「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - IF-02

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
―――この物語はIFでありどうせ幻想に決まってます
          本編と関係あるはずもありません―――






「ち、ちょっと、大丈夫?」

 けほけほと、黒服がむせている
 …っく、誰だっ!?さっきの貧乳は!?
 青年は少女が立ち去った後を追いかけようとしたが、既に姿が見えない
 それよりも、黒服の事が心配だ

「大丈夫か?」
「……はい」

 顔をあげる、黒服
 ほんのりと、頬が赤く染まっているように見える

 …そう言えば、こいつ、酒強くない、って聞いていたような

 青年が、それを思い出してやや不安になると

 にこり、と
 黒服が、笑った

「「…………え??」」

 きょとん、と
 青年と少女は、ほぼ同時に間の抜けた声をあげてしまった
 黒服が、笑っている…それも、満面の笑みで
 感情の起伏が薄い黒服は、普段あまり笑わない
 笑っても、どこか遠慮がちだったり、微笑、と言う程度の笑いなのに
 今、満面の笑みを浮かべている

 どう言う事か?
 まさか、さっきのアレだけで酔ったのか?
 青年が、疑問に思っていると

「…あなたも、飲みませんか?」
「は?」
「お酒を」

 す、と傍にあった酒瓶を手に取る黒服
 にこり、微笑みは青年に向けたままだ

「あ、いや、俺はまだ調理とかあるし…」

 酒に弱い訳ではないが、まだ調理すべき食材が結構残っているから、舌を鈍らせたくない
 そう考えて、青年は断るのだが

「…飲みませんか?」

 にこにこと、微笑んだまま、黒服は繰り返してきた
 ……これは、もしや

「…絡み上戸?だとしても、随分大人しい絡み上戸だけど…」

 少女の呟きに、思わず同調する
 確かに、これは酔い癖で言う絡み上戸と言うやつだろう
 しかし、黒服のこれは、絡み上戸といってもかなり大人しい絡み方に見えた
 まぁ、ある意味で黒服らしいといえばらしいのだが…

「…飲みませんか?」
「あぁ、悪いけど」

 この程度の絡み上戸なら、逃げられる
 青年は、そう考えたのだが

「飲んだ方が、良いですよ?」
「へ?……っちょ!?」

 ぐい、と
 黒服は酒瓶をあけると、中身の酒を口に含んだ
 そして…つい、と
 青年の両頬を、手で包み込んだ

「え?……っちょ、何を」
「黒服?何を…」

 少女も、青年も、黒服のその行為に戸惑い、疑問の声を投げかけようとして

 …言葉を、飲み込んでしまった

「------っん!?」

 …青年と、黒服の唇が、重なった
 ぴきっ!!と、誰かが怒りを感じた音が聞こえた気がしたが、青年にはそれに構う余裕はない
 突然の事に、思考は混乱し

「~~~~~っんん!?」

 ぴちゃり
 舌が、青年の唇をこじ開けてきて…口内に、酒を流し込まれる
 青年の両頬を逃がさないようしっかりと掴んで、口に含んだ酒を全て飲ませて…
 黒服は、ようやく満足したように口を放す

 ……ぷしぅっ

 突然の出来事に、思考回路がショートしたように…青年は、硬直していた

 …ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
 少女が、色々と怒りのオーラを放ち始めたが…

 くるりっ
 黒服が、少女に向き直った

「…流石に、未成年にお酒を飲ませるわけには行きませんね」
「……え?」

 す、と
 黒服は、今度はジュースの瓶に手を伸ばした
 封を開け、中を口に含み…

「……っちょ!?」

 す、と
 先ほど青年にしたように、少女の頬に手を伸ばした
 優しく両頬を包み込まれて、パニックになる少女
 笑顔を浮かべた黒服の顔が、ゆっくり、ゆっくりと近づいて

「----っ!!」

 重なる唇
 その感触に、くらり、少女の思考は揺れる
 ノックされるように唇を舐められて、思わずうっすらと唇を開いてしまった

 とぷり
 甘いジュースが、口内に流し込まれる

「~~~~~~~っ」

 甘い
 甘い、甘い、甘い
 甘い感覚に、少女の思考はぐらり、ぐらりとゆれ揺れて

 ……ぷしゅぅうううううう……
 少女も、青年と同じように、固まった
 耳まで真っ赤になって、完全に硬直している

「…?2人とも、どうかなさいましたか?」

 にこにこと、黒服は微笑んだままだ
 2人から返事がないのに、不思議そうに首をかしげる

「…あぁ、そうか、まだ足りませんか」
「……え」

 っは!と
 青年が、先に正気に戻った
 再び酒瓶に手を伸ばした黒服を、慌てて止める

「っちょ、待て待て待て!!色々と待て!!」
「何がですか?」
「う……」

 笑顔のまま、首を傾げてくる黒服
 …油断した
 これは、酒癖としてはかなりタチの悪いタイプだ!!
 黒服は、酔っている間の記憶は残っていない、と以前教えてくれた事がある
 覚えて無くて正解だよ、畜生!!
 覚えられてたら、色々と恥ずかしいよ、こっちも!!
 とにかく
 これ以上の行為は、阻止しなければ!!
 酒を口に含もうとする黒服を、青年は必死に止める

