キミヘノ愛ノ感情
ソレダケデコノ身ハ動ク
◯ ◯ ◯
エリアD-6 病院内部
静寂の中に室内を照らす照明の輝きと、エスカレーター等の動作音のみが鳴り響く、静寂に遠くとも近いホールの中――赤毛のツインテールを靡かせた少女、エレノア・ヒュームはいた
ルール説明に、前座と称して行われた残酷な見せしめ、填められた鋼鉄の首輪。そして見知った名前が乗っている名簿
キララウス火山にいた自分たち(何故かアイゼンだけハブられている)がこんな所に呼ばれたのはは皆目見当はつかない。だがこんな殺し合いを許容するわけにはいかないのが彼女だ
キララウス火山にいた自分たち(何故かアイゼンだけハブられている)がこんな所に呼ばれたのはは皆目見当はつかない。だがこんな殺し合いを許容するわけにはいかないのが彼女だ
唯一の懸念は、名簿に載っていた『オスカー・ドラゴニア』の名だ。彼はリオネル島で、結果的にベルベットに殺されたはずだ。
死んだ人間が蘇っているという疑問も尽きないのだが、もし蘇ったとしたならば尚更ベルベットと出会わせるわけにはいかない。オスカーのことだからまず殺し合いには乗らないだろうとは思うが、彼がもしベルベットと出会い、テレサの一件を知ったのなら殺し合いは避けられない
死んだ人間が蘇っているという疑問も尽きないのだが、もし蘇ったとしたならば尚更ベルベットと出会わせるわけにはいかない。オスカーのことだからまず殺し合いには乗らないだろうとは思うが、彼がもしベルベットと出会い、テレサの一件を知ったのなら殺し合いは避けられない
こんな状況だ、出来ればシグレやオスカーとも協力してこの殺し合いを止めたいところである。だが、ロクロウとの決着を望むシグレはともかく姉の件が地雷となっているオスカーがどうなるかがわからない
それもあるため、早くベルベット達とは合流したいのが事実だ(あとロクロウが強い奴だからといって勝手に戦闘仕掛けて問題起こしたりしてそうというのもあるが)。
もし、その前にオスカーと出会ったしまっのならば、自分は彼にどう接すれば良いのだろうか
もし、その前にオスカーと出会ったしまっのならば、自分は彼にどう接すれば良いのだろうか
だが、今そんな事を悩んでいても仕方がない。今は自分が出来ることをするだけである
「病院、とは地図に書かれてはいましたが……」
現在、病院へと侵入したエレノアの顔面に広がっていたのは未知の光景ばかりであった
自動に動く階段、自動開閉扉が付けられた上下に動く箱、炎や霊力もなしに輝く照明、未知の器具。彼女の世界には機械文明の類がなかったが故、こんな殺し合いでなかったら目を輝かせても居たであろう
自動に動く階段、自動開閉扉が付けられた上下に動く箱、炎や霊力もなしに輝く照明、未知の器具。彼女の世界には機械文明の類がなかったが故、こんな殺し合いでなかったら目を輝かせても居たであろう
「誰かいてくれればいいんですけど……そう簡単には見つかってはくれませんね」
今いるホールだけではなく、上層の階をも捜索した、道中で年のために包帯を回収したりはしたが、人の気配は今の所なかった。唯一気になったのは、捜索中に見かけたロッカー棚の一つだけが不自然に開けられていたことぐらいだ
「……仕方ないですね」
目ぼしいものはあまりなかった以上、ここに長居をする理由もない。そう考え、皆が集まってそうであろうバンエルディア号へ向かうために足を進めようとした途端
「――どちらさま、でしょうか?」
声がした。振り返ると、人が居た。
◯ ◯ ◯
オマエ『タチ』ヘノ憎悪ノ感情
ソレダケデコノ身ハ―――
◯ ◯ ◯
「申し訳ございません、驚かせるつもりはなかったのですが……その、エレノア様、でいいのでしょうか?」
「エレノアで構いませんよ、メアリさん」
「エレノアで構いませんよ、メアリさん」
エレノアに声を掛けたのは、赤褐色の髪を持つ少女、メアリ・ハント
「ですが、メアリさんはどうしてこんな所に? 同じようにわけも分からず呼ばれたのは同じだろうとは思いますが……」
「私は最初に飛ばされた時に居た場所がここだったもので、それにロッカーらしき所から小動物のようなものが飛び出してきて、わたくし、それにびっくりして駆け出して……散々走り回って」
「小動、物……? それに何か特徴とかは」
「はい、帽子をかぶった……。ごめんなさい、飛び出してきた弾みで転んでしまったもので詳しい姿は、あ、でも「びえ~~~~~」なんて鳴き声が聞こえたのは覚えてます」
「私は最初に飛ばされた時に居た場所がここだったもので、それにロッカーらしき所から小動物のようなものが飛び出してきて、わたくし、それにびっくりして駆け出して……散々走り回って」
「小動、物……? それに何か特徴とかは」
