―――2011年:12月30日―――
「……ではやっぱり……」
『ああ……宝富ーを始め、めぼしいプラモデル・玩具専門店の本店を探ってみたが……そのような商品を販売した形跡は一切なかった』
「そうですか…………有間、君」
『……本来こういった件は、「R-No.」戦闘班の中でも「物品」に所属する者が担当すべきだが……』
「……いえ、この件は……この件だけは、私に……!」
『わかっている。この一ヶ月で、君も「殺人鬼」もかなり経験を積み、成長した。万が一彼と戦闘になっても遅れは取るまい。
だが君が、知り合いだという事で温情をかけようとしている可能性も否めないのだ……少なくとも、上層部から見れば、な』
だが君が、知り合いだという事で温情をかけようとしている可能性も否めないのだ……少なくとも、上層部から見れば、な』
「ありがとうございます、大尉……大丈夫です。今までの仕事と何ら変わりません。「組織」の傘下に入るよう説得をして、せめて協力関係にまでは持っていく。仮に力に溺れている、または都市伝説に支配されている場合は契約を切らせ……記憶を、消す」
『そうだ。良い連絡を期待している』ブツッ……ツー、ツー、ツー……
「ふん、やはりあの男も契約者だったか。だからあの時忠告したはずだが……」チラッ
「………で………」
「……こんな大規模な都市伝説、いつ過激派に見つかってもおかしくなかった。私たち穏健派で対処できればいいのだが……」チラチラッ
「……んで……なんで、貴方なん……ですか…………ぅぁぁぁぁぁぁぁ…………!」
「紫亜をここまで悲しませるとは…………うむ、喉笛を引き裂く程度で済ませておいてやろう!」
※この物語は、平穏とライガーたちを愛する一人の契約者の日常的な非日常を描いたものです。過度な期待はしないでください。
※後、時間軸の関係でまだ2011年を抜け出せていません。 予めご了承ください。
※後、時間軸の関係でまだ2011年を抜け出せていません。 予めご了承ください。
では、【未発売キットを製作すると発売決定する都市伝説】をお送りいたします。
「……くぅ、すぅ……むにゃ……ありま、くん……えへへ」
「……という訳だ。わかったら早く貴様の都市伝説を呼び出せ、そして紫亜に土下座して詫びろ」
「……ああ、よくわかったぜ。お前がいるべき場所は紫亜の隣じゃなくて病院だって事がな」
「今なんと言った貴様あああああああああああ!私の話をちゃんと理解していたのか!?」
「やかましい、お前こそ今何時か理解してんのか!?そもそもそんなふざけた話信じられるわけないだろ、ボケ!」
「よーしよく言った今ここで死ねっ!」
「上等だ、かかってこ…………」
瞬間、背筋に悪寒が走った。ヤバイと思う間もなく、その場から飛び退く。
さっきまで俺が座っていた場所に……拳ほどの大きさの石が降ってきた。
さっきまで俺が座っていた場所に……拳ほどの大きさの石が降ってきた。
『私の能力も紫亜が広げてくれたようなものでな、相手の視覚外に物体を―――』
「…………マジ!?え、じゃあ本当にあんた、紫亜の彼氏とかじゃなく…………!」
「いずれそうなる予定だ!だが今日くたばる貴様には関係ない、紫亜を泣かせる奴は何人たりとも生かしてはおかんわああああああああ!!」
紫亜の彼氏、いや都市伝説【ベッドの下の殺人鬼】が吼えるとほぼ同時に、俺はフル装備のまま外へと飛び出していた。
そのまま走って逃げる俺を、【殺人鬼】と石礫が追いかけてくる…………ああもう、どうしてこうなった!
そのまま走って逃げる俺を、【殺人鬼】と石礫が追いかけてくる…………ああもう、どうしてこうなった!
