「…………ハァ、」
さらに時は立ち、1ヶ月
4月を迎え、既に中学2年となった妹尾賢志は、柄にもなく悩んでいた
それは決して恋煩い等では無く、これからのこと―――妹である魅衣を、どうやって守るか、である
この1ヶ月は以前のように黒服が襲ってくる事は無かった
しかし、いつ現れるか分からない黒服と、また戦う時が来るかも知れない
その度に、あの黄金の鎧の少年の姿が脳裏に過ぎる
4月を迎え、既に中学2年となった妹尾賢志は、柄にもなく悩んでいた
それは決して恋煩い等では無く、これからのこと―――妹である魅衣を、どうやって守るか、である
この1ヶ月は以前のように黒服が襲ってくる事は無かった
しかし、いつ現れるか分からない黒服と、また戦う時が来るかも知れない
その度に、あの黄金の鎧の少年の姿が脳裏に過ぎる
――俺は別にお前の妹を攫いに来たつもりはないし、「賢者の石」を奪いに来た訳でも無い
――極力、お前達をサポートして貰えるよう、上に頼んでおくよ」
「黄昏…裂邪……」
少年―――黄昏裂邪と拳を交えた時の事は、彼の脳にしっかりと刻み込まれていた
同時に、経験と力の無さと、他にも多くのものが足りない事を、賢志は思い知らされた
魅衣を守る為に、もっと強くなりたい
しかしどうすれば強くなれるのか
無数のクエスチョンマークが彼の脳を支配する
同時に、経験と力の無さと、他にも多くのものが足りない事を、賢志は思い知らされた
魅衣を守る為に、もっと強くなりたい
しかしどうすれば強くなれるのか
無数のクエスチョンマークが彼の脳を支配する
「…このままじゃ、俺はいつか……」
「賢志ー」
「絶対負けねぇくらい、強くなんねぇと…」
「けーんーじー?」
「あぁもう!一体どうすりゃ―――――」
「賢志イイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」
「賢志ー」
「絶対負けねぇくらい、強くなんねぇと…」
「けーんーじー?」
「あぁもう!一体どうすりゃ―――――」
「賢志イイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」
きーん
耳元に零距離で発せられた大声により、彼の思考と歩みが止まった
数秒後
耳元に零距離で発せられた大声により、彼の思考と歩みが止まった
数秒後
「うるっせぇな!! 何の用だゴルァ!?」
「あ、やっと気付いた」
「ぁんだテメェか麻夜! 俺の邪魔すんじゃねぇ!」
「あ、やっと気付いた」
「ぁんだテメェか麻夜! 俺の邪魔すんじゃねぇ!」
麻夜と呼ばれたセミショートヘアの小柄なこの少女の名は神崎麻夜
賢志のクラスメイトであり、且つ賢志にとっては喧嘩でのライバルでもある
因みに前年度は一度も勝てなかったようだ
賢志のクラスメイトであり、且つ賢志にとっては喧嘩でのライバルでもある
因みに前年度は一度も勝てなかったようだ
「邪魔って……ぼけーっと歩いてただけじゃん!」
「バーカ! 考え事してたんだよ!」
「へー、バカ賢志でも考え事なんてするんだ、意外」
「うるせぇよ!? あっちいけ、しっ、しっ!」
「何よ人をハエみたいに! 私はねぇ―――」
「あ、神崎先輩」
「もうその手は喰わないから!」
「麻夜ー」
「ほらやっぱりにぃにぃがッふえ!?」
「バーカ! 考え事してたんだよ!」
「へー、バカ賢志でも考え事なんてするんだ、意外」
「うるせぇよ!? あっちいけ、しっ、しっ!」
「何よ人をハエみたいに! 私はねぇ―――」
「あ、神崎先輩」
「もうその手は喰わないから!」
「麻夜ー」
「ほらやっぱりにぃにぃがッふえ!?」
次の瞬間、麻夜は目にも止まらぬスピードで、向こうからやってきた人物に飛びついた
飛びつかれた長髪の美しい人物は、優しい笑顔で麻夜の頭を撫でている
飛びつかれた長髪の美しい人物は、優しい笑顔で麻夜の頭を撫でている
「にぃにぃ~♪」
「あはは、偶然だね、こんなところで」
「あはは、偶然だね、こんなところで」
神崎漢
元は賢志や麻夜と同じ中学にいたが、今は中央高校の1年生である
