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連載 - 女装少年と愉快な都市伝説-16

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宴会の風景


「わー、さすが将門様。英雄はいうことが違うなあ……」

 ぎりぎり宴会の開始に間に合ったこっちは、宴会場の隅の机に陣取り、そこに大量のお菓子といなり寿司を広げていた。

「む、この茶碗蒸し…蒸し加減といいだしの味といい、中々の手練れと見た。…あ、お菓子といなり寿司どうですかー? カラオケセットもありますよー」

 とまあ、そんなふうに料理を摘まみつつ、自家製のものを勧めて感想を訊いている。

「………それにしても、ホント人外魔境だなあ…いろんな意味で」

 首のない人やらラ○ンやら、色々ちょっと変わった感じの人がいるし…それに、料理もそうだ。

「これって、明らかにカブトムシだよね……こっちはゴキブリだし」

 手にしたゲテモノを見て、呟く。
  レストラン『うわさの産物』の人でも来てるんだろうか?

「もぐ、んむ……不味くはないと思うんだけど、でもなあ、見た目がなあ…」

 昔、賭けで負けて"アブラゼミの猫じゃらし巻き"を食べた記憶が甦る。
 あのつぶつぶガリガリと喉に張り付くじんわりした苦みに比べれば、ちゃんと味付けがしてある分だいぶマシだろう。

「んむんぐ…ごくん。おー、このブラックコーラってやつ、美味しいなあ」

 ゲテモノと普通のものを交互にかじりつつ、宴会を満喫するこっちなのだった。



 いきなり飛びかかってきた変態らしき人物を、なんかチャラチャラしてそうな(でも口調とかは普通だった。見た目で判断しちゃいけないなあ)人とシェフっぽい人が撃墜してくれた、少しあとのこと。
 あのチャラチャラしてる系の人が料理作ってるっぽいしいろいろ訊いてみようかなー、なんて思いつつ、

「…む、なるほど。"カブトムシが入ってる"から"むしパン"と……いいセンスだなあ」

 未成年なためお酒も呑まず、ゲテモノに挑戦しつづけるこっち。
 いつのまにか目の前に、小学生低学年くらいの男の子がいることに気づいた。
 にこりと笑みを作り、話しかけてみることにする。

「ん、どうしたの、ボク? カステラ食べる?」

 そんなふうにカステラを差し出してみると、

「うー? …うー、たべるー!」

 そういってカステラを受け取り、もふもふと口に入れ始めた。
 口の中のカステラを飲み込み、満面の笑みを浮かべて一言、

「うー、おいしい! おねーちゃん、ありがとー!」

 …………「おねーちゃん」って呼ばれたことに対する居心地の悪さとかなんかもうどうでもいい。
 反応のないこっちを見て? と首をかしげるところとかも、

「……っ、可愛すぎるでしょ君ー!!」
「う、うー!?」

 昂ぶる衝動を抑えきれず、目の前の男の子に抱きついた。
 ああもう、なにこの可愛い生物!?
うーって、うーって!
 かりすまってレベルじゃねーぞ、一体どうしたらこんな子になるのか、親御さんに聞いてみたい!

「うー、くるしいー」
「あ、ゴメンね!?」

 どうやら、それなりに強い力で抱きしめてしまっていたようだ。
 ………なんかもう、ホントに申し訳ない。

「お詫びといっちゃなんだけど…えと、お稲荷さんとお菓子、どう?」
「うー? いいの?」
「もちのろん! 美味しく食べてもらえるのが、作った人にとってもその食材にとっても、一番嬉しいことなんだから」

 そういってみると、「うー、じゃあおいしくたべるー」といって、男の子はお稲荷さんを頬張り始める。
 その愛らしい姿を見て、「ああ、今日は宴会に来てよかったなあ」と早くも思うこっちなのだった。





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