はらはらと、桜が舞い散る中
一人のゴスロリ少女が、黒いレース生地の日傘を差してゆっくりと歩いていた
桜の花びらが散る光景を見つめる表情は、楽しげだ
ゆっくり、ゆっくりと、少女は花見会場を歩いて行って
一人のゴスロリ少女が、黒いレース生地の日傘を差してゆっくりと歩いていた
桜の花びらが散る光景を見つめる表情は、楽しげだ
ゆっくり、ゆっくりと、少女は花見会場を歩いて行って
やがて、己を花見に誘ってくれた友人の姿を見つけると
嬉しそうに、そちらに駆け寄っていった
嬉しそうに、そちらに駆け寄っていった
「望、遅れてすまぬ」
「あぁ、ヘンリエッタ……いえ、遅れて正解よ」
「??」
「あぁ、ヘンリエッタ……いえ、遅れて正解よ」
「??」
望の言葉に、首をかしげるヘンリエッタ
…まさか、この花見会場で、都市伝説を越える不条理が暴れていたなどと、露ほどにも思わない
…まさか、この花見会場で、都市伝説を越える不条理が暴れていたなどと、露ほどにも思わない
「妾がここに辿り着くまでに、何があったかは知らぬが…とりあえず、ここに座っても良いのかの?」
「えぇ、どうぞ」
「えぇ、どうぞ」
「あ、ヘンリエッタも来たか……っと、望、友美は?」
「あら?…そう言えば、どこに行ったのかしら」
「あら?…そう言えば、どこに行ったのかしら」
駆け寄ってきた翼に尋ねられ、首をかしげる望
そう言えば、化死窪喪血の騒動の後、どこに行ったっけ?
そう言えば、化死窪喪血の騒動の後、どこに行ったっけ?
「ま、その内戻ってくるでしょ。それより、どうかしたの?」
「いや、友美に頼まれてたもの、もってきてたから」
「いや、友美に頼まれてたもの、もってきてたから」
ピラ、と
翼がポケットから取り出したのは、チケットのようなもの
あぁ、と望は納得する
翼がポケットから取り出したのは、チケットのようなもの
あぁ、と望は納得する
「友美が欲しがってた、フェアリー・モートのデザートフェスタのチケットでしょ?…何、わざわざ手に入れてくれたの?」
「バイト先だし、これくらいは手に入るさ。一枚で二人まで入れるから、お前ら四人来れるだろ?」
「バイト先だし、これくらいは手に入るさ。一枚で二人まで入れるから、お前ら四人来れるだろ?」
学校町内にあるファミリーレストラン「フェアリー・モート」では、季節の変わり目に、新作デザートの試食会を行う
デザートフェスタと呼ばれるそれのチケットは入手困難といわれており、ネット上で数十万の価値が突いた事すらある代物だ
それを、あっさり二枚手に入れて、翼はそれを望に手渡してくる
デザートフェスタと呼ばれるそれのチケットは入手困難といわれており、ネット上で数十万の価値が突いた事すらある代物だ
それを、あっさり二枚手に入れて、翼はそれを望に手渡してくる
「4人?」
「私と望と、友美とヘンリエッタ。ほら、4人でしょ」
「私と望と、友美とヘンリエッタ。ほら、4人でしょ」
首を傾げたヘンリエッタに、詩織がさらりと答えた
ヘンリエッタは、きょとんとしている
ヘンリエッタは、きょとんとしている
「妾も、行っても良いのかの?」
「当たり前でしょ、そのために2枚用意させたんだから……6月だけど、何か、他に外せない用事でもあった?」
「当たり前でしょ、そのために2枚用意させたんだから……6月だけど、何か、他に外せない用事でもあった?」
望の、言葉に
一瞬、俯いたヘンリエッタだったが、すぐに顔をあげて笑う
一瞬、俯いたヘンリエッタだったが、すぐに顔をあげて笑う
「いや、問題ないのじゃ!」
「なら、決まりね。4人で行きましょう」
「うむ、楽しみなのじゃ!」
「なら、決まりね。4人で行きましょう」
「うむ、楽しみなのじゃ!」
無邪気に笑うヘンリエッタ
無邪気に笑い、その不安を隠す
果たして、その頃
自分は、まだ生きていられるだろうか?、と
自分は、まだ生きていられるだろうか?、と
to be … ?