正義の鉄槌 00
○月×日 ??:??
学校町中央にある高校のすぐ脇の道路。
雲にさえぎられ、月明かりのないその道を、街灯が照らし出していた。
その光が、校舎をある種幻想的に浮かび上がらせている。
そして、それを眺める人間が、2人。
雲にさえぎられ、月明かりのないその道を、街灯が照らし出していた。
その光が、校舎をある種幻想的に浮かび上がらせている。
そして、それを眺める人間が、2人。
「……ここ、俺が今度から通う学校でしたよね? アリス」
「…………うん」
「…………うん」
街灯に照らされ、影を伸ばすそれらは、まだ青年と言いきれないような年齢の少年と、蒼い目、金色の髪を持った少女だった。
少女の金色の髪が、光を反射して輝いているその様は、一帯に広がる幻想的な雰囲気を一層際立たせていた。
少女の金色の髪が、光を反射して輝いているその様は、一帯に広がる幻想的な雰囲気を一層際立たせていた。
「……何だか爆発音や閃光が炸裂してるけど、都市伝説同士の戦いですかね? と言うか戦いですよね、これ」
「…………多分」
「…………多分」
その間にも、グラウンドの一角、クラブハウスから閃光や破壊音が聞こえている。
「……これは、正義の味方としては是非、止めるべきなんじゃないのかな?」
「………………」
「………………」
その質問に、少女は答えない。
「………………」
「………………」
「………………」
2人の間に、沈黙が降り――――
「こんな所に少年が一人……しかもショタとは言えない程度に年齢を取ってそこそこに筋肉質、とはまさに格好の……」
――――その沈黙を破るかのように、1人の男が音もなく、闇から浮き出るかのように現れた。
その男の全身は金色に輝く筋肉で覆われ、さらにその姿は生まれたままの格好……すなわち、全裸。
男の背からは翼が伸び、その肢体を宙へと浮かせている。
街灯により、逆光の中羽ばたくその姿は、さながら天使のようだった。
その男の全身は金色に輝く筋肉で覆われ、さらにその姿は生まれたままの格好……すなわち、全裸。
男の背からは翼が伸び、その肢体を宙へと浮かせている。
街灯により、逆光の中羽ばたくその姿は、さながら天使のようだった。
「…………どちらのガチムチさんでしょうか?」
「………………」
「………………」
少年は疑念の声を発し、少女は警戒したように男を見ている。
少年の脳内では、男としての本能が彼は危険だと告げていた。
そんな彼らの態度を無視し、男はほほ笑む。
少年の脳内では、男としての本能が彼は危険だと告げていた。
そんな彼らの態度を無視し、男はほほ笑む。
「全ての流れに身を任せて、安らかに掘られなさい」
聖母のような笑みと共に発せられた言葉。
しかし、その内容はそれとは対極に位置していた。
少年は、即答する。
しかし、その内容はそれとは対極に位置していた。
少年は、即答する。
「遠慮します」
男は、微笑んだまま
「掘られなさい」
「遠慮します」
「掘られなさい」
「遠慮します」
「掘られなさい」
「遠慮します」
「遠慮します」
「掘られなさい」
「遠慮します」
「掘られなさい」
「遠慮します」
言葉と言葉の応酬。
少年と男の間で、そんなやり取りがしばらく続いた。
その間も、男はほほ笑みを崩さない。
……しかし、男は顔に笑みを顔に張り付けたまま
少年と男の間で、そんなやり取りがしばらく続いた。
その間も、男はほほ笑みを崩さない。
……しかし、男は顔に笑みを顔に張り付けたまま
「仕方がありませんね……どうしても嫌だと言うのなら、この私の『モノ』で、あなたに新しい世界を見せてあげましょう」
そう言って、その身に闘気を宿し、
サイドチェストのポーズを取り、そこから十字架のように両手を左右へと掲げ、上体を反らす。
上体が反るのと共に、むくり、と下半身から立ち上ったそれは、刀のように反り上がり、金剛石にも劣らぬ固さを持つ、槍。
サイドチェストのポーズを取り、そこから十字架のように両手を左右へと掲げ、上体を反らす。
上体が反るのと共に、むくり、と下半身から立ち上ったそれは、刀のように反り上がり、金剛石にも劣らぬ固さを持つ、槍。
「さあ、私に全てを委ねなさい……」
金色に輝く身体と翼、そして全てに勝る槍を持った男が、ゆっくりと少年の元へと、今、舞い降りた。
続かない