 ……その時
 事態は、さらに悪い方向へと向かおうとしていた

「……おや」
「っま、将門様!?」

 どう言う気まぐれか
 将門が、調理場スペースまで来てしまった
 不味い
 この状況は、非常に不味い
 将門に、酔った状態の黒服を見せるのは、非常に、非常に危険な気がした
 しかし、だからと言って、黒服を隠せるわけもなく

「…将門公?」
「む?…珍しいな。酔っているのか」

 黒服の様子に、将門は楽しげに笑う
 ぷしゅうん、と真っ赤になって硬直したままの少女の横を通り過ぎ、将門は黒服と青年に近づいてきた

「っあ、あの、将門様、こいつ、今、完全に酔っ払って」
「…将門公も、お飲みになられますか?」

 ……うぉおおおおい!!
 不味い!本気で不味いっ!!

 この調子だと、将門相手にもやりかねない
 今まで以上に必死に、青年は黒服を止めようとしたのだが

「………そうだな、もらおうか」

 ニヤリ
 将門は、心から楽しそうに、笑った
 笑みを浮かべたままの黒服が、青年の制止から逃れ、酒を口にする
 そして

「っちょ…………!?」

 ーーーー黒服は、そのまま、将門と唇を重ね合わせた
 青年の慌てた様子などそ知らぬ様子で…黒服は、先ほど青年と少女にしたのと同じように、将門に口移しで酒を飲ませているのだろう
 それをされている当の将門は…さほど驚いた様子もなく、楽しげで

「-----っん」

 びくりっ
 黒服の体が、小さく跳ねた

「…え?」

 将門から離れようとした黒服の体を、将門はその腰を抱いて引き止める
 つ、と黒服の顎に手をやって………あれ、口移しって言ってもたいした量じゃないんだから、ここまで長く口付けている必要はない
 そして、黒服の反応と将門のこの行動から見るに

 …………

「将門様ぁ!?何やってんですかっ!!??」

 ようやく、この状況を完全に理解し、青年は叫んだ
 つまりは、黒服が将門に、口移しで酒を飲ませて…その間、自然と、舌が将門の口内に入る訳で(青年が体験済み)
 …その、入り込んだ舌に
 将門が、舌を絡めて………っ!?

 びくびくと、小刻みに震えていた黒服だったが……やがて、くてんっ、と
 力尽きたように、その体が脱力する

「…おや、もう根を上げたかぁ?」
「………ぁ」

 唇が離れ…つ、と2人の間を銀の糸が結ぶ
 その糸を舌で切り、将門はくくくくっ、と笑っている

「お前も、酔えば随分と可愛らしくなるのだなぁ?」
「……っ」

 将門に耳元で囁かれ、呆けた表情の黒服の体が、小さく跳ねた
 ……待て待て待て待て待てっ!!

「っま、将門様っ!」
「おや、どうした?」

 何か、止めないと色々とやばい気がして、青年は慌てて将門を止める
 青年のそんな様子に、将門はますます楽しそうに笑うばかりだ

「あ、あの、将門様。子供が見てる前なんでそれ以上はちょっと、っつか、男同士っ!?」
「そこな童なら、まだ正気を失っているようだが?」

 将門の言うとおり…少女は、黒服に口付けられた喜びからか、驚きからか、真っ赤になって固まったままだ
 いや、正気になっていたらなっていたで、大変なことになりそうだが
 くっくっくっく、と
 将門は、青年の困惑振りを、それはそれは楽しそうな表情で眺めていて

「…安心せい、お前たちの大切な者を奪ったりせんわ」

 ほれ、と抱きかかえていた黒服の体を、青年に対して押し出す
 ととっ、と青年は慌てて、黒服の体を抱きとめる
 すっかりと脱力している黒服の体
 すぅすぅ、小さく寝息が聞こえてきていて…どうやら、酔い潰れて眠ってしまっているようだった
 …良かった、眠ったならこれ以上の暴走はしまい
 青年は、ほっと息を吐く

「…くくっ、面白いものを見せてもらったぞ」

 満足げに将門は笑うと、調理スペースから出て行った
 …一体、何をしに来ていたのか
 わからないが、満足してくれたようなら良しとすべきなのか

 …さて
 この状況を、どうしたらいいものか
 とりあえず、黒服には「ユニコーンの角の粉末」を飲ませるべきだよなぁ
 そして、酔っている間に何をしたかは黙っていた方がいいよなぁ、と 
 青年は、静かに眠る黒服を前に考え込むのだった

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