから、ね。
そういう言い訳を考えていたのに、考えていたのに――
「ひよりさんは、僕と一緒に入りたくない……?」
そんなこと言われたら、「NO」だなんて言えなくなっちゃうよ……。
「おじゃましまーす……あ、あんまり見ないでほしいかな……」
私は大きめのタオルを纏って彼の居るお風呂場へ入った。
もちろん彼も腰に私の渡したタオルを巻いている。
「ごめんごめん、そんなつもりはなかったんだけど。
でも、言い出したのは自分なのに、やっぱり恥ずかしかったかな」
彼はそういって少しはにかんだ。
「ごめんね、ひよりさん。無理に付きあわせちゃって」
「ううん、ちょっと恥ずかしいけど、嫌じゃなかったから……
それに、あんな聞き方されちゃ、入るしかなかったしね」
「ふふ、確かに少し意地悪だったかな」
私達は顔を見合わせて、お風呂場に小さな笑い声を響かせた。
私は大きめのタオルを纏って彼の居るお風呂場へ入った。
もちろん彼も腰に私の渡したタオルを巻いている。
「ごめんごめん、そんなつもりはなかったんだけど。
でも、言い出したのは自分なのに、やっぱり恥ずかしかったかな」
彼はそういって少しはにかんだ。
「ごめんね、ひよりさん。無理に付きあわせちゃって」
「ううん、ちょっと恥ずかしいけど、嫌じゃなかったから……
それに、あんな聞き方されちゃ、入るしかなかったしね」
「ふふ、確かに少し意地悪だったかな」
私達は顔を見合わせて、お風呂場に小さな笑い声を響かせた。
「ひよりさんって、綺麗な肌してるよね」
とシャワーを持って後ろから私を流しながら、彼は言った。
「そ、そんなことないよっ……」
「ううん、少なくとも僕は、真っ白ですごく綺麗だと思うよ」
「白いのは……その、外に出てないってだけで……
漫画ばっかり描いてるから日に焼ける機会もほとんどないし……」
「それでも、僕にとってはすごく……その……魅力的、だよ」
そう言って彼は少し微笑って、
「ふふ、やっぱり、こういうこと言うのって難しいね。なかなかさらっと口から出てくれないや」
「無理にお世辞とか言わなくてもいいんだよ?」
「お世辞なんかじゃないよ。僕がどれだけひよりさんのことを好きか、どうにか言葉で伝えたくて。
まだひよりさんには、僕の気持ちが半分も伝わってない気がするから、
だからこうして一緒にいる時ほど、言わなきゃなって、そう思うんだ」
「――君……」
でも、そう言ってくれているときにも、もちろん何も話していないときでも、
彼からはすごく温かなものを感じる。ノロケてるだけだって思われるかもしれないけど、
私は、それは彼から私に向けられてる「愛情」なんじゃないかなって思う。
彼にはちゃんと伝わってるかな。私からの、愛が。
「私からも、月並みの言葉だけど言わせて」
「うん」
「……大好き」
私は少し見上げて彼の目を見つめ、目を閉じた。
とシャワーを持って後ろから私を流しながら、彼は言った。
「そ、そんなことないよっ……」
「ううん、少なくとも僕は、真っ白ですごく綺麗だと思うよ」
「白いのは……その、外に出てないってだけで……
漫画ばっかり描いてるから日に焼ける機会もほとんどないし……」
「それでも、僕にとってはすごく……その……魅力的、だよ」
そう言って彼は少し微笑って、
「ふふ、やっぱり、こういうこと言うのって難しいね。なかなかさらっと口から出てくれないや」
「無理にお世辞とか言わなくてもいいんだよ?」
「お世辞なんかじゃないよ。僕がどれだけひよりさんのことを好きか、どうにか言葉で伝えたくて。
まだひよりさんには、僕の気持ちが半分も伝わってない気がするから、
だからこうして一緒にいる時ほど、言わなきゃなって、そう思うんだ」
「――君……」
でも、そう言ってくれているときにも、もちろん何も話していないときでも、
彼からはすごく温かなものを感じる。ノロケてるだけだって思われるかもしれないけど、
私は、それは彼から私に向けられてる「愛情」なんじゃないかなって思う。
彼にはちゃんと伝わってるかな。私からの、愛が。
「私からも、月並みの言葉だけど言わせて」
「うん」
「……大好き」
私は少し見上げて彼の目を見つめ、目を閉じた。
湯気でほのかに湿った私達の唇が、触れ合った。
「ごめんね、私だけ着替えちゃって」
「ううん、濡れたのは運良く上の制服だけだったからね。僕はカッターシャツだけでも大丈夫だよ」
シャワーから上がった後、私達は温めておいたお茶を飲んで、私の部屋に入った。
「エアコンも付けたし、タオルで良く拭いたからすぐに乾くと思うよ」
と、私は壁にかけられた彼の制服を見上げた。
「それにしても……散らかっててごめんね~……。
まさか、きゅーにこっちにくることになるなんて思ってなかったから……」
もし彼が私の部屋に来ることがわかっていたなら、昨日の晩、私は宿題をほっぽり出してでも
部屋の片付けをやっていたのだろうけど、運命とは皮肉なもので、
私は彼に「いつも通り」の漫画や原稿用紙が散乱した部屋を見せることになってしまった。
「ふふ、でも、もしこれがひよりさんの部屋の普段の状態だとしたら、結構片付いてるほうだと思うよ」
「この部屋が?」
「うん。僕なんか、いっつもひどいからね。服とかも脱ぎっぱなしにすることが多いし」
「ええーっ! 私が行くときはいつもすっごく片付いてるのに……」
「あれは……ひよりさんが来るとき用の部屋、かな」
「ひどーい! 騙してたのねっ!」
私はいかにもわざとらしく怒った振りをして言った。けれど、
「でもこの様子だと、ひよりさんも今日は僕用の部屋を用意し忘れたみたいだね」
という彼の言葉で、すぐに墓穴を掘ったことに気付いた。
「あっ、あー……それはその……」
「ふふふ、僕らは似たもの同士ってことかな」
「ふふ、そうかもね」
小さな笑い声が、雨の音と共にまた私達の周りを満たした。
「ううん、濡れたのは運良く上の制服だけだったからね。僕はカッターシャツだけでも大丈夫だよ」
シャワーから上がった後、私達は温めておいたお茶を飲んで、私の部屋に入った。
「エアコンも付けたし、タオルで良く拭いたからすぐに乾くと思うよ」
と、私は壁にかけられた彼の制服を見上げた。
「それにしても……散らかっててごめんね~……。
まさか、きゅーにこっちにくることになるなんて思ってなかったから……」
もし彼が私の部屋に来ることがわかっていたなら、昨日の晩、私は宿題をほっぽり出してでも
部屋の片付けをやっていたのだろうけど、運命とは皮肉なもので、
私は彼に「いつも通り」の漫画や原稿用紙が散乱した部屋を見せることになってしまった。
「ふふ、でも、もしこれがひよりさんの部屋の普段の状態だとしたら、結構片付いてるほうだと思うよ」
「この部屋が?」
「うん。僕なんか、いっつもひどいからね。服とかも脱ぎっぱなしにすることが多いし」
「ええーっ! 私が行くときはいつもすっごく片付いてるのに……」
「あれは……ひよりさんが来るとき用の部屋、かな」
「ひどーい! 騙してたのねっ!」
私はいかにもわざとらしく怒った振りをして言った。けれど、
「でもこの様子だと、ひよりさんも今日は僕用の部屋を用意し忘れたみたいだね」
という彼の言葉で、すぐに墓穴を掘ったことに気付いた。
「あっ、あー……それはその……」
「ふふふ、僕らは似たもの同士ってことかな」
「ふふ、そうかもね」
小さな笑い声が、雨の音と共にまた私達の周りを満たした。
「これ、ひよりさんが描いたやつ?」
彼が机の上に出しっぱなしにしてあった原稿を拾い上げて言った。
「うん。でもあんまり見られると……恥ずかしいかな」
普段の私なら慌てて彼から原稿を取り上げているところかもしれないけど、今回の場合は特別だった。
「この男の子……もしかして、僕、かな?」
「うん……」
「そしてこの女の子はもしかして、ひよりさん?」
だってこの漫画は……自分のため、そして彼のために描いたものだから。
私達以外の人には決して見せることのない、二人のことを綴った、二人だけのストーリー。
「うん……でもまだ全然ページ数はないんだけどね」
「じゃあ、これからたくさん増えていくのかな」
と微笑って彼はベッドに腰掛け、原稿を見ていく。
「もちろんだよ。きっと、ずっと増えてく。そうだといいな」
私も特に何をするわけでもないけど彼の横に座り、それを眺めていた。
