この国は無防備だ
平和ボケした国民が大半を占めるこの国は、あまりにも無防備で
だからこそ、都市伝説にも狙われやすい
この日もまた、UFOの大軍が、このちっぽけな島国に大挙して押し寄せようとしていた
平和ボケした国民が大半を占めるこの国は、あまりにも無防備で
だからこそ、都市伝説にも狙われやすい
この日もまた、UFOの大軍が、このちっぽけな島国に大挙して押し寄せようとしていた
「---視覚結界設置、完了しました」
「あぁ」
「あぁ」
「組織」上層部のとある黒服
彼は、押し寄せてくるUFOの団体を双眼鏡で眺めながら…こっそりと、同情していた
きっと、自分達ならば楽勝でこの国を占拠できると思っていることだろう
可哀想に
彼は、押し寄せてくるUFOの団体を双眼鏡で眺めながら…こっそりと、同情していた
きっと、自分達ならば楽勝でこの国を占拠できると思っていることだろう
可哀想に
「さて、後は経過を見守るだけだな」
「…よろしいのですか。本当に、我々が手出ししなくても」
「今回、「組織」がすべき事は、現れる都市伝説達が一般人に目撃されないよう、視覚的な結界を張ることだけだ」
「…よろしいのですか。本当に、我々が手出ししなくても」
「今回、「組織」がすべき事は、現れる都市伝説達が一般人に目撃されないよう、視覚的な結界を張ることだけだ」
海上を飛んでくるUFO達
-----ぼこぼこと、海が泡立ち始めた
来たか
来たか
「…あいつら、海外産だとしたら、知らんのかねぇ」
深々と、黒服はため息をつく
ぼこぼこぼこぼこ、泡立つ海面
ぼこぼこぼこぼこ、泡立つ海面
直後、海から発射された放射火炎が、UFOを一機、打ち落とした
UFO達の隊列が乱れる
一機を打ち落とした放射火炎はそれだけでは満足せず、次々とUFOを撃ち落していく
反撃するようにUFO達が光線を放っているが、海の中にいるあいつには届きはしないだろうし…届いたとしても、効果はあるまい
UFO達の隊列が乱れる
一機を打ち落とした放射火炎はそれだけでは満足せず、次々とUFOを撃ち落していく
反撃するようにUFO達が光線を放っているが、海の中にいるあいつには届きはしないだろうし…届いたとしても、効果はあるまい
ぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこ
海面の泡が更に激しく、大きくなって
海面の泡が更に激しく、大きくなって
そして、それは姿を現した
漆黒の体、とげとげしい背びれ、長い長い尻尾
ゴツゴツとした肌、鋭い牙
…日本人ならば、知らぬ者がいるはずのない、それが
海外でもよく知られている、それが
ゴツゴツとした肌、鋭い牙
…日本人ならば、知らぬ者がいるはずのない、それが
海外でもよく知られている、それが
怪獣王の姿が、海から出現した
天に向かって、吼える怪獣王
UFO達が光線で攻撃するが、それを受けても涼しい顔をしている
じろり
その巨大な目が、UFO達を睨んだ
UFO達が光線で攻撃するが、それを受けても涼しい顔をしている
じろり
その巨大な目が、UFO達を睨んだ
「わかってないな。連中。手を出したらそこまでだ。お前らの人生終了だな」
「都市伝説でも人生と言うのでしょうか?」
「都市伝説でも人生と言うのでしょうか?」
んな事は知らん
部下のツッコミを無視して、その黒服は暴れ始めた怪獣王を見つめていた
部下のツッコミを無視して、その黒服は暴れ始めた怪獣王を見つめていた
いつ見ても、惚れ惚れとする暴れっぷりだ
その巨大な口から吐き出される放射火炎が、長い尻尾での一撃が、次々とUFO達を撃ち落していく
その巨大な口から吐き出される放射火炎が、長い尻尾での一撃が、次々とUFO達を撃ち落していく
…とある、ハリウッドの映画監督は、自分が作成した、宇宙人が地球を侵略する映画の裏話として、こんな趣旨の事を語ったそうだ
「日本にはゴ○ラがいるし、日本は怪獣や侵略者と戦いなれている。だから、被害はほとんど出ていないんだよ」
と
その発言が真実であるかどうかはわからない
真実であったとしても、日本からの取材に対する、リップサービス的な発言だろう
真実であったとしても、日本からの取材に対する、リップサービス的な発言だろう
だがしかし、日本の特撮映画は海外でも人気である
その特撮映画の中で、日本ばかりが怪獣や侵略者に襲われ、それを撃退せんと戦っているシーンが多いのは事実
そして、映画監督の発言がネット上で語られて……それは、都市伝説となる
その特撮映画の中で、日本ばかりが怪獣や侵略者に襲われ、それを撃退せんと戦っているシーンが多いのは事実
そして、映画監督の発言がネット上で語られて……それは、都市伝説となる
「日本が怪獣や宇宙からの侵略者に襲われても、日本ならばどうにかなる」
怪獣王によって、UFO達は全滅した
あの怪獣王は、この国を自分の縄張りであると認識しているらしい
縄張りに入り込んだ蝿を全て叩き落し満足したのか……ゆっくりと、海の中に戻っていっている
夕日をバックにしたその様子は、怪獣映画のラストさながらだ
あの怪獣王は、この国を自分の縄張りであると認識しているらしい
縄張りに入り込んだ蝿を全て叩き落し満足したのか……ゆっくりと、海の中に戻っていっている
夕日をバックにしたその様子は、怪獣映画のラストさながらだ
「…いやぁ、いつ見ても素晴らしい戦いだった」
ふぅ
黒服は、眼福な様子の笑みを浮かべた
映画のような戦いを、双眼鏡ごしとは言え、生で見られる
いやぁ、日本の本部勤めで良かった良かった
これが、アメリカ支部とか南米支部勤めでは、こうはいかない
黒服は、眼福な様子の笑みを浮かべた
映画のような戦いを、双眼鏡ごしとは言え、生で見られる
いやぁ、日本の本部勤めで良かった良かった
これが、アメリカ支部とか南米支部勤めでは、こうはいかない
「…怪獣王に任せなくても、「組織」の力を持ってすれば、あのUFO集団、どうにかなったのでは」
「この国には最強の怪獣王がいるんだぞ!その活躍の機会を逃させてどうする!!」
「この国には最強の怪獣王がいるんだぞ!その活躍の機会を逃させてどうする!!」
さて、今回も戦いの映像は記録したし
後でまた、じっくり楽しむとしようか
後でまた、じっくり楽しむとしようか
国の危機を前にして、怪獣王の戦いを優先させていた上司のそんな様子に
部下は呆れたように、深々とため息をついたのだった
部下は呆れたように、深々とため息をついたのだった
続く予定なんざないので終わる