「はい、帽子をかぶった……。ごめんなさい、飛び出してきた弾みで転んでしまったもので詳しい姿は、あ、でも「びえ~~~~~」なんて鳴き声が聞こえたのは覚えてます」
その話を聞き、絶妙というか、微妙そうに顔を傾げながら「あー……」と呆れ気味に呟くエレノア
「……メアリさん、それ小動物らしきもの、私の知り合いです」
「えっ、そうなんですか?」
「……ビエンフーという名前なんですけど……全く何やってるんですか……」
「?」
「………メアリさん、ビエンフーがどこへ行ったかは知りませんか?」
「ごめんなさい。上の階段に登ったのは覚えているのですが……」
「もしかしたら私が別の階段で降っている間にすれ違ったのかも……ちょっと探してきます」
「あ、待ってくださいエレノア様、私――」
「大丈夫です。ここに私達以外に人がいる可能性もあります、それにその人が殺し合いに乗っていないとも限りません。なのでメアリさんはここで待っていてください」
「いやそういうことではないんですよ、
「えっ、そうなんですか?」
「……ビエンフーという名前なんですけど……全く何やってるんですか……」
「?」
「………メアリさん、ビエンフーがどこへ行ったかは知りませんか?」
「ごめんなさい。上の階段に登ったのは覚えているのですが……」
「もしかしたら私が別の階段で降っている間にすれ違ったのかも……ちょっと探してきます」
「あ、待ってくださいエレノア様、私――」
「大丈夫です。ここに私達以外に人がいる可能性もあります、それにその人が殺し合いに乗っていないとも限りません。なのでメアリさんはここで待っていてください」
「いやそういうことではないんですよ、
エレノア様?」
「―――!?」
それは殺意にも等しい、どこまでも冷たい、感情を感じられない言葉。さっきまでの物腰の柔らかい言葉とは思えないほどに
その刹那、エレノアの背後より、水状の物体が出現
その刹那、エレノアの背後より、水状の物体が出現
「―――あっ?!」
その物体は即座にエレノア・ヒュームの身体を飲み込んだ
「さようならですエレノア様、こんな形でなければ、貴女様とも友達になれていたかもしれません」
(……こ、れ―――ぁ)
思考をする暇もなく、水はエレノアの身体を分解していく、衣服、支給品、肉、骨、その血一滴諸共も
自らの身体が溶かされる感覚の中、最後に彼女の脳内に埋め尽くしていたのは、メアリに対する「どうして?」という感覚、そしてライフィセットの行く末に対する心配であった
自らの身体が溶かされる感覚の中、最後に彼女の脳内に埋め尽くしていたのは、メアリに対する「どうして?」という感覚、そしてライフィセットの行く末に対する心配であった
【エレノア・ヒューム@テイルズオブベルセリア 死亡】
◯ ◯ ◯
それを初めて見た時のわたくしが抱いた最初の感情は「どうして?」だった
最初は単なる興味本位だった。その『本』を手に取り、それを目撃してしまった
信じたくもなかったし、信じられもしなかった。だけど、それは間違いなくカタリナ様の所有物であった
書いていることはわたくしの頭ではわからなかった。けれど、確かなことは
『カタリナ・クラエスは人生は破滅させられる』
ただ、その事実だった。しかも、カタリナ様本人の、婚約者か義弟のどちらかによって
あの人たちがそんな事をするわけがない、そう思おうとしても黒い感情だけがどんどん湧き出してくる
わかっている、わかっているはずなのに
『どうして』
嘘だ、カタリナ様があんなことをするわけがない。というか出来るわけがないしそこまで考えるほど頭は良くない
『どうしてカタリナ様が』
じゃあどうしてあんな事が書かれていたのだろう
『こんなことって』
もしかして、ジオルド様もキース様も最初から
『もしそうだとしたら』
じゃあ、カタリナ様は嵌められ―――
『ふざけるな』
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
カタリナ様は、初めて私をという人間を肯定してくれた大切な人だ。挫けそうになるたびに、いつもいつも手を差し伸べてくれた
自分が男だったなら真っ先に結婚式をあげてしまいたいほどにこの世で最も大好きで
もしあの本に書いている事が事実であるならば、キース・クラエスとジオルド・スティアート、そしてマリア・キャンベルなる知らない女は私の敵だ
私だってあの二人のことはそれなりに信用していた、だから信じたくなかった。でもカタリナ様本人によって書かれていたのだ
二人か、カタリナ様か、もし信用するとならば、私は必ずカタリナ様を信用する
だから―――
カタリナ様を破滅させるような奴らも、カタリナ様に危害を加えようとするやつも、みんなみんなみんなみんなみんな、いなくなってしまえ
