「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 電子レンジで猫をチン!-04

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【電磁人の韻律詩~4号~ ファイアークラッカー】

パチン!
勢いよく手を合わせる音が響く。
「いただきます。」
スタン
少女は勢いよく座る。
「めしあがると良い!」
明日真はカレーをぱくついていた。
彼は親にカレーを作ってもらったことがなかった。
祖母は彼においしいカレーを作っていたがそれでも彼は母親のカレーの味という物を知らなかったのだ。
「母親がカレー作ってくれていたらこんな味だったかね?」
「さぁ?私の作るカレーは私の味だよ。」
「違いないや。」
明日真と恋路は夕飯を食べていた。
時計はまだ午後四時を指したばかり。
すこしばかり早い夕飯である。

「ところでアスマ、今日はどこに行くのさ?」
「そうだな………、西区辺りにでも行こうかな。」
「あの辺りには沢山の都市伝説が現れるからね。良いんじゃないかな?」
「それじゃあ決定だ。」

ハーメルンの笛吹きによるクラブでの事件が発生してからという物、彼のDJとしての出番はめっきり減っていた。
その時間で彼は代わりに都市伝説退治を始めたのだ。
学校町に大量に生息している都市伝説はすべてが人にとって安全な物というわけではない。
それならば都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した自分が戦わなければならないと明日は考えて居たのだ。

「じゃあ行くぞ、ヘルメットつけろよ。」
「はーい。」
明日は家の車庫に入ると自分のス●キのスカーウェイブのエンジンを起動させた。
カタカタカタカタ………
スカーウェイブの特徴のあるエンジン音が響く。
明日がスカーウェイブに跨ると後ろの方に恋路が乗り込む。
「しっかり掴まってろよ!」
「わかってるよ!」
「待て、胸を押しつけるな。」
恋路は思い切り明日を抱きしめていた。
「え?」
「漫画やアニメみたく前の奴に抱きつくんじゃなくてそこに手を引っかける場所があるだろう?
 そこ、そうそう。そこにそうやって手を掛けておけ。」
「浪漫も何も無いんだね……。」
「ビッグスに浪漫を求めるな!……親父のカタナでも使ってやろうかな?」
ビッグスクーターに浪漫はない。
「あの格好良い方のバイクはお父さんのなの?」
「ああ、うちに帰ってこないアホ親父のだよ。そっちの無闇矢鱈とでかくて赤いのはおふくろのだ。」
「へぇ………。」
「それじゃあ行くぞ。」
「はーい。」

明日は学校の関係者に出会わないようにスカーウェイブを走らせた。
しばらくすると西区の廃工場群に到着した。
二人はスカーウェイブから降りる。
「廃工場とか廃病院とか……、廃墟には都市伝説の噂がまとわりついて離れないよな。」
「そうだね、どうにも死とかのマイナスイメージがつきまとうからね。」
「それだけ人に危険な都市伝説ってのが現れやすいわけだ。」
「都市伝説だけじゃなくて危険な人も居るだろうけどね。」
「まったくだ。」
そんな事を話しながら二人は工場の周りを歩き続けたのだが中々都市伝説の気配はない。
暮れていた夕日もすっかり沈んで辺りは夜になっていた。
冬だけにかなり冷え込む。
まるで全身が凍り付きそうだ。

ゴソ……
ゴソゴソゴソ……
廃工場の中から急に物音がし始めた。
「なんだ?」
「物音がするね、向かってみようか?」
「ああ、そうだな。」
ウィイイイイイイイイイイイイイン!!
ガコン!
ギュゥゥウウウゥン!
その時、突然廃工場に捨てられていた機械が動き始めた。
「なんだ!?」
「解らない、でも……。」
ゴトン!
二人が後ろを振り返ったときだった。
廃工場の中から突然、鉄骨が飛び出してきたのだ。
「あぶねえ!」
恋路を庇いながら明日は横へ飛び退ける。
ザクッ!
鉄骨が掠って明日の背中から血が流れ出す。
「アスマッ!なんで私を庇ったんだい?」
「いや……、だって守らなきゃ。」
「だってじゃない!私がアレに当たったところで電子レンジが壊れるだけだ。
 でも君は人間じゃないか!」
「いやいやいや、………そう言う問題じゃないだろ。」
「そういう問題だ、馬鹿野郎!次が来るよ!」

グォン!
次は放置されて錆び放題に錆びていたクレーンが動き出す。
「仕方ないな……、少し力を借りるよ!」
マイクロ波の加熱によって明日の背中の出血を止めるとクレーンに向き直る。
「私の拳が真っ赤に燃える!悪を絶やせと轟き叫ぶゥ!」
そう叫ぶと恋路の腕が赤く燃える。
比喩ではなくて本当に赤く色づいているのだ。
「マイクロ波はっ!何も水だけを暖めるのではない!
 契約することでチューンアップされた私の能力!見せてやる!」
ゴォオオオオオ!
物凄い勢いで振り降ろされるクレーン。
恋路の真っ赤になった腕が正面からそれにぶつかる。
「爆熱、マクロフィンガァァァァアア!!!」
ジュワア!
クレーンが恋路の目の前で真っ二つに裂ける。

