とっぷり静かに夜がふける
さぁさ、都市伝説の時間の始まりだよ
さぁさ、みんな出ておいで
楽しい楽しい時間だよ
さぁさ、都市伝説の時間の始まりだよ
さぁさ、みんな出ておいで
楽しい楽しい時間だよ
知ってるかい?
人々が噂すれば、都市伝説は生まれてくる
人々が噂すれば、都市伝説は生まれてくる
たとえ、その始まりが作り話であろうとも
たとえ、その始まりがささやかな嘘であろうとも
たとえ、その始まりがただの勘違いであろうとも
たとえ、その始まりがささやかな嘘であろうとも
たとえ、その始まりがただの勘違いであろうとも
それでも、都市伝説は生まれるのさ
だって、みんなが噂するから
だから、都市伝説は生まれるんだ
だって、みんなが噂するから
だから、都市伝説は生まれるんだ
それじゃあ、噂しなければいいって?
無理無理、そんなの無理なのさ
だって、人々は噂せずにはいられない
誰かに話さずにはいられない
無理無理、そんなの無理なのさ
だって、人々は噂せずにはいられない
誰かに話さずにはいられない
…都市伝説には、そんな魔力があるんだよ?
「…赤マントがやられたそうで」
こちらの報告に、彼女はあら、と驚いたような声を出した
が、すぐに笑って、作業を続ける
が、すぐに笑って、作業を続ける
「相手はだぁれ?」
「『トイレの花子さん』。人間とは契約済です」
「『トイレの花子さん』。人間とは契約済です」
あらあら、と
まるで、世間話でもしている主婦のように、彼女は笑っている
同士の死に悲しむ様子は微塵もない
まるで、世間話でもしている主婦のように、彼女は笑っている
同士の死に悲しむ様子は微塵もない
「多分、現場は女子トイレでしょ?」
「はい」
「やっぱりね。可哀想な赤マント。相手と場所が悪かったわね」
「はい」
「やっぱりね。可哀想な赤マント。相手と場所が悪かったわね」
くすくすくす
彼女は笑う、ころころ笑う
鏡に書いたそのメッセージに満足しつつ
とても楽しそうに笑う
彼女は笑う、ころころ笑う
鏡に書いたそのメッセージに満足しつつ
とても楽しそうに笑う
「仕方ないわよね。あの子は、私たちの中でも、一番の小者だったもの」
言いながら、彼女は服を着始める
…にしても、彼女はどうして、作業をはじめる前に服を着ないのだろう
長年彼女と付き合ってきているが、それだけが謎だ
…にしても、彼女はどうして、作業をはじめる前に服を着ないのだろう
長年彼女と付き合ってきているが、それだけが謎だ
「……さて、と。行きましょうか」
「どちらまで?」
「あなたが、送ってくれるなら、どこでも」
「どちらまで?」
「あなたが、送ってくれるなら、どこでも」
くすくすくすくすくすくすくす
どこか、狂気を感じさせる笑み
だが、私はそれに恐怖は感じない
自分と彼女は同士である
そして、彼女の能力は、発動条件があるから…彼女の誘惑に屈しない限り、私は彼女に頃される事はない
そもそも、彼女の能力に殺傷能力があるのか、否か?
…私には、その事実はわからないのだが
どこか、狂気を感じさせる笑み
だが、私はそれに恐怖は感じない
自分と彼女は同士である
そして、彼女の能力は、発動条件があるから…彼女の誘惑に屈しない限り、私は彼女に頃される事はない
そもそも、彼女の能力に殺傷能力があるのか、否か?
…私には、その事実はわからないのだが
「地獄行きだったら、どうなさるおつもりで?」
「あら、それもいいわねぇ」
「あら、それもいいわねぇ」
くすくす
笑うその笑顔は、妖艶で
ぞくり、背筋を悪寒が走る
…知っている
この笑顔は、男を誘う笑顔だ
獲物を誘う笑顔だ
だから
この笑顔に惹かれては、いけないのだ
笑うその笑顔は、妖艶で
ぞくり、背筋を悪寒が走る
…知っている
この笑顔は、男を誘う笑顔だ
獲物を誘う笑顔だ
だから
この笑顔に惹かれては、いけないのだ
彼女とともにホテルを出る
…彼女が、男と入ったその個室
そこの鏡に残したメッセージを見て、男はどう思うやら
真っ赤な唇で
…彼女が、男と入ったその個室
そこの鏡に残したメッセージを見て、男はどう思うやら
真っ赤な唇で
『エイズの世界へようこそ!』
と、そう書かれた…そのメッセージに
自分が運転するタクシーお後部座席に座り、女はすやすや眠っている
…さて、どうしようか
彼女の片割れの所にでも、送るとしようか
できれば、彼女とはあまり関わりたくないのだ
同士ではあるのだが…時折、彼女の行動にはついていけなくなってしまう
…さて、どうしようか
彼女の片割れの所にでも、送るとしようか
できれば、彼女とはあまり関わりたくないのだ
同士ではあるのだが…時折、彼女の行動にはついていけなくなってしまう
「…はぁ」
運転しながら、小さく、小さくため息をつく
…自分たちは都市伝説だ
そして、自分も、彼女も、あまり人間に歓迎される都市伝説ではない
たとえ、歓迎されない生まれ方をした都市伝説であっても、改心し、人間と友好関係を築こうとする者たちもいる
…自分たちは都市伝説だ
そして、自分も、彼女も、あまり人間に歓迎される都市伝説ではない
たとえ、歓迎されない生まれ方をした都市伝説であっても、改心し、人間と友好関係を築こうとする者たちもいる
…だが
それでは駄目だ、と唱えるのが、自分たちだ
都市伝説は、都市伝説らしく振舞うべし
衝動を抑える必要などない
それでは駄目だ、と唱えるのが、自分たちだ
都市伝説は、都市伝説らしく振舞うべし
衝動を抑える必要などない
だから、彼女は男を誘い一夜を共にし、あのメッセージを残す
だから、自分は酔った客を乗せ…地獄へと送り届ける
だから、自分は酔った客を乗せ…地獄へと送り届ける
それが、自分たち
人間の噂話から生まれた都市伝説
人間の噂話から生まれた都市伝説
これでいい
自分たちはその道を選んだのだから、後悔などない
自分たちはその道を選んだのだから、後悔などない
…だが、それでも
同士が、人間と契約した都市伝説に倒されるたびに
次は自分なのでは、と
恐怖に支配されてしまうのだった
同士が、人間と契約した都市伝説に倒されるたびに
次は自分なのでは、と
恐怖に支配されてしまうのだった
ほらほら、都市伝説の時間だよ?
みんなどうしたの?出ておいでよ?
みんなどうしたの?出ておいでよ?
ねぇねぇ、君はどうするの?
君はどんな都市伝説?
君はどんな都市伝説?
人を助ける?
人を襲う
それとも、人間なんかに関わらない?
人を襲う
それとも、人間なんかに関わらない?
どんな生まれであろうとも
後の行動を決めるは君次第
後悔しなけりゃ、どうでもいいのさ
後の行動を決めるは君次第
後悔しなけりゃ、どうでもいいのさ
…たとえ、それによって
誰かの命を奪おうとも
誰かに命を奪われようとも
誰かの命を奪おうとも
誰かに命を奪われようとも
結局は、自分が選んだ結末なんだから、さ
fin