そうだ、私が優勝して、カタリナ様を破滅の運命から救えば良いんだ
そうすればよかったんだ
◯ ◯ ◯
『死の水』――ロシア成教司教であるニコライ=トルストイが用いた、魔術霊装の一つ
ロシアに伝わるスラヴ民話の魔女、一本足の家の人喰い婆さん |に纏わる物語において、数少ない人間側が勝利したエピソードの一つ「『命の水』と『死の水』の話」を元に作り上げられたものだ
透明な水の形状をとったそれは、術者の指示に従い対象を包み込み、分解する
先程エレノア・ヒュームを文字通り分解し、殺害したのはこれによるものだ
「……もう、これで後には戻れない、ですね」
エレノア・ヒュームが居た証となりうる、唯一溶けなかった首輪を自らのデイバッグに放り込み、再び静寂に満ちたホールの中心でメアリは小さく呟く
もはや覚悟を決めてしまった以上、後戻りなんてできない。自分の願いのために、自分を救ってくれたあの人のためにこの手を血に染める事を決めてしまったのだから
今の私を見たのなら、カタリナ様は私のことを嫌ってしまうのだろうか、それとも無理にでも止めてくるのだろうか、けれども今更そんな事を考えても仕方がない
もはや覚悟を決めてしまった以上、後戻りなんてできない。自分の願いのために、自分を救ってくれたあの人のためにこの手を血に染める事を決めてしまったのだから
今の私を見たのなら、カタリナ様は私のことを嫌ってしまうのだろうか、それとも無理にでも止めてくるのだろうか、けれども今更そんな事を考えても仕方がない
「……そういえば、あの時の……ビエンフーとか言ってましたね」
ふと思い出したのは彼女 が探そうとしていた、あの時の小動物もどき
痕跡は完全に溶解し、残った首輪も回収した。疑われる心配性は少ないであるが、それはそれでここに居続けるわけにもいかない
痕跡は完全に溶解し、残った首輪も回収した。疑われる心配性は少ないであるが、それはそれでここに居続けるわけにもいかない
「まあ、それはまた出会ってしまった時にでも考えておきましょう」
頭を切り替え、メアリ・ハントは足を進める
少女の瞳は、夜空の星々よりも輝き、そして夜空よりも深く、どす黒く濁っていた
少女の瞳は、夜空の星々よりも輝き、そして夜空よりも深く、どす黒く濁っていた
キミのいない世界なんて認めない
キミがいれば何もいらない
カタリナ様が微笑む世界が、永久に続きますように
―――余談であるが、そのビエンフー本人がびっくりした拍子で飛び出して上層階へ上がった挙げ句壁に激突して気を失い、数時間ほど目覚めなかったのはまた別の話
【D-6/病院/一日目/深夜】
【メアリ・ハント@乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…】
[状態]:健康、狂気
[服装]:いつもの服装
[装備]:死の水@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品一式、エレノアの首輪、カタリナ・クラエスのメモ手帳@はめふら、不明支給品1つ
[思考]
基本:優勝してカタリナ様を破滅から救う
1:カタリナ様の破滅に繋がる連中(ジオルド、キース、マリア)は始末する
2:あの小動物(ビエンフー)は……まあ今はいいですか
[備考]
※魔法学園入学前からの参戦です
【メアリ・ハント@乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…】
[状態]:健康、狂気
[服装]:いつもの服装
[装備]:死の水@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品一式、エレノアの首輪、カタリナ・クラエスのメモ手帳@はめふら、不明支給品1つ
[思考]
基本:優勝してカタリナ様を破滅から救う
1:カタリナ様の破滅に繋がる連中(ジオルド、キース、マリア)は始末する
2:あの小動物(ビエンフー)は……まあ今はいいですか
[備考]
※魔法学園入学前からの参戦です
【ビエンフー@テイルズオブベルセリア】
[状態]:気絶中
[思考]
基本:―――
1:―――
[備考]
※参戦時期は後続の書き手におまかせします
[状態]:気絶中
[思考]
基本:―――
1:―――
[備考]
※参戦時期は後続の書き手におまかせします
前話 | 次話 | |
爪爪爪 | 投下順 | 新(ひびけ!!)ユーフォニアム 変えたい未来、変わらない世界 |
前話 | キャラクター | 次話 |
GAME START | メアリ・ハント | 屍の道を進み |
GAME START | エレノア・ヒューム | GAME OVER |