「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - 嗚呼、美しき赤い世界

最終更新:

kemono

- view
だれでも歓迎! 編集
世界は美しい、しかし人間は美しくない。
そう言ったのは、昔いた養護施設の蝶に似たシスターだった。もっとも、その話を真面目に聴いていたのは蜻蛉に似た年上の男の子が一人いただけだったけれど。
私だってその言葉には異議がある。
世界も、人間も、同様に美しいじゃないか。
青い空、風に揺れる草花、塀の上の猫、夜の街明かり、子供の眼、煌めく星々、どこまでも広がる海、大地を踏み締める脚、煤けた工場、埃っぽい図書館、
機能的な手、流れる河、真っ赤な血、沈む夕日、ヌルリとした舌、白い骨、脈打つ心臓、色々と詰まった腸、楽しげな遊園地、飛び交う鳥達、考える脳、
ほとばしる鮮血、乾いた血痕、温かい流血、ヌルリとした生血、流れ出る血液。
ああ、あぁ、アA、嗚呼、ァあ、亜A、アあ、なんてこの世界は美しいんだろう。

美しい世界をあてもなく歩いていると、小さな家を見つけた。家自体はただの家だったけれど、一つの窓から覗く光景に、私は目を疑った。
あんな、あんなにも美しい光景は見たことがない。あの部屋に行ってみたい。あの部屋をもっとよく見てみたい。
そう思い、その家に近づくと、
「あん?なんだお前?この家になんか用か?」
突然、後から蟷螂に似た男が話し掛けてきた。
「組織の人間、じゃぁねぇよなぁ?なぁんか異常があったから見てこい、って言われたの俺だしなぁ。
 つぅことはだ。契約者っぽいてめぇが異常とやらの原因だな?」
よくわからないが、どうやらこの人は何か勘違いしているようだ。
まあ、今の私が何を言っても言い訳にしか聞こえないだろうし、なにより説明するのが面倒臭い。どうせ理解されないのだ。
それに、害をなすなら潰すだけだ。

男がフワリと宙に浮かぶ。そして、右手には黒光りする重々しい金属の物体。
「てめぇの能力が分かんねぇからな。遠距離から攻撃させてもらうぜ。俺の『フライングヒューマノイド』とこいつでなぁ!」
ああ、この人は、馬鹿なんだな。
私の視界内で私より高い位置に行くなんて。それが、私の能力の発動条件だというのに。
「?……が!な、にが…………ガアァァァァァ!!」
突如、男の胸が膨らみ、爆発する。胸から、血が肉が、溢れ出す。飛び散る。赤く染め上げる。
あぁ、綺麗。
私の都市伝説「爆発するシリコン」、綺麗な花を咲かす私の能力。
…………………………………………さて、これはこれで美しいのだけど、そろそろあの部屋にいこう。あ、でもこれは貰っていこう。扉の鍵を壊すのに使える。
窓から見えたのは、血で真っ赤になった部屋。壁、家具、天井、あらゆる物が赤黒くなった部屋。
私はその部屋をもっとよく見たくて来たのだけれど…………。
部屋に入ってみたら、部屋は完全ではなかった。
蟋蟀に似た女の子がいたからだ。女の子は、私がいることにも気付かず、ぼんやりと立ち尽くしていた。
ああ残念だ。この子も真っ赤だったらよかったのに。
そして、ふと、自分の手の重みに気付く。あぁ、そうだ。さっきの男から貰ったこれがあるじゃないか。
そして、私は、その子に、向けて、引き金を引く。


あぁ、なんて美しいんだろうか。





「終」





タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー