
モリブリン(ゼルダの伝説シリーズ)
モリブリンは、『ゼルダの伝説』シリーズに登場する獣人型の魔物であり、初代『ゼルダの伝説』からシリーズを通して頻繁に姿を見せている敵キャラクターのひとつ。槍を用いた攻撃や突進、広範囲の物理戦法を得意とすることが多く、シリーズごとに異なる行動パターンや生態が設定されている。分類としてはモンスターであるが、ただ倒す対象にとどまらず、その姿勢や習性、時には見せる間の抜けた行動により、観察対象としても一定の存在価値を持っている。
初期作品においては、森に住む獣のような外見をしており、赤と青の二種が存在。赤よりも青が高い耐久と攻撃力を持ち、進化的なグラデーションを示す設計となっていた。『リンクの冒険』では、上下段を切り替えながら突き刺してくる動きが印象的であり、敵としての緊張感を与える一方、行動パターンに慣れることで“個性”を感じやすい相手にもなっている。
『神々のトライフォース』では闇の世界に出現し、シリーズにおける“異界の住人”としての性格付けが強まった。空間的には森林や遺跡など、人間の文明から少し外れた領域を主な生息圏とすることが多く、プレイヤーにとっては「人の領域外に生きる獣性」の象徴ともなっている。
近年の作品、特に『ブレス オブ ザ ワイルド』では、その姿と性格が大きくアップデートされた。体格は大型化し、単体でも強敵として成立する重量感を持つ一方で、眠っていたり、ぼんやりと食事をしていたり、他の魔物と会話をしている姿が描写されることもある。これにより、単なる敵という枠を越えて、“生きている魔物”としての厚みが表現されるようになった。ときにはリンクの存在に気づかず居眠りする姿を見せ、プレイヤーの中にはこの“ゆるさ”に惹かれ、倒すのをためらう者もいる。
モリブリンは、倒す対象であると同時に、シリーズにおける「魔物文化」のひとつの形でもある。魔物たちがどう暮らし、どう構造化されているかを読み解く入口として、モリブリンの存在は極めて重要である。単なるモブではなく、特定の“性格”と“習性”を持ち、作品世界のリアリティを支える役割を果たしている点において、観察対象としての魅力を持った魔物である。シリーズごとにデザインや知能、性格に差異があるため、進化的視点からの比較にも価値があり、モンスター好きにとっては注目すべき存在となっている。
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