主人公の女の子が男の子から告白されて、付き合うようになって、
一緒に帰るようになって、男の子の部屋で初めてのキスをして……
たった十数枚の、たったそれだけのストーリーを、彼はとても真剣に見てくれた。
まるで一つ一つ、丁寧に何かを思い出しているみたいに。
「今日でまたページは増えそう?」
と最後のページを見終わって彼は言った。
「うん、もちろんだよ」
彼が帰ったら、早速ペンを持とうかな。
ちょっと恥ずかしいけど、一緒にシャワー浴びたことも描かなきゃね。
「これからもっと、ページを増やさないとね」
「うん、願わくば幸せな物語に」
そう言って彼は丁寧に私の原稿を机に置き、ふいに私達は目が合った。
そのまま私達は数秒見つめあった後、どちらからというでもなく、唇を重ねあった。
口先から彼の体温が伝わり、心地よい時間が流れる。
このままずっと、そう思った矢先に彼の唇が離れ、私は少し物足りない気持ちになる。
「ひよりさん……」
彼は私の名前を呼んだ後、少しして腕を私の後ろにまわして、抱きしめるようにまた私に口付けた。
(こういうの、なんかいいかも……)
情熱的な、普段と違う彼のキスに、私の胸は高鳴った。
けど、普段と違うことはそれだけじゃなかった。
私は気付けば、彼と私の口の中で舌を絡ませあっていた。
(わっ……なんか、すご……)
彼の舌が私の中に入ってきたとき、突然頭にずしんとパンチでもくらったような衝撃が走って、
一気に意識が朦朧となった。頭がぼんやりとして、くらくらとして、けど、全然嫌じゃなくて。
不思議な感覚だった。今までキスでこんな風にはなったことがなかったから、少し驚いた。
(ディープキスって、こんな気持ちいいんだ……)
お互いを確かめ合うように舌が絡まりあって、動く度に頭が揺さぶられて、
「……ふぅ……んん」
(うわっ……私、声出ちゃってる……)
けれどその感覚がどうしようもなく心地良くて、いつまでも彼を求めてしまう。
「ぷは……はぁ……はぁ」
唇が離された後もくらくらは治まらなくて、呼吸も上手くできなかった。
「……ごめん、ひよりさん、突然こんなこと……」
「ううん、嫌じゃないから……だから」
私は彼に寄り添って、今度は私から彼に抱きついて、
「もっと……しよ?」
きっと顔を赤くしながら、私は彼に言った。
再び彼から口付けられて、今度はすぐに彼の温かな舌が入ってきて、
そしてまた重りでも乗せられたみたいに、頭がずしんと重くなった。
「……ん……ふ……んん……」
水の中に潜ってるときのように体がふわふわして、座っているのに重心が定まらなかった。
くちゅりと彼と私の唾液が混ざる音がして、それがさらに私の気持ちを昂らせた。
もっと、もっとと彼を求めるうちに、私達の交わりは激しくなっていって、
でも体の力はどんどん抜けていくみたいで、まるで彼に全部持ってかれていくようだった。
(わっ……)
突然、体がぐらっと傾いたと思ったら、私は彼に覆いかぶされるように、
けれど優しくベッドに押し倒されていた。
私は驚いて手を彼から離してしまったけど、すぐに彼の手が私の手を握ってくれた。
ベッドの端から少し足をはみ出させて、私は彼とキスを続けた。
普段と違う積極的な彼に、私は何故か安心感さえ感じていた。
「んー……ふぅぅぅ……んん~……」
彼に押し倒された後、私はさっきと同じことをしてるはずなのに、
口から漏れる声がどんどん大きくなっていって、心臓もばくばくいってるのが分かった。
彼に握られる手にもぎゅっと力が入って、どうしようもなく興奮した。
(ふぁ……だめ、気持ちいい……)
体中がぞわぞわして、ぐわーって熱くなって、彼とキスすること以外はなにも考えられなかった。
「んふぅぅぅ……んんっ……ん~……!」
そのうちに私は耐えられなくなちゃって、彼から口を一旦離した。
「はぁっ……はぁぁっ……ん、はぁっ……」
肩で息をして、口の中のどっちのものかも分かんない唾液を飲み込んで、ぼやけた目で彼を見上げた。
(力……入んないや……)
彼は真っ直ぐに私を見つめていて、ちょっと乱れた呼吸をしていた。
「――君……」
私が彼の名前を呼び終わったのと同じくらいに、また私は口を塞がれた。
彼の舌は優しく私を撫でてくれる。
「ん……んんっ……!」
けど、もう私にはそれを受け入れるだけの余裕もなくて、すぐに彼から口を離してしまった。
「はぁっ……だめ、――君……ちょっと、体が……追いつかない、かも」
私はマラソンの後みたいに上手く喋れずに、切れ切れに彼に伝えた。
もっと彼とキスしていたいんだけど、これ以上したらどうにかなってしまいそうで。
口の中にはまだ彼の感触がほのかにのこっていて、
それが今は何だか、すごく恋しかった。
彼は何も言わず、ただ少し迷うような表情を浮かべていた。
部屋に静かな雨音だけが響く時間が過ぎて、
そして彼は決意したように口を開き、少し目線をそらして、かすかに不安そうに
「ひよりさん……」
と私の名前を呼び、そして、
「……いい、かな」
と私の目を見つめて、聞いた。
(何が、って聞くのは……野暮だよね)
私も彼の目を見て、一言だけ、
「……うん」
と小さい声で、けれどしっかり意思を込めて彼に伝えた。
きっとそれが、私の望んでいることだから。
この人なら……私の全部をあげてもいいと思ったから。
彼が机の上に出しっぱなしにしてあった原稿を拾い上げて言った。
「うん。でもあんまり見られると……恥ずかしいかな」
普段の私なら慌てて彼から原稿を取り上げているところかもしれないけど、今回の場合は特別だった。
「この男の子……もしかして、僕、かな?」
「うん……」
「そしてこの女の子はもしかして、ひよりさん?」
だってこの漫画は……自分のため、そして彼のために描いたものだから。
私達以外の人には決して見せることのない、二人のことを綴った、二人だけのストーリー。
「うん……でもまだ全然ページ数はないんだけどね」
「じゃあ、これからたくさん増えていくのかな」
と微笑って彼はベッドに腰掛け、原稿を見ていく。
「もちろんだよ。きっと、ずっと増えてく。そうだといいな」
私も特に何をするわけでもないけど彼の横に座り、それを眺めていた。
主人公の女の子が男の子から告白されて、付き合うようになって、
一緒に帰るようになって、男の子の部屋で初めてのキスをして……
たった十数枚の、たったそれだけのストーリーを、彼はとても真剣に見てくれた。
まるで一つ一つ、丁寧に何かを思い出しているみたいに。
「今日でまたページは増えそう?」
と最後のページを見終わって彼は言った。
「うん、もちろんだよ」
彼が帰ったら、早速ペンを持とうかな。
ちょっと恥ずかしいけど、一緒にシャワー浴びたことも描かなきゃね。
「これからもっと、ページを増やさないとね」
「うん、願わくば幸せな物語に」
そう言って彼は丁寧に私の原稿を机に置き、ふいに私達は目が合った。
そのまま私達は数秒見つめあった後、どちらからというでもなく、唇を重ねあった。
口先から彼の体温が伝わり、心地よい時間が流れる。
このままずっと、そう思った矢先に彼の唇が離れ、私は少し物足りない気持ちになる。
「ひよりさん……」
彼は私の名前を呼んだ後、少しして腕を私の後ろにまわして、抱きしめるようにまた私に口付けた。
(こういうの、なんかいいかも……)
情熱的な、普段と違う彼のキスに、私の胸は高鳴った。
けど、普段と違うことはそれだけじゃなかった。
私は気付けば、彼と私の口の中で舌を絡ませあっていた。
(わっ……なんか、すご……)
彼の舌が私の中に入ってきたとき、突然頭にずしんとパンチでもくらったような衝撃が走って、
一気に意識が朦朧となった。頭がぼんやりとして、くらくらとして、けど、全然嫌じゃなくて。
不思議な感覚だった。今までキスでこんな風にはなったことがなかったから、少し驚いた。
(ディープキスって、こんな気持ちいいんだ……)
お互いを確かめ合うように舌が絡まりあって、動く度に頭が揺さぶられて、
「……ふぅ……んん」
(うわっ……私、声出ちゃってる……)
けれどその感覚がどうしようもなく心地良くて、いつまでも彼を求めてしまう。
「ぷは……はぁ……はぁ」
唇が離された後もくらくらは治まらなくて、呼吸も上手くできなかった。
