「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 人肉料理店とその契約者-02

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対白いワニ、オーナーとの出会い


 いまから数カ月前、少年とオーナーが初めて会ったときの物語……

*



 ちょっと早めの肝試しをしよう!そんな事を言い出したのは果たして誰だったのか?
 高校最初の夏休みを目前に控えたある日、少年は同級生達ととある廃墟を目指していた。

「しっかし、肝試しにゃーちと早いんじゃねーか?」
「いやいや、夏を満喫するには常に先を行く位じゃないとね!」

 訳のわからん理屈をこねる友をスルーして、目的の廃墟の噂を思い出す。

「人肉料理店か……」

 数年前に囁かれ始めた噂"ある飲食店の客、店員が次々と消えていく" "店の排水溝から血のような真っ赤な液体が流れていた″″消えた人達は店で料理として出されている″
 目指す廃墟がその噂の店の跡地だと言う。まぁ信憑性は皆無だが。

「なーに一人でブツクサ言ってんの?」

 大昔に誕生日に贈ったネックレスがキラリと光る。いつまでこんなん付けてんだか……

「ん?いや、喰われた人の幽霊いるかなーって思って」
「……何平然と怖い事考えてんのさ」
「結構重要なとこじゃね?いざとなったらお前らを置いてダッシュで逃げる覚悟決めないとだし?」
「逃げないでよ!?守ってあげようって気は無いの!?」
「無い」

 そんな事を言い合っているうちに目的の廃墟に到着する。友が何故かうなだれている様だが気にしない

「さて、どーすんだ?」
「……中の様子もわかんないし、皆で探検って感じでいいんじゃない?」
「妥当なトコだな。んじゃーさっそく……!?」

…カタ……カタカタ…ガタガタガタガタガタガタ!
 廃墟に入ろうとし所で辺りに響き渡る異音。
友も気付いたのか周囲をキョロキョロと見回す。

「な、何……?」
「オレが知るか。だけど……」

 戻った方がいい、そう言おうとした所で、バガァアァァァン!
 マンホールの蓋が弾け飛ぶだ。そして中から這い出してくる白い影。ズンッ、と大地が揺れ、その巨体が姿を表す。

「…何……アレ………」

 友が茫然とした様子で呟く。こっちが聞きたい。何だありゃ?

「……ワニ?」「日本に野性のワニって居るの?」
「っつーか白っwww」「そしてデカッ!www」
「……バナナワニ園に売ったら幾らになるのかな?」

 驚きのあまりか、意外と冷静に喋り倒す同級生達。いや、これは寧ろ混乱してんのか?
あと友よ、売るな。

「グルオオォォォォッ!!!」「……って、話してる場合じゃねぇ!?逃げろ!テメーら!」

近くに落ちてた廃材を手にして『白いワニ』に向かい合う。

「……っ!?……何やってんのさ!君も早く逃g「じゃかぁしぃ!ンのデカブツ何気に足はえぇーンだよ!足止めがいンだろーが!?」……だけど……キャッ!」

 友を突き飛ばし、『白いワニ』に向かって走り始める。
 ……正直逃げたい。恐い。喰われるかもしれない。そんな思いを押さえ込む。

「やっぱり駄目だよ!ってゆうか真っ先に逃げるんでしょ!?一緒に「いーからさっさと行けぇぇーーー!」」

 唇を噛んで走りだす友と同級生達。それで、いい。

(こんな所でコイツらを……友を死なせるわけにゃーいかんしなー。まだ伝えてない想いもあるし?)
「こっちだクサレワニ公!」ガラガラッ

 友達から離れる様にあえて音を立てて回り込む。――うわっこっちむいたっ!クソがっ!

「オラァァァっーーー!」

 手にした廃材で殴る殴る殴る殴る殴る殴る―――!!―――しかし

「……まっっっったく効いてる気がしねぇ!?」

 馬鹿デカいタイヤを殴ってる様な感触。サイズが違いすぎるのだ。
チラリと横目で友人達を見る。

「……もうチョイかな?」

 もう少し足止めを―――と、その時、『白いワニ』の金色の目がジロリとこちらを向く。

(……やっべ……!?)

 ―――そう考えた時には体が宙を舞っている。「あぁ、シッポか……」そんな思考と共に意識は闇に沈む。
 遠くで友の悲鳴が聞こえた気がした。

*



『―――s―――ん――』

『――しょ――ね――』

『少年』

「…何だようっせーなー……もうちょい寝かせr」
『起きろ、少年』

 目の前に見知らぬオッサンの顔。慌て跳び起きる。

「………なっ!?誰だテメェ!?」
『ふむ、誰だ、か?……君達の目的地、かな?』
「はぁ?」
『――都市伝説“人肉料理店”――』
「!?」
『そこのオーナーだよ』
「……意味がわからん」
『それよりいいのかね?ボーッとしていて?』
「なにが?……って、友っ!!」

