ぎゃしゃー
てちてち、てちてち、てちてちてちてちてちてちてち
小さな子ライオンが、てちてち、住宅街を駆け回る
そろそろ、温かくなってきた時期
炬燵で丸くなるのも飽きたのだろう、また、元気に散歩をするようになった
追いかける少女…未来にしてみれば、また大変な訳だが
小さな子ライオンが、てちてち、住宅街を駆け回る
そろそろ、温かくなってきた時期
炬燵で丸くなるのも飽きたのだろう、また、元気に散歩をするようになった
追いかける少女…未来にしてみれば、また大変な訳だが
……ぎしゃー
てちてち………っぴょん!
子ライオンは、元気に塀から飛び降りて
子ライオンは、元気に塀から飛び降りて
「う?」
ぱすんっ
…………しゃぎゃ??
塀の下を歩いていた男の腕の中に、物の見事に着地した
ちょうど、男の子に抱っこされるような状態となる
不測の事態に、子ライオンは首を傾げた
ちょうど、男の子に抱っこされるような状態となる
不測の事態に、子ライオンは首を傾げた
「うー??」
男の子からすれば、空から子ライオンが振ってきたようなものだろうか
く、と子ライオンを持ち上げ、視線を合わせて見つめる
く、と子ライオンを持ち上げ、視線を合わせて見つめる
……ぎゃしゃー
「降ろさんか、人間」とでも言うように鳴き声をあげる子ライオン
その様子に、子ライオンを追いかけていた未来が、慌てて塀から降りる
その様子に、子ライオンを追いかけていた未来が、慌てて塀から降りる
「あ、あの…」
「うー!にゃんこー!」
「うー!にゃんこー!」
キラキラキラキラ
無邪気に子ライオンを見つめて、そう口にした男の子
しゃぎゃー!と、子ライオンが「誰がにゃんこだ」とでも言うように鳴き声をあげる
無邪気に子ライオンを見つめて、そう口にした男の子
しゃぎゃー!と、子ライオンが「誰がにゃんこだ」とでも言うように鳴き声をあげる
えっと…と、未来は男の子の無邪気な様子に、「それはライオンの子供ですよ」と正直に教えてあげるべきかどうか、悩む
鳴き声はあげているものの、子ライオンが暴れている様子はない
が、いつ暴れ出して、男の子が怪我するかもしれない
未来はそっと、男の子に駆け寄る
男の子も、未来に気づいたようで
うー?と首を傾げてくる
鳴き声はあげているものの、子ライオンが暴れている様子はない
が、いつ暴れ出して、男の子が怪我するかもしれない
未来はそっと、男の子に駆け寄る
男の子も、未来に気づいたようで
うー?と首を傾げてくる
「この子、お姉ちゃんのにゃんこ?」
「ちょっと、違うんですけど…お散歩を、任せられてますので」
「ちょっと、違うんですけど…お散歩を、任せられてますので」
そっと、男の子から子ライオンを取り上げる
ぎしゃー、と子ライオンはそろそろおなかがすいてきていたのか、素直に未来に抱かれた
ぎしゃー、と子ライオンはそろそろおなかがすいてきていたのか、素直に未来に抱かれた
うーうー、と男の子は、子ライオンをじっと見つめてきている
…小学校低学年か、まだ小学校にも入っていないくらいの年頃だろうか
手に、コアラをモチーフにしたお菓子の箱を持っている
…小学校低学年か、まだ小学校にも入っていないくらいの年頃だろうか
手に、コアラをモチーフにしたお菓子の箱を持っている
「にゃんこ、名前なんて言うの?」
「えっと…まだ、決まっていないみたいなんです」
「えっと…まだ、決まっていないみたいなんです」
正直に答える未来
すると、子ライオンをじっと見つめていた男の子が
すると、子ライオンをじっと見つめていた男の子が
-----きひひ、と笑った
「……そっか、その子も、忘れちゃってるんだね……きひひっ」
「…………え?」
「…………え?」
…その、瞬間的な変貌ぶりに
未来は思わず、男の子を見つめてしまった
子ライオンも何かを感じ取ったのか、しゃぎゃー!!と、毛を逆立てている
未来は思わず、男の子を見つめてしまった
子ライオンも何かを感じ取ったのか、しゃぎゃー!!と、毛を逆立てている
「うー!名前、カッコイーのがいいと思う、うー」
にぱ、と
すぐに、男の子は歳相応の無邪気な笑顔を浮かべて、そう言って来た
先ほどの、どこか不気味な印象は消えうせている
すぐに、男の子は歳相応の無邪気な笑顔を浮かべて、そう言って来た
先ほどの、どこか不気味な印象は消えうせている
と、ごそごそと
男の子は、自分が持っていたお菓子の箱を、がさがさし始めて
中から、お菓子を二つ、取り出した
男の子は、自分が持っていたお菓子の箱を、がさがさし始めて
中から、お菓子を二つ、取り出した
「うー!あげるー!」
「え…いいんですか?」
「幸せお裾分けー!うーうー!」
「え…いいんですか?」
「幸せお裾分けー!うーうー!」
ずい!と
その、小さなお菓子を差し出されて
何となく断る事もできず…未来は、それを受け取った
男の子は、満足そうに笑う
その、小さなお菓子を差し出されて
何となく断る事もできず…未来は、それを受け取った
男の子は、満足そうに笑う
「お姉ちゃん、にゃんこ、またね」
「あ…さ、さようなら」
「あ…さ、さようなら」
ぎしゃー
未来と鳴き声をあげる子ライオンに手を振って、てちてち、男の子は走り出す
その先には…母親、だろうか?
それともまた違う感じの、キャリアウーマン風の女性がいて、そちらに駆け寄って行っている
…女性の持っている鞄から、ハンガーがはみ出て見えるのは気のせいか?
未来と鳴き声をあげる子ライオンに手を振って、てちてち、男の子は走り出す
その先には…母親、だろうか?
それともまた違う感じの、キャリアウーマン風の女性がいて、そちらに駆け寄って行っている
…女性の持っている鞄から、ハンガーがはみ出て見えるのは気のせいか?
「随分、人懐っこい子でしたね…」
思わず、呟く未来
折角なので、もらったお菓子を食べようとして
折角なので、もらったお菓子を食べようとして
…ぎしゃー!
ぱくり、と
子ライオンが、二つあったうちの片方を、食べてしまった
子ライオンが、二つあったうちの片方を、食べてしまった
「あぁっ!!??だ、ダメですよ、猫にチョコレートは毒なんですから!?」
しゃぎゃー
「我輩がそんなものに負けると思うか、人間」
そうとでも言うように、子ライオンは平気な顔して、そのお菓子を食べてしまって
…都市伝説のようだから、大丈夫なのだろうか?と心配しつつ
未来は、食べられずに無事だったお菓子を、自分の口に放り込んだのだった
「我輩がそんなものに負けると思うか、人間」
そうとでも言うように、子ライオンは平気な顔して、そのお菓子を食べてしまって
…都市伝説のようだから、大丈夫なのだろうか?と心配しつつ
未来は、食べられずに無事だったお菓子を、自分の口に放り込んだのだった
おしまい