「……ごめん、ひよりさん、突然こんなこと……」
「ううん、嫌じゃないから……だから」
私は彼に寄り添って、今度は私から彼に抱きついて、
「もっと……しよ?」
きっと顔を赤くしながら、私は彼に言った。
再び彼から口付けられて、今度はすぐに彼の温かな舌が入ってきて、
そしてまた重りでも乗せられたみたいに、頭がずしんと重くなった。
「……ん……ふ……んん……」
水の中に潜ってるときのように体がふわふわして、座っているのに重心が定まらなかった。
くちゅりと彼と私の唾液が混ざる音がして、それがさらに私の気持ちを昂らせた。
もっと、もっとと彼を求めるうちに、私達の交わりは激しくなっていって、
でも体の力はどんどん抜けていくみたいで、まるで彼に全部持ってかれていくようだった。
(わっ……)
突然、体がぐらっと傾いたと思ったら、私は彼に覆いかぶされるように、
けれど優しくベッドに押し倒されていた。
私は驚いて手を彼から離してしまったけど、すぐに彼の手が私の手を握ってくれた。
ベッドの端から少し足をはみ出させて、私は彼とキスを続けた。
普段と違う積極的な彼に、私は何故か安心感さえ感じていた。
「んー……ふぅぅぅ……んん~……」
彼に押し倒された後、私はさっきと同じことをしてるはずなのに、
口から漏れる声がどんどん大きくなっていって、心臓もばくばくいってるのが分かった。
彼に握られる手にもぎゅっと力が入って、どうしようもなく興奮した。
(ふぁ……だめ、気持ちいい……)
体中がぞわぞわして、ぐわーって熱くなって、彼とキスすること以外はなにも考えられなかった。
「んふぅぅぅ……んんっ……ん~……!」
そのうちに私は耐えられなくなちゃって、彼から口を一旦離した。
「はぁっ……はぁぁっ……ん、はぁっ……」
肩で息をして、口の中のどっちのものかも分かんない唾液を飲み込んで、ぼやけた目で彼を見上げた。
(力……入んないや……)
彼は真っ直ぐに私を見つめていて、ちょっと乱れた呼吸をしていた。
「――君……」
私が彼の名前を呼び終わったのと同じくらいに、また私は口を塞がれた。
彼の舌は優しく私を撫でてくれる。
「ん……んんっ……!」
けど、もう私にはそれを受け入れるだけの余裕もなくて、すぐに彼から口を離してしまった。
「はぁっ……だめ、――君……ちょっと、体が……追いつかない、かも」
私はマラソンの後みたいに上手く喋れずに、切れ切れに彼に伝えた。
もっと彼とキスしていたいんだけど、これ以上したらどうにかなってしまいそうで。
口の中にはまだ彼の感触がほのかにのこっていて、
それが今は何だか、すごく恋しかった。
彼は何も言わず、ただ少し迷うような表情を浮かべていた。
部屋に静かな雨音だけが響く時間が過ぎて、
そして彼は決意したように口を開き、少し目線をそらして、かすかに不安そうに
「ひよりさん……」
と私の名前を呼び、そして、
「……いい、かな」
と私の目を見つめて、聞いた。
(何が、って聞くのは……野暮だよね)
私も彼の目を見て、一言だけ、
「……うん」
と小さい声で、けれどしっかり意思を込めて彼に伝えた。
きっとそれが、私の望んでいることだから。
この人なら……私の全部をあげてもいいと思ったから。
彼は安心したような柔らかな表情になって、私に軽く一度だけキスをした。
(ホントに『そういうこと』になっちゃった……)
私はあれだけ激しいキスをしたのに、まだこれからすることに現実味を感じられなくて、
でも彼の手が、ブラウスのボタンを一つ一つ外していくたびに胸が大きく高鳴って、
期待とか、不安とかいうよりもまず、恥ずかしさが先行した。
それはブラウスのボタンを全て外されて、キャミソールの姿になったときには既に頂点に達していて、
「あ、あの……カーテン、閉めてくれると嬉しいかな……」
私はたまらずに彼にそうお願いした。
「ごめんね。ちょっと焦りすぎちゃったかな」
彼は苦笑いを浮かべ、カーテンを少し、かすかな光りが入るくらいに隙間を残して閉めた。
その間に私はブラウスを脱いで、ベッドの下に適当に置いた。
部屋が薄暗くなるとさっきよりもかえって「そういう」雰囲気が出てしまって、
自分で言ったにも関わらず、恥ずかしい気持ちは治まらないままだった。
「寒くない? ひよりさん」
「うん、暖房も効いてるし、大丈夫」
けど、私の心は不安とか恐れだとか、そういうマイナスの感情は一切無くて、
それはきっと彼の優しさのせいじゃないかな、と私は思った。
カーテンを閉め終わった彼が戻ってきて、私はまたキスをされた。
その間、彼の手が私の脇腹のあたりをそっと撫でて、薄着になっていることもあって
私はそのダイレクトな刺激に体がちょっとぴくっとなった。
(こんなとこ触られてもなんともないはずなのに……なんだか変な気持ち)
好きな人にこういうことをしてもらうって、こんなにドキドキすることなんだ。
恥ずかしいけど、嬉しいな。
「……!!」
彼はキスしていた私の口から顔をずらして、私の首筋に口を這わせた。
くすぐったくて、でも悪い気はしなくて、ぞくぞくした。
キャミソールに彼の手が入ってきて、少しずつ裸にされていく。
私は心臓の音が彼に聞こえちゃうんじゃないかっていうくらい、ドキドキしていた。
ブラの下くらいまで肌が露になって、彼は体を起こして両手でキャミを上げていき、
小さな膨らみを超えた首の下あたりで手を止めた。
今、私はほとんど着ていないに等しいキャミと、ブラ一枚と、スカート。上半身は、ほとんど彼に丸見えだ。
私は自分でも分かるくらいに顔が赤くなっていくのを感じた。
(ブラも取る……んだよね。胸なんてここ最近誰にも見られたことなんてないから、恥ずかしいな……)
「綺麗だよ、ひよりさん」
彼は手を私の背中に回しながら言った。
「い、言わなくてもいいよっ、そんなこと……」
私はたまらなく恥ずかしくなって、手で顔を覆った。
彼は私のブラのホックに手をかけ、見えてないからか少し詰まったけれど、上手にホックを外した。
(うわぁっ……見られちゃう、のかな……)
彼の手がおなかのほうにまわって、ブラに触った。
「だ、だめっ……」
私は顔を手で隠したまま言った。
「ひよりさん……?」
「恥ずかしいから……み、見ないでほしい、な……」
我ながら肝が小さいな、と思うけど、羞恥心には勝てなかった。
同人誌を見られるくらい、ひょっとしたらそれ以上だったかもしれない。
「うん……わかった、今日はやめておくね」
(今日はってことは、いつかは見られるんだよね……ということはこれからもこういうことをするってことで……)
私はそんなことを考えて、頭を爆発させそうになった。
(あぅっ……)
彼はブラを私の胸に被さったままにして、その隙間から右手を滑り込ませた。
彼の手の温もりが、左の胸に伝わっている。
そして彼は左手で私の髪を撫でて、私に近づき、
「ひよりさん、すごくドキドキしてる」
と言って私にキスをし、包み込んでいた私の胸をくにっと揉んだ。
(ふぁ……触られちゃってる……)
「小さくて……ごめんね」
私は照れ隠しにそう言った。
「ううん、そんなことないよ。
僕も他の人のを見たことは無いけど……ひよりさんは十分ある、と思うよ」
彼は優しい顔でそう返してくれた。
それが私は、すごく嬉しかった。ちょっとドキドキが治まった気がした。
彼はおなかのところに口付けをして、それから口でブラを押し上げて、私の右の胸を口に含んだ。
「……っ!! は、ぁっ……」
同時に右手もさっきまでとは違ってちょっと激しく動かされ、
私は突然の刺激に一瞬対応できなかった。
(うぁ……すご……)
片方はこねるように、そして時おり丸めるようにくりくり動かされて、
片方は舐めるように、吸い付くように刺激されている。
そして「彼にされている」という感覚が、一層私を気持ちよくさせた。
「ふっ……あっ……」
(やば……感じちゃってる……)
パンツのあたりがしくんとなって、もじもじする。
そういう漫画をみたときみたいな、えっちな気分。
その気分に今私は、彼の手と口によってさせられている。
(上手すぎだよ、――君……)
さっき「他の人のを見たことがない」って言ってたってことは、彼も初めてってことなんだろうけど、
私にはそうは思えないほど、彼はすごく上手にしてくれていた。
「ふぁっ……」