2人を見れば姉妹の何とも微笑ましい光景だが、漢は男で、麻夜は兄が大好きなド変態である
その事実を、賢志は知らないし、興味もなかった
何故なら彼が興味を引いたのは
元は賢志や麻夜と同じ中学にいたが、今は中央高校の1年生である
2人を見れば姉妹の何とも微笑ましい光景だが、漢は男で、麻夜は兄が大好きなド変態である
その事実を、賢志は知らないし、興味もなかった
何故なら彼が興味を引いたのは
「あッ!?」
「何だ、麻夜の友達だったのか」
「何だ、麻夜の友達だったのか」
漢の隣を歩いていた、前髪で右目が隠れた少年―――黄昏裂邪だった
「違うよ、ただのクラスメイト!」
「というか、裂兄ぃのお知り合い?」
「まぁ、ちょっとな。おい、妹は元気か?」
「というか、裂兄ぃのお知り合い?」
「まぁ、ちょっとな。おい、妹は元気か?」
刹那、賢志の脳にある考えが浮かんだ
しかしそれは同時に彼を躊躇わせた
己のプライド
守るべきもの
選択肢は、唯一つ
しかしそれは同時に彼を躊躇わせた
己のプライド
守るべきもの
選択肢は、唯一つ
「裂邪さん!!」
びしっ!と姿勢を正し、大声で裂邪の名を呼んだ
普段そのような姿を全く見た事がなかった麻夜は思わず振り向き絶句する
裂邪は、ふっと小さく笑う
普段そのような姿を全く見た事がなかった麻夜は思わず振り向き絶句する
裂邪は、ふっと小さく笑う
「…どうした? 改まって」
「俺は、あんたみたいに強くなりたい!
妹を守るには、あんたみたいな…いや、あんた以上に強くならなきゃなんねぇ!
だから………俺に、戦いを…都市伝説の扱いを教えて下さい!!」
「俺は、あんたみたいに強くなりたい!
妹を守るには、あんたみたいな…いや、あんた以上に強くならなきゃなんねぇ!
だから………俺に、戦いを…都市伝説の扱いを教えて下さい!!」
勢い良く頭を下げようとした賢志だったが、裂邪に肩を掴まれて止められた
裂邪の表情は彼と戦った時よりも柔らかく、どこか優しげだった
裂邪の表情は彼と戦った時よりも柔らかく、どこか優しげだった
「そんなにかしこまるな、見てるだけで恥ずかしい
「賢者の石」は強力な都市伝説だが、お前はそれをまだ使いこなせていない
だがそれを理解できているのなら…改善は簡単だ」
「賢者の石」は強力な都市伝説だが、お前はそれをまだ使いこなせていない
だがそれを理解できているのなら…改善は簡単だ」
手を放し、裂邪はそのまま歩き出した
そして、
そして、
「次の満月の夜……北区の山の頂上に来い
俺が持ってること全て叩きこんでやる…徹底的にな」
俺が持ってること全て叩きこんでやる…徹底的にな」
楽しそうに告げられたその言葉は、賢志の心の奥底から何かをこみ上げさせた
彼は零れそうになる想いを拭うと、
これからの覚悟と誓い、彼への感謝を込めて、腹の底から声を上げた
彼は零れそうになる想いを拭うと、
これからの覚悟と誓い、彼への感謝を込めて、腹の底から声を上げた
「ありがとうございます! 先せ―――」
「ちょっと待ったぁ!!」
「ちょっと待ったぁ!!」
横槍とは正にこのことだろう
どこからともなく現れたのは、肩まで髪を伸ばした小学生くらいの少年だった
どこからともなく現れたのは、肩まで髪を伸ばした小学生くらいの少年だった
「ぁんだ糞餓鬼ィ! やんのかゴルァ!?」
「あぁいいよやってやるよ! 師匠の弟子は俺だけで良いって事を教えてやる!」
「師匠だァ?」
「そうだ! 俺は師匠の一番弟子にして唯一の弟子、水無月清太だ!!」
「あぁいいよやってやるよ! 師匠の弟子は俺だけで良いって事を教えてやる!」
「師匠だァ?」
「そうだ! 俺は師匠の一番弟子にして唯一の弟子、水無月清太だ!!」
賢志と少年―――清太の間に、激しい火花が飛び散る
ハァ、と大きな溜息を吐いたのは、今この瞬間に弟子を2人持つことになった男
ハァ、と大きな溜息を吐いたのは、今この瞬間に弟子を2人持つことになった男
「…いいよ、清太……お前も同じ時間に同じ場所へ来い……2人とも鍛えてやる…」
裂邪は、頭を抱えてそう言った
...了