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連載 - 首塚-69

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 三月三日、雛祭り
 黒服Dや翼、望に詩織、ついでにノロイが暮らすこの家でも、小さな雛人形が飾られていて
 夕食にちらし寿司も作って、まぁ、そこまでは良かったのかもしれない


「あら?甘酒も造ったの?」
「あぁ」

 翼の答えに、望は小さく苦笑した
 甘酒くらいなら、既製品を買ってきてもいいだろうに
 自分で作れる物は、自分で作らないと気がすまないのだろうか

「ほら、詩織も」
「ありがと…あ、ノロイも飲む?」

 ちゅー
 いつも通り、ちゃっかりとケージから出ていたノロイも、てちてちと甘酒が注がれた小さな杯に近づいてくる

「はい、黒服」
「ありがとうございます」

 たゆんっ
 ……うっかりと、また女体化の被害にあっている黒服
 この時期にちょうどいいと言うか何と言うか、まだ女体化が解けるまで2,3日、時間があって
 …何と言うか、雛祭りにちょうどいい状態だった
 ついつい、視線が胸元にいきそうになるのを、翼はぐっと抑える

 黒服は男!男!!男!!!
 今は神々が作りたもう谷間を保持しているが、元々は男!!
 そのうち、元に戻るんだ!!
 そう、自分に言い聞かせ続ける翼
 そうでもしないと、新世界の扉を開けてしまいそうだ
 新世界の扉を開けるわけにはいかない
 幼馴染をぶん殴れる立場ではなくなってしまうし、他の意味でも

 さて、と
 自分も少し甘酒を口にした後、翼は立ち上がった
 女性陣とアニマルにはゆっくりしていてもらうとして、自分は夕食の後片付けでもしていよう
 そう考えて、キッチンに向かおうとして

 はし、と
 黒服に、手を握られた

「黒服?どうし………」

 …黒服に、視線をやって
 その様子に、翼はぴしり、固まった

 向けられた、満面の笑み
 それは、とても綺麗で、綺麗で
 ……しかし、見とれている場合ではない
 「首塚」主催の宴の時に、自分が女体化してしまった時に…二回ほど経験したそれを、思いだす

「っちょ!?まさか、甘酒で酔っ払ったのかよ!?」
「…酔ってはいませんよ?」

 酔っ払いはみんなそう言うんだよ!?
 まずい
 これは、色々と、不味い
 手を振り払って、逃げるべきだ
 しかし…ついつい、視線が黒服の胸元に向かってしまい、そのチャンスを逃してしまって

「…翼も、もっと飲みましょう?」
「あ、ちょ、ま、待て。頼むから待って………っ!?」

 重ねられた、唇
 とぷ……と、口内に甘酒が注ぎ込まれる

「ん、ぅ………んんっ」

 むにゅん
 当然、口移しなどされれば、密着状態になる訳で
 その、見事な胸元が押し付けられる
 柔らかいその感触に、思考がますます乱されていく

 ゆっくりと、離れるその唇を
 名残惜しい、と一瞬思ってしまって自己嫌悪する

「…くろ、ふく、の、望も見てっから……お、落ち着いて」

 そうだ
 望に見られているのが、一番まずい!
 そう、考えた翼だったのだが

 ……ぺとし
 誰かに、のしかかられる感触

「黒服~、私ももっと飲みたい~」

 …………
 っこ、これはまさか!?

「…のぞ、み?お前も、酔ってるのか?」
「酔ってないわよ~。甘酒程度で酔う訳ないでしょ~?」

 嘘だっ!?
 酔っている、確実に酔っている!?
 おかしい、自分は甘酒の作り方、どこか間違えたか!?
 自分で飲んだ感じ、そうは感じなかったのだが…

「そうですか、では、あなたにも」
「待て待て待て待て待てっ!?二人とも、とにかく落ち着けっ!?っつか、頼むから放し……」
「煩い」
「んっ!?」

 ぐ、と無理矢理、望の方を向かせられ、唇を重ねられた
 再び、口移しで甘酒を飲まされる
 けほ、と翼が小さく咳き込んでいる隙に、望は幸せそうに黒服と唇を重ねていて

 ……まずい
 酔っ払い二人に、完全に捕えられた
 逃げられないっ!?

「し、詩織!助け………って、いねぇ!?」

 何時の間にか、詩織は巻き込まれる前にとっとと逃亡していた
 ノロイも連れて行ったようで、姿が見えない
 救援の救いすら断たれてしまった!?

「…翼」
「ほら、あなたももっと飲みましょう?」
「や、待て、二人とも本当、落ち着いて…………っ」

 黒服と望、二人を振り払う事もできず
 二人が酔い潰れるまで、言いようにされている翼の姿が、そこにはあった





 ちゅー
 ごっごっごっごっごっごっご

「ノロイ、結構イケる口ね」

 ちゅちゅー
 詩織の部屋では、リビングの喧騒とはかけ離れ
 ノロイが杯どころか徳利から直接甘酒を飲み干していたりと言うほのぼの光景が繰り広げられていたそうな




終われ



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