「気持ちいい……? ひよりさん」
「うん……すごく上手……」
「そう言ってくれると、嬉しいな」
彼は手を口とを入れ替えて、また愛撫を始めた。
「ん……ふっ……」
頭の中がじんじんする。
あそこのあたりがまたむずむずとして足を動かすと、冷たい感じがした。
(濡れちゃってる……なんか恥ずかしいな……)
こういうことをされれば当然のことかもしれないけど、
私は彼の愛情に対して、欲望が丸出しになっているみたいで、なんだか後ろめたかった。
けれど彼の愛撫が続けば続くほど、そんな欲望はどんどん強くなっていった。
彼はまた口を外して、私の口に重ねた。
さっき胸にしたような、唇を愛撫する、激しめのキス。
そして、もちろん舌への愛撫も忘れてくれない。
数分前の初めてのときよりも、さらに上手くなっているような気がした。
「ひよりさん……大丈夫?」
彼は私のそこに手を触れて言った。
私が小さく頷くと、彼の指で優しくなぞられ、じゅく、とパンツに染みが広がったような気がした。
そのまま彼は上へ下へとゆっくり指を動かして、
時々爪で軽く擦るようにしながら、私のそこを愛撫してくれた。
(はぅ……なんかもうすっごく気持ちいいかも……)
私はそれだけでとろけそうなほど感じてしまっていた。
(自分でするときなんかと、全然違うよ……)
パンツの上からなのに、まるで直に触られてるみたいに気持ちいい。
これが「愛される」ってことなのかな。
「ひよりさん、なんだか可愛いな」
「ふぇっ?」
彼の愛撫で完全にどこかに飛んでいた私は、彼の言葉に気の抜けた言葉を出してしまった。
「ほ、褒めてくれてるんだよね、それは?」
「ふふ、もちろん」
彼にそう言われて、私はまた顔が赤くなっていくのを感じた。
(もう、すぐそういうこと言うんだから……でもやっぱり、嬉しいな)
彼の優しい言葉は、私の心を解きほぐしてくれるようだった。
「あっ……ふぁっ」
そんなことを考えていると、突然、今までと違うタイプの快感が私を突き抜けた。
「ここ、気持ちいい……?」
「んぅ、あっ、だ、だめっ……」
彼はその「気持ちいい」ポイントを攻めてきた。
一人でするときにも、よく触るところ。すごく敏感な場所。
「はぅ、んくぅっ……だめだって、――君っ……」
彼はそこを見つけると、指をその周りに這わせて重点的に愛撫した。
今までのだけでも十分だったのに、ギアが変わったみたいに、急速に快感が高まってきて、
彼の指がそこにあたる度にびくっと体が強く反応してしまう。
「んっ、んっ、あっ、はぁぁっ……」
(だめ、声、止まんないよぅ……)
押されるように声が出てきて、それが彼に聞かれていると思うとすごく恥ずかしかったけど、
止められるはずもなくて、もちろん彼の愛撫も止めてほしくなかったから、
私は壊れたCDのように、途切れ途切れなよがり声をあげていた。
「――君……脱がせて、ほしいな……」
と、そろそろパンツの冷たさがひどくなってきたので私はそう言った。
でも、ひょっとしたら、直接してほしいって気持ちも少しはあったかもしれない。
彼は何も言わずに、両手を私のパンツに掛け、ゆっくりと下ろしていった。
私は彼の愛撫が止まったからか、急に彼のことが恋しくなって、
「キス、してほしい……」
とつぶやくように言っていた。
「んむ……ちゅく……」
彼はそっと口付けてくれたけど、私はそれだけじゃ治まらなくて、
彼がしてくれたみたいな激しいキスを、今度は彼の首に両手を回して私からしていた。
けれどすっかり力が抜けてしまっていて、私はすぐに口を離すことになってしまった。
「ん……」
彼がまた手を私のそこにあてがうと、
さっきのえっちな気分がまた火山のように沸きあがってきた。
指でなぞられるとぴちゃぴちゃと音がして、それだけ濡れてしまっていることを示していた。
「はぁぅ、んふ、あぁっ」
彼に触られてしまうと、私じゃないみたいにいろんな声が出てくる。
抑えたくても抑えられない、すごくえっちな声。
それは彼の愛情に対する、証なのかもしれない。
(気持ちよすぎだよ……ちょっとやばいかも……)
私はまださっきの気持ちいいところを触られてもいないのに、もう臨界点間近だった。
「やっ、み、見ないでよぅ」
彼は口を離したときからずっと私を見ていたみたいで、私は枕で顔を隠した。けど、
「だめ。ひよりさんの顔が見たいから」
と彼はそれを許してくれず、枕を取り上げられてしまった。
そして彼の指がさっきの場所に触れ、
「んぅっ……あ、はぁあぅっ……!」
一気に数倍の快感が全身を駆け巡った。
彼は撫でたり、挟んだりして、私の扱いをよく知っているかのように丁寧に触ってくれた。
「あ、あっ、んぅっ、あぁああっ……」
ぐちゅぐちゅと水が混ぜられるような音がして、あそこがどんどん熱くなってくる。
じっとしたままじゃいられなくなって、体がうずうずと勝手に動いてしまう。
体の中のほうから泉が沸いてくるのが分かったけど、止めたくても止められるものじゃなくて、何度も溢れさせた。
(うぁ……だめ、きもちぃ……)
耐えるように私は下に敷いてある毛布を掴んだ。
「んぁ……ふ、二ついっぺんはだめっ……」
でも彼はそれを許さずに、私の胸を空いてる片手で愛撫して、もっと私を気持ちよくさせた。
胸から来る快感とあそこから来る快感が混ざり合って渦になって、
私の理性とか羞恥心とか、そういうものを巻き込んで消してしまうみたいだった。
(やば……も、だめっぽぃ……)
喘ぐことしか出来ない人形のようになった私は、わずかに残った意識で自分の限界が来ていることを感じた。
「ふぁ、――君、私、もぅ……」
そう私が言い終わるのと同じくらいに、今まで私を支えていた一本の糸のようなものがぷちんと切れ、
きゅぅうっと中が締め付けられるような感覚になった。
そして一気に決壊を起こしたダムみたいに快感が押し寄せて、
「んぅ、ふぁっ、あ、あ、あっあぁっ、あぁあっぁああっ――!!」
とみっともないくらい大きな声をあげて、私は背を仰け反らせた。
びくっ、びくって体が跳ねて、手で掴んでいた毛布がしわくちゃになった。
目をぎゅっと瞑って、堪えるように指を噛んで、飛んじゃわないように必死でしがみ付いた。
けどどれだけ経っても気持ちいいのは治まってくれなくて、いつまでも私の中で渦巻いていた。
(ホントに『そういうこと』になっちゃった……)
私はあれだけ激しいキスをしたのに、まだこれからすることに現実味を感じられなくて、
でも彼の手が、ブラウスのボタンを一つ一つ外していくたびに胸が大きく高鳴って、
期待とか、不安とかいうよりもまず、恥ずかしさが先行した。
それはブラウスのボタンを全て外されて、キャミソールの姿になったときには既に頂点に達していて、
「あ、あの……カーテン、閉めてくれると嬉しいかな……」
私はたまらずに彼にそうお願いした。
「ごめんね。ちょっと焦りすぎちゃったかな」
彼は苦笑いを浮かべ、カーテンを少し、かすかな光りが入るくらいに隙間を残して閉めた。
その間に私はブラウスを脱いで、ベッドの下に適当に置いた。
部屋が薄暗くなるとさっきよりもかえって「そういう」雰囲気が出てしまって、
自分で言ったにも関わらず、恥ずかしい気持ちは治まらないままだった。
「寒くない? ひよりさん」
「うん、暖房も効いてるし、大丈夫」
けど、私の心は不安とか恐れだとか、そういうマイナスの感情は一切無くて、
それはきっと彼の優しさのせいじゃないかな、と私は思った。
カーテンを閉め終わった彼が戻ってきて、私はまたキスをされた。
その間、彼の手が私の脇腹のあたりをそっと撫でて、薄着になっていることもあって
私はそのダイレクトな刺激に体がちょっとぴくっとなった。
(こんなとこ触られてもなんともないはずなのに……なんだか変な気持ち)
好きな人にこういうことをしてもらうって、こんなにドキドキすることなんだ。
恥ずかしいけど、嬉しいな。
「……!!」
彼はキスしていた私の口から顔をずらして、私の首筋に口を這わせた。
くすぐったくて、でも悪い気はしなくて、ぞくぞくした。
キャミソールに彼の手が入ってきて、少しずつ裸にされていく。
私は心臓の音が彼に聞こえちゃうんじゃないかっていうくらい、ドキドキしていた。
ブラの下くらいまで肌が露になって、彼は体を起こして両手でキャミを上げていき、