 その言葉で思い出す。【白いワニ】に襲われた事を。

「おいオッサン!皆は、友はどうなった!?……っつーかココどこよ!?」
『見た通り調理場だよ?もっとも、私の力で創った異空間だがね。君の友人達はまだ外だね……【白いワニ】に襲われているようだ』
「……っ!?今すぐこっから出せっ!」
『出てどうする?また返り討ちに逢うのが関の山だが?……さて、そこで提案だ。少年、私と契約しないかい?』
「契約?」
『細かい事はいい。要するに【白いワニ】を倒す力が手に入ると言う事だ』
「乗った!」
「善い判断だ、少年。では契約成立だな。」

 その瞬間、オレの頭の中に膨大な量の知識が流れ込んでくる―――解体、調理、保存、ありとあらゆる料理の知識が。

「な、なんだ??」
「契約した事により、私の持っていた知識が君と共有されたのだ。ほら、これを持って。ではいくぞ?」

 巨大な包丁を手渡し(デカッ)オレの手を握るオッサン。一瞬景色が歪む。そしてオレが最初に捕えた光景は



    血の海だった

……は?……何……コレ?
 赤く、朱く、紅く。
 薄闇の中、真紅に染まる視界。意識が拒絶する。目の前の光景を理解するのを。
………何故赤い?……赤い、色?……鉄臭い……血?

「――っ!友っ!皆っ!?」

 我に返り皆の姿を探す。視界の角で何かが動く。巨大な、何かが

「友っ――」

 確か友はそこに居た。
―――体を、半ばまで喰われた姿で―――

 目が、合う。半分になった友と。今、正に飲み込まれようとしている友と。さっきまで笑いあっていたはずの友と。

 ―――ほのかに想いを寄せていた、少女と。

「…少……年………に……げ


    ゴリッ



 その姿が消える。異音と共に。鮮血と共に。それと同時に――

「………あ……ああああ………あああああああああああああアアアアァァァアァァァァァァァッッッ!?!!!?」
 ―――壊れる。
 自分の中の何かが壊れる。そして

「……*ス……*ス、*ス*ス*ス*ス*ス*ス*ス*ス*ス*ス*****――*ス!!」
「………!?落ち着け、少年!飲み込まるぞ!!」

 狂気が、身体を支配した。何も聞こえない。無音の中、目の前の相手を潰す事だけを思い、跳ぶ。

「アアアアァァアァァア----ッッッ!!!」ズバァッ!

 人外の速度で接近、その勢いのまま手にした包丁で切り付ける。「ギシャァァッ!」何か聞こえた気がしたが気にしない。
 どこを切ればいいか先程得た知識が教えてくれる。 更に切る。切る。「ギゥッ!シャァァッ!?」切る。切る。切る。「ブルァッ…ゴァアァァ」切る。バラす!解体する!!!「」

「オーナー!火ぃ寄越せっ!!」

 瞬時に理解したオーナーが何かの油が入った瓶とガスバーナーを投げる。

「 燃 え 尽 き ろ っ !!!」

 瓶の中身をブチ撒け、バーナーで火を点ける。瞬間燃え上がる【白いワニ】の成れの果て。
メラメラと燃える明かりにに照らされ、辺りの光景があらわになる。乾き始め、どす黒い赤色を曝す光景が。

 そして、所々に見える―――同級生達と、友の、残骸が。

ぺたり、とその場に座り込む。

「少年、大丈夫か!?意識ははっきr」
「……なぁオッサン……オレさ……あいつの事、好きだったんだぜ?」
「……」
「……なーんも言えねーまんまだったけどなー……」
「……そうか」
「……なぁオッサン………少し………泣いていいか……?」
「……ああ」

「…ぐすっ……………ひっ…くっ……う、ぁぁぁああぁぁ………」

炎が、二人を照らしていた

*



「落ち着いたかい?」
「…あぁ、世話かけたな」
「なに、気にするな。…こんな時に悪いんだが、これからの事を話してもいいかな?」
「これから?」
「ああ、さっきのアレは都市伝説【白いワニ】が具現化したものだ」
「都市、伝説?具現化?」「うむ、有名な物ほど具現化しやすくなり、…そして、その中には人を襲う輩もいる。私は、そのような都市伝説を止めたいと思っている」

 ギリッ、と拳を握りしめる少年。さっきまでの光景が頭をよぎる。

「…アンタは、違うのか?【人肉料理店】なんだろう?アンタも人を襲うのか?」
「噂の元になった人物はどうだか知らないが、少なくとも私は一般人を襲った事は無い。」

……それもそうか。人を襲うヤツならわざわざオレを助ける必要も無い。

「……乗った。アンタに付き合うよ、オッサン……いや、オーナー」
「……ありがとう、少年」

……もう、二度と同じ事を繰り返さない為に。同じ思いをする人を出さない為に……

 終



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