○月×日 23:41 中央高校屋上入口
二つの藁人形は、屋上へとたどり着いた…
もうすぐ…もうすぐで…恨みが晴らせる…
恨みの対象に反応して自らの内に眠る憎しみの念が脈打つのを感じる…
二体の藁人形からは…おぞましい負の情念が漏れ出している…
……さぁ、戸を開けよ。
誰かの恨みを晴らしに…恨みの対象を…もぐ…
……誰…かに…持ちあげられ…ている……
足が、燃やされ…てい…く……
体に、火、が……まわってい…く……
心は…不完全…燃焼な…のに……。…から、だ…が燃え…ていく…
「どうやらこれが、負のエネルギーの根源のようだね」
手のひらの藁人形の燃えカスを見つめながら、誰に言う訳でもなく呟く死神。
「…よっぽど恨みを買っているんだね、マッドガッサー一味は。
でも…説得の妨害は、させないよ…彼らなら、穏便に済ませることができそうだしね」
でも…説得の妨害は、させないよ…彼らなら、穏便に済ませることができそうだしね」
そう言って彼は懐から携帯を取り出す。
「もしもし…こちら現世偵察部のT66。
…あぁ、穏便に終わりそうだよ。……ちょっと気になるものはいくつかあるけどね」
…あぁ、穏便に終わりそうだよ。……ちょっと気になるものはいくつかあるけどね」
13階段の契約者。怨念の藁人形。そして、一人の女性から感じた…何か。
彼女の契約している都市伝説はよくは知らないが、おそらく何か別の都市伝説によるもの…
彼女の契約している都市伝説はよくは知らないが、おそらく何か別の都市伝説によるもの…
…まぁ、僕の知ったことではないよ。
「ん、うん。…えぇ?報告する?…やれやれ。偵察業務も楽じゃないね。
……分かった分かった。三分で戻るから待っててよ」ピッ
……分かった分かった。三分で戻るから待っててよ」ピッ
通信を切った後で、ため息をひとつ。
「事の顛末を見届けないうちに報告って、少しおかしいんじゃないかな?
…まぁ、あまり上司を怒らせるものではないね。マサムネ」
「事の顛末を見届けないうちに報告って、少しおかしいんじゃないかな?
…まぁ、あまり上司を怒らせるものではないね。マサムネ」
うんざりとした様子で猫を呼ぶ。
その呼びかけにこたえるようにみゃぁ、と一鳴きして肩から飛び降りる。
その呼びかけにこたえるようにみゃぁ、と一鳴きして肩から飛び降りる。
床に着地する頃には、すでにバスのような巨体になっていた。
「じゃ、地獄まで頼むよ…僕は少し休むとするよ」
マサムネの前に、この世のものとは思えない混沌とした空気漂う穴が出現する…
マサムネの前に、この世のものとは思えない混沌とした空気漂う穴が出現する…
穴が消えた後、そこには誰もいなかった。
あったのは、何かが燃えた後。ただそれだけである。
あったのは、何かが燃えた後。ただそれだけである。