小さな膨らみを超えた首の下あたりで手を止めた。
今、私はほとんど着ていないに等しいキャミと、ブラ一枚と、スカート。上半身は、ほとんど彼に丸見えだ。
私は自分でも分かるくらいに顔が赤くなっていくのを感じた。
(ブラも取る……んだよね。胸なんてここ最近誰にも見られたことなんてないから、恥ずかしいな……)
「綺麗だよ、ひよりさん」
彼は手を私の背中に回しながら言った。
「い、言わなくてもいいよっ、そんなこと……」
私はたまらなく恥ずかしくなって、手で顔を覆った。
彼は私のブラのホックに手をかけ、見えてないからか少し詰まったけれど、上手にホックを外した。
(うわぁっ……見られちゃう、のかな……)
彼の手がおなかのほうにまわって、ブラに触った。
「だ、だめっ……」
私は顔を手で隠したまま言った。
「ひよりさん……?」
「恥ずかしいから……み、見ないでほしい、な……」
我ながら肝が小さいな、と思うけど、羞恥心には勝てなかった。
同人誌を見られるくらい、ひょっとしたらそれ以上だったかもしれない。
「うん……わかった、今日はやめておくね」
(今日はってことは、いつかは見られるんだよね……ということはこれからもこういうことをするってことで……)
私はそんなことを考えて、頭を爆発させそうになった。
(あぅっ……)
彼はブラを私の胸に被さったままにして、その隙間から右手を滑り込ませた。
彼の手の温もりが、左の胸に伝わっている。
そして彼は左手で私の髪を撫でて、私に近づき、
「ひよりさん、すごくドキドキしてる」
と言って私にキスをし、包み込んでいた私の胸をくにっと揉んだ。
(ふぁ……触られちゃってる……)
「小さくて……ごめんね」
私は照れ隠しにそう言った。
「ううん、そんなことないよ。
僕も他の人のを見たことは無いけど……ひよりさんは十分ある、と思うよ」
彼は優しい顔でそう返してくれた。
それが私は、すごく嬉しかった。ちょっとドキドキが治まった気がした。
彼はおなかのところに口付けをして、それから口でブラを押し上げて、私の右の胸を口に含んだ。
「……っ!! は、ぁっ……」
同時に右手もさっきまでとは違ってちょっと激しく動かされ、
私は突然の刺激に一瞬対応できなかった。
(うぁ……すご……)
片方はこねるように、そして時おり丸めるようにくりくり動かされて、
片方は舐めるように、吸い付くように刺激されている。
そして「彼にされている」という感覚が、一層私を気持ちよくさせた。
「ふっ……あっ……」
(やば……感じちゃってる……)
パンツのあたりがしくんとなって、もじもじする。
そういう漫画をみたときみたいな、えっちな気分。
その気分に今私は、彼の手と口によってさせられている。
(上手すぎだよ、――君……)
さっき「他の人のを見たことがない」って言ってたってことは、彼も初めてってことなんだろうけど、
私にはそうは思えないほど、彼はすごく上手にしてくれていた。
「ふぁっ……」
「気持ちいい……? ひよりさん」
「うん……すごく上手……」
「そう言ってくれると、嬉しいな」
彼は手を口とを入れ替えて、また愛撫を始めた。
「ん……ふっ……」
頭の中がじんじんする。
あそこのあたりがまたむずむずとして足を動かすと、冷たい感じがした。
(濡れちゃってる……なんか恥ずかしいな……)
こういうことをされれば当然のことかもしれないけど、
私は彼の愛情に対して、欲望が丸出しになっているみたいで、なんだか後ろめたかった。
けれど彼の愛撫が続けば続くほど、そんな欲望はどんどん強くなっていった。
彼はまた口を外して、私の口に重ねた。
さっき胸にしたような、唇を愛撫する、激しめのキス。
そして、もちろん舌への愛撫も忘れてくれない。
数分前の初めてのときよりも、さらに上手くなっているような気がした。
「ひよりさん……大丈夫?」
彼は私のそこに手を触れて言った。
私が小さく頷くと、彼の指で優しくなぞられ、じゅく、とパンツに染みが広がったような気がした。
そのまま彼は上へ下へとゆっくり指を動かして、
時々爪で軽く擦るようにしながら、私のそこを愛撫してくれた。
(はぅ……なんかもうすっごく気持ちいいかも……)
私はそれだけでとろけそうなほど感じてしまっていた。
(自分でするときなんかと、全然違うよ……)
パンツの上からなのに、まるで直に触られてるみたいに気持ちいい。
これが「愛される」ってことなのかな。
「ひよりさん、なんだか可愛いな」
「ふぇっ?」
彼の愛撫で完全にどこかに飛んでいた私は、彼の言葉に気の抜けた言葉を出してしまった。
「ほ、褒めてくれてるんだよね、それは?」
「ふふ、もちろん」
彼にそう言われて、私はまた顔が赤くなっていくのを感じた。
(もう、すぐそういうこと言うんだから……でもやっぱり、嬉しいな)
彼の優しい言葉は、私の心を解きほぐしてくれるようだった。
「あっ……ふぁっ」
そんなことを考えていると、突然、今までと違うタイプの快感が私を突き抜けた。
「ここ、気持ちいい……?」
「んぅ、あっ、だ、だめっ……」
彼はその「気持ちいい」ポイントを攻めてきた。
一人でするときにも、よく触るところ。すごく敏感な場所。
「はぅ、んくぅっ……だめだって、――君っ……」
彼はそこを見つけると、指をその周りに這わせて重点的に愛撫した。
今までのだけでも十分だったのに、ギアが変わったみたいに、急速に快感が高まってきて、
彼の指がそこにあたる度にびくっと体が強く反応してしまう。
「んっ、んっ、あっ、はぁぁっ……」
(だめ、声、止まんないよぅ……)
押されるように声が出てきて、それが彼に聞かれていると思うとすごく恥ずかしかったけど、
止められるはずもなくて、もちろん彼の愛撫も止めてほしくなかったから、
私は壊れたCDのように、途切れ途切れなよがり声をあげていた。
「――君……脱がせて、ほしいな……」
と、そろそろパンツの冷たさがひどくなってきたので私はそう言った。
でも、ひょっとしたら、直接してほしいって気持ちも少しはあったかもしれない。
彼は何も言わずに、両手を私のパンツに掛け、ゆっくりと下ろしていった。
私は彼の愛撫が止まったからか、急に彼のことが恋しくなって、
「キス、してほしい……」
とつぶやくように言っていた。
「んむ……ちゅく……」
彼はそっと口付けてくれたけど、私はそれだけじゃ治まらなくて、
彼がしてくれたみたいな激しいキスを、今度は彼の首に両手を回して私からしていた。
けれどすっかり力が抜けてしまっていて、私はすぐに口を離すことになってしまった。
「ん……」
彼がまた手を私のそこにあてがうと、
さっきのえっちな気分がまた火山のように沸きあがってきた。
指でなぞられるとぴちゃぴちゃと音がして、それだけ濡れてしまっていることを示していた。
「はぁぅ、んふ、あぁっ」
彼に触られてしまうと、私じゃないみたいにいろんな声が出てくる。
抑えたくても抑えられない、すごくえっちな声。
それは彼の愛情に対する、証なのかもしれない。
(気持ちよすぎだよ……ちょっとやばいかも……)
私はまださっきの気持ちいいところを触られてもいないのに、もう臨界点間近だった。
「やっ、み、見ないでよぅ」
彼は口を離したときからずっと私を見ていたみたいで、私は枕で顔を隠した。けど、
「だめ。ひよりさんの顔が見たいから」
と彼はそれを許してくれず、枕を取り上げられてしまった。
そして彼の指がさっきの場所に触れ、
「んぅっ……あ、はぁあぅっ……!」
一気に数倍の快感が全身を駆け巡った。
彼は撫でたり、挟んだりして、私の扱いをよく知っているかのように丁寧に触ってくれた。
「あ、あっ、んぅっ、あぁああっ……」
ぐちゅぐちゅと水が混ぜられるような音がして、あそこがどんどん熱くなってくる。
じっとしたままじゃいられなくなって、体がうずうずと勝手に動いてしまう。
体の中のほうから泉が沸いてくるのが分かったけど、止めたくても止められるものじゃなくて、何度も溢れさせた。
(うぁ……だめ、きもちぃ……)
耐えるように私は下に敷いてある毛布を掴んだ。
「んぁ……ふ、二ついっぺんはだめっ……」
でも彼はそれを許さずに、私の胸を空いてる片手で愛撫して、もっと私を気持ちよくさせた。
胸から来る快感とあそこから来る快感が混ざり合って渦になって、