「たたき割った!?」
驚いて声を上げる明日。
「違う!溶かしたんだ!ここからは一旦逃げるよ!
 人間以外とは相性が悪い!」
恋路は大量のマイクロ波を流し込んで酸化鉄を融点に到るまで熱したのだ。
とはいえそこまでの熱を発生させたことで極限まで彼女の精神力は消耗していた。
少しの間、攻撃がやんだのをみて二人は工場の辺りから逃げ出した。
疲れて走れない恋路を背負って明日はバイクを止めた辺りまでなんとか逃げ込んだ。
これでなんとかなる。
そう思った時だった。
「ちょこまか逃げやがって……だがそう簡単に逃さないぜ!
 お前らの能力は完璧に見せて貰った!」
廃工場の上に人影が写る。
「やっと近づいてきた人間だ!
 ここが都市伝説として有名になる為にも死んで貰う!」
放置されていたブルドーザーが凄い勢いで走ってくる。
どうやらあそこにいるのが都市伝説の契約者らしい。
人間と言うより都市伝説に近い気配から察するに都市伝説そのものに飲み込まれているのだろう。
「やらせるかよ!」
すかさずスカーウェイブに乗り込んでアクセルを踏み込む。
走り去った後に鉄骨が何本も何本も突き刺さる。
少しでも発進が遅れていたら彼自身があれに貫かれていただろう。
「駄目だ駄目だ、今度は直接見えているんだからな!」
また工場の上から声が聞こえる。
目の前に何本も何本も鉄骨が生えるがそれを奇跡的なドライビングテクニックで躱す明日。
「このまま逃げていてもジリ貧だ、どうする?」
走りながら明日は考えて居た。
工場の中に有る機械はこの廃工場の都市伝説の契約者がすべて使えるのだろう。
このままだと退路を防がれてそれで敗北決定だ。
だとするならば………。
「恋路、………というわけなんだがいけるか?」
「ん、頑張ってみるよ。」
恋路に何かを耳打ちする明日。
「よし、じゃあ行くぞ!」
明日は一気にアクセルを踏み込んだ。

「なんだなんだ二人で仲良く相談か?
 大体クリスマスの頃に二人で廃工場来ちゃったりなんかしてよお……。
 廃墟デートか?誰も見ていないところで二人でイチャイチャってか?
 腹が立つんだよ!!」
なにやら廃工場の契約者がわめいている。彼は寂しいクリスマスを過ごしたに違いない。
それも気にせずに明日は廃工場の契約者が上に乗っかっている工場に近づく。
その真下まで行くと明日と恋路はその工場の周りをグルグル走り始めたのだ。
「そんな近いところに来たら簡単に串刺しだぜ?」
廃工場の契約者の手により鉄骨やクレーンが次々と飛んでくる。
それをギリギリのところで躱し続けながらも明日は工場をグルッと一周する。
「何をしてんだ?だが何度も何度も躱し続けられると思うなよ!」
「そうだな、その通りだよ。だから一周で決めた。」
「は?」
ゴゴゴゴゴゴ……
「さようならだ、廃工場の契約者!」
「もう限界……。」
「え、おい、………ぎゃああああああああああああああ!!!!!」
力なく明日に恋路がしなだれかかる。
ガラガラガラガラ!
廃工場の契約者は崩れ落ちる廃工場そのものに巻き込まれていった。
「よし、やったか……。
 熱で工場そのものを崩せばあいつも巻き込まれると思ったよ……。
 大丈夫だったか恋路?」
「そうだね……はぁはぁ、身体が熱い……。」
恋路は顔を真っ赤にさせている。
能力の使いすぎで廃熱が間に合わなくなったようだ。
恋路の額が明日の身体に当たる。
「ってうわ!熱い!恋路、無茶させてすまなかった!」
「あはは良いよ良いよ、でも大丈夫じゃないかも……。」
「仕方ないな、すぐに帰るぞ。捕まってろよ。
 ああ、そっちじゃねえ、フラフラして落ちたら大変だろうが!」
明日は恋路を無理矢理自分の前に乗せてスカーウェイブを発進させた。
自分のせいで恋路を傷つけてしまった、その事実が彼の胸にのしかかる。
「もうちょっと……、強くなるよ。
 味方も守れないで都市伝説と戦うだよ……。」
明日は気を失った恋路に向けて静かに呟いていた。

【電磁人の韻律詩~4号~ ファイアークラッカー fin】

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