「では、こちらにサインをお願いします。」
それは某高層マンションの購入契約書。俺はその内容をろくに読みもせず、名前を記入する。
「しかし、この不況時に現金一括でご購入なさるとは、よほど良い事業をなさってるのでしょうね。」
「なあに、宝くじが当たったようなもんさ。」
「いずれにせよ、こちらとしてはありがたい限りです。では私はこれで失礼します。」
それは某高層マンションの購入契約書。俺はその内容をろくに読みもせず、名前を記入する。
「しかし、この不況時に現金一括でご購入なさるとは、よほど良い事業をなさってるのでしょうね。」
「なあに、宝くじが当たったようなもんさ。」
「いずれにせよ、こちらとしてはありがたい限りです。では私はこれで失礼します。」
俺以外誰も居なくなった、だだっ広い高層マンションの一室。こみ上げてくる笑いをこらえきれず、部屋に笑い声が響く。
ああ、俺は本当に運がいい。なんたって、何もせずに数十億もの金を手にしたんだからな。
いや、何もせずと言うには語弊があるか。奴の言葉を信じるなら、俺の知らないどこかの誰かのおかげだ。
奴が言うには、俺が受け取った金と引き換えにそいつは死んだらしいが、そんなの俺の知ったこっちゃない。
一度きりの人生だ。他人を蹴落としてでも、自分の人生を素晴らしいものにしなきゃ損ってもんだろう。
ああ、俺は本当に運がいい。なんたって、何もせずに数十億もの金を手にしたんだからな。
いや、何もせずと言うには語弊があるか。奴の言葉を信じるなら、俺の知らないどこかの誰かのおかげだ。
奴が言うには、俺が受け取った金と引き換えにそいつは死んだらしいが、そんなの俺の知ったこっちゃない。
一度きりの人生だ。他人を蹴落としてでも、自分の人生を素晴らしいものにしなきゃ損ってもんだろう。
一昨日の夜に金を受け取り、昨日は一日中遊び歩いて、今日はよさげなマンションを探して即購入。
我ながら金遣いが荒いと思うが、金はまだまだ有り余ってる。明日はこのマンションに見合う家具と車探しだ。
とりあえず今日は疲れたし腹が減った。ハイヤーを呼んで、適当な高級料理店にでも入るとしよう。
そうと決まれば早速行動だ。昨日買い換えたばかりの携帯で、ハイヤー会社にリダイヤルする。
「ありがとうございます、こちら都市交通です。……もしもし、お客様?…すみません、聞こえてますかー?…もしもーし…」
我ながら金遣いが荒いと思うが、金はまだまだ有り余ってる。明日はこのマンションに見合う家具と車探しだ。
とりあえず今日は疲れたし腹が減った。ハイヤーを呼んで、適当な高級料理店にでも入るとしよう。
そうと決まれば早速行動だ。昨日買い換えたばかりの携帯で、ハイヤー会社にリダイヤルする。
「ありがとうございます、こちら都市交通です。……もしもし、お客様?…すみません、聞こえてますかー?…もしもーし…」
「…で、その”誰か”は本当に死んだのか?」
スイッチを持った青年が、スーツを着た男に問いかける。
「ええ、間違いなく死亡しました。」
「まあ、俺に一切関係ない人ならいいんだけどさ…。ところであんたは一体何者なんだい?」
「しいて言うなら、これを生きがいにしてる変わり者、でしょうかね。」
「答えになってない気がするが、どうでもいいや。とにかくありがとよ、これで思う存分遊んで暮らせるぜ。」
「それは何よりです。では、良い人生を。」
スイッチを持った青年が、スーツを着た男に問いかける。
「ええ、間違いなく死亡しました。」
「まあ、俺に一切関係ない人ならいいんだけどさ…。ところであんたは一体何者なんだい?」
「しいて言うなら、これを生きがいにしてる変わり者、でしょうかね。」
「答えになってない気がするが、どうでもいいや。とにかくありがとよ、これで思う存分遊んで暮らせるぜ。」
「それは何よりです。では、良い人生を。」
男はそう言うと青年からスイッチを受け取り、小さな箱に入れて懐に仕舞った。
そして男は歩き出す。再びこのスイッチを押してくれる人の元へと。
そして男は歩き出す。再びこのスイッチを押してくれる人の元へと。
元ネタ
ある日のこと、一人の男の前に、紳士が現れ言いました。 「このスイッチを押していただければ、あなたに1000万ドル差し上げましょう」 男は怪しみ、尋ねました。 「そのスイッチを押すとどうなるのだ」 紳士は答えます。 「どこか遠くの地で、あなたの知らない誰かが死にます。」 男は考えた末、スイッチを押し、巨額の金を紳士から受け取りました。 「ありがとうございました」 「どこへ行くのだ?」 「どこか遠くの地で、あなたの知らない誰かにスイッチを押してもらうよう頼みます」