私の理性とか羞恥心とか、そういうものを巻き込んで消してしまうみたいだった。
(やば……も、だめっぽぃ……)
喘ぐことしか出来ない人形のようになった私は、わずかに残った意識で自分の限界が来ていることを感じた。
「ふぁ、――君、私、もぅ……」
そう私が言い終わるのと同じくらいに、今まで私を支えていた一本の糸のようなものがぷちんと切れ、
きゅぅうっと中が締め付けられるような感覚になった。
そして一気に決壊を起こしたダムみたいに快感が押し寄せて、
「んぅ、ふぁっ、あ、あ、あっあぁっ、あぁあっぁああっ――!!」
とみっともないくらい大きな声をあげて、私は背を仰け反らせた。
びくっ、びくって体が跳ねて、手で掴んでいた毛布がしわくちゃになった。
目をぎゅっと瞑って、堪えるように指を噛んで、飛んじゃわないように必死でしがみ付いた。
けどどれだけ経っても気持ちいいのは治まってくれなくて、いつまでも私の中で渦巻いていた。
どれくらい経った後だったか、ようやく波が引いたころには、私はぐったりとしてしまっていて、
口は半開きのまま荒く息をしていて、目はぼんやりと開いたまま宙を見つめていた。
(イッちゃった……ううん、イかされちゃったんだ……)
体中がゆるんで、あそこの辺りからつつ、と愛液がおしりのほうに垂れていった。
スカートも脱いでおけばよかったかな、とちらりと思ったけれど、すぐにどうでもよくなった。
「大丈夫……? ひよりさん」
と彼は窺うように聞いた。
「うん……ちょっと気持ちよすぎた、かな……でも」
私は彼の目を見て、
「これからまだしなくちゃいけないし、ね」
と、頼りなく笑った。
口は半開きのまま荒く息をしていて、目はぼんやりと開いたまま宙を見つめていた。
(イッちゃった……ううん、イかされちゃったんだ……)
体中がゆるんで、あそこの辺りからつつ、と愛液がおしりのほうに垂れていった。
スカートも脱いでおけばよかったかな、とちらりと思ったけれど、すぐにどうでもよくなった。
「大丈夫……? ひよりさん」
と彼は窺うように聞いた。
「うん……ちょっと気持ちよすぎた、かな……でも」
私は彼の目を見て、
「これからまだしなくちゃいけないし、ね」
と、頼りなく笑った。
お互いの服を脱ぎあって、何も纏っていない、生まれたままの姿の二人が、ベッドに居た。
裸を見られることの恥ずかしさはもうどこかへ消えてしまっていて、
どちらかと言うと彼のほうがまだ慣れていないみたいで、
「少しひよりさんの気持ちがわかったよ」
と、照れたように言っていた。
(わ……おっきぃな……)
暗くてはっきりとは分からないけれど、避妊具を付けた彼のそれは一目で分かるくらいにすごいことになっていて、
もちろんそういう漫画とかでは見たことあるんだけど、私はつい釘付けになってしまった。
「緊張してないかい……?」
「うん……多分、大丈夫」
彼は膝をついて、私の足の下に滑り込ませた。
両手を胸の横あたりに置いて、いわゆる「押し倒されている」という構図になっている。
「可愛いよ、ひよりさん」
彼はそう言って私にキスをした。
「痛かったりしたら、言ってね」
彼のそれが、私のそこに当てられる感触がする。
(わっ……ホントに、入っちゃう……)
そう思うと、リラックスしていたつもりだけどちょっと体が強張ってしまった。
彼はそれに気付いたのか、
「きっと、大丈夫だから。力を抜いて、ひよりさん」
と言ってまた私にキスをしてくれた。
舌の絡まない、触れるくらいのキスに、私は付き合い始めの頃を思い出した。
(なんだかとても安心する……)
私は気付けば自然に力を抜くことができていた。
「んっ……は、入った……?」
「まだ少しだけ……大丈夫?」
「うん、今のところは……」
「リラックスしてね。きっと、大丈夫だよ」
優しく声をかけてくれながら、少しづつ、少しづつ彼は私の中へと挿入していった。
骨が軋むような感覚に私は何度か体を緊張させたりしたけれど、そのたびに彼は私にキスをしたり、
体を触ってくれたりして、彼の心を感じさせてくれた。
体の繋がりよりももっと大きい心の繋がりが、私はすごく嬉しかった。
「もう結構入ったけれど……痛くない……?」
「ちょっとじんじんするけど、大丈夫。我慢できないくらいじゃないから……」
「無理しないでね、ひよりさん」
「うん。今は――君と最後までしたいから……続けて、お願い」
何度もキスを繰り返しながら、何度もお互いの愛を確かめあいながら、私達は一つになろうとしていた。
「んっ……んんっ……!」
「大丈夫?」
「うんっ……平気……。これでお終い……?」
「うん……もう全部みたい」
「もう少し、このままで居て……まだちょっと、慣れないから……」
彼は私の頭に手をまわして、私を優しく抱いてくれた。私も彼の体に手を伸ばし、彼の体温を感じた。
(――君、すごくドキドキしてる……)
今までで一番近くに、一番好きな人が居る。それだけで、ひどく心が落ち着いた。
「ちゅぷ……あむ……」
今日で何度目か分からない、彼とのキス。けれど、何度しても決して飽きたりはしない。
ひょっとしたら、手をつなぐ回数よりも多くなるんじゃないかな、と思った。
「少し……動いてみて、――君」
「うん」
彼は腰をゆっくりと引いた。中でそれが引き抜かれる感触がした。
「大丈夫そう……?」
「うん、多分……」
「というか、僕のほうが大丈夫じゃないかも」
「えっ、痛いとか?」
「いや、そうじゃなくて……その、ひよりさんの中って……気持ちよくって……」
(それってつまり……)
「……!! え、えっ、あの、あはは、なんか恥ずかしいな、それ……」
「ふふ、ごめんね」
「でも……また出来るんだし、私はもう終わっても大丈夫だよ」
「そうだね……って、なんだかかっこ悪いなぁ、僕」
「うふふ、気にしないで」
彼は自嘲気味に笑って、それからまた私の中へ入っていった。
ゆっくり、ゆっくりと前後の運動を繰り返して、その間、私達はずっと見つめあっていた。
もう痛みはほとんど引いていて、内側が擦られることに気持ちよさにも似た感覚も表れ始めていた。
「ひよりさん、ごめん、もう……」
「いいよ、大丈夫」
さっきたくさん彼に言ってもらった言葉をかけて、私は彼を抱きしめた。
(うぁっ……どくどくいってる……)
中で彼のそれが脈打っているのが、内側を通って私にも伝わってきた。
彼は私に抱かれながら、たくさん私に愛を吐き出した。
「これで、おあいこだね」
数秒だったか、数十秒だったかが経った後、私達は目を合わせて、またキスをした。
裸を見られることの恥ずかしさはもうどこかへ消えてしまっていて、
どちらかと言うと彼のほうがまだ慣れていないみたいで、
「少しひよりさんの気持ちがわかったよ」
と、照れたように言っていた。
(わ……おっきぃな……)
暗くてはっきりとは分からないけれど、避妊具を付けた彼のそれは一目で分かるくらいにすごいことになっていて、
もちろんそういう漫画とかでは見たことあるんだけど、私はつい釘付けになってしまった。
「緊張してないかい……?」
「うん……多分、大丈夫」
彼は膝をついて、私の足の下に滑り込ませた。
両手を胸の横あたりに置いて、いわゆる「押し倒されている」という構図になっている。
「可愛いよ、ひよりさん」
彼はそう言って私にキスをした。
「痛かったりしたら、言ってね」
彼のそれが、私のそこに当てられる感触がする。
(わっ……ホントに、入っちゃう……)
そう思うと、リラックスしていたつもりだけどちょっと体が強張ってしまった。
彼はそれに気付いたのか、
「きっと、大丈夫だから。力を抜いて、ひよりさん」
と言ってまた私にキスをしてくれた。
舌の絡まない、触れるくらいのキスに、私は付き合い始めの頃を思い出した。
(なんだかとても安心する……)
私は気付けば自然に力を抜くことができていた。
「んっ……は、入った……?」
「まだ少しだけ……大丈夫?」
「うん、今のところは……」
「リラックスしてね。きっと、大丈夫だよ」
優しく声をかけてくれながら、少しづつ、少しづつ彼は私の中へと挿入していった。
骨が軋むような感覚に私は何度か体を緊張させたりしたけれど、そのたびに彼は私にキスをしたり、
体を触ってくれたりして、彼の心を感じさせてくれた。