今からおよそ30分程前、正確にはAM6:00頃。
新しい朝の習慣となりつつあるホッピングバトルの為、何時ものようにフル装備を着込んでいると
ピンポーンとチャイムが鳴った。
新しい朝の習慣となりつつあるホッピングバトルの為、何時ものようにフル装備を着込んでいると
ピンポーンとチャイムが鳴った。
「ん、誰だこんな時間に……はーい、どちら様ー?」←インターフォン
『あの、有間君……古田です。……ちょっと、上がらせてもらってもいいですか……』
「何だ紫亜か。どうした、こんな朝早くに。また未知の物質でも生成したか?」
紫亜は料理が苦手だ。初めて紫亜の家へ遊びに行った時、窓から立ち込める紫色の煙には驚いたものだ。以来、たまに俺が料理を作りに彼女の家へ行く事になったのだが、未だに何を混ぜたらカレーライスからあんな色の煙が出るのか想像もつかない。最近は得体のしれない物体を作り次第、俺に相談するようになったが……油断すれば「ダークマター」の悲劇再びである。
ちなみに俺が来るまでは、料理を失敗した時はうまい棒等の駄菓子で腹を埋めてたらしい。
こいつ、よく今まで生きてたな。
が、そんな俺の予想とは裏腹に…………いつになく真剣な声で、紫亜は続けた。
ちなみに俺が来るまでは、料理を失敗した時はうまい棒等の駄菓子で腹を埋めてたらしい。
こいつ、よく今まで生きてたな。
が、そんな俺の予想とは裏腹に…………いつになく真剣な声で、紫亜は続けた。
「大事な話、なんです……有間君にとっても、私たちにとっても……」
「……そっか。まってろ、今チェーン外すから」
さすがにそこまで言われては、「だが断る」と締め出すわけにもいかない。
俺は玄関の鍵を開け、紫亜を中へと入れた……のだが。
俺は玄関の鍵を開け、紫亜を中へと入れた……のだが。
「さて貴様、何故我々が来たかはもうわかるだろう。「組織」に従うか記憶を消されるか、どちらか選べ」
「……誰?てか、何言ってんのこの人?」
「さ、殺人鬼さん……!どうして、何でここにいるんですか!?」
「紫亜を一人きりで男の所へ行かせる訳がないだろう、死角に『飛び』ながら後を付けさせてもらった」
「あー、この人が例の彼氏か……初めまして、友人の有間出井といいます」
「か、彼氏!?何でそんな発想に行くんですか有間君ー!」
紫亜、まさかの彼氏同伴。あれか、「今日から結婚を前提にお付き合いします」とかわざわざ宣言しにきたのか?
もしそうだとしたら流石に容赦しないぞ。お前らのガンプラ一つ一つにガイロス帝国のマークを彫り込んでくれる。
もしそうだとしたら流石に容赦しないぞ。お前らのガンプラ一つ一つにガイロス帝国のマークを彫り込んでくれる。
そんなわけで取り敢えず話を二人から聞いてみたんだが…………正直、交際宣言の方がマシだった。
途中から流しながら聞いてたので、主な内容を確認してみよう。
①目の前の青年は、一ヶ月ほど前に紫亜と契約した都市伝説【ベッドの下の殺人鬼】だ。
②彼と紫亜は都市伝説とその契約者を管理(?)する「組織」に所属している。傘下に入るか、契約を破棄して記憶をすべて消されるか選べ。
(ここで紫亜が泣き出してしまい、慰めているうちに寝てしまった。今は完全に熟睡している)
③俺は日本全国に影響を与えるほどの都市伝説と契約したはずだ。今すぐ本性を表し、紫亜に土下座して詫びろ。
④なお、契約理由は彼女に惚れたため。紫亜可愛いよ紫亜(略
途中から流しながら聞いてたので、主な内容を確認してみよう。
①目の前の青年は、一ヶ月ほど前に紫亜と契約した都市伝説【ベッドの下の殺人鬼】だ。
②彼と紫亜は都市伝説とその契約者を管理(?)する「組織」に所属している。傘下に入るか、契約を破棄して記憶をすべて消されるか選べ。
(ここで紫亜が泣き出してしまい、慰めているうちに寝てしまった。今は完全に熟睡している)
③俺は日本全国に影響を与えるほどの都市伝説と契約したはずだ。今すぐ本性を表し、紫亜に土下座して詫びろ。
④なお、契約理由は彼女に惚れたため。紫亜可愛いよ紫亜(略
どう考えてもおかしい人です、本当にありがとうございました。
しかもこの男、紫亜への執着だけは本物だ。④だけで20分近くしゃべってたし。危ない。色んな意味で危なすぎる。
紫亜は今でこそ明るくなったが、未だに昔の事を引きずっているのか他人には強く出られない場面をよく見かける。
恐らく彼氏の妄想に付き合いきれず俺に助けを求めたんだろうが、泣き出すまでとは……余程、堪えてきたんだろうか。
しかもこの男、紫亜への執着だけは本物だ。④だけで20分近くしゃべってたし。危ない。色んな意味で危なすぎる。
紫亜は今でこそ明るくなったが、未だに昔の事を引きずっているのか他人には強く出られない場面をよく見かける。
恐らく彼氏の妄想に付き合いきれず俺に助けを求めたんだろうが、泣き出すまでとは……余程、堪えてきたんだろうか。
「くぅ……すぅ……」
寝ている紫亜を横目で見ながら、「ごめん」と小さく謝る。
「(一ヶ月も……紫亜がこんな事になっているのに気付かなかった……何が友達だ、俺の大馬鹿野郎!)」
恋愛は人の自由とは言うが、流石に紫亜をこんな男の毒牙にかけるのは納得できない。というより、俺自身が嫌だ。
隙あらば何時でも通報できるよう、俺はケータイに110をセットしてチャンスを伺っていた―――
隙あらば何時でも通報できるよう、俺はケータイに110をセットしてチャンスを伺っていた―――
「それが何で寒空の下、殺人鬼と命懸けの鬼ごっこやってんだよー!」
「待たんかあああああああああああああああああ!!」
拝啓、まだ見ぬ機獣達よ。俺、今日死ぬかもしれません。
(後半へ続く)