体の繋がりよりももっと大きい心の繋がりが、私はすごく嬉しかった。
「もう結構入ったけれど……痛くない……?」
「ちょっとじんじんするけど、大丈夫。我慢できないくらいじゃないから……」
「無理しないでね、ひよりさん」
「うん。今は――君と最後までしたいから……続けて、お願い」
何度もキスを繰り返しながら、何度もお互いの愛を確かめあいながら、私達は一つになろうとしていた。
「んっ……んんっ……!」
「大丈夫?」
「うんっ……平気……。これでお終い……?」
「うん……もう全部みたい」
「もう少し、このままで居て……まだちょっと、慣れないから……」
彼は私の頭に手をまわして、私を優しく抱いてくれた。私も彼の体に手を伸ばし、彼の体温を感じた。
(――君、すごくドキドキしてる……)
今までで一番近くに、一番好きな人が居る。それだけで、ひどく心が落ち着いた。
「ちゅぷ……あむ……」
今日で何度目か分からない、彼とのキス。けれど、何度しても決して飽きたりはしない。
ひょっとしたら、手をつなぐ回数よりも多くなるんじゃないかな、と思った。
「少し……動いてみて、――君」
「うん」
彼は腰をゆっくりと引いた。中でそれが引き抜かれる感触がした。
「大丈夫そう……?」
「うん、多分……」
「というか、僕のほうが大丈夫じゃないかも」
「えっ、痛いとか?」
「いや、そうじゃなくて……その、ひよりさんの中って……気持ちよくって……」
(それってつまり……)
「……!! え、えっ、あの、あはは、なんか恥ずかしいな、それ……」
「ふふ、ごめんね」
「でも……また出来るんだし、私はもう終わっても大丈夫だよ」
「そうだね……って、なんだかかっこ悪いなぁ、僕」
「うふふ、気にしないで」
彼は自嘲気味に笑って、それからまた私の中へ入っていった。
ゆっくり、ゆっくりと前後の運動を繰り返して、その間、私達はずっと見つめあっていた。
もう痛みはほとんど引いていて、内側が擦られることに気持ちよさにも似た感覚も表れ始めていた。
「ひよりさん、ごめん、もう……」
「いいよ、大丈夫」
さっきたくさん彼に言ってもらった言葉をかけて、私は彼を抱きしめた。
(うぁっ……どくどくいってる……)
中で彼のそれが脈打っているのが、内側を通って私にも伝わってきた。
彼は私に抱かれながら、たくさん私に愛を吐き出した。
「これで、おあいこだね」
数秒だったか、数十秒だったかが経った後、私達は目を合わせて、またキスをした。
「私ね」
「うん」
「嬉しかった。――君とこういうことが出来て」
ベッドの上に二人で寝転んで、私達は手をつないだ。
雨はいつのまにか止んでいて、部屋には私達以外の声は、なにも聞こえなかった。
「こういうことって、心の繋がりがすごく大切なんだと思う。
今日、されてるときに、――君に、『大丈夫だよ』とか、『可愛いよ』とか、
そういうことをたくさん言ってもらえて、すごく安心した。すごく――君の優しさを感じた。
私って、愛されてるなって、大切に思われてるんだなって思った。
だから、――君のことも、当たり前みたいにすんなり受け入れられた。
……私、趣味がこういうのだから、そういう話の同人誌も持ってたりするけど、
そこに描かれてたりするのって、大抵行為に重点が置かれてたりして、
まぁ、当たり前なんだけど、見せるためだけのえっちしか、してないんだよね。
もしかしたら私も、そういう話、描いちゃってたかもしれない。……ううん、描いてた。
けど、本当に必要なのって、心の繋がりなんだね。
きっとそれは、漫画の世界でも同じ。愛がなくちゃ、本当のえっちって言えないんだと思う。
……まぁ、そんな本、売れるかどうか分かんないけどね」
「ふふ……。それじゃあ、僕の気持ちはひよりさんに伝わったってことでいいのかな」
「うん。いっぱい、いっぱーい伝わった。ありがとね、――君」
「どういたしまして。でも僕はまだまだ、ひよりさんには伝えたりてないと思ってる。
だからこれから……どれだけかかるか分からないけど、
ずっとひよりさんに伝えていきたい。……付き合ってくれるかな?」
「もちろんだよ。私からも、たくさん伝えなきゃ」
繋いだ手が、ぎゅっと固くなった。
いつも、どんなときでもお互いを感じられるような。そんな関係になれたらいいな。
「ねぇ――君。もう一回、してみない……?」
「ひよりさんは、大丈夫なの?」
「うん、もうしばらく経ったし……それに、まだ――君と繋がってたいんだ」
「ひよりさん……。僕も、今日はひよりさんと、もっとずっと一緒に居たいな」
心の繋がりと体の繋がり。それは表裏の関係なのかもしれない。
どちらが欠けても、きっと駄目なんだ。少なくとも私には、そう思えた。
彼は体を起こして、私の唇に触れた。
「うん」
「嬉しかった。――君とこういうことが出来て」
ベッドの上に二人で寝転んで、私達は手をつないだ。
雨はいつのまにか止んでいて、部屋には私達以外の声は、なにも聞こえなかった。
「こういうことって、心の繋がりがすごく大切なんだと思う。
今日、されてるときに、――君に、『大丈夫だよ』とか、『可愛いよ』とか、
そういうことをたくさん言ってもらえて、すごく安心した。すごく――君の優しさを感じた。
私って、愛されてるなって、大切に思われてるんだなって思った。
だから、――君のことも、当たり前みたいにすんなり受け入れられた。
……私、趣味がこういうのだから、そういう話の同人誌も持ってたりするけど、
そこに描かれてたりするのって、大抵行為に重点が置かれてたりして、
まぁ、当たり前なんだけど、見せるためだけのえっちしか、してないんだよね。
もしかしたら私も、そういう話、描いちゃってたかもしれない。……ううん、描いてた。
けど、本当に必要なのって、心の繋がりなんだね。
きっとそれは、漫画の世界でも同じ。愛がなくちゃ、本当のえっちって言えないんだと思う。
……まぁ、そんな本、売れるかどうか分かんないけどね」
「ふふ……。それじゃあ、僕の気持ちはひよりさんに伝わったってことでいいのかな」
「うん。いっぱい、いっぱーい伝わった。ありがとね、――君」
「どういたしまして。でも僕はまだまだ、ひよりさんには伝えたりてないと思ってる。
だからこれから……どれだけかかるか分からないけど、
ずっとひよりさんに伝えていきたい。……付き合ってくれるかな?」
「もちろんだよ。私からも、たくさん伝えなきゃ」
繋いだ手が、ぎゅっと固くなった。
いつも、どんなときでもお互いを感じられるような。そんな関係になれたらいいな。
「ねぇ――君。もう一回、してみない……?」
「ひよりさんは、大丈夫なの?」
「うん、もうしばらく経ったし……それに、まだ――君と繋がってたいんだ」
「ひよりさん……。僕も、今日はひよりさんと、もっとずっと一緒に居たいな」
心の繋がりと体の繋がり。それは表裏の関係なのかもしれない。
どちらが欠けても、きっと駄目なんだ。少なくとも私には、そう思えた。
彼は体を起こして、私の唇に触れた。
「また痛かったりしたら言ってね」
と私に覆いかぶさるようにして、彼。
「うん。そういえばそれ、二つも持ってたんだ」
と床に落とされた封の切れた包みを見て、私。
「ふふ、万が一の時もあるかと思ってね」
「なぁに、万が一の時って、ふふふっ」
「こういう時、かな」
そして目を見つめて、私達は笑いあった。
きっと、今日一日で昨日よりもずっと仲良くなれた。
「じゃあ、いくよ……」
「ん……うぁぁっ……」
数十分前に受け入れた彼のそれが、また私の中へと入ってきた。
でもさっきのような痛みは感じなくて、むしろ、
(気持ちいい、かも……)
「ひよりさん、大丈夫?」
「うん、平気みたい。動いてみて……いいよ」
それから彼はゆっくりと抜いたり、出したりを繰り返した。
きゅうって中が締め付けられるように熱くなって、
そのせいで彼の形とか、大きさとかが、生々しく感じられた。
「ふぇぁ……んっ、んぅっ……」
触られてるときなんかと違う突き上げられる快感に、
私は慣れていないからか、彼が少し動いただけでも声を出してしまっていた。
「気持ちいい……?」
「うん……すごく、気持ちいい……あぅっ……。
もっと、動いてもいいよ……駄目だったら言うから……」
「うん、分かった」
そう言うと彼は頃合を見て、段々と速度をつけてきた。
(わっ、わっ、何これ……)
彼に一突きされる度に、快感がポンプで押し上げられていくみたいに蓄積されていく。
ぐじゅぐじゅって水がかき回される音がして、ベッドがガタガタ軋む音がして、
「んっ、んっ、んっ、んく、ふぁあっ」
私の口から意識してないのにやらしい声が出て、彼の口から乱れた吐息が聞こえて、
彼に掴まれている腰から、彼の体温が伝わって、私の小さな胸が上下に揺れているのが分かって、
そんな全てのことが、私には今すごく官能的で、
ただ中を刺激されているだけじゃない、もっと大きな快感が、私を満たしていった。
「ひよりさん、痛くない?」
「うんっ、だいじょう、ぶ、んっ、はぁっ」
本当言うと完全に痛くないわけじゃないけれど、小指で掻かれているような小さなもので、
今はそれ以上に気持ちいいって感覚のほうが、何十倍も強かった。
(おかしくなりそ……やばいなぁ……)
暖房がついているのが煩わしくなるほどに体中が熱くなってくる。
乾いた空気中に、私達の肌がぶつかり合う音が規則的に響いていた。
「ん、んはっ、あ、あ、――君っ……」
「ひより、さんっ……」
同じタイミングで顔を近づけあって、舌を絡ませた。
そのまま胸を密着させて、私は頭を包まれるように強く抱かれた。
「うっ、くぅ、すご、ああぁっ」
体勢が変わり、さっきまでと突かれるところも変わった。
奥までぐいぐい入ってきて、そこから入り口のほうまでぞわっとなぞられて。
それの繰り返しで、頭がくらくらするほど感じてしまって。
彼にしがみつくことで、なんとか自分を保てているようだった。
「ひよりさん、もう、だめ、かも……」
「うん、私も、ちょっと、んぅ、耐えられないからっ、お願いっ……」
そうして彼は一気にピストン運動を早めた。
そして私の名前を呼んで、私の腕の中でにわかに脱力した。
(すご……さっきよりもいっぱい……)
どくどくと彼は私の中で大きく跳ねた。
それは彼の愛してくれた証なんだと思うと、私は堪らなく幸せな気持ちになった。
「また、しようね、――君」
私は彼に口付けをした。とびっきりの、愛を込めて。
と私に覆いかぶさるようにして、彼。
「うん。そういえばそれ、二つも持ってたんだ」
と床に落とされた封の切れた包みを見て、私。
「ふふ、万が一の時もあるかと思ってね」
「なぁに、万が一の時って、ふふふっ」
「こういう時、かな」
そして目を見つめて、私達は笑いあった。
きっと、今日一日で昨日よりもずっと仲良くなれた。
「じゃあ、いくよ……」
「ん……うぁぁっ……」
数十分前に受け入れた彼のそれが、また私の中へと入ってきた。
でもさっきのような痛みは感じなくて、むしろ、
(気持ちいい、かも……)
「ひよりさん、大丈夫?」
「うん、平気みたい。動いてみて……いいよ」
それから彼はゆっくりと抜いたり、出したりを繰り返した。
きゅうって中が締め付けられるように熱くなって、
そのせいで彼の形とか、大きさとかが、生々しく感じられた。
「ふぇぁ……んっ、んぅっ……」
触られてるときなんかと違う突き上げられる快感に、
私は慣れていないからか、彼が少し動いただけでも声を出してしまっていた。
「気持ちいい……?」
「うん……すごく、気持ちいい……あぅっ……。
もっと、動いてもいいよ……駄目だったら言うから……」
「うん、分かった」
そう言うと彼は頃合を見て、段々と速度をつけてきた。
(わっ、わっ、何これ……)
彼に一突きされる度に、快感がポンプで押し上げられていくみたいに蓄積されていく。
ぐじゅぐじゅって水がかき回される音がして、ベッドがガタガタ軋む音がして、
「んっ、んっ、んっ、んく、ふぁあっ」
私の口から意識してないのにやらしい声が出て、彼の口から乱れた吐息が聞こえて、
彼に掴まれている腰から、彼の体温が伝わって、私の小さな胸が上下に揺れているのが分かって、
そんな全てのことが、私には今すごく官能的で、
ただ中を刺激されているだけじゃない、もっと大きな快感が、私を満たしていった。
「ひよりさん、痛くない?」
「うんっ、だいじょう、ぶ、んっ、はぁっ」
本当言うと完全に痛くないわけじゃないけれど、小指で掻かれているような小さなもので、
今はそれ以上に気持ちいいって感覚のほうが、何十倍も強かった。
(おかしくなりそ……やばいなぁ……)
暖房がついているのが煩わしくなるほどに体中が熱くなってくる。
乾いた空気中に、私達の肌がぶつかり合う音が規則的に響いていた。
「ん、んはっ、あ、あ、――君っ……」
「ひより、さんっ……」
同じタイミングで顔を近づけあって、舌を絡ませた。
そのまま胸を密着させて、私は頭を包まれるように強く抱かれた。
「うっ、くぅ、すご、ああぁっ」
体勢が変わり、さっきまでと突かれるところも変わった。
奥までぐいぐい入ってきて、そこから入り口のほうまでぞわっとなぞられて。
それの繰り返しで、頭がくらくらするほど感じてしまって。
彼にしがみつくことで、なんとか自分を保てているようだった。
「ひよりさん、もう、だめ、かも……」
「うん、私も、ちょっと、んぅ、耐えられないからっ、お願いっ……」
そうして彼は一気にピストン運動を早めた。
そして私の名前を呼んで、私の腕の中でにわかに脱力した。
(すご……さっきよりもいっぱい……)
どくどくと彼は私の中で大きく跳ねた。
それは彼の愛してくれた証なんだと思うと、私は堪らなく幸せな気持ちになった。
「また、しようね、――君」
私は彼に口付けをした。とびっきりの、愛を込めて。
最後のキスから数十分後、服を着た私は、
「今日で一気に全年齢向けじゃなくなっちゃったね、この話」
と机に置かれた原稿を持って言った。
「まぁ、無理に書かなくてもいいんじゃないかな」
と彼はいつもの微笑を浮かべた。
「ううん、きっと描いてみせるっ! なんてったって、私と――君との思い出だもん。
そしてゆくゆくは次の新刊に……って、だめだめ! つい私の悪いクセが……」
「ふふ……じゃあ、出来たら見せてくれるかな。ひより先生の、一番のファンとして」
「うん、もちろんっ!」
私は親指を立てて、彼にウインクをした。
「今日で一気に全年齢向けじゃなくなっちゃったね、この話」
と机に置かれた原稿を持って言った。
「まぁ、無理に書かなくてもいいんじゃないかな」
と彼はいつもの微笑を浮かべた。
「ううん、きっと描いてみせるっ! なんてったって、私と――君との思い出だもん。
そしてゆくゆくは次の新刊に……って、だめだめ! つい私の悪いクセが……」
「ふふ……じゃあ、出来たら見せてくれるかな。ひより先生の、一番のファンとして」
「うん、もちろんっ!」
私は親指を立てて、彼にウインクをした。
この物語は、どんな話になるか分からないけれど、きっと、どこまでも続いていくんだと思う。
私が彼と手を繋ぎ続ける限り、ずっと。
The story is over. But they'll be together, forever...
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- 二人ともお幸せに。GJ -- 名無しさん (2010-03-15 00:40:30)
- 何というか…
この作品といい「恋するひより」といい男キャラ×ひより最高ぉぉ!!
この二人の幸せよ、永久に続け…。
(BGMはコブクロ、永遠にともにでお送りいたしましたw) -- 名無しさん (2009-04-08 18:37:15) - ひよりぃぃぃん!! -- 名無しさん (2008-10-19 11:53:21)
- 2ヶ月ぶりにきたけど、コメント欄がないですね。
この作品、下手したら対オリ男で最高の作品
になるのにww -- taihoo (2008-10-05 02:48:23) - タイトルがエイフェックスな件 -- 名無しさん (2008-09-07 00:33:21)
- めっちゃいいです!!!これ最高GJ!!!
すごい!!ひよりん好きになったかもwww -- taihoo (2008-08-07 10:48:28) - 何故こんないい作品にコメントが無いッ…!
初々しい感じがとても良かったです、GJ! -- 名無しさん (2008-02